有価証券報告書-第98期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 15:23
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【項目】
145項目
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
1) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ24億7千万円増加し、910億6千4百万円となりました。これは主に、流動資産が2億2千2百万円増加、固定資産が22億4千7百万円増加したことによります。なお、固定資産増加の主な要因は、昨年度末からの株価上昇に伴う退職給付信託の評価増などにより、退職給付に係る資産が17億7千6百万円増加したことによります。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ9億9千1百万円増加し、429億2千1百万円となりました。これは主に、有利子負債及び繰延税金負債が増加したことなどによります。繰延税金負債の増加は、退職給付に係る調整累計額に対するものとして4億3千1百万円の計上、繰延税金資産取り崩しによる繰延税金資産との相殺が減少したことなどによります。
なお、有利子負債合計(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・短期リース債務・長期借入金及び長期リース債務の合計額)は2億2千万円増加し、225億1千9百万円となりました。これは主として、余剰資金のある拠点は銀行借入金返済を進める一方で、新型コロナウイルスの感染拡大による不測の事態に備え、機動的な資金として10億円の短期運転資金を銀行借入にて調達した結果であります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ14億7千8百万円増加し、481億4千3百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が配当支払額を下回ったことにより利益剰余金が1億1千5百万円減少した一方、昨年度末からの株価上昇に伴う保有株式及び退職給付信託の評価増などにより、その他の包括利益累計額が15億7千9百万円増加したことなどによります。この結果、自己資本比率は52.6%となりました。
(当連結会計年度における自己資本比率及び1株当たり純資産は、純資産より新株予約権・非支配株主持分を控除して計算した比率を用いております。)
2) 経営成績
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の世界経済は、年度のはじめにおいて新型コロナウイルスの感染拡大による急激な停滞が生じたものの、中国市場がいち早く回復に転じ、全般的には緩やかな回復基調で推移いたしました。当社グループに関わるエレクトロニクス市場では、自動車や情報通信市場が早期に回復に転じ、巣ごもり需要を起点とした家電関連製品の高水準の需要が継続しました。また秋口以降は、産業機械市場が急速に回復に向かいました。その一方で、新型コロナウイルス感染症は収束に至らず、半導体供給不足や、銅をはじめとする原材料価格の高騰、ミャンマーの政情不安など、新たな不安要素が顕在化いたしました。
こうした状況のもと、当社グループの事業所や工場は、所在する各国の政府や自治体からの新型コロナウイルス感染拡大防止に関する指針に従うとともに、テレワークや時差勤務などの様々な対策を講じ、感染拡大防止と事業継続の両立を進めてまいりました。また、経費管理の徹底や設備投資の見極めにより、コスト削減を図りました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の状況といたしまして、売上高は739億6百万円(前期比7.2%減)、営業利益は19億6千9百万円 (同14.0%減)、経常利益は雇用調整助成金などの計上があり23億8千4百万円(同5.0%減)となりました。
なお、中国子会社の移転や人事制度改定に伴う特別退職金、坂戸事業所建て替えによる固定資産除売却損などにより7億4百万円の特別損失を計上し、環境車用リアクタの工場建設に関する投資奨励金や投資有価証券売却益により5億8千8百万円の特別利益を計上しました。
また、原材料価格の上昇傾向、米中間での対立激化など、今後の不確実な経営環境を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討を行った結果、繰延税金資産7億5百万円を取り崩すこととなりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5億4千2百万円(前期比47.0%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、売上高はセグメント間の内部売上高を含めており、セグメント利益はセグメント間取引消去及び本社部門負担の未来開発研究費用控除前の営業利益と調整を行っております。
(電子部品関連事業)
電子部品関連事業は、在宅需要を背景とした電動工具向けチャージャの好調が継続し、秋口以降は、産業機械関連顧客向けのトランス・リアクタが急速に回復へ転じました。環境車向けのリアクタは、コロナ感染拡大前に想定した中期計画の水準には至りませんでしたが年初に予想した水準は維持いたしました。一方、銅・鉄・石油化学製品などの原材料価格の高騰や、中国の生産拠点における米ドルに対する人民元高が利益を押し下げる要因となりました。更に、中国・深圳工場のチャージャ生産機能を2020年10月に蘇州の新工場に移管し稼働を開始した時期が、チャージャをはじめとするユニット製品の急激な需要増加時期と重なったことにより、生産効率が悪化しコストが増加いたしました。なお、トランス・リアクタの主要な材料である銅については、すでに多くの顧客と相場連動による価格改定制度を導入しておりますが、鉄についても同様の交渉を進めております。また、チャージャなどのユニット製品では、半導体や石油化学製品に関する相場連動価格改定を、2021年度より一部の顧客で開始する予定であります。
自動販売機向けの商品選択ボタンを主力とするLED関連製品については、新型コロナウイルスの感染拡大や国際的なスポーツイベントの延期に伴う客先の大規模な設備投資抑制により、期待した水準に大きく至らない結果となりました。2021年度より、新市場へ見守りセンサなどの新製品投入を予定しております。
その結果、売上高は477億5千1百万円(前期比6.1%減)、セグメント利益は1億6千5百万円(同40.0%減)と、減収減益になりました。
(電子化学実装関連事業)
電子化学事業は、年度のはじめは新型コロナウイルスの感染拡大による停滞が生じたものの、中国市場の生産活動の回復と共に車載用のソルダーペースト・ソルダーレジストの生産が高まり、スマートフォン向けのフレキシブル基板用ソルダーレジストも堅調に推移いたしました。一方、足元ではソルダーペーストの原材料である金属価格の上昇が、利益の押し下げ要因として懸念される状況になっております。ソルダーペーストの主要な材料である錫については、すでに一部の取引先で相場連動の価格改定を導入しておりますが、2021年度には更に多くの取引先に導入が広がるように交渉を進めております。
実装装置事業については、主要取引先である日系メーカー各社の設備投資が慎重で、期の前半では新型コロナウイルス感染拡大の影響により顧客訪問による装置据え付けや保守作業もままならず、厳しい売上が継続いたしました。受注については、エレクトロニクス市場の生産活動の復調とともに、第3四半期を底に徐々に回復しております。
その結果、売上高は227億4千3百万円(前期比10.6%減)、セグメント利益は21億4千8百万円(同15.8%減)と、減収減益になりました。
(情報機器関連事業)
情報機器関連は、主力とする放送設備更新関連の売上が年度末に集中することから、第1四半期から第3四半期は利益を確保するには十分な売上を得られず苦戦いたしました。しかし、第4四半期に計画していた売上を確実に確保することで、年間では黒字化いたしました。主力取引先である放送業界を取り巻く市場環境は厳しく、過去と比較すると安定的に売上・利益を確保できておりません。こうした状況に対して、将来を見据えた新製品の開発・市場投入を鋭意進めております。
その結果、売上高は34億7千4百万円(前期比0.7%減)、セグメント利益は2億7千9百万円(同264.2%増)と、減収増益になりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)につきましては、主に営業活動の結果獲得した資金が増加したため、前連結会計年度末に比べ10億7千万円増加し、171億8千7百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は50億4千9百万円で、前期に比べ4億6百万円獲得額が減少(前期比7.5%減)しました。これは主に、税金等調整前当期純利益の減少及びたな卸資産の増減額が減少から増加へ転じたことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は30億5千2百万円で、前期に比べ19億2千1百万円使用額が減少(前期比38.6%減)しました。これは主に、前期は坂戸事業所の建て替えといった多額の支出が発生した一方、当期は投資有価証券の売却による収入が3億7百万円発生したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は7億6千7百万円で、前期に比べ6億2千6百万円使用額が増加(前期比443.6%増)しました。これは主に、前期の長期借入による収入が45億5千7百万円と多額(当期は1億5千2百万円)であったことなどによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
電子部品関連事業47,66794.9
電子化学実装関連事業22,62789.0
情報機器関連事業3,22989.4
報告セグメント計73,52492.8
合計73,52492.8

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
電子部品関連事業50,90199.424,629114.7
電子化学実装関連事業19,95172.08,58375.6
情報機器関連事業2,88270.696163.3
報告セグメント計73,73588.934,17399.5
合計73,73588.934,17399.5

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
電子部品関連事業47,74993.9
電子化学実装関連事業22,71589.6
情報機器関連事業3,441100.0
報告セグメント計73,90692.8
合計73,90692.8

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は739億6百万円と前期比7.2%減、営業利益は19億6千9百万円と前期比14.0%減となりました。この結果の背景には、年度のはじめにおける新型コロナウイルスの感染拡大による急激な経済活動の停滞、銅をはじめとする原材料価格の高騰、中国の工場移転と需要急激な増加が重なったことによる生産効率の悪化などがあります。当社グループに関わるエレクトロニクス市場では、自動車や情報通信市場が早期に回復に転じ、巣ごもり需要を起点とした家電関連製品の高水準の需要が継続するなど、全般的には緩やかな回復基調で推移いたしましたが、年度はじめの落ち込みを払しょくするには至らず減収減益となりました。
当社グループは、経営成績に影響を与える要因として、グローバルな市場環境の変化に加え、一部の事業・製品に利益が偏っていることで、そこに影響が及ぶと利益面でより大きな変動が生じる可能性があることを課題と認識しております。当社グループは電子部品・電子化学実装・情報機器と多様な製品を扱っておりますが、安定的な売上・利益の確保を目指し、各事業の関連性を高めベストプラクティスを共有するとともに、新たな市場・製品を開発する取組みを進めております。新たな戦略製品を創造するなどシナジー効果を高めながら「Oneタムラ」としてグループ一丸となって、確実な成長が見込まれている「車載」「パワーエレクトロニクス」「IoT・次世代通信」の3つの市場に取り組み、グループ全体の収益性を確実に向上させる企業体質を構築していきます。
経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、収益性の向上の目標として「営業利益率」、資本効率に関する目標として「ROE」を採用しております。
第12次中期第1年度
2019年度実績
第12次中期第2年度
2020年度実績
第12次中期最終年度
2021年度目標
100周年
2024年度目標
営業利益率2.9%2.7%4.0%10.0%以上
ROE2.2%1.2%4.5%10.0%以上

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(電子部品関連事業)
電子部品関連事業は、銅・鉄・石油化学製品などの原材料価格の高騰、中国の生産拠点における米ドルに対する人民元高、中国・深圳工場のチャージャ生産機能を2020年10月に蘇州の新工場に移管し稼働を開始した時期が、チャージャをはじめとするユニット製品の急激な需要増加時期と重なったことなどによるコスト増加などにより、減収減益となりました。原材料価格の変動に対して、トランス・リアクタの主要な材料である銅については、すでに多くの顧客と相場連動による価格改定制度を導入しておりますが、鉄についても同様の交渉を進めております。チャージャなどのユニット製品では、半導体や石油化学製品に関する相場連動価格改定を、2021年度より一部の顧客で開始する予定であります。中国の新工場における生産性の悪化についても、自動化ラインの投入や工場運営の安定化により改善を見込んでおります。
当事業は安定収益の確保を重要課題と認識しておりますが、製品面ではカーボンニュートラルで注目の高まる風力発電用に、収益性の比較的高い大型トランス・リアクタの売上が確実に伸長しております。また、素材からの一貫生産をほぼ自動化で行う車載用昇圧リアクタの専門工場が埼玉県坂戸市と中国佛山市に完成し、これらで本格量産が行われるようになった際には収益性向上への寄与を期待しております。当社グループ共通のITシステムによる個別原価管理の徹底、「地開(開発)地承(承認)」体制の構築などを引き続き推進するとともに、成長市場である「車載」「パワーエレクトロニクス」「IoT・次世代通信」にフォーカスして新市場拡大・新製品創出に取り組み、収益性を高めてまいります。
(電子化学実装関連事業)
電子化学実装関連事業は、当社グループの中においては収益性が高く当社グループの利益を牽引しておりますが、年度はじめの新型コロナウイルス感染拡大による停滞、実装装置に関する主要顧客の設備投資抑制などから、減収減益となりました。しかし、中国市場の生産活動の回復とともに車載用のソルダーペースト・ソルダーレジストの生産が高まり、スマートフォン向けのフレキシブル基板用ソルダーレジストも堅調に推移いたしました。実装装置事業についてもエレクトロニクス市場の生産活動の復調にともない徐々に回復しております。
足元では、ソルダーペーストの原材料である金属価格の上昇が利益の押し下げ要因として懸念される状況になっておりますが、主材料である錫はすでに一部の取引先で相場連動の価格改定を導入しており、2021年度には更に多くの取引先に導入が広がるよう、交渉を進めております。また、電子化学事業においては、車載関連企業が集積する欧州エリアにおけるソルダーペースト関連製品の生産や、タイ新工場における顧客の認証取得などが進展しております。市場の回復を確実に捉え、製品開発及び顧客開拓に一層力を入れてまいります。
(情報機器関連事業)
情報機器関連事業は、主力取引先である放送業界を取り巻く市場環境は厳しいものの、第4四半期に計画していた売上を確実に確保することで、減収増益となりました。しかし、過去と比較すると安定的に売上・利益を確保できておりません。音声卓のネットワーク化対応や見守り用人感センサを手掛けている当社グループ会社の㈱光波との協業による「IoT・次世代通信」市場に向けた新製品の創出など、将来を見据えた新製品の開発・市場投入を鋭意進めてまいります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、設備投資及びその他の事業資金については、自らの事業活動により獲得した内部資金で対応することを基本方針としております。しかし成長投資や一時的な運転資金の充足のために資金需要が生ずる場合には、時々の金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からも調達できるよう多様化を図っており、現時点においては銀行からの借入を実施しております。
当連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染拡大による不測の事態に備え、機動的な短期運転資金としてコミットメントライン契約を総額50億円に増枠し、同理由で10億円の短期運転資金を銀行借入調達して、手許流動性を高められるよう対応しております。
今後の主要投資案件として、引き続き車載関連事業への投資を予定しております。
当社グループは第12次中期経営計画において、「環境車向け昇圧リアクタ」の拡大を、電子部品関連事業の重要成長戦略の1つとして掲げております。当社坂戸事業所の生産能力を引き上げるべく工場設備の増設を行い、更に、初の海外における「環境車向け昇圧リアクタ」専用工場として中国佛山市に「田村汽車電子(佛山)有限公司」を設置いたしました。両新工場とも建屋は完成しており、2021年度に生産設備を導入して生産を立ち上げます。自己資本の他、国内投資についてはファイナンス・リースを、中国子会社は銀行借入を利用いたします。
③ 重要な会計上の見積り方針及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

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