有価証券報告書-第101期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/22 16:56
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【項目】
112項目

研究開発活動

当社グループは事業ドメインを「Power Electronics」と定め、この分野において一段上の企業像を目指すべく研究開発活動を進めております。基本方針としては、エコ・省エネ、グリーンエネルギー市場を核とした成長戦略の実現及び技術マーケティングの確立と効率的な開発マネジメントによる新製品開発の促進を掲げ、研究開発に取り組んでおります。また、一部の連結子会社にも研究開発部門を設けております。当連結会計年度における研究開発費の総額は売上高の10.03%に当たる175億63百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次の通りであります。
(1) 半導体デバイス事業
半導体デバイス事業においては、製品開発における技術マーケティングの導入により成長市場へのシフトを担う製品開発に注力するとともに、開発工程管理の強化により開発スピードのアップを図っております。また、成長著しい新興国向けの汎用品の製品開発にも積極的に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発の主な成果は次のものがあります。
・デュアルフィードバック制御技術により2つの電源出力の個別制御を実現し、使用部品削減や基板面積の縮小を可能とした、フルデジタル制御デュアルフィードバック電流共振IC MD6701を開発
・ホールセンサ不要のセンサレスベクトル制御を内蔵、部品の集約・高効率化を進め、省エネに貢献するエアコンファンモータ用小型モータドライバIC SX68200Mシリーズを開発
・制御IC、ゲート駆動用IC、スイッチング素子を1パッケージ化することにより、小型軽量化・高信頼性化・高効率化を実現したプラグインハイブリッド車・電気自動車のバッテリー充電システムを構成するOBC(On Board Charger)に最適な製品、PFCモジュールSDE6530シリーズを開発
・SiC-SBDの最大メリットである高速応答性を生かし、電流連続モードPFC回路整流/高速チョッパー回路整流に最適なFMPA-10565を開発
・長期連続使用時に高いRiを保持、UV成分未含有のため美術館でも使用可能、青色励起方式による超高演色LED照明器具の製品化を実現
・出力電流は5Aと大電流に対応、内蔵シーケンサにより少ない信号線で簡単にモータ制御が可能、単一電源での動作に対応した大電流二相ステッピングモータ駆動用IC SX723xMシリーズを開発
・出力素子、プリドライブIC及び制限抵抗付きブートストラップダイオードを1パッケージとし、3シャント方式に対応したユニバーサル入力仕様で100W以下のモータ制御に最適な高圧三相モータドライバIC SIM6880Mを開発
・シリアル通信で回転速度・パラメータを設定するだけで簡単にデジタルPID回転速度制御が行える三相ブラシレスDCモータ用正弦波駆動コントローラIC SI-6635Cを開発
・フローティング・ドライブ回路内蔵、保護機能の充実と使用性の向上を図り、低ノイズで高効率な電源システムが容易に構成可能な電流共振IC SSC3S931を開発
・電装システムの高圧化で市場が拡大している高圧電源や高圧補機モータ用で、AEC-Q100に準拠した高圧ハーフブリッジプリドライバIC SFA6001を開発
・独自構造によりIGBT+Diのワンチップ化を実現、IGBTの低損失化及び部品点数削減によりセットの高効率化に貢献し、フルスイッチ型のPFC回路に最適な650Vフィールドストップ型トレンチIGBT FGAシリーズを開発
・独自のトレンチ構造で容量を低減し、低飽和で高速スイッチングを実現、また、低VF FRDを同梱することでセットの高効率化に貢献、PFC、溶接機などに最適な650Vフィールドストップ型トレンチIGBT FGF65A3L6Lを開発
なお、GaNデバイスに関しては、NEDO基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)「電源用GaN on Si 電子デバイスの研究」で得られたGaN on Si 技術を活かし、HEMT構造の横型デバイスの量産中で、より低コスト化のため、歩留改善に取り組んでおります。バルクGaN基板を用いた縦型デバイスでは、JST研究成果展開事業(スーパークラスタープログラム)に参加し、横型デバイスを超える性能向上の検討を進めております。
SiCデバイスに関しては、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の高温実装技術テーマにおいて、SiCデバイスの高耐熱実装実用化に向けた技術開発を進めております。並行して、NEDO「太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクト/太陽光発電システム効率向上技術の開発/次世代長寿命・高効率ACモジュール開発」を受託開発しており、高効率・高信頼性のSiCモジュールの開発を進めております。
半導体デバイス事業に係る当連結会計年度の研究開発費は163億81百万円であります。
(2) パワーシステム事業
パワーシステム事業においては、グリーンエネルギーをキーワードに「発電・送配電・消費・蓄電」の分野への事業拡大を図るとともに、高効率変換技術を追求して継続的な新商品創出に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発の主な成果は次のものがあります。
・大きなピーク電力が必要な場合はフライホイールから負荷に電力を供給することでピークカットを行い、それ以外の期間でフライホイールに充電を行う、間欠負荷の平準化に対応したフライホイールUPSを開発
・基板実装面積が省スペースで大電流40Aを供給可能、基幹通信装置LSI給電向けPOLコンバータBR220を開発
・ファンレスで装置密閉型構造、小規模システムに最適で高効率・高パフォーマンス・小型軽量で簡単設置・簡単運転、安定した電力供給を実現した屋外用整流器SRF-48V-102を開発
・最大変換効率98.8%、最大電力追従機能を4回路搭載しているため、パネルの向きや影による影響を軽減し、効率の良い電力取り込みが可能な分散型高圧太陽光発電所用パワーコンディショナPPS-333FA1/403FA1 を開発
・業界トップクラスの効率で幅広い温度範囲に使用可能、電流共振回路・同期整流回路採用で高効率・低ノイズを実現した汎用スイッチング電源SWHシリーズに、産業機器向け320Wモデルを開発
パワーシステム事業に係る当連結会計年度の研究開発費は11億81百万円であります。