有価証券報告書-第97期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
1) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ25億2千万円増加(前期末比2.9%増)し、885億9千3百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金の減少などにより流動資産が11億9千5百万円減少した一方、固定資産が37億1千5百万円増加したことによります。なお、固定資産増加の主な要因は、IFRS適用在外連結子会社においてIFRS第16号「リース」を適用開始したことによるものであり、その影響額は25億7千9百万円であります。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ30億1千1百万円増加し、419億2千9百万円となりました。これは主に、有利子負債が増加したことなどによります。
有利子負債合計(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・短期リース債務・長期借入金及び長期リース債務の合計額)は222億9千9百万円となり、IFRS第16号「リース」適用開始により26億3千3百万円増加し、また、来期以降の車載設備投資などに備えた借入れにより、前期末比で44億1千9百万円増加しました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ4億9千1百万円減少(前期末比1.0%減)し、466億6千4百万円となりました。これは利益剰余金が1億9千7百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金が3億4千6百万円減少、為替換算調整勘定が3億6千4百万円減少したことなどによります。この結果、自己資本比率は52.4%となりました。また、1株当たり純資産額は565.34円(前期末1株当たり純資産額は570.00円)となりました。
(当連結会計年度における自己資本比率及び1株当たり純資産は、純資産より新株予約権・非支配株主持分を控除して計算した比率を用いております。)
2) 経営成績
当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)の世界経済は、米中貿易摩擦問題が長期化の様相を呈し、当社グループに関わるエレクトロニクス業界では、産業機械や自動車関連市場が厳しい状況で推移いたしました。さらに年度終盤において新型コロナウイルスの感染が世界に拡大し、あらゆる分野で経済活動が停滞することとなりました。
このような経営環境のもと、当社グループは創業100周年となる2024年での「ありたい姿」を見据え、国際社会の共通目標であるSDGs達成に向けた取組みを基軸とした中期経営計画「Biltrite Tamura GROWING ANEW」を、2019年4月に新たな経営体制でスタートしました。当社グループはグローバルに拠点を配し、電子部品・電子化学実装・情報機器と多様な製品を扱っておりますが、「Oneタムラ」としてグループ一丸で成長市場に取り組み、グローバルITシステムの活用とともに、生産・販売・開発体制の強化と効率化を推進しております。
しかし、厳しい経営環境を背景に、当社グループの当連結会計年度の状況といたしまして、売上高は796億5千5百万円(前期比8.5%減)、営業利益は22億8千9百万円(同50.2%減)、経常利益は25億1千万円(同48.2%減)と減収減益になりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は10億2千4百万円(同84.0%減)と前期に対して大幅に減少しておりますが、これは前期に損害賠償請求に基づく和解金の特別利益への計上があったことによるものです。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、売上高はセグメント間の内部売上高を含めており、セグメント利益はセグメント間取引消去及び本社部門負担の未来開発研究費用控除前の営業利益と調整を行っております。
(電子部品関連事業)
電子部品関連事業は、産業機械関連顧客向けのトランス・リアクタ・電流センサなどの需要低迷が続き、家電市場ではエアコン用リアクタや電動工具向けのチャージャが弱含みで推移いたしました。また、年度末にまとまった納品を予定していた、通信機能を搭載した自動販売機向けLEDモジュールの導入が一部先送りとなりました。一方、秋口より量産を予定していた宮城県の工場における環境車向け昇圧リアクタは、客先の予定変更により量産本稼働が当第4四半期にずれ込みましたが、その後は当初計画にそって生産をいたしました。なお、新型コロナウイルス問題を背景に、年度末に客先から在庫確保に向けた一時的な受注増加の動きがありましたが、当期の業績への影響は軽微であります。
その結果、売上高は508億7千1百万円(前期比7.2%減)、セグメント利益は2億7千5百万円(同71.4%減)と、減収減益になりました。
(電子化学実装関連事業)
電子化学事業は、自動車の電装化・電動化を背景にこれまで堅調に推移してきた車載用ソルダーペーストが、下期以降は自動車販売の不振や新型コロナウイルス問題などを背景にやや弱含みで推移いたしました。スマートフォンをはじめとする通信端末の5G関連の基板で使用されるフレキシブル基板用ソルダーレジストや、5G基地局で使用されるソルダーペーストは比較的堅調に推移いたしましたが、電子化学材料全体の業績を押し上げるには至りませんでした。実装装置事業は、自動車市場の減速を背景に一部客先で設備投資の先送りが生じておりましたが、新型コロナウイルス問題の拡大により、設備投資の先送りがさらに広がりました。足元では客先訪問による装置の据え付けがままならず、売上確保が難しい状況となっております。
その結果、売上高は254億4千万円(前期比9.7%減)、セグメント利益は25億5千3百万円(同28.5%減)と、減収減益になりました。
(情報機器関連事業)
情報機器関連事業は、国際的なスポーツイベントや放送局の更新需要に向けて、年度末を中心に放送局向けの音声調整卓(ミキサー)やワイヤレスマイクロホンシステムの売上を予想しておりましたが、厳しい市場環境を背景に需要が高まらず、大幅に売上が減少する結果となりました。
その結果、売上高は34億9千9百万円(前期比16.7%減)、セグメント利益は7千6百万円(同84.1%減)と、減収減益になりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、主に営業活動の結果獲得した資金が増加したため、前連結会計年度末に比べ2億7千5百万円増加し、161億1千7百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は54億5千6百万円(前期比16.9%増)となりました。これは主に売上債権・たな卸資産の増減額が増加から減少へ転じたこと、IFRS第16号「リース」適用開始により減価償却費が増加したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は49億7千3百万円(前期比21.4%増)となりました。これは主に前連結会計年度において、台湾子会社の土地売却やサーマル事業の譲渡、投資有価証券の売却など臨時的な資金獲得項目が発生したことによります。当連結会計年度の有形固定資産の取得による支出は、当社坂戸事業所の建て替え及び国内外子会社工場の建設などが発生した前連結会計年度に比べて、18億6千3百万円減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1億4千1百万円(前期は10億9千6百万円の獲得)となりました。これは主に工場建設資金の追加発生に伴うつなぎ資金借り入れが発生した前連結会計年度に対し、当連結会計年度はその借入金を返済したため短期借入金の純増減額が増加から減少へ転じたこと、IFRS第16号「リース」適用開始によりリース債務の返済による支出が増加したことなどによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度より子会社における受注高・受注残高の集計方法を変更しております。この変更に伴い前期実績につきましても修正を行っております。
3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は796億5千5百万円と前期比8.5%減、営業利益は22億8千9百万円と前期比50.2%減となりました。この結果の背景には、米中貿易問題の長期化などにより中国を中心に世界経済が減速し、年間を通じて中国市場、産業機械関連市場が低調なまま推移したこと、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、実装装置・放送機器・自動販売機モジュールなどの期末集中案件が計画に至らなかったことがあります。当社グループの経営成績に影響を与える要因として、グローバルな市場環境の変化に加え、一部の事業・製品に利益が偏っていることにより、そこに影響が及ぶと利益面でより大きな変動が生じる可能性が示唆されています。当社グループは電子部品・電子化学実装・情報機器と多様な製品を扱っておりますが、中期経営計画においては各事業の関連性を高めベストプラクティスを共有し、横のつながりを強化します。新たな戦略製品を創造するなどシナジー効果を高めながら「Oneタムラ」としてグループ一丸となって、確実な成長が見込まれている「車載」「パワーエレクトロニクス」「IoT・次世代通信」の3つの市場に取り組み、グループ全体の収益性を確実に向上させる企業体質を構築していきます。
経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、前中期経営計画(第11次中期経営計画)に引き続き、収益性の向上の目標として「営業利益率」、資本効率に関する目標として「ROE」を採用しております。連結営業利益率は、100周年での連結営業利益率10%以上を目指し2021年度の連結営業利益率は8%以上、ROEは、100周年でのROE10%以上をターゲットに、2021年度のROEは9%以上を目指してまいります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(電子部品関連事業)
電子部品関連事業は、重点事業である産業機器関連市場向けのトランス、リアクタ、電流センサ等の需要が期を通して低迷したことなどから減収減益となりましたが、課題である安定収益の確保に向け、狙った市場・製品への集中、当社グループ拠点共通のITシステムによる個別原価管理の徹底、「地開(開発)地承(承認)」体制の推進に引き続き取り組んでおります。当連結会計年度では、全体収益の牽引には至っていないものの、戦略市場である「パワーエレクトロニクス」市場において、収益性の比較的高い風力発電などの再生可能エネルギー向け大型トランス・リアクタの売り上げが好調でした。今後も戦略市場である「車載」「パワーエレクトロニクス」「IoT・次世代通信」にフォーカスしつつ、事業間の連携を活かした顧客戦略・製品創出などに取り組み、収益性を高めてまいります。
(電子化学実装関連事業)
電子化学実装関連事業は、当社グループの中においては収益性が高く当社グループの利益を牽引しております。しかしながら、課題であるスマートフォン依存から脱しきれずスマートフォン関連製品のコストダウン要求や競争激化の影響を受けたこと、顧客の設備投資の先送りで実装装置の売り上げ確保が困難だったことなどから、減収減益となりました。一方、5G通信用の端末向けや基地局向け製品は堅調に推移しており、更なる拡大も見込まれるため、関連製品の開発及び顧客開拓に一層力を入れてまいります。
同じく成長が見込まれる車載関連市場では、車載関連企業が集積する欧州エリアにおいて、ソルダーペースト関連製品の生産を新たに開始いたしました。欧州エリアにおける開発・生産・販売一貫体制を構築することで、非日系車載顧客向けを中心に、高付加価値実装材料の拡販を推進してまいります。また、車載向けソルダーペーストを生産する当社の入間事業所において、2020年5月に自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム「IATF16949:2016」認証を取得しております。欧米を中心とする世界の多くの自動車メーカーが自動車部品のグローバルな調達基準として採用している認証であり、非日系車載顧客との取引拡大を目指してまいります。
(情報機器関連事業)
情報機器関連事業は、国際的なスポーツイベントや放送局の更新需要に向けた音声調整卓やワイヤレスマイクロホンシステムの売上を予想しておりましたが、厳しい市場環境を背景に減収減益となりました。放送局をはじめとする取引先からの需要は厳しい基調が続くものの、将来的なニーズに対応すべく、音声卓のネットワーク化対応の開発を促進いたします。また、中長期的には今後のこの事業を支える新製品開発が必要と認識しております。事業戦略として、通信機能を搭載した自動販売機用金額表示器や見守り用人感センサを手掛けている当社グループ会社の㈱光波と一体となり、「IoT・次世代通信」市場に向けた新製品の創出を目指してまいります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、設備投資及びその他の事業資金については、自らの事業活動により獲得した内部資金で対応することを基本方針としておりますが、成長投資や一時的な運転資金の充足のために資金需要が生ずる場合には、時々の金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からも調達できるよう多様化を図りつつも、現時点においては銀行からの借入を実施しております。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大による不測の事態に備え、機動的な短期運転資金としてコミットメントライン契約を25億円増枠の総額50億円とすること、及び同理由で10億円の短期運転資金を銀行借入調達することを当社取締役会で決定、2020年5月にそれぞれ契約を締結しており、手許流動性を高められるよう対応しております。
今後の主要投資案件として、車載関連事業への投資を予定しております。
当社グループは第12次中期経営計画において、「環境車向け昇圧リアクタ」の拡大を、電子部品関連事業の重要成長戦略の1つとして掲げております。㈱若柳タムラ製作所の生産能力を2倍に、当社坂戸事業所の生産能力を3倍に引き上げるべく工場設備の増設を行います。さらに、今後のグローバルな需要増加に対応するべく、新たな連結子会社「田村汽車電子(佛山)有限公司」を中国佛山市に設立して新工場設立に着手しております。自己資本の他、国内投資についてはファイナンス・リースを、中国子会社は銀行借入を利用いたします。
③ 重要な会計上の見積り方針及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
1) 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額は中期経営計画に基づいて算出しており、市場データや現在及び今後見込まれる経済状況を考慮しております。そのため、課税所得の見積りの前提に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。なお、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染拡大の今後の影響が不確実な状況を踏まえ、回収可能性について慎重に検討を行った結果、繰越欠損金の回収不能額が増加したため、繰延税金資産を取り崩しました。
2) 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、事業の区分をもとに概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位にてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額は、将来見積キャッシュ・フロー、正味売却価額等をもとに算出しております。将来見積キャッシュ・フローに使用される前提は、中期経営計画に基づいて算出しており、市場データや現在及び今後見込まれる経済状況を考慮しております。そのため、将来キャッシュ・フロー等の見積りの前提に影響を与える要因が発生した場合は、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
3) たな卸資産の評価
当社グループは、たな卸資産の貸借対照表価額を収益性の低下に基づく帳簿価額切下げの方法により算出しております。営業循環過程から外れた滞留等のたな卸資産については、正味売却価額まで切下げる方法に加えて、一定の回転期間を超える場合に規則的に帳簿価額を切下げる方法による評価を行っております。
規則的に帳簿価額を切下げる方法は、事業ごとに製品の特性を考慮して販売品目・生産品目による分類を行い、滞留期間に応じて帳簿価額の切下げを行っています。そのため、過去の滞留実績や技術革新によるたな卸資産の著しい陳腐化等を考慮し、帳簿価額の切下げ期間を短縮する必要が生じた場合には、追加の評価損が発生する可能性があります。また、事業の特性上、受注見込に基づいた材料や商品の先行手配・見込み生産を行うことがあり、経済状況が急速に低迷する場合には、当該たな卸資産が滞留することで想定外の評価損が発生する可能性があります。
なお、当連結会計年度における会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響については、連結財務諸表注記事項の「追加情報」に記載されております。
① 財政状態及び経営成績の状況
1) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ25億2千万円増加(前期末比2.9%増)し、885億9千3百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金の減少などにより流動資産が11億9千5百万円減少した一方、固定資産が37億1千5百万円増加したことによります。なお、固定資産増加の主な要因は、IFRS適用在外連結子会社においてIFRS第16号「リース」を適用開始したことによるものであり、その影響額は25億7千9百万円であります。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ30億1千1百万円増加し、419億2千9百万円となりました。これは主に、有利子負債が増加したことなどによります。
有利子負債合計(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・短期リース債務・長期借入金及び長期リース債務の合計額)は222億9千9百万円となり、IFRS第16号「リース」適用開始により26億3千3百万円増加し、また、来期以降の車載設備投資などに備えた借入れにより、前期末比で44億1千9百万円増加しました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ4億9千1百万円減少(前期末比1.0%減)し、466億6千4百万円となりました。これは利益剰余金が1億9千7百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金が3億4千6百万円減少、為替換算調整勘定が3億6千4百万円減少したことなどによります。この結果、自己資本比率は52.4%となりました。また、1株当たり純資産額は565.34円(前期末1株当たり純資産額は570.00円)となりました。
(当連結会計年度における自己資本比率及び1株当たり純資産は、純資産より新株予約権・非支配株主持分を控除して計算した比率を用いております。)
2) 経営成績
当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)の世界経済は、米中貿易摩擦問題が長期化の様相を呈し、当社グループに関わるエレクトロニクス業界では、産業機械や自動車関連市場が厳しい状況で推移いたしました。さらに年度終盤において新型コロナウイルスの感染が世界に拡大し、あらゆる分野で経済活動が停滞することとなりました。
このような経営環境のもと、当社グループは創業100周年となる2024年での「ありたい姿」を見据え、国際社会の共通目標であるSDGs達成に向けた取組みを基軸とした中期経営計画「Biltrite Tamura GROWING ANEW」を、2019年4月に新たな経営体制でスタートしました。当社グループはグローバルに拠点を配し、電子部品・電子化学実装・情報機器と多様な製品を扱っておりますが、「Oneタムラ」としてグループ一丸で成長市場に取り組み、グローバルITシステムの活用とともに、生産・販売・開発体制の強化と効率化を推進しております。
しかし、厳しい経営環境を背景に、当社グループの当連結会計年度の状況といたしまして、売上高は796億5千5百万円(前期比8.5%減)、営業利益は22億8千9百万円(同50.2%減)、経常利益は25億1千万円(同48.2%減)と減収減益になりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は10億2千4百万円(同84.0%減)と前期に対して大幅に減少しておりますが、これは前期に損害賠償請求に基づく和解金の特別利益への計上があったことによるものです。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、売上高はセグメント間の内部売上高を含めており、セグメント利益はセグメント間取引消去及び本社部門負担の未来開発研究費用控除前の営業利益と調整を行っております。
(電子部品関連事業)
電子部品関連事業は、産業機械関連顧客向けのトランス・リアクタ・電流センサなどの需要低迷が続き、家電市場ではエアコン用リアクタや電動工具向けのチャージャが弱含みで推移いたしました。また、年度末にまとまった納品を予定していた、通信機能を搭載した自動販売機向けLEDモジュールの導入が一部先送りとなりました。一方、秋口より量産を予定していた宮城県の工場における環境車向け昇圧リアクタは、客先の予定変更により量産本稼働が当第4四半期にずれ込みましたが、その後は当初計画にそって生産をいたしました。なお、新型コロナウイルス問題を背景に、年度末に客先から在庫確保に向けた一時的な受注増加の動きがありましたが、当期の業績への影響は軽微であります。
その結果、売上高は508億7千1百万円(前期比7.2%減)、セグメント利益は2億7千5百万円(同71.4%減)と、減収減益になりました。
(電子化学実装関連事業)
電子化学事業は、自動車の電装化・電動化を背景にこれまで堅調に推移してきた車載用ソルダーペーストが、下期以降は自動車販売の不振や新型コロナウイルス問題などを背景にやや弱含みで推移いたしました。スマートフォンをはじめとする通信端末の5G関連の基板で使用されるフレキシブル基板用ソルダーレジストや、5G基地局で使用されるソルダーペーストは比較的堅調に推移いたしましたが、電子化学材料全体の業績を押し上げるには至りませんでした。実装装置事業は、自動車市場の減速を背景に一部客先で設備投資の先送りが生じておりましたが、新型コロナウイルス問題の拡大により、設備投資の先送りがさらに広がりました。足元では客先訪問による装置の据え付けがままならず、売上確保が難しい状況となっております。
その結果、売上高は254億4千万円(前期比9.7%減)、セグメント利益は25億5千3百万円(同28.5%減)と、減収減益になりました。
(情報機器関連事業)
情報機器関連事業は、国際的なスポーツイベントや放送局の更新需要に向けて、年度末を中心に放送局向けの音声調整卓(ミキサー)やワイヤレスマイクロホンシステムの売上を予想しておりましたが、厳しい市場環境を背景に需要が高まらず、大幅に売上が減少する結果となりました。
その結果、売上高は34億9千9百万円(前期比16.7%減)、セグメント利益は7千6百万円(同84.1%減)と、減収減益になりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、主に営業活動の結果獲得した資金が増加したため、前連結会計年度末に比べ2億7千5百万円増加し、161億1千7百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は54億5千6百万円(前期比16.9%増)となりました。これは主に売上債権・たな卸資産の増減額が増加から減少へ転じたこと、IFRS第16号「リース」適用開始により減価償却費が増加したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は49億7千3百万円(前期比21.4%増)となりました。これは主に前連結会計年度において、台湾子会社の土地売却やサーマル事業の譲渡、投資有価証券の売却など臨時的な資金獲得項目が発生したことによります。当連結会計年度の有形固定資産の取得による支出は、当社坂戸事業所の建て替え及び国内外子会社工場の建設などが発生した前連結会計年度に比べて、18億6千3百万円減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1億4千1百万円(前期は10億9千6百万円の獲得)となりました。これは主に工場建設資金の追加発生に伴うつなぎ資金借り入れが発生した前連結会計年度に対し、当連結会計年度はその借入金を返済したため短期借入金の純増減額が増加から減少へ転じたこと、IFRS第16号「リース」適用開始によりリース債務の返済による支出が増加したことなどによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 電子部品関連事業 | 50,210 | 91.2 |
| 電子化学実装関連事業 | 25,411 | 91.2 |
| 情報機器関連事業 | 3,612 | 86.4 |
| 報告セグメント計 | 79,234 | 91.0 |
| その他事業 | - | - |
| 合計 | 79,234 | 91.0 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 電子部品関連事業 | 51,191 | 99.0 | 21,477 | 101.5 |
| 電子化学実装関連事業 | 27,702 | 88.6 | 11,347 | 126.3 |
| 情報機器関連事業 | 4,082 | 111.7 | 1,519 | 173.1 |
| 報告セグメント計 | 82,976 | 95.8 | 34,344 | 110.7 |
| その他事業 | 0 | 15.1 | - | - |
| 合計 | 82,977 | 95.8 | 34,344 | 110.7 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度より子会社における受注高・受注残高の集計方法を変更しております。この変更に伴い前期実績につきましても修正を行っております。
3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 電子部品関連事業 | 50,871 | 92.8 |
| 電子化学実装関連事業 | 25,342 | 90.2 |
| 情報機器関連事業 | 3,440 | 83.4 |
| 報告セグメント計 | 79,654 | 91.6 |
| その他事業 | 0 | 15.1 |
| 合計 | 79,655 | 91.5 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は796億5千5百万円と前期比8.5%減、営業利益は22億8千9百万円と前期比50.2%減となりました。この結果の背景には、米中貿易問題の長期化などにより中国を中心に世界経済が減速し、年間を通じて中国市場、産業機械関連市場が低調なまま推移したこと、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、実装装置・放送機器・自動販売機モジュールなどの期末集中案件が計画に至らなかったことがあります。当社グループの経営成績に影響を与える要因として、グローバルな市場環境の変化に加え、一部の事業・製品に利益が偏っていることにより、そこに影響が及ぶと利益面でより大きな変動が生じる可能性が示唆されています。当社グループは電子部品・電子化学実装・情報機器と多様な製品を扱っておりますが、中期経営計画においては各事業の関連性を高めベストプラクティスを共有し、横のつながりを強化します。新たな戦略製品を創造するなどシナジー効果を高めながら「Oneタムラ」としてグループ一丸となって、確実な成長が見込まれている「車載」「パワーエレクトロニクス」「IoT・次世代通信」の3つの市場に取り組み、グループ全体の収益性を確実に向上させる企業体質を構築していきます。
経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、前中期経営計画(第11次中期経営計画)に引き続き、収益性の向上の目標として「営業利益率」、資本効率に関する目標として「ROE」を採用しております。連結営業利益率は、100周年での連結営業利益率10%以上を目指し2021年度の連結営業利益率は8%以上、ROEは、100周年でのROE10%以上をターゲットに、2021年度のROEは9%以上を目指してまいります。
| 第12次中期第1年度 2019年度実績 | 第12次中期第2年度 2020年度目標 | 第12次中期最終年度 2021年度目標 | 100周年 2024年度目標 | |
| 営業利益率 | 2.9% | 7.2% | 8.0% | 10.0%以上 |
| ROE | 2.2% | 8.0% | 9.0% | 10.0%以上 |
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(電子部品関連事業)
電子部品関連事業は、重点事業である産業機器関連市場向けのトランス、リアクタ、電流センサ等の需要が期を通して低迷したことなどから減収減益となりましたが、課題である安定収益の確保に向け、狙った市場・製品への集中、当社グループ拠点共通のITシステムによる個別原価管理の徹底、「地開(開発)地承(承認)」体制の推進に引き続き取り組んでおります。当連結会計年度では、全体収益の牽引には至っていないものの、戦略市場である「パワーエレクトロニクス」市場において、収益性の比較的高い風力発電などの再生可能エネルギー向け大型トランス・リアクタの売り上げが好調でした。今後も戦略市場である「車載」「パワーエレクトロニクス」「IoT・次世代通信」にフォーカスしつつ、事業間の連携を活かした顧客戦略・製品創出などに取り組み、収益性を高めてまいります。
(電子化学実装関連事業)
電子化学実装関連事業は、当社グループの中においては収益性が高く当社グループの利益を牽引しております。しかしながら、課題であるスマートフォン依存から脱しきれずスマートフォン関連製品のコストダウン要求や競争激化の影響を受けたこと、顧客の設備投資の先送りで実装装置の売り上げ確保が困難だったことなどから、減収減益となりました。一方、5G通信用の端末向けや基地局向け製品は堅調に推移しており、更なる拡大も見込まれるため、関連製品の開発及び顧客開拓に一層力を入れてまいります。
同じく成長が見込まれる車載関連市場では、車載関連企業が集積する欧州エリアにおいて、ソルダーペースト関連製品の生産を新たに開始いたしました。欧州エリアにおける開発・生産・販売一貫体制を構築することで、非日系車載顧客向けを中心に、高付加価値実装材料の拡販を推進してまいります。また、車載向けソルダーペーストを生産する当社の入間事業所において、2020年5月に自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム「IATF16949:2016」認証を取得しております。欧米を中心とする世界の多くの自動車メーカーが自動車部品のグローバルな調達基準として採用している認証であり、非日系車載顧客との取引拡大を目指してまいります。
(情報機器関連事業)
情報機器関連事業は、国際的なスポーツイベントや放送局の更新需要に向けた音声調整卓やワイヤレスマイクロホンシステムの売上を予想しておりましたが、厳しい市場環境を背景に減収減益となりました。放送局をはじめとする取引先からの需要は厳しい基調が続くものの、将来的なニーズに対応すべく、音声卓のネットワーク化対応の開発を促進いたします。また、中長期的には今後のこの事業を支える新製品開発が必要と認識しております。事業戦略として、通信機能を搭載した自動販売機用金額表示器や見守り用人感センサを手掛けている当社グループ会社の㈱光波と一体となり、「IoT・次世代通信」市場に向けた新製品の創出を目指してまいります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、設備投資及びその他の事業資金については、自らの事業活動により獲得した内部資金で対応することを基本方針としておりますが、成長投資や一時的な運転資金の充足のために資金需要が生ずる場合には、時々の金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からも調達できるよう多様化を図りつつも、現時点においては銀行からの借入を実施しております。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大による不測の事態に備え、機動的な短期運転資金としてコミットメントライン契約を25億円増枠の総額50億円とすること、及び同理由で10億円の短期運転資金を銀行借入調達することを当社取締役会で決定、2020年5月にそれぞれ契約を締結しており、手許流動性を高められるよう対応しております。
今後の主要投資案件として、車載関連事業への投資を予定しております。
当社グループは第12次中期経営計画において、「環境車向け昇圧リアクタ」の拡大を、電子部品関連事業の重要成長戦略の1つとして掲げております。㈱若柳タムラ製作所の生産能力を2倍に、当社坂戸事業所の生産能力を3倍に引き上げるべく工場設備の増設を行います。さらに、今後のグローバルな需要増加に対応するべく、新たな連結子会社「田村汽車電子(佛山)有限公司」を中国佛山市に設立して新工場設立に着手しております。自己資本の他、国内投資についてはファイナンス・リースを、中国子会社は銀行借入を利用いたします。
③ 重要な会計上の見積り方針及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
1) 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額は中期経営計画に基づいて算出しており、市場データや現在及び今後見込まれる経済状況を考慮しております。そのため、課税所得の見積りの前提に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。なお、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染拡大の今後の影響が不確実な状況を踏まえ、回収可能性について慎重に検討を行った結果、繰越欠損金の回収不能額が増加したため、繰延税金資産を取り崩しました。
2) 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、事業の区分をもとに概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位にてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額は、将来見積キャッシュ・フロー、正味売却価額等をもとに算出しております。将来見積キャッシュ・フローに使用される前提は、中期経営計画に基づいて算出しており、市場データや現在及び今後見込まれる経済状況を考慮しております。そのため、将来キャッシュ・フロー等の見積りの前提に影響を与える要因が発生した場合は、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
3) たな卸資産の評価
当社グループは、たな卸資産の貸借対照表価額を収益性の低下に基づく帳簿価額切下げの方法により算出しております。営業循環過程から外れた滞留等のたな卸資産については、正味売却価額まで切下げる方法に加えて、一定の回転期間を超える場合に規則的に帳簿価額を切下げる方法による評価を行っております。
規則的に帳簿価額を切下げる方法は、事業ごとに製品の特性を考慮して販売品目・生産品目による分類を行い、滞留期間に応じて帳簿価額の切下げを行っています。そのため、過去の滞留実績や技術革新によるたな卸資産の著しい陳腐化等を考慮し、帳簿価額の切下げ期間を短縮する必要が生じた場合には、追加の評価損が発生する可能性があります。また、事業の特性上、受注見込に基づいた材料や商品の先行手配・見込み生産を行うことがあり、経済状況が急速に低迷する場合には、当該たな卸資産が滞留することで想定外の評価損が発生する可能性があります。
なお、当連結会計年度における会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響については、連結財務諸表注記事項の「追加情報」に記載されております。