有価証券報告書-第96期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 15:32
【資料】
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【項目】
157項目

対処すべき課題

「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(54)cの規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、コーポレートスローガンを「オンリーワン・カンパニーの実現を目指す」と掲げ、経営の基本方針を「タムラグループミッション」に定めております。
MISSION
私たちは、タムラグループの成長を支えるすべての人々の幸せを育むため、世界のエレクトロニクス市場に高く評価される独自の製品・サービスをスピーディに提供してまいります。
VISION
① タムラグループは、世界的視野にたち、エレクトロニクス産業が求める事業を経営基盤とします。
② タムラグループは、市場本位をつらぬき、世界のお客様が求める技術を事業基盤とします。
③ タムラグループは、公正な視点で社員を評価し、努力によって成果をもたらす人を最も賞賛します。
④ タムラグループは、国際社会の一員として行動し、各国の法規制を順守し文化・慣習を尊重します。
⑤ タムラグループは、地球環境の保全に努め、資源の有効化と再資源化を推進します。
(2)経営戦略等
当社グループは長期ビジョンとして創業100周年(2024年)とその先に続く持続的な成長を見据えながら、2021年度をターゲットとする第12次中期経営計画“Biltrite Tamura GROWING ANEW”を、2019年4月、新たな経営体制でスタートしました。
① 100周年で目指す姿の実現
本中期経営計画は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に向けた活動を基軸とし、当社が株主、取引先、従業員、地域社会など、全てのステークホルダーに必要とされる存在として、世の中の期待に応えながら、健全に成長していくことを目指します。
② Oneタムラ戦略
当社は各事業分野で、卓越した製品・技術を有しています。今後大きな成長が期待される「車載」・「パワーエレクトロニクス」・「IoT次世代通信」の各市場に向けて、ベストプラクティスを共有し、グループ総合力で取り組んでまいります。
③ 投資戦略・地域戦略
当社は将来の成長が期待される自動車市場や、成長エリアに向けた設備投資を強化しております。新たな拠点に対して、タムラグループ一員としての生産・開発・販売体制の整備を迅速に進め、投資効果の最大限の発揮を目指します。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第12次中期経営計画“Biltrite Tamura GROWING ANEW”で目標とする経営指標は以下のとおりです。
① 収益性の向上を第一の目標として、2021年度の連結営業利益率は8%以上、100周年は10%以上を目指します。
② 資本効率に関する目標として、2021年度のROEは9%以上、100周年は10%を目指します。株主資本を充実し経営基盤の安定化を推進しつつ、資本効率を高めてまいります。
(4)経営環境
世界経済は米中貿易摩擦を背景とした中国経済の減速をはじめ、世界各国の景気が不透明な状況が継続しております。また、当社グループに関わるエレクトロニクス業界では、スマートフォン市場の減速や、産業機械の需要低迷が続いております。こうした動きは当社の業績にも影響を与えますが、一方で将来の拡大が期待される車載関連や、中国生産を補完する東南アジアや中南米の設備投資は拡大基調にあります。顧客のニーズをタイムリーにとらえ、成長市場を見極めることで、厳しい経営環境においても健全な成長を実現できるよう当社グループ一体でグローバルに取り組みを進めてまいります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
タムラ製作所は、2024年に創業100周年を迎えます。当社の100周年とその先の持続的な成長を見据えて、2019年4月、新たな経営体制で第12次中期経営計画“Biltrite Tamura GROWING ANEW”を始動いたしました。本中期経営計画は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に向けた活動を基軸として、優秀な製品を通して社会に貢献し、健全に成長していくことを目指しております。そのなかで、当社が対処すべき課題は以下のとおりです。
① グループ総合力で成長市場に取り組む
当当社は、90年を超える社歴を通じて、電子部品・電子化学実装・情報機器という幅広い事業を産み出し、常に時代のニーズを読み取りながら各分野でオリジナリティあふれる製品を世の中に提供してまいりました。現在、自動車における「CASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)」というキーワードが100年に一度といわれる産業界の変化をもたらし、次世代通信の進化は人びとの暮らしを一変させるといわれています。
そうした中で、当社は「車載」・「パワーエレクトロニクス」・「IoT次世代通信」という3つの成長市場に注目し、当社の100周年とその先において、グループ一体で「魅力ある製品・感動を与える製品」を提供し、サステナブルで豊かな社会の実現に貢献する企業グループとなることを目指します。この「ありたい姿」の実現に向けて、本中期経営計画では社内の各事業でそれぞれに蓄積してきたベストプラクティスを共有し、成長市場にグループ総合力で取り組む体制の構築を進めてまいります。
また足元では、将来の成長が期待される自動車市場に向けて宮城県に車載用リアクトルの新工場設置、車載関連企業が集積するドイツにおけるはんだメーカーの買収、成長著しいアセアンエリアに新たな自社生産拠点としてタイにソルダーペースト新工場を建設するなどの、先に向けた積極的な投資活動を進めております。こうした新たな拠点に対して、タムラグループの一員としての生産・開発・販売体制の整備を迅速に進めるとともに、投資効果が最大に発揮できるように回収管理を徹底することも課題として認識し、取り組みを進めてまいります。
② グローバル展開とダイバーシティ推進
事業のグローバル展開、日本の少子高齢化、「働き方改革関連法」施行などが進み、従来の仕事のやり方は通用しなくなってきています。顧客も競合もグローバル化する中、現地のスタッフが現地の顧客に対して、地域に根差した製品開発から承認取得までを展開する「地開(開発)地承(承認)」体制の一層の強化、各エリア戦略と連動した業務のグローバル最適配置、そしてこれらの活動の主役は人材にあるとして、ナショナルスタッフ(現地人材)の育成・登用をグループ全体で推進してまいります。
また、当社グループはこれまで世界の9割以上の拠点に共通のITシステムを導入し、製販一体の連結原価管理を進めておりますが、その発展形として、多様な働き方に対応するITシステムを構築し、従業員のワークライフバランスと企業活動を共に発展させる取り組みを進めてまいります。具体的には、モバイルアクセス・データ共有システムなどのICTインフラ整備により、勤務場所・勤務時間の自由度を高め、グローバルに活躍する社員のみならず、育児・介護に関わる社員や定年再雇用者などにも、その能力を最大限に発揮できる環境を構築いたします。また、こうした取り組みにより、当社グループが「人が憧れる会社・人が集まる会社」となることを、100周年に向けて目指してまいります。
③ コーポレートガバナンスと業務の適正を確保するための体制の強化
2019年4月より、当社は新たな代表取締役会長・代表取締役社長による経営体制を開始いたしました。これにより、会長は会社の経営全般総攬、社長は会社の経営全般執行にそれぞれ責任を持つことで、決定プロセスの客観性及び透明性を確保します。また、取締役会における女性1名を含む社外取締役3名の選任、取締役会の諮問機関として「指名・報酬諮問委員会」の設置など、経営ガバナンス体制の整備を進めております。これらを次世代経営層の育成とともに維持・強化してまいります。
また、グローバルに事業を展開し国内外に多数のグループ会社を有する当社では、グループ会社の正しい経営が当社グループの成長のために必要不可欠です。前中期経営計画期間に発生した海外工場における品質問題のように、大きな利益流出をもたらす過ちを二度と繰り返さないための取り組みが極めて重要と認識しております。そのためにも、当社及びグループ会社で構築している内部統制体系を、新たな経営体制のもとで一層強化し、健全な経営をグローバルに実現させてまいります。