有価証券報告書-第71期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 9:00
【資料】
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【項目】
173項目

研究開発活動

当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発活動のほとんどは、当社の開発部門及び技術研究部門で行われており、両部門では国内及び海外の市場ニーズに即したクレーン車、高所作業車及びそれらの応用製品、新技術・先端技術の応用研究活動を行っております。開発部門では近年、国内外での次期排ガス規制対応と更なるグローバル化について、営業部門や生産部門等の他部門と一体となり、その実現を目指して取組んでおります。技術研究部門では、Lift Compass(ブーム先端に取付けた吊荷監視カメラからの映像をディスプレイで見ながら、ラジコン操作する機能)やLift Visualizer(ブーム先端に取付けた吊荷監視カメラからの映像に、限界作業範囲を重ね合わせて表示する機能)等の新システムを開発し、より安全で容易・迅速な操作の実現を目指した取組みを進めております。また、大学との共同研究等を通じて、最新のICT技術を活用し、AIや自動運転に限らない新技術開発にも着手する等、少子高齢化による生産人口減少等を想定しつつ、常に次世代を見据えた取組みを行っております。その他、2017年3月から稼動を開始した低温試験棟(試験室を-40~40℃に保つことができる最新型の実験・研究設備)も活用して、様々な環境を想定した製品開発を行っています。
なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動に要した金額は、研究材料費、人件費等、総額6,918百万円であります。
当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。
(1)日本
①日本市場向け60t/100t吊りラフテレーンクレーンの発売
・概要
日本市場向けラフテレーンクレーンで、従来当社レンジである25t、70tの間を埋める、60t吊りのGR-600N-3と、国内最大機種となる100t吊りのGR-1000N-1を開発、販売開始しました。
・特長
GR-600N-3
1)50tクラスのコンパクトサイズながら、60tの最大吊上荷重と、42.6m(ブーム)/55.8m(ジブ)の最大地上揚程、38.0m(ブーム)/42.0m(ジブ) の最大作業半径を確保
2)ブーム根元段から順次伸長する通常伸縮方式に加えて、3段目・4段目・Topブームを先に伸長する方式を新たに設定し、安定域の性能を更に向上
GR-1000N-1
1)日本市場向けラフテレーンクレーンでは初となる、シングル伸縮シリンダ(1本の伸縮シリンダが、各段ブームを固定ピンで連結しながら順次送り出していく特殊機構のシリンダ)を搭載したブームを採用
2)自力着脱機構を有した別送式カウンタウエイトの採用により、高い吊上能力を実現
3)上記1)、2)の装備により、ハイクラスの能力と作業範囲を実現した結果、最大吊上荷重は100t、最大地上揚程は48.7m(ブーム)/66.3m(ジブ)、最大作業半径は44.0m(ブーム)/56.0m(ジブ)を確保
4)広大な作業範囲を確保しながら、70tクラスのコンパクトなキャリヤと最小限の占有面積を実現
両機における共通の特長・機能
1)Smart Chart(アウトリガ張出状態と旋回位置を詳細に分析することにより、性能を最大限まで引き出す制御方式)を搭載
2)Wi-Fiでクレーン本体と携帯端末を接続し、キャビン外で携帯端末による操作情報・インジケータ情報等のリアルタイム確認を可能とする「HELLO-DATA LINK」機能を搭載し、アフターサービス効率化に大きく貢献
3)当社13~70t吊りラフテレーンクレーンと同じく、セットアップラジコンや新型キャビンを採用
②海外向け新型トラッククレーンの発売
・概要
近年のアジア、中東等を中心に「Made in Japan」が要望されているトラッククレーン市場において、30t吊り右ハンドル仕様のGT-300ER-3を開発、販売開始し、海外市場でのポジションアップを図っております。
・特長
1)軽量・高強度のラウンドブームと、省スペース作業性に有利な下振り出しジブの採用で、高い作業性を実現
2)世界でも豊富な採用実績を誇るHENDRICKSON社と共同開発したラバー・サスペンションを採用
3)走行速度を一定に保つクルーズ・コントロールシステムを採用し、運転手の負担を軽減
4)燃料消費モニタ、エコ・モード、ポジティブ・コントロール、HELLO-NET(車両の稼働状況や位置情報等をインターネットでサポートするシステム)の各環境配慮機能を搭載
③日本市場向け220t/200t/140t吊りオールテレーンクレーンの発売
・概要
現在、世界で実施されている排ガス規制のうち、最も厳しい規制のひとつである欧州排ガス規制EUROMOT4への対応エンジンを搭載し、更に安全性と作業性を高めたオールテレーンクレーン3機種(ATF-220N-5.1、ATF-200N-5.1、ATF-140N-5.1)を開発、販売開始しました。日本市場での拡販を図っております。
・特長
1)シリーズラインナップに200t吊りを新たに追加。また220t吊りの機種においては、従来機から評価の高かった7段ロングブームを踏襲
2)従来型のフルオートラフィングジブに加えて、懐の深い高揚程作業に優れた油圧チルトジブも装着可能とし、お客様の多様な作業ニーズに対応
3)作業準備用ラジコンを標準装備し、周囲状況を確認しながら安全で効率的な準備・格納作業を実現
4)HELLO-NETを搭載
④中型/小型トラック架装用カーゴクレーンの発売
・概要
車両搭載型のカーゴクレーンにおいて、当社内で最も販売台数の多い中型トラック架装用360,300シリーズと、次いで販売台数の多い小型トラック架装用290,260,250シリーズをフルモデルチェンジし、TM-ZX360,300,290,260,250として販売を開始しました。以下に示す特長にて、国内外での拡販を図っております。
・特長
1)2019年3月から開始となった、安全装置装着義務付けに備え、過負荷防止装置を装備。更に高さ制限装置やブーム・アウトリガ格納忘れ警報、油温上昇抑制装置を標準装備し、卓越した安全性を確保
2)新型カラー液晶ラジコン、旋回起動時と停止時の荷振抑制機能、操作性カスタマイズ機能を備え、洗練された操作性を実現
3)アウトリガ張出幅拡大、ブーム7角形化、旋回位置センサ装備で性能アップや作業範囲を拡大し、快適な作業を提供
4)新集中コントロールパネルを採用し、実荷重や空車時定格荷重、アウトリガ張出状態、稼働時間等の各情報を集約表示。更に各機能スイッチ類も集約して、見易さと操作性を向上
⑤海外市場向け大型車両搭載用カーゴクレーンの発売
・概要
中東等の海外市場で大型化に対応する為、15t吊りの大型車両搭載用カーゴクレーンTM-ZX1500を開発、販売開始しました。下記特長を有する製品として、競合製品(韓国勢・中国勢)と差別化しております。
・特長
1)30t・mクラスのクレーン能力と15tの最大吊上性能、7角形ブームにより、高い作業性能を実現
2)巻過停止装置、過負荷制限装置を標準装備し、日本メーカーにふさわしい安全性を確保
3)フックインを標準装備、液晶デジタル表示のラジコンをオプション設定し、作業効率と快適性を向上
4)日本製主要部品の採用により、安定した品質を確保
⑥タイ生産海外市場向けカーゴクレーンの発売
・概要
タイで製造・販売しているカーゴクレーンの中で、8tの吊上性能を有したTM-ZT820をモデルチェンジし、販売を開始しました。商品力を向上させながら採算性を大幅に改善し、今後成長が見込める新興国市場での拡販と、当社海外事業への貢献を図っております。
・特長
1)過巻停止装置とフックイン・オートアクセル機能の標準装備により、安全性と作業性を向上
2)日本製要素部品(油圧機器、電装部品等)の使用による品質確保
3)タイで生産の製品との部品共通化を推し進めることで、部品供給時の容易化・迅速化を実現
⑦自走式高所作業車の発売
・概要
オフロード法2014年基準に適合した、自走式高所作業車のAW-370TG-4、AW-250TG-4を開発、販売開始しました。従来機より、対環境性能やメンテナンス性能を向上させ、市場での拡販を図っております。
・特長
1)ディーゼル酸化触媒式のエンジンを搭載し、DPF式とは異なる容易な保守・維持管理性能を確保
2)アクセル制御の改善等により、従来機から約20%の燃費向上を実現
3)HELLO-NETを搭載
⑧鉄道関連市場向け排ガス規制対応高所軌陸車の発売
・概要
2016年排ガス規制に対応した、日本市場向け軌道陸上兼用の高所作業車AT-100SDW-2を開発、販売開始しました。鉄道事業関連業者への拡販を図っております。
・特長
1)車両総重量が8t未満となる小型車架装とすることで、コンパクト性と効率的な作業性を実現
2)HELLO-NETを搭載
当事業セグメントに係る研究開発費は5,052百万円であります。
(2)欧州
海外市場向け60t吊りオールテレーンクレーンの発売
・概要
欧州排ガス規制EUROMOT4への対応エンジンを搭載し、安全性と作業性を高めた60t吊りオールテレーンクレーンのATF60G-3を開発、販売開始しました。海外オールテレーン市場での拡販を図っております。
・特長
1)これまで車体側へ配置していたエンジンを上部旋回体内に配置し、代替カウンタウエイトとして活用
2)60t吊りながら、100t吊りクラスに匹敵する48.0mブームを装備し、最大44mの作業範囲を提供
3)長尺ながら7段ブームとすることで、9.5mのコンパクトなブーム全縮寸法を実現
4)上記のブーム全縮寸法により、コンパクトな格納・走行寸法を実現
5)10t/軸の現地重量規制を同クラスで唯一クリアし、年々厳しくなる主要市場ドイツの道路法令を先取り
当事業セグメントに係る研究開発費は1,616百万円であります。
(3)米州
クローラクレーンが使用される工事現場では、作業内容の多様化によって新たな機能や吊上げレンジを有する製品の開発が求められております。このため、現行製品のグローバル展開を図りながら、新製品の開発に取り組んでおります。
当事業セグメントに係る研究開発費は249百万円であります。
(4)その他
該当事項はありません。