有価証券報告書-第118期(2024/04/01-2025/03/31)

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2025/06/20 11:31
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②人的資本に関する取り組み
当社グループの創業者 松下幸之助は、「物をつくる前に人をつくる」という考えのもと、人を育て、人を活かすことに重きを置いた経営を進めてきました。私たちはそのDNAを受け継ぎ、経営基本方針という揺るぎない経営の軸の下で、社会からお預かりした大切な資本である人が活きる人的資本経営を実践しています。
(ⅰ)経営基本方針の実践
当社グループにおいて経営は経営者だけのものではありません。一人ひとりが自らを仕事の責任者・経営者と自覚して仕事に取り組む「社員稼業」の実践とともに、全員の知恵を結集し多様な個性や能力を経営に活かす「衆知経営」を大切にしています。経営基本方針は、この「社員稼業」と「衆知経営」の両輪によって、「自主責任経営」を実現していくことを定めています。
また、多様な価値観や視点を尊重することが、より良い意思決定と成長につながると考え、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)の取り組みを Panasonic Group DEI Policyにもとづき推進しています。
2023年4月には経営基本方針の実践を目指すための行動指針として、「Panasonic Leadership Principles(PLP)」を策定しました。この指針のもと、チームを持つマネージャーであるかどうかにかかわらず、一人ひとりがより高いレベルのリーダーシップを発揮することを目指しています。
(ⅱ)現状の課題
当社グループでは、毎年グローバル約15万人の社員を対象に従業員意識調査を実施しています。これまで特に重視してきたのは、「社員エンゲージメント」(自発的な貢献意欲)と「社員を活かす環境」(適材適所、働きやすい環境)に関する設問群です。肯定回答率は継続的に上昇傾向にありますが、計9つの設問のうち「会社や上司からの動機づけによる意欲向上」と「挑戦への阻害要因がない」という項目については低迷が続いています。これは、社員一人ひとりがポテンシャルを発揮し、挑戦しやすい環境づくりの実現に向けた大きな伸びしろがあることを示しています。
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さらに、特に日本地域では女性、若手人材、キャリア入社者について取り組むべき課題があります。例えば従業員意識調査における「当社グループにおけるキャリア目標の達成」の設問では女性は男性に比べてキャリア目標を達成できると答えた人が比較的少ない状況です。経営や組織の意思決定層への女性の配置をさらに進めることで女性のキャリアの幅を広げ、多様なリーダーによる質の高い意思決定の実現につなげていく必要があると考えています。また若手人材やキャリア入社者においても、入社時点の高いエンゲージメントを維持しながら活躍の機会を提供し、早期に意思決定層に配置していくことが必要です。
一方で、そうした質の高い意思決定や施策の実行にあたっては高い生産性をともなうことが不可欠です。人的資本経営とは社会からお預かりしている人がその力を余すことなく存分に発揮することと考え、生産性の高い業務プロセスを構築し、固定費構造の抜本的な見直しを図ることで「世界一の生産性を追求」(前述したPLPの一つ)することも必要です。
(ⅲ)目指す姿
グループの変革と成長をさらに加速させるためには、先に述べた課題に正面から向き合い、社員一人ひとりが意欲的に挑戦し、人と組織がともに成長できる環境を整えていくことが必要です。
そこで私たちは改めて、「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現に向け、社員一人ひとりが自らのポテンシャルをUNLOCK(アンロック)、つまり周囲の期待を超えて積極果敢に挑戦し、持てる力(能力・スキル)を最大限に発揮できる会社を目指すことを決意しました。
かつて創業者 松下幸之助は、「仕事に夢中になる。働きがいを感じ、働くことが楽しくてたまらない」環境、つまり挑戦と能力の発揮レベルがともに高いフローな状態を提供することが社員への最上の贈り物であると語りました。UNLOCKは、この松下幸之助の考えが源流にあります。
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(ⅳ)重要指標
そこで当社グループでは人的資本に関わるマテリアリティに関して前述の、2.サステナビリティに関する考え方及び取組、(4)戦略、指標及び目標、<マテリアリティ一覧>のとおり指標化の上、モニタリングしていきます。
なお、指標を設定した背景は次のとおりです。
組織カルチャー変革・社員が積極果敢に挑戦し、持てる力を最大限発揮している状態を実現するために、前述したとおり従業員意識調査からフォーカスした2つの課題をもとにUNLOCK指標を重要指標として設定(2024年度:グローバル43%)
未来を創る多様な変革型リーダーの開発・登用・経営における質の高い意思決定を実現していくために、各社の経営チームにおける多様性(女性・日本以外の国籍・キャリア入社者)比率を重要指標と設定(2025年4月:54%)
・性別による能力の差はないにもかかわらず、日本地域では当社グループの管理職に占める女性の割合が低い現状がある。これについて違いを強みとして活かし新たな価値を生み出していくDEI推進の課題の代表事例と位置付け、日本地域における女性管理職比率も重要指標として設定(2025年4月:7.9%)
安全・安心・健康な職場づくり・事業活動の大前提としての安全・安心・健康な環境の実現のために、「重篤災害・重大災害」の発生件数を重要指標として設定(2024年度:重篤災害7件、重大災害0件)

なお上記に加え、付加価値労働生産性を高め世界一の生産性を追求していくために、「EBITDA(注)1÷人件費」についてグループ内でモニタリングを実施します。
(ⅴ)目指す姿の実現に向けた取り組み
(a)組織カルチャー変革
組織カルチャーは、事業の成果を最大化するために意図的にデザインすることが重要です。どれほど優れた戦略があっても、実行するのは人です。その戦略実行の成果は、一人ひとりの行動や組織のあり方によって大きく左右されます。社員が自身のポテンシャルを「UNLOCK」できなければ、挑戦や成長にはつながりませんし、行動変容を促すカルチャーが戦略と噛み合わなければ、組織全体の力を十分に発揮することはできません。そこで、私たちはOrganization Performance Model(OPM)というフレームワークを活用してグループとしての「組織デザイン:6つの原則」を作成し、組織カルチャーのありたい姿を明確化しました。
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「組織デザイン:6つの原則」は、それぞれが互いに連動し、整合してこそ機能し、組織全体の成長を支えます。例えば、成果に対しては、「評価・報酬」の原則に基づき、メリハリをつけて適切に報いることが必要です。「情報共有・学びのプロセス」では内向き志向から脱却し、好奇心に火をつけていきます。「採用・トレーニング・リーダーの選抜」においては、多様な変革型リーダーを育成し、大胆に登用することを重視します。そのリーダーはメンバーの挑戦を支援し、熱狂的にフローで働ける環境を提供できるよう、「仕事デザイン」を行います。このようにそれぞれの要素が結びつくことで、人と組織がともに成長し、事業の成果にもつながる姿を目指しています。
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<グループ経営改革の一環としての人員の適正化>「組織デザイン6つの原則」の「組織構造・配置」においては、常に顧客視点でシンプル&フラットな組織体制を構築すること、また「評価・報酬」においては、一人ひとりの成果と行動に必ず報いることを原則の一つと掲げています。これは前述のとおり、社会からお預かりしている社員一人ひとりがその力を余すことなく存分に発揮することにつながります。そのために生成AIなどの最新のデータ・テクノロジーも駆使しながら、生産性の高い業務プロセスを構築することが不可欠と考え、2025年度にグループ経営改革の一環としてグローバル各地域における人員の適正化を行います。さらに継続的な人員数の厳格管理を実施しながら、グループの持続的な成長を可能とするリーンで環境変化に強い会社の構造を作りあげていきます。
(b)未来を創る多様な変革型リーダーの開発・登用
持続的な事業成長を通じて「物と心が共に豊かな理想の社会」を実現するには、質の高い意思決定が欠かせません。そのためには多様な変革型リーダーの育成と登用が不可欠です。当社グループは、経営ポストの後継者育成において、「Panasonic Leadership Principles」のリーダーシップ行動に加え、経験(事業経営、日本以外の拠点の経営、ビジネス創出など)や知見とスキル(意思決定・判断力、戦略立案・実行力など)を重視しています。
そして、こうしたリーダーを継続的に育成するため、「グループの全重要ポストの人材要件とサクセッションプランの策定」、「中長期かつ意図的な後継者の見出し・育成・モニタリング」を推進します。具体的には次世代リーダーの計画的な育成と配置するための仕組みとして「タレントマネジメントコミッティ」を設置の上、運営しています。
なお、当社グループにおける経営ポストは2体系があり、これらに対して後継者育成のプラットフォームを整備し取り組みを進めています。
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上記のうち、トップ経営層の後継者育成については、候補者を「即時任命可能な人材」「5年以内に任命可能な人材」「10年以内に任命可能な人材」として可視化し、合計23の重要ポストに対する育成計画を策定しています。また、各地域と連携したグローバル幹部開発研修や、若年層の早期見出しを目的とした選抜研修など、包括的な後継者育成プログラムを展開し、次世代リーダーの育成を加速させています。
さらに、日本地域においては「女性リーダーの獲得及び計画的育成」にも注力しています。当社グループでは、報酬体系上、性別等の属性による格差はありませんが、経営チームや管理職への女性登用は男性に比較して遅れているのが実態です。未来に向かって、より多様なメンバーの知恵を引き出し、イノベーティブな商品・サービスを生み出すために、採用の強化、働き方の選択肢の拡大やキャリア開発の支援などを通じて、女性リーダーの獲得と計画的な育成に取り組んでいます。当社グループのDEIの取り組みについては当社ウェブサイトに掲載していますのでご参照ください。
https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/diversity-equity-inclusion.html
<経営者の育成状況のモニタリング>当社グループでは、現任の事業会社社長、当社や一部の事業会社の役員等を対象に「Panasonic Leadership Principles(PLP)アセスメント)を実施しています。これは経営基本方針の実践につながるリーダーシップ行動の発揮状況を上位者/同等者/下位者がアセスメントするものです。日常の行動を周囲からどう捉えられているかを認識することで、自らの行動を振り返り、自らが変えていくべき行動を考える機会を提供します。さらに、次世代のトップ経営層の育成を目的として、「即時任命可能な人材」「5年以内に任命可能な人材」「10年以内に任命可能な人材」は本アセスメントの対象となっています。
なお、2024年度のPLPアセスメントの結果から、「誠意をもって行動する」「自主責任感を持つ」は強みである一方で「世界一の生産性を追求する」「違いを強みとして活かす」は今後の伸びしろであり、経営者育成プロセスにおいて強化していきます。
(c)HRモダナイゼーション
HRモダナイゼーションは、最先端のデータ・テクノロジーを活用し、社員の働き方や人材マネジメントのあり方を進化させる取り組みです。人事データや生成AIを駆使して、パナソニックグループで働くすべての社員の体験価値を向上させるとともに、経営者及び組織責任者の組織・人材マネジメントの高度化・効率化を図ります。
さらに、人事業務の標準化・効率化を推進することで、人事機能が事業戦略を支えるプロフェッショナル集団へと進化させていきます。一人ひとりがより創造的な仕事に集中できる環境を整え、ポテンシャルを最大限に引き出しながら、グループ全体で成果を共有し、社員の成長と組織の競争力強化につなげていきます。
このように人事機能の貢献領域においてデータ・テクノロジーの活用を進めることで、人事社員1FTE(注)2の社員数や、人事社員が「人事戦略や組織・人材開発の領域」を担当する割合をグローバル先進企業の水準に引き上げていきます。
<生成AIを活用した社員7万人対象の「ワンストップ人事サービス」>ポータルサイト「ワンストップ人事サービス」を導入し、分散していた人事情報や問い合わせ窓口を一本化しました。お知らせやTo Doをパーソナライズ表示できる「マイページ」、AIチャットボットによる自動回答・自動申請が可能な「バーチャルエージェント」、Face to Face対応の安心感を新たな形で実現する「メタバース」など、複数のサポート手段を提供することで、セルフサービスの利便性と有人対応の安心感を両立しています。
(d)安全・安心・健康な職場づくり
安全・コンプライアンスは事業運営の大前提です。労働安全衛生については、モノづくり現場重篤・重大災害の撲滅に向けて、設備安全基準に基づく設備安全対策を推進するとともに、過去の重篤災害事例の分析結果を踏まえた災害の未然防止活動を展開し、安全確保の徹底を図っています。また、衛生管理については今般の設法令改正により事業者に化学物質の自律的管理が求められていることを踏まえ、リスクアセスメント結果に基づくばく露低減対策の推進強化に取り組んでいます。
健康については、一人ひとりが心身ともに健康で、安全に安心して働くことができる職場環境の実現に向け、グループ全体に健康投資を強化する方針を発信しています。日本地域においては会社、労働組合、健康保険組合が一体となった「健康パナソニック活動」に加え、各事業会社独自の取り組みも積極的に進めています。経済産業省が推進する「健康経営優良法人」制度において、2025年3月時点ですべての事業会社が健康経営優良法人として認定されました。さらに、パナソニック コネクト㈱は三年連続、パナソニック㈱は二年連続でホワイト500(注)3に認定されています。
さらに、コンプライアンス遵守においては、あらためて社員自らの関わる事業・地域に関する法規制についての教育を実施しています。加えて、グローバルホットライン「EARS」等を活用し、問題の早期発見・未然防止について周知徹底を図ると同時に、あらゆるハラスメントの根絶に向けた啓発活動の強化に取り組んでいます。
(注)1 EBITDA:営業利益と減価償却費(有形/使用権資産)、償却費(無形)の合計
2 FTE:組織の人員をフルタイムで勤務する社員に換算して表す単位
3 ホワイト500:大規模法人部門における健康経営優良法人の中で特に取り組みが優良とされる上位法人500社

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