有価証券報告書-第90期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 15:03
【資料】
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【項目】
117項目

研究開発活動

当社グループの研究開発活動は、主として当社が基盤技術、要素技術の研究をはじめとして各分野にわたる新製品の開発及び現有商品の改良を行っております。
当年度は、新中期経営計画「BRIDGE 100」のビジョンである“Motion & Energy Control技術でグローバルに成長”のもと、既存のモータ、モータドライブ及びシステム制御のコア技術に関する研究開発に加え、計測・制御技術との融合による新技術の開発に努めてまいりました。
その一例として、太陽光パネル清掃ロボットを開発いたしました。2012年からの「再生可能エネルギー固定価格買取制度」の開始により、1メガワットを超える太陽光発電施設(メガソーラー)の設置が増え続けておりますが、太陽光パネルは埃や汚れの付着により発電効率が低下することにより、今後パネルの汚れを清掃する装置需要が見込まれると予測しております。
今後、新たな成長領域として、医療・福祉や農水分野での研究開発に努めてまいります。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、19億2百万円であります。
当連結会計年度の主な開発成果は、下記のとおりであります。
(1) モーション機器事業としては、航空分野では航空機の電動化及び小型軽量化に向けたモータ、コントローラ及び電源システムの効率化、大容量化の試作開発を行っております。
モーションコントロール分野では、小型EV用駆動の高効率インホイールモータ及びインバータの試作開発をしております。今後、東南アジア諸国で普及すると期待されており、EVパワートレインへの進出の足掛かりとして更なる研究開発を進めてまいります。
また、中国での高層建築需要により急増するエレベータ用途に向けたブレーキを開発しております。本製品をグローバル展開の旗艦機種として更なるコスト低減を進めてまいります。
大型搬送システム分野では、空港において航空機にコンテナを積み下ろしする支援機材であるコンテナパレットローダの電動化開発をしております。
航空機業界ではエコ・エアポート構想による排ガス低減や免税軽油制度廃止の動きにより、空港用地上支援車両においても低公害対応のニーズが高まっていることから、今後の需要に期待しております。
プリンタ分野では、アミューズメント向けのカードゲーム用プリンタを開発しております。カードの質感を高めるため、業界初のカット紙タイプを採用し、写真用途で培った技術により高い質感を実現いたしました。カードゲームに必要なレアカードにも対応できるため、ゲーム業界の市場のニーズにお応えできると考えております。
モーション機器事業の研究開発費の金額は、9億7百万円であります。
(2) パワーエレクトロニクス機器事業としては、インフラシステム分野では近年南海トラフ地震の発生による甚大な被害が予想されるなか、災害発生時に、操作員の安全を確保しつつ、迅速に水門・陸閘を遠隔操作することを目的とした監視制御システムを開発いたしました。全国瞬時警報システム(J-ALERT)からの情報取得により、災害データの検知と警報の発報が可能なことから、今後の普及を期待しております。
自動車試験装置分野では、動力の計測・制御システムを開発しております。自動車業界での開発期間短縮の要求にお応えするために様々な研究開発を行っておりますが、当社のコア技術である高速ダイナモのシリーズ化と合わせることにより、幅広いニーズにお応えできるものと考えております。
振動機分野では、高速画像処理機能付精密パーツフィーダを開発いたしました。携帯電話などに使用される電子部品は、小型化へと、より複雑な形へと進化しております。パーツフィーダには高い排出能力と異方向での排出ゼロが求められており、微小で複雑な外観を有する部品の方向判別には画像処理を使用する必要があります。高速画像処理機能の開発により、当社事業競争力の向上に寄与すると期待しております。
クリーン搬送機器分野では、450mmウエーハ用EFEM(Equipment Front End Module)を開発いたしました。半導体デバイスの材料となるシリコンウエーハのサイズが現在の300mmから450mmになるとともに半導体製造工場では設備投資が増加するとされており、業界トップクラスのコンパクトボディとウエーハ搬送速度を実現した新しいEFEMにより、お客様の生産性向上のお役に立てるものと期待しております。
コントローラ事業分野では、国内植物工場にマッチした各種機器を統合的に管理・制御する複合環境制御装置を開発しております。国内の植物工場では日本に適した制御装置がないことから、機能面で不足しているにもかかわらず高価な欧州製品を導入せざるを得ない状況でした。今後も国内での植物工場の建設に加え、海外へのプラント輸出が増えてくると予想されており、需要は高まるものと期待しております。
パワーエレクトロニクス機器事業の研究開発費の金額は、9億38百万円であります。
(3)サポート&エンジニアリング事業としては、バス業界向け券売機として需要が多い乗車券の両面に印刷が可能な、発行ユニットの試作をおこない量産に向けてスタートしました。
この発行ユニットは両面印刷のほか、回数券用にミシン目カッターを付加しており各種の回数券が発行できます。また、この券売機は約300種類の乗車券を発売しており、タッチパネルでの分かり易い操作機能も付加いたしました。これらの機能がある券売機は競合他社では少なく、差別化ができるため今後受注が期待できます。
サポート&エンジニアリング事業の研究開発費の金額は、57百万円であります。