有価証券報告書-第146期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/28 15:07
【資料】
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【項目】
148項目

対処すべき課題

(1)経営方針
[経営理念]
富士電機は、地球社会の良き企業市民として、地域、顧客、パートナーとの信頼関係を深め、誠実にその使命を果たします。
●豊かさへの貢献
●創造への挑戦
●自然との調和
[経営方針]
1.エネルギー・環境技術の革新により、安全・安心で持続可能な社会の実現に貢献します。
2.グローバルで事業を拡大し、成長する企業を目指します。
3.多様な人材の意欲を尊重し、チームで総合力を発揮します。
(注)本有価証券報告書における「富士電機」の表現は、当社並びに子会社及び関連会社から成る企業集団を指します。
(2)経営環境及び優先的に対処すべき課題
当社は、2023年度を最終年度とする5か年の中期経営計画「令和.Prosperity2023」において、売上高1兆円、営業利益率8%以上を経営目標に掲げ、パワエレ事業、パワー半導体事業の拡大を中核とする「成長戦略の推進」、グローバルでのものつくり力強化による「収益力の更なる強化」、及び、ESG(環境、人財、ガバナンス)を中心とした「経営基盤の継続的な強化」を推し進めています。
経営を取り巻く環境は、脱炭素化、デジタル化に向けた投資が拡大している一方、新型コロナウイルス感染症の長期化、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめとする地政学リスクの高まりなど先行き不透明な状況が継続・拡大しています。こうした環境の中で、外部環境変化への適応力を一層強化し、脱炭素化の潮流を当社の事業拡大のチャンスと捉え、安全・安心で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速します。
2021年度
実績
2022年度
経営計画
増減
売上高9,102億円9,600億円+498億円
営業利益748億円820億円+72億円
営業利益率8.2%8.5%+0.3pt

1.成長戦略の推進
事業別の重点施策は以下の通りです。
[パワエレ]
売上拡大に向け、新製品の早期投入、顧客課題の掘り起こし等により、システム事業ならびに海外事業の拡大に取り組みます。
コンポーネントの競争力強化を図るため、製品の基本構造を共通化するプラットフォーム開発により、開発効率の向上とコストダウンを図るとともに、インバータや受変電設備等のグローバル商材の拡充に取り組みます。
活発な投資が継続しているデータセンターや半導体製造工場向けに、無停電電源装置(UPS)や受変電設備などの商材を一括提案し、設備の安定稼働を支えるまるごとビジネスを国内外で拡大します。国際社会で気候変動対策が重要性を増すなか、お客様のさまざまな脱炭素化のニーズに対応する専門部署を新たに設置し、事業拡大を図ります。
また、安定した収益に貢献するサービス事業の拡大に向け、老朽化設備の事故やトラブルを未然に防ぐ設備劣化診断、設備保全業務全般の効率化を支援するサービスを拡充します。
海外事業では、東南アジアとインドでの事業拡大に注力しています。基本方針である地産地消に向けたものつくりの体制強化、生産機種の拡大、地域の販売・製造拠点間の連携強化を推進し、成長が見込まれるデータセンター、再生可能エネルギー分野、素材プラント分野での売上拡大を図ります。
[半導体]
中期経営計画の想定を超えたパワー半導体の需要に対応し、更なる生産能力増強、売上拡大を図ります。
足元の需要変動には柔軟な生産対応により高操業を維持し、収益を最大化します。世界的な電動車需要の急速な拡大に対しては、生産能力増強投資を着実に実行するとともに、市場の要請に応えた更なる生産体制構築に向け準備を進めます。
電力変換効率の向上が求められるなか、SiCをはじめとする新製品の開発及び量産体制の構築を推進します。
[発電プラント]
脱炭素化に向けた需要に対し、再生可能エネルギー事業とサービス事業を拡大します。外部環境の変化によって生じるプロジェクトの延伸等のリスク最小化に向け、プロジェクト管理の更なる強化を図ります。
[食品流通]
新型コロナウイルス感染症の長期化による非接触・非対面など顧客ニーズの変化を踏まえ、当社の自動化技術、冷熱技術等の強みを生かして新たな顧客分野への販路開拓を進めるとともに、高付加価値商材の開発・展開により収益向上を図ります。
2.収益力の更なる強化
[サプライチェーンリスクの極小化]
収益力の更なる強化に向け、外部環境の変化に伴うサプライチェーンの混乱が業績に与える影響の極小化に取り組んでいます。材料の価格高騰に対しては、長期契約の締結や原価上昇に応じた製品価格の見直しを行うとともに、材料供給のひっ迫に対しては、代替材料や複数社購買による確保、設計変更等を進めます。
[ものつくりのデジタル改革]
中長期的な生産性と信頼性の向上に向けて、デジタル・AI技術の適用拡大によるものつくり改革と人財育成によりDX*を推進します。設計、製造、試験まであらゆる工程での品質の徹底強化に取り組みます。
*DX:デジタルトランスフォーメーション
3.ESGを中核とした経営基盤の継続的な強化
経営基盤の強化に向け、ESGの重要課題に対し、グローバルに活動を推進しています。
環境については、「環境ビジョン2050」に基づき、生産活動における温室効果ガス排出量削減と、省エネ製品の提供による社会のCO₂排出量削減に取り組むとともに、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量削減を推進します。とりわけ自社の生産活動では、2030年度目標の達成に向け生産拠点における再生可能エネルギー発電設備導入の拡大と、再生可能エネルギー電力の購入を推進します。
人財では、「従業員ファースト」の考えに基づき、社員の活躍推進や人財育成など「人財への投資」に積極的に取り組みます。
ガバナンスについては、取締役会の実効性向上に取り組むとともに、コンプライアンスの強化、経営リスクの多様化を踏まえたリスク対応力の一層の強化に取り組みます。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「2 事業等のリスク」、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」においても記載しております。

(3)2023年度中期経営計画の経営目標(連結)
当社は、創立100周年となる2023年度を最終年度とした5ヵ年中期経営計画「令和.Prosperity2023」を策定し、「持続的成長企業としての基盤確立」を基本方針に掲げ、「成長戦略の推進」、「収益力の更なる強化」、「経営基盤の継続的な強化」の重要課題に取り組んでいます。
本中期経営計画の経営目標(連結)は、次のとおりです。
2023年度
中期経営計画
売上高10,000億円
営業利益800億円
営業利益率8.0%
親会社株主に帰属する当期純利益550億円

※前提為替レート:1US$=105円、1EURO=123円、1人民元=16円
(注)上記のうち、将来の経営目標等に関する記載は、本有価証券報告書の当連結会計年度末現在において当社が合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は、実際の結果とは実質的に異なる可能性があり、当社はこれらの記載のうち、いかなる内容についても、確実性を保証するものではありません。