有価証券報告書-第107期(2023/04/01-2024/03/31)

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2024/06/25 15:36
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150項目
(3)人的資本に関する戦略ならびに指標及び目標
<人事戦略 –「ダイバーシティ」と「個を求む」・「個を伸ばす」・「個を活かす」–>ソニーは、1946年にエレクトロニクス事業を起源として設立され、日本初のトランジスタ開発から半導体事業を開始しました。その後、外国企業との合弁による音楽事業と金融事業、外国企業の買収による映画事業、グループ内の共同出資によるゲーム事業など、様々な方法で新しい事業への参入を行いながら、複数の事業体から構成される企業として進化を続けてきました。現在、主要6事業のうち半数が本社を米国に置き、事業運営に最適な組織体制をグローバルに編成しつつビジネスを展開しています。
これまでの事業の発展や成長は、創業来受け継がれてきた新しいことへの飽くなき挑戦心と多様性を重んじる価値観が、その基盤となっています。異なるバックグラウンドをもつ社員の交錯によって新しい事業が生まれ、事業が多様化することで人材の活躍の場が一層広がり、社員も会社もともに成長してきました。現在ソニーでは、事業と人の「ダイバーシティ(多様性)」を、「クリエイティビティ」「テクノロジー」と並ぶ「価値創造のドライバー」と位置づけ、全世界で活躍する約11.3万人の社員は、国籍や人種の多様性はもとより、事業の広がりによって職種も極めて多岐にわたり、各事業の成長の原動力となっています。これら多様な人材が、Purpose(存在意義)のもと、事業や地域を超えてつながり、交錯し、テクノロジーやクリエイティビティを融合することで、新たな価値創造につなげています。
人材理念である“Special You, Diverse Sony”には、ソニーの人材に対する考え方が表現されており、異なる個性を持つ一人ひとりと、多様な個を受け入れる場であるソニーとがPurposeを中心にともに成長し続けていく、というメッセージが込められています。そして、この人材理念の下、グループ共通の人事戦略を「個を求む」・「個を伸ばす」・「個を活かす」と定義し、社員の働きがいの希求に応え、一人ひとりの力を最大限引き出す施策や活躍の場の提供に注力することで、グループ全体としての成長をめざします。具体的な取り組みについては、権限を委譲された各事業の人事責任者が、それぞれの事業や地域の特性に応じて最適な人事施策の策定・実行にあたっています。
① 個を求む
Purposeへの共感を喚起し、高いスキルや専門性を持ち、挑戦心と成長意欲に満ちた多様な人材を獲得することが重要だと考えています。採用活動では、世界トップレベルの人材を惹きつけるべく、世界各地のグループ会社と協力して戦略的に取り組んでおり、中長期視点での施策として産学連携による多様な人材の育成にも注力しています。そして、事業や地域、社会環境に応じて、様々なバックグラウンドを持つ人材の活躍につながる機会をグローバルで提供しています。例えば米国では、十分に教育の機会が得られていない人々に対してメンタリングやインターンシップといった早期育成や教育支援を行っており、そうした取り組みが多様な人材の採用につながっています。また、入社後においては、社員が能力や自主性を最大限発揮できる職務へチャレンジする機会を提供する仕組みとして、多様な社内募集制度(社内募集制度、社内FA制度、キャリアプラス制度等)により、事業の枠を超えた社員のキャリア構築をサポートしています。さらに、2024年からは、国内で企業間の相互副業を試験的に開始し、他企業への越境により経験の幅を広げる機会も提供しています。
② 個を伸ばす
社員の成長には、自主性溢れる人材の挑戦を通した成長への高い意識と、それを最大限に発揮できる職務へのアサインメントが最も効果的であると考えています。そのため、役割に応じて求められる能力を体系化し、グループ全体でそれぞれの能力の強化を図っています。特に、ソニーグループの成長及び社員の成長には管理職の役割が大きいという考えのもと、ソニーのマネジメント及び人事部署が管理職の中期的な育成の方向性を議論し、その視野や経験領域の拡大のために、リーダーシップ開発やコーチング等の様々な施策を行っています。また、各事業・機能において中核的役割を担う経営人材の育成を目的とした次世代リーダー育成プログラム「ソニーユニバーシティ」や、異なる事業の経営層と次期経営人材との戦略的つながりを創出することでマネジメントの豊富な経験値を継承し、人材育成や新たなグループシナジーにつなげることを目的とした「ソニークロスメンタリングプログラム」、最先端の技術情報を共有し技術力を高めあう「技術戦略コミッティ」など、事業の垣根を越えて社員が交流するプログラムを実施しています。
③ 個を活かす
多様な個を活かすため、異なる個性やライフスタイル・ワークスタイルを持つ社員が成長を求めて挑戦できる、インクルーシブな職場環境の醸成や施策の整備が重要だと考えています。各国・地域の慣習や法律を踏まえ、「ワーク・ライフ・バランス」の実現に向け、柔軟な勤務制度・環境を整備しています。また、魅力的なワークプレイスの創造に取り組むことで社員のエンゲージメント向上につなげていきます。グループ全社員を対象とした学びと交錯の場、「PORT」では、各種研修に加え、社員が自発的に開催するコミュニティ活動も行われています。
そして、多様な社員が個性を最大限発揮できているかどうかは、Purposeへの共感度と社員エンゲージメントに集約されると考え、定期的にそれらを確認する社員意識調査を実施しています。特に社員エンゲージメントは重要な指標ととらえ、当社上級役員の業績連動報酬の評価指標の一部に組み入れています。今後も社員のPurposeへの共感と社員エンゲージメント向上につながる取り組みを推進し、ソニーの持続的成長の実現をめざします。
<人材の多様性の確保とインクルーシブな組織の構築に関する方針>ソニーでは、強い石垣は異なる形の石をうまく組み合わせて構築されることになぞらえ、企業においても同様に、多様な個性や意見、見解、価値観が共存する組織の実現をめざしています。そして、人材の多様性には、国籍や人種、性別などいわゆる「属性の多様性」と、一人ひとりがキャリアにおいて培ってきた「経験の多様性」とがあり、その双方を確保し推進していくことが組織の成長を加速させると考えています。
ソニーのマネジメントは多様な属性・経験や専門性を有するメンバーで構成されていますが、さらなる多様性の進化へのコミットメントとして、新たに数値目標を掲げ、当社の役員*6に占める女性比率及び外国籍比率を2030年までにそれぞれ30%以上にすることをめざします。
*6 取締役、執行役を含む上級役員及びその他の役員。
また、2023年度において、2013年に制定したソニーの多様性への姿勢を示す「ダイバーシティステートメント」を見直し、新たに「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)ステートメント」として改訂しました。かかる改訂は、多様な人材の交錯がイノベーションの創出につながるという創業者の価値観を継承し、公平かつインクルーシブな職場環境づくりをめざすという意思はそのままに、社会の課題解決に向けても取り組みを広げていることを示しています。
ソニーのグローバルでのDE&I推進の取り組みとしては、米国では、SMEにおける産業の発展にも寄与する多様性、公平性、インクルージョンの醸成を推進するフレームワーク“MILES”や、SPEにおける人材、コンテンツ、パートナー、コミュニティの四つの柱を軸に据えて社会的に機会に恵まれない人々を対象に支援を行う“Sony Pictures Action”等、社内外で広く機会を創出しています。また、国内も含め、2015年からは毎年“Diversity Week”を開催しており、世界中のソニーグループ各社で性別、人種、国籍、性的指向、性自認や障がいといった様々な多様性について理解を深めるイベントを実施しています。
① 属性の多様性
・国籍の多様性
ソニーの主要事業の中には、映画事業や音楽出版事業等、日本以外の国籍の社員がその運営において主要な役割を担っている事業があります。そして、ソニーグループ全社員のうち約半数が日本国外での事業活動に従事しており、そのうちの9割以上が現地採用社員です。グローバルに展開するR&Dや㈱ソニーリサーチ(旧㈱ソニーAI)でのAI等の先端技術開発を推進できる人材についても、国籍を問わず採用する活動を強化しており、世界中から優秀な学生や経験者を採用する取り組みを積極的に続けています。
・性別の多様性
多様な人材が活躍する職場環境の推進の一環として女性の活躍推進の実現に向けた取り組みをグローバルで進めており、2023年度末時点のソニーグループ全社員のうちの女性社員比率は34.0%、管理職に占める女性労働者の割合(以下「女性管理職比率」)は30.7%です。一方で、日本国内企業の女性管理職比率は海外企業と比べて低いことから、国内主要会社各社で数値目標を定めて比率の向上に取り組んでいます。次世代に目を向けると、教育課程において理工系分野を専攻する女性の数が限定的であり、グループとして注力すべき領域と捉えています。新たに立ち上げた「SONY STEAM GIRLS EXPERIENCE」では、理工学を学ぶ日本国内の女子学生を対象とした奨学金プログラムと、女子中高生に向けて理工系分野の面白さを伝える「STEAM GIRLS バトンプログラム」を実施することで、意欲的な学びを支え、次世代の女性エンジニアの育成を支援しています。
女性社員の継続的育成の観点では、女性リーダーの育成やキャリアアップを後押しする研修や、女性社員を対象とした座談会や交流会等を開催しています。また、当社及び国内主要子会社において、女性管理職比率及び男性労働者の育児休業取得率(以下「男性育休取得率」)を向上させるため、二つの目標を以下のとおり設定しています。
提出会社及び国内の主要な連結子会社における女性管理職比率に係る目標及び実績
会社名2025年度末目標 *12024年3月末実績
ソニーグループ㈱20.0%18.4%
ソニー㈱10.0%8.4%
ソニーセミコンダクタ
ソリューションズ㈱
4.4% *24.3%
㈱ソニー・インタラクティブ
エンタテインメント
15.0%14.2%
㈱ソニー・ミュージック
エンタテインメント
28.0%25.9%
ソニーフィナンシャルグループ *318.0%15.9%

(注)*1「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画等に関する省令」(平成27年厚生労働省令第162号)の規定にもとづく「管理職に占める女性労働者の割合」の2025年度末時点の目標について記載しています。
*2 女性活躍推進法にもとづく行動計画において定めた2025年度末時点での女性管理職目標人数が2024年3月末時点管理職総数に占める割合です。
*3 ソニーフィナンシャルグループ傘下の対象各社(SFGI、ソニー生命(同社本社の内勤社員のみ)、ソニー損保、ソニー銀行、ソニー・ライフケア㈱、ライフケアデザイン㈱及びプラウドライフ㈱を指す。下表の注においても同じ。)の2025年度末時点の女性管理職の目標人数及び2024年3月末時点の人数実績をそれぞれ合算し、それぞれの合計の数値を、目標については2025年度末時点の想定社員数の合計で、実績については2024年3月末時点の社員数の合計で、それぞれ除した数値を記載しています。
提出会社及び国内の主要な連結子会社における男性育休取得率に係る目標及び実績
会社名2025年度目標 *12023年度実績*1
ソニーグループ㈱100%76%
ソニー㈱100%86%
ソニーセミコンダクタ
ソリューションズ㈱
100%96%
㈱ソニー・インタラクティブ
エンタテインメント
100%81%
㈱ソニー・ミュージック
エンタテインメント
100%40%
ソニーフィナンシャルグループ100%86%*2

(注)*1 育児・介護休業法の規定にもとづき、2025年度目標については、2026年3月末時点で在籍しており2025年度に配偶者が出産する男性社員(出向受入社員を除く)のうち、同年度中に育児・介護休業法施行規則第71条の4第2号が定める育児休業等をするものの数及び育児を目的とした休暇制度を利用するものの数の合計数の割合についての目標を、2023年度実績については、2024年3月末時点で在籍しており2023年度に配偶者が出産した男性社員(出向受入社員を除く)のうち、同年度中に育児休業等をしたものの数及び育児を目的とした休暇制度を利用したもの(以下まとめて「男性育休取得者」)の数の合計数の割合(小数第1位以下を切り捨て)を、それぞれ記載しています。
*2 ソニーフィナンシャルグループ傘下の対象各社の2024年3月末時点で在籍している2023年度の男性育休取得者の人数の合計数を、2024年3月末時点で在籍しており2023年度に配偶者が出産した男性社員(出向受入社員除く)数の合計値で除した数値を記載しています。
・LGBTQ+の社員の活躍推進
LGBTQ+の社員が、自分らしく、安心して働くことができる職場環境づくりを国・地域の実情に合わせて推進し、多様な社員を包摂するインフラの整備を行っています。
2022年度には、レインボーカラーで表示したソニーロゴタイプの「Prideロゴ」を導入しました。これは、グループ共通の取り組みとして、ソニーがLGBTQ+の社員及びコミュニティを尊重し支援する姿勢を社内外に視覚的に表明することを目的としています。
また、LGBTQ+の社員への対応だけでなく、全社員を対象としたeラーニングやワークショップの実施、誰もが働きやすい職場環境についての意識啓発イベントやパレード参加等にグローバルで取り組んでいます。SPEでは、社員が主体となって運営するEBRG(Employee Business Resource Group)の活動が活発に行われており、従来参加している米国カリフォルニアに加え、2023年にはロンドンでのPrideパレードにSPEのOUT EMEA @ Sony Picturesが初めて参加しました。日本では、多様な社員を包摂する職場環境を確保すべく、配偶者に適用される人事関連制度の一部を同性パートナーにも適用しており、多目的トイレの設置、採用時における性別欄の任意記入、個室(トイレ・浴室付)社員寮の手配等にも取り組んでいます。
・障がいのある社員の活躍推進
創業者の一人である井深大の「障がい者だからという特権なしの厳しさで、健丈者よりも優れたものを、という信念を持って」活躍してほしいという思いを理念とし、「障がいを感じない、働き甲斐のあるソニーらしい障がい者雇用環境」づくりをめざしています。それぞれの国や地域の法令や規範を遵守し、障がいの有無にかかわらずキャリア構築ができるインクルーシブな職場環境づくりに、グループ一体となって取り組んでいます。
ソニーは、障がいのある人のインクルージョンに焦点を当てた世界経済フォーラムのイニシアティブ「The Valuable 500」に署名しています。ソニーのインクルーシブな職場環境への思いは本イニシアティブの考え方とも共通しており、「The Valuable 500」の署名企業の中から、推進役として国や地域、業界をリードするIconic Partnersの1社に選ばれています。米国では、ビジネスにおける障がい者インクルージョンに注力している社外団体と連携しながら、障がいのある社員への教育機会の提供に加え、国際障がい者デーなどの啓発活動を積極的に行い、様々なグローバルイベントを展開しています。日本では、3つの特例子会社を自立した一つの事業所として運営を行い、異なるバックグラウンドや経験を持つ社員が活躍することで、様々な視点やアイデアが生まれ、個々の業務を通じた対応から得られた障がい者雇用にかかわる合理的配慮やアクセシビリティのノウハウをグループ全体に展開し、井深の考え方を実践したソニーらしい障がい者雇用を推進しています。
② 経験の多様性
他社又は様々な職種での経験を通して培われた新たな知見や視点が加わることで組織の成長につながると考え、長年、他社や他職種の経験者(以下「他社・職種経験者」)の採用を積極的に推進しています。当社及び国内の連結子会社における入社者全体に占める他社・職種経験者の割合は、2022年度52.5%、2023年度50.7%となっており、海外では大半が他社・職種経験者となっています。入社後の人事評価においても、他社・職種経験者と新卒入社者とを区別していません。
そして、ゲームタイトル開発など成長領域におけるM&Aや戦略的提携により、2012年度から2023年度までに6,000人以上が新たにソニーグループに加わっており、社員のバックグラウンドの多様化による事業の成長に寄与しています。
Purposeの下、ソニーの持続的な成長や社会への価値創造をめざし、人材の多様性の確保とインクルーシブな組織の構築に向けた取り組みにより一層注力していきます。

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