有価証券報告書-第71期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 9:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
173項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「創造:工夫による前進と誇りうる品質のために創造しましょう。奉仕:顧客の利益と住みよい
社会の建設のために奉仕しましょう。協力:私達の幸福と堅い心の結びつきのために協力しましょう。」という経営
理念の実現を事業目的とし、「世界に、そして未来に誇れる企業を目指して」をビジョンとして掲げております。
また、当社グループは、「世界に、そして未来に誇れる企業」となるために、「企業が社会や人との調和の中に生
かされている存在」との認識のもと、地域社会・国際社会発展への貢献と地球環境の保全に役立つ事業活動を推進
し、全てのステークホルダーの期待に応え、企業価値を最大化することを経営方針としております。(タダノグルー
プ「CSR憲章より」)
(2) 中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標と対処すべき課題
2017年度をスタートとする「中期経営計画(17-19)」は「『強い会社』に(赤い矢印に集中)」を基本方針として、3つの重点テーマ実現のために、9つの戦略に取組んでおります。
・「強い会社」とは、いかなる外部環境にあろうとも、「利益を出す」・「人を育てる」を毎期継続することができる会社です。
・当社グループでは、コントロールできない「市場:需要・為替(=青い矢印)」の中で、事業に対する「自助努力(=赤い矢印)」に集中し、これに「投資(=黄色い矢印)」の成果を加えたものが、「業績(=黒い矢印)」と位置付けております。「中期経営計画(17-19)」では、「強い会社」になるために「赤い矢印」に集中することを基本方針としたものです。
・3つの重点テーマ
①更なるグローバル化(ONE TADANO、Wide & Deep)
②耐性アップ(6つの鍵)
③競争力強化(四拍子そろったメーカー)
・9つの戦略
①市場ポジションアップ
②商品力強化
③グローバル&フレキシブルものづくりへの取り組み
④感動品質・感動サービスの提供
⑤ライフサイクル価値の向上
⑥ソリューションビジネスへの取り組み
⑦収益力・資産効率のレベルアップ
⑧成長基盤の確立
⑨グループ&グローバル経営基盤の強化
また、当社グループは、「中期経営計画(17-19)」の最終年度である本年8月29日に創業100周年を迎えます。
・数値目標
項目2020年3月期数値目標2023年3月期中間目標
売上高2,400億円3,000億円
内)日本960億円1,000億円
内)海外1,440億円2,000億円
海外売上高比率60.0%66.7%
営業利益360億円500億円
営業利益率15.0%16.7%
ROA(営業利益/総資産)13.0%
たな卸資産回転率4.8回転

※前提:為替レート110円/米ドル 120円/ユーロ
※中間目標:長期的な成長を目指すべく、長期目標に向けた数値的な中間目標を設定
(3) 株式会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容の概要
当社は、当社の経営方針であります企業価値の最大化に向けて事業活動を推進するに当たっては、当社グループの事業活動に関する幅広いノウハウと豊富な経験、並びに国内外の顧客・取引先及び従業員等の全てのステークホルダーとの間に築かれた関係等への理解が不可欠であり、これらに関する十分な理解があってこそ、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、当社グループの企業価値・株主の皆様の共同の利益の最大化に向けた経営を行うことが可能であると考えております。
したがって、これらに関する十分な理解なしに当社の株式の大規模な買付行為等がなされる場合には、当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益を確保し、向上させることにならないものと考えております。
また、大規模な買付行為等の中には、買収目的等からみて、当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益に対し明白な侵害をもたらすもの、株主の皆様に事実上、株式売却を強要するおそれがあるもの、当社の取締役会や株主の皆様が買付の条件・方法等について検討し、あるいは当社の取締役会が、代替案を提示するための十分な時間や情報を提供しないもの等、当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益を確保し、向上させることにならないものも存在する可能性があります。
当社は、このような企業価値・株主の皆様の共同の利益を確保し、向上させることにならない大規模な買付行為等を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当ではないと考えております。
② 基本方針の実現に資する取組みの概要
当社グループは、2008年度以降、事業領域を「(移動機能付)抗重力・空間作業機械=Lifting Equipment(LE)」と定め、「LE世界№1」・「海外売上比率80%」・「安定的高収益企業(平時の営業利益率20%)」の3つを長期目標としております。
世界の人口動態を考えれば、LE業界は長期的には成長産業であり、今後のポテンシャルは高いと考えております。しかしながら、短中期的には市場変動が激しい事業特性を有しています。
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、3年毎に中期経営計画を策定しております。建設用クレーンの海外需要が2012年をピークに減少するなか、「『強い会社』に」を基本方針とし、「更なるグローバル化」・「耐性アップ」・「競争力強化」を重点テーマとする「中期経営計画(14-16)」に取組み、シェアアップ・高付加価値商品の拡販等により業績向上を図ってまいりました。その結果、2014年度と2015年度は2年連続で過去最高の売上高と営業利益を更新し、ROS(売上高営業利益率)は14.4%・14.8%、ROA(総資産営業利益率)は13.9%・13.5%と高水準で推移しました。しかしながら、当社は未だ「強い会社」への途上にあり、最終年度は需要の更なる減少の影響により、ROS10.3%、ROA7.9%への低下を余儀なくされました。
2017年度をスタートとする「中期経営計画(17-19)」は「『強い会社』に(赤い矢印に集中)」を基本方針として、3つの重点テーマ実現のために、9つの戦略に取組んでおります。
・「強い会社」とは、いかなる外部環境にあろうとも、「利益を出す」・「人を育てる」を毎期継続することができる会社です。
・当社グループでは、コントロールできない「市場:需要・為替(=青い矢印)」の中で、事業に対する「自助努力(=赤い矢印)」に集中し、これに「投資(=黄色い矢印)」の成果を加えたものが、「業績(=黒い矢印)」と位置付けております。「中期経営計画(17-19)」では、「強い会社」になるために「赤い矢印」に集中することを基本方針としたものです。
・3つの重点テーマ
1)更なるグローバル化(ONE TADANO、Wide & Deep)
2)耐性アップ(6つの鍵)
3)競争力強化(四拍子そろったメーカー)
・9つの戦略
1)市場ポジションアップ
2)商品力強化
3)グローバル&フレキシブルものづくりへの取り組み
4)感動品質・感動サービスの提供
5)ライフサイクル価値の向上
6)ソリューションビジネスへの取り組み
7)収益力・資産効率のレベルアップ
8)成長基盤の確立
9)グループ&グローバル経営基盤の強化
また、当社は、コーポレート・ガバナンスを経営の透明性・健全性・効率性を確保するための経営の重要課題の一つとして位置付けており、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するためには、経営理念等に基づき健全な企業風土を根付かせ、この健全な企業風土により企業経営(経営者)が規律される仕組み、監査役の監査環境整備・実質的な機能強化により監査が適正に行われること等が重要であると考えております。
このような考え方に基づき、当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、「コーポレートガバナンス・ガイドライン」(http://www.tadano.co.jp/ir/c_governance.html)を制定し、当社グループにおけるコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方等を明らかにしております。
例えば、当社では、執行役員制度を導入し、少数の取締役によってグループ全体の視点に立った迅速な意思決定を行い、取締役相互の監視と執行役員の業務執行の監督を行っております。
監査役は、重要な会議に出席するとともに、代表取締役社長及び会計監査人と各々定期的に意見交換会を開催しております。
また、企業としての社会的責任を果たすため、CSR委員会(委員長:代表取締役社長)を設置し、その課題解決推進組織となる「リスク委員会」「コンプライアンス委員会」「環境委員会」「製品安全委員会」「人財育成委員会」「安全衛生委員会」を通じ、経営の透明性と健全性を継続的に高め、業務リスクの軽減と業務品質向上を図る取組みを行っております。
さらに、コーポレート・ガバナンス体制のより一層の強化を図るため、取締役・監査役候補者および執行役員の指名ならびに取締役の報酬の決定のための取締役会の諮問機関として、また執行役員の報酬の決定のための社長の諮問機関として、指名報酬諮問委員会を設置しております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針が決定されることを防止するための取組みの概要
当社取締役会は、大量の当社の株式の買付行為等が行われる場合に、不適切な買付行為等でないかどうかを株主の皆様がご判断するために必要な情報や時間を確保し、当社取締役会が株主の皆様のために買付者と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益に反する買付行為等を抑止する為の枠組み(以下「本対応方針」といいます。)が必要であると考えました。
金融商品取引法によって、濫用的な買収を規制する一定の対応はなされていますが、公開買付開始前における情報提供と検討時間を法的に確保することや、市場内での買い集め行為を法的に制限することができない等、濫用的な買収に対して必ずしも有効に機能しないことが考えられます。当社が持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、本対応方針を定めることにより、当社の経営を安定させ成長戦略に集中できる環境を整え、不測の事態等による混乱や弱体化に備えることが必要と考えます。
当社株式の大規模買付行為等が行われる場合、大規模買付者に対して、当該大規模買付行為等に関する必要な情報の事前の提供及びその内容の評価・検討等に必要な期間の確保を求めるために、当社株式の大規模買付行為等に関するルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設定し、大規模買付者に対して大規模買付ルールの遵守を求めます。
そして、(ⅰ)大規模買付者がこの大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは(ⅱ)遵守した場合でも、原則として大規模買付行為等が当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益を著しく損なうものであると明白に認められると判断される例外的な場合に、対抗措置を発動できるものとします。当社取締役会は、独立委員会から対抗措置発動の是非の判断を株主意思確認株主総会に上程すべきとの勧告を受けた場合は、実務上株主総会の開催が著しく困難な場合を除き、株主意思確認株主総会を開催し、当該株主総会における決議の結果に従い、対抗措置の発動の是非についての取締役会決議を行うものとします。
大規模買付行為等に対する対抗措置としては、新株予約権無償割当てその他法令又は当社の定款において当社取締役会の権限として認められているものの中から、その時々の状況に応じて適切なものを選択するものとします。
④ 上記の各取組みに関する当社取締役会の判断及びその判断に係る理由
a.基本方針の実現に資する取組み(上記②の取組み)について
上記②に記載した諸施策は、当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益を確保し、向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに基本方針の実現に資するものであります。
したがって、これらの各施策は、基本方針に沿うものであり、当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
b.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針が決定されることを防止するための取組み(上記③の取組み)について
(a)当該取組みが基本方針に沿うものであること
本対応方針は、上記③に記載のとおり、大規模買付行為等が行われた際に、当該大規模買付行為等が不適切な買付行為等でないかどうかを株主の皆様及び当社取締役会が判断するために必要な情報及びその内容の評価・検討等に必要な期間を確保し、当社取締役会が株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うこと等を可能とすることで、企業価値・株主の皆様の共同の利益を確保し、向上させるための枠組みであり、基本方針に沿うものです。
(b)当該取組みが当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
当社は、以下の理由により、本対応方針は当社株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
1) 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本対応方針は、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則((ⅰ)企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、(ⅱ)事前開示・株主意思の原則、(ⅲ)必要性・相当性確保の原則)を充足しております。また、本対応方針は、企業価値研究会が2008年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」その他買収防衛策に関する議論等を踏まえた内容となっております。
2) 株主意思を重視するものであること
本対応方針に関する株主の皆様のご意思を確認させていただくため、本対応方針の継続の可否について、2017年6月27日開催の第69回定時株主総会において株主の皆様に議案としてお諮りし、株主の皆様のご承認を得て、2020年6月開催予定の定時株主総会の終結の時まで3年間有効期間を延長しております。
加えて、本対応方針の有効期間の満了前であっても、当社株主総会又は当社取締役会において本対応方針を変更又は廃止する旨の決議が行われた場合には、本対応方針はその時点で変更又は廃止されることになり、株主の皆様の意向が反映されるものとなっております。
3) 独立性の高い社外者の判断を重視していること
当社は、本対応方針の導入に当たり、大規模買付ルールを遵守して一連の手続が進行されたか否か、及び、当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益を確保し又は向上させるために必要かつ相当と考えられる一定の対抗措置を講じるか否かについて、当社取締役会の判断の合理性、公正性を担保するために、当社取締役会から独立した組織として、独立委員会を設置し、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重するものといたします。
独立委員会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している当社の社外取締役又は社外監査役の中から、当社取締役会が選任する3名以上の委員から構成されます。
実際に大規模買付行為等がなされた場合には、独立委員会が、独立委員会規則に従い、当該大規模買付行為等が当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益を著しく損なうものであると明白に認められるか否かを検討し、当該大規模買付行為等に対して対抗措置を発動すべきか否か等について、取締役会に勧告します。当社取締役会は、その勧告を最大限尊重して対抗措置を発動するか否かを決定します。独立委員会の勧告の概要及び判断の理由等については適時に株主の皆様に公表いたします。
このように、独立性の高い独立委員会により、当社取締役会が恣意的に対抗措置の発動を行うことのないよう厳しく監視することによって、当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益に資するよう本対応方針の運用が行われる仕組みが確保されております。
4) 合理的かつ客観的な対抗措置発動要件を設定していること
本対応方針においては、大規模買付行為等に対する対抗措置は合理的かつ客観的な要件が充足されなければ発動されないように設計されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されております。
5) 外部専門家の意見を取得すること
大規模買付者による大規模買付行為等が行われた場合、独立委員会は、当社の費用で、当社の業務執行を行う経営陣から独立した外部専門家の助言を得ることができます。これにより、独立委員会の勧告を最大限尊重してなされる当社取締役会の判断の公正さ、客観性がより強く担保される仕組みとなっております。
6) デッドハンド型やスローハンド型の買収防衛策ではないこと
本対応方針は、有効期間の満了前であっても、当社株主総会又は当社取締役会における本対応方針を変更又は廃止する旨の決議により、いつでも変更又は廃止することができるものとされております。したがって、本対応方針は、いわゆるデッドハンド型の買収防衛策(取締役の構成員の過半数を交代させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は取締役の期差任期制を採用していないため、本対応方針はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。なお、取締役解任決議要件につきましても、特別決議を要件とするような決議要件の加重をしておりません。