有価証券報告書-第145期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 14:31
【資料】
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【項目】
146項目

対処すべき課題

(1)経営方針
[経営理念]
富士電機は、地球社会の良き企業市民として、地域、顧客、パートナーとの信頼関係を深め、誠実にその使命を果たします。
●豊かさへの貢献
●創造への挑戦
●自然との調和
[経営方針]
1.エネルギー・環境技術の革新により、安全・安心で持続可能な社会の実現に貢献します。
2.グローバルで事業を拡大し、成長する企業を目指します。
3.多様な人材の意欲を尊重し、チームで総合力を発揮します。
(注)本有価証券報告書における「富士電機」の表現は、当社並びに子会社及び関連会社から成る企業集団を指します。
(2)経営環境及び優先的に対処すべき課題
当社は、2023年度を最終年度とする5か年の中期経営計画「令和.Prosperity2023」を推進しています。売上高1兆円、営業利益率8%以上を経営目標とし、パワエレシステム事業、パワー半導体事業の拡大を中核とする「成長戦略の推進」、グローバルでのものつくり力強化による「収益力の更なる強化」、および、環境、社会、ガバナンス(ESG)を中心とした「経営基盤の継続的な強化」を推し進めています。
経営を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響の地域的な跛行性、長期化リスクの懸念があるものの、世界経済は徐々に回復が期待され、さらに、グリーン化、デジタル化の動きが加速しています。当社は、引き続き2023年度経営目標の達成に向け、パワエレシステム事業とパワー半導体事業の拡大に注力するとともに、市場環境変化に対応した事業展開、ならびにリスク対応力の強化に取り組みます。
1.成長戦略の推進
[パワー半導体の売上拡大]
パワー半導体においては、自動車分野、産業分野および再生可能エネルギー分野向けに売上拡大を図ります。とりわけ、世界的な電動車需要の急速な拡大に対応するため、生産設備の能力増強に向け積極投資を行います。
[パワエレシステム事業の拡大]
強いコンポーネントにエンジニアリング・サービス、最適制御技術、AI/IoTを組み合わせ、エネルギーの安定供給、省エネ、自動化に貢献するシステム事業の強化に取り組んでいます。
企業が気候変動対策を強化するなかで、発電プラント部門と連携した再生可能エネルギー向け電力安定化・蓄電制御システム、ならびに、工場・施設のエネルギーの最適制御と省エネを実現するエネルギーマネジメントシステムなどの受注拡大に注力します。
海外事業拡大に向けては、アジアでは、富士電機マニュファクチャリング(タイランド)社を中核として、現地生産の拡大、エンジニアリング体制の強化により、電力会社、データセンター、素材プラントをターゲットにシステム事業の拡大を図ります。インドにおいては、現地子会社2社を統合し、製造・販売・サービス拠点の再編・拡充、現地設計開発体制の強化により、成長が見込まれるデータセンター、再生可能エネルギー分野向けをターゲットに事業拡大を図ります。
2.収益力の更なる強化
革新的な生産性向上に向けてIoTを活用したものつくりのデジタル改革を推進します。また、設計、製造、試験まであらゆる工程の改善と品質の徹底強化に取り組みます。
海外事業の拡大を図るため、事業継続性とリスク分散も踏まえた地産地消をさらに徹底するとともに、海外生産拠点の自律化に向け、現地リーダー層の育成に継続的に取り組み、グローバルでものつくり力の更なる強化を図ります。
3.ESGを中核とした経営基盤の継続的な強化
持続的成長に向け、ガバナンスの実効性向上に取り組むとともに、2020年に発足した全社委員会「SDGs推進委員会」を核にして、「環境」「人財」に係る重要課題に取り組みます。
●環境ビジョン2050の推進
2019年に制定した「環境ビジョン2050」をもとに、エネルギー・環境事業を通じた社会のCO2排出量削減、生産活動における温室効果ガス排出量削減に取り組みます。なお、脱炭素化に向けた世界的な動きを踏まえ、2050年および2030年度目標を見直します。
●人財活躍推進と働き方改革
シニア層の処遇制度の改善や最長75歳まで働ける仕組みを構築しており、制度活用を進めていきます。また、女性の採用強化と女性役職者の計画的育成に継続的に取り組み、多様な人財の活躍を推進します。
業務品質・業務効率向上を目指す全社活動「Pro-7」により、業務のデジタル化や勤務体制の柔軟化を中心とした働き方改革を推進します。同時に、社員意識調査を毎年実施し、働きやすい職場環境作りに取り組みます。
また、事業で培った人財や技術を活用し、社会課題の解決や地域の発展、活性化に貢献します。
●ガバナンスの実効性向上
経営リスクの多様化を踏まえ、事業継続性を踏まえたサプライチェーンマネジメントや情報セキュリティなどリスク対応力の一層の強化に取り組みます。
取締役会の実効性向上に向け、第三者の関与する評価を継続的に実施するとともに、資質、専門性、経験等のバランスと多様性を重視した取締役会において長期的な企業価値向上に向けた議論をさらに活性化させます。
また、政策保有株式については、2020年度においても複数銘柄の保有上場株式の売却を実行し縮減に取り組んできましたが、2021年度以降、政策保有株式の一層の縮減を図ります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「2 事業等のリスク」、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」においても記載しております。
(3)2023年度中期経営計画の経営目標(連結)
当社は、創立100周年となる2023年度を最終年度とした5ヵ年中期経営計画「令和.Prosperity2023」を策定し、「持続的成長企業としての基盤確立」を基本方針に掲げ、「成長戦略の推進」、「収益力の更なる強化」、「経営基盤の継続的な強化」の重要課題に取り組んでいます。
本中期経営計画の経営目標(連結)は、次のとおりです。
2018年度
実績
2023年度
中期経営計画
増減
売上高9,149億円10,000億円+851億円
営業利益600億円800億円+200億円
営業利益率6.6%8.0%+1.4pt
親会社株主に
帰属する当期純利益
403億円550億円+147億円

※前提為替レート:1US$=105円、1EURO=123円、1人民元=16円
(注)上記のうち、将来の経営目標等に関する記載は、本有価証券報告書の当連結会計年度末現在において当社が合理的と判断した一定の前提に基づいたものであります。これらの記載は、実際の結果とは実質的に異なる可能性があり、当社はこれらの記載のうち、いかなる内容についても、確実性を保証するものではありません。