有価証券報告書-第95期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 14:04
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【項目】
123項目

対処すべき課題

(1)経営方針
当社グループは、コーポレートスローガンを「オンリーワン・カンパニーの実現を目指す」と掲げ、経営の基本方針を「タムラグループミッション」に定めております。
MISSION
私たちは、タムラグループの成長を支えるすべての人々の幸せを育むため、世界のエレクトロニクス市場に高く評価される独自の製品・サービスをスピーディに提供してまいります。
VISION
① タムラグループは、世界的視野にたち、エレクトロニクス産業が求める事業を経営基盤とします。
② タムラグループは、市場本位をつらぬき、世界のお客様が求める技術を事業基盤とします。
③ タムラグループは、公正な視点で社員を評価し、努力によって成果をもたらす人を最も賞賛します。
④ タムラグループは、国際社会の一員として行動し、各国の法規制を順守し文化・慣習を尊重します。
⑤ タムラグループは、地球環境の保全に努め、資源の有効化と再資源化を推進します。
(2)経営戦略等
当社グループは長期ビジョンとして創業100周年(2024年)を見据えながら、平成30年度(2018年度)をターゲットとする第11次中期経営計画“Biltrite Tamura GROWING”を策定し、以下の経営戦略を推進いたします。
① 正しく豊かな成長への道筋を作る
・収益の源泉である「オンリーワン製品」の種を「戦略製品」と位置づけ、その育成並びに開発投資効率の向上を目的に、製品技術マーケティングを推進いたします。
・「戦略製品」の早期育成のために、M&Aや協業も視野に入れて取り組んでまいります。
② 正しく立派な製品を作る
・当社の独自性と強みを充分に発揮し、顧客価値の視点に立った優位性のある「オンリーワン製品」を強化し、競争力と収益性向上を図ってまいります。
③ 正しく健全な経営体質を作る
・役目を終えた業務・製品は見極め、事業ポートフォリオの見直しも含め、経営資源の適正な配分を推進いたします。
④ 正しく最適なグローバル体制を作る
・グローバルで戦えるコスト競争力と収益性を確保するために、海外に関する業務は現地完結型に移行し、コストの高い日本は付加価値の高い業務に集中いたします。また、それを実現するために、ナショナルスタッフの活躍を推進いたします。
・当社グループがグローバルに成長するためには非日系企業との取引拡大が必須として、非日系顧客への売上比率30%以上を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第11次中期経営計画“Biltrite Tamura GROWING”で目標とする経営指標は以下のとおりです。
① 収益性の向上を第一の目標として、連結営業利益率7%以上を目指します。
② 資本効率に関する目標として、連結ベースでROE9%以上の確保を目指します。株主資本を充実し経営基盤の安定化を推進しつつ、資本効率を高めてまいります。
③ むやみに売り上げを志向するのではなく、お客様に価値ある「オンリーワン製品」を提供することにより、健全な企業成長を目指します。
(4)経営環境
世界経済は緩やかな回復基調で推移しておりますが、米国や欧州各国の政策変化への動きや、北朝鮮問題に端を発する政治不安は予断を許さない状況となっております。また為替や材料価格の急激な変動は企業収益に大きな影響を与える要因になりますが、当社グループでは、そうした影響を最小化するために、顧客との間における価格改定ローリングの取り決めや、エリアで完結する開発・調達・生産体制の構築を進めております。
また、市場競争はグローバルに広がっており、グローバルで戦えるコスト競争力が求められる一方、当社グループが今後成長していくためには、新興国市場やこれまで当社グループとしては取引の多くない欧米や中韓などの非日系顧客との取引拡大が必須として、第11次中期経営計画では「最適なグローバル体制を作る」というスローガンを掲げて取り組みを進めております。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループが対処すべき当面の課題は以下のとおりであります。
① 立派な製品を作り、成長への道筋を作る
当社グループでは、収益性の向上を第一の目標とし、健全な企業成長を目指す第11次中期経営計画“Biltrite Tamura GROWING”のもと、将来の収益源を目指す製品を「戦略製品」と位置づけ、その育成を進めております。また、開発投資効率の向上を目的に、製品技術マーケティングを推進し、市場への「目利き」感度を高め、投資判断をタイムリーに進めることを目指しております。
中期経営計画第2年度となる平成29年度は、電動化・電子化を背景に将来の成長が期待される自動車市場に向けて宮城県に車載用リアクトルの新工場の設置、車載関連企業が集積するドイツにおいてはんだメーカーの買収、成長著しいアセアンエリアに新たな自社生産拠点としてタイにソルダーペースト新工場建設を決定するなど、積極的な投資活動を進めました。
こうした新たな拠点に対して、タムラグループ一員としての生産・開発・販売体制の整備を迅速に進め、投資効果の最大限の発揮を目指すとともに、市場価値が望めないと判断した取り組みに対しては早期に見極めを行い、経営資源を有効に活用し投資効率を高めることを課題として取り組んでまいります。
② 健全な経営体質を作る
平成29年度の当社グループの営業利益は前期に続き二期連続の過去最高益更新となりました。平成29年度の後半は一部部材のマーケットへの供給不足による市場価格の高騰や、銅などの素材価格の値上がり、不安定な為替変動などが影響し、売上は堅調ながらも収益性がやや低下いたしました。
こうした状況に対し、当社グループでは、連結売上95%以上を網羅するITシステムをグローバルに導入し、連結ベースによる個別品目別の原価をタイムリーに把握できる体制を構築するとともに、銅・鉄などの素材価格や為替について市況と連動した自動価格改定ルールを顧客と結ぶことにより、影響を極小化する取り組みを進めております。
今後も地政学的リスクや各国の政治的な緊張感の高まりなどにより経営環境は予断を許さない状況が続くものと予想されますが、個別原価管理の徹底をより強化していくとともに、今後は品目別利益分析を高利益品の拡大にも活用して、収益拡大を目指してまいります。
③ 最適なグローバル体制を作る
当社グループが今後も健全に成長していくためには、従来からの日本中心・日系企業中心の取引だけでは難しく、中期経営計画では非日系顧客への売上比率を30%以上へ拡大することを目指しております。平成29年度の非日系顧客への売上比率は、日系顧客の業績が総じて好調だった背景もあり29%に留まっております。
最適なグローバル体制の実現のために、現地のナショナルスタッフが現地の顧客に対して、地域に根差した製品開発から承認取得までをスピーディーに展開する「地開(開発)地承(承認)」の推進、海外に関する業務は現地完結型に移行し、コストの高い日本は付加価値の高い業務に集中する業務のグローバル最適配置、そしてこれらの活動の主役は現地の人材にあるとして、ナショナルスタッフ(現地人材)の育成・登用をグループ全体で推進しております。
平成29年度には、電子化学実装関連事業においてドイツ・タイに新拠点を設置いたしましたが、これにより今まで自社工場でカバーできていなかったエリアでの「地産地消」・「地開地承」の実現を目指すとともに、日本や中国などの既存拠点との役割再配置を進め、結果として非日系顧客への売上比率を高めていくことを今後の課題と認識しております。また、電子部品関連事業においても、人件費が上昇傾向にある中国だけに生産拠点を集中させず、バングラデシュやミャンマーの拠点の活用など、海外拠点間の業務・役割の見直しを含め、最適なグローバル体制の構築を進めてまいります。
(6)株式会社の支配に関する基本方針について
① 基本的な当社の考え方
当社は、証券取引所に上場する株式会社として、当社株式の売買は市場に委ねるものと考えており、会社を支配する者の在り方は、最終的には当社株式を保有する株主の判断によるものと考えております。しかしながら、株式の大規模買付行為の中には、その目的等からみて当社が維持・向上させてまいりました当社の企業価値及び株主共同の利益を毀損するものや、株主に当社株式の売却を強要するおそれのあるものなどもあります。このような買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えており、このような不適切な買付行為が行われる場合には、それに対して相当の対抗措置を発動することも必要であると考えており、また、このような不適切な買付行為が行われる場合に備え、事前情報に関する一定のルールを設定する必要があると考えております。
② 基本方針実現に資する特別な取り組みの概要
優秀な製品を通して社会に貢献すること。当社が掲げる理念は、大正13年の創業から、よりグローバルなフィールドで事業展開している今日まで変わることはありません。その一貫した理念のもと、当社は「オンリーワン・カンパニーの実現」をコーポレートスローガンに掲げ、「ミッション・ビジョン・ガイドライン」より構成される「タムラ・グループミッション・ステートメント」を制定しております。
また、当社は、この経営理念に基づき、中期経営計画を策定し、コーポレート・ガバナンスを充実強化することにより、企業価値の向上に向けて取り組みを進めております。
③ 基本方針に照らして不適切なものに支配されることを防止するための取り組み
当社は、当社の発行済株式総数の20%を超えるような株式の買付又は公開買付行為に関するルールを平成18年6月に「大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)」として定め、以降、内容を一部改定の上更新してまいりました(平成29年6月28日開催の定時株主総会でご承認いただいた対応方針を、以下「本対応方針」といいます。)。
本対応方針の概要は次のとおりであります。
1)事前に買付者等が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供すること
2)当社取締役会により当該大規模買付行為の一定の評価を行い、また代替案を提示するために必要な期間が経過した後、又は対抗措置の発動の是非について株主の意思を確認する総会(以下「株主意思確認総会」といいます。)の開催が必要と判断される場合には株主意思確認総会の決議に基づき当社取締役会が対抗措置の発動若しくは不発動の決議をした後にのみ大規模買付行為を開始すること
3)当社取締役会は、当該大規模買付行為を評価・検討し、当社取締役会としての見解を開示すること
4)当該大規模買付行為に対する対抗措置の発動等に関する当社取締役会の判断について、その判断の客観性、合理性及び公正性を担保するため、当社取締役会から独立した組織である特別委員会を設置すること
5)特別委員会は、対抗措置の発動の是非や株主意思確認総会の開催の要否等について、特別委員会としての判断を下し、当社取締役会に勧告・助言(以下「勧告等」といいます。)を行うこと
6)当社取締役会は、対抗措置の発動の是非等に関しては、特別委員会の勧告等を最大限尊重しつつ、最終的な決定を行うこと
なお、詳細は当社ホームページ(http://www.tamura-ss.co.jp)をご参照願います。
④ 本対応方針が基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて
1)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本対応方針は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則を充足しています。
また、経済産業省に設置された企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」及び東京証券取引所が平成27年6月1日に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の「原則1-5.いわゆる買収防衛策」の内容も踏まえたものとなっております。
2)株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本対応方針は、当社株式に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、株主のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
3)合理的な客観的発動要件の設定
本対応方針は、あらかじめ定められた合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されています。
4)独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
本対応方針における対抗措置の発動等に際しては、当社取締役会から独立した組織である特別委員会へ諮問し、同委員会の勧告等を最大限尊重するものとされています。
また、その判断の概要については、株主に情報開示をすることとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に適うように本対応方針の透明な運用が行われる仕組みが確保されています。
5)株主意思を重視するものであること
本対応方針は、有効期限を明確に定めており、その導入・継続の可否について株主の意向が反映されたものとなっております。また、特別委員会が大規模買付行為に対する対抗措置を発動する条件として株主意思確認総会を開催することが相当であると勧告する場合があり、取締役会は特別委員会の勧告を最大限尊重することとなっておりますので、対抗措置の発動の是非等について株主の意向を直接確認する仕組みを採用しております。
6)デッドハンド型やスローハンド型の買収防衛策ではないこと
本対応方針は、当社株主総会の決議又は当社取締役会の決議で廃止することができるため、いわゆるデッドハンド型の買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は取締役会の構成員につき期差任期制を採用していないため、スローハンド型(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。