有価証券報告書-第92期(2024/04/01-2025/03/31)
② 戦略
当社は、気候変動に関するシナリオ分析を実施し、その結果を基にリスクと機会を特定しました。これにより、当社の事業に与えるインパクトを内部的な基準に基づいて定量的に評価しました。
1)シナリオ分析方法
IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)及びIEA(International Energy Agency)の情報を基に、物理シナリオ(RCP8.5、RCP2.6)及び移行シナリオ(STEPS、NZE)を選定し、4℃と1.5℃のシナリオ世界観における分析を行いました。2030年時点の4℃シナリオと1.5℃シナリオには気温上昇に大きな差異が見られないこと、事業視点で2050年時点の移行リスク・機会を予測することは困難であるため次の組み合わせに対して評価を行いました。
2)シナリオ分析結果
シナリオ分析の結果、4℃シナリオの場合、異常気象に伴う災害の激甚化に対して国内外の拠点への対策のみならず、サプライチェーン全体に範囲を広げたリスク対策の重要性を認識しています。一方、1.5℃シナリオの場合は、移行リスクを低減するために、脱炭素化に対する取り組みを継続的に推進するとともに、気候変動に適応する製品・サービス・市場における機会への積極的な対応が必要であると再確認しました。
3)リスクと機会の評価
リスクは、移行リスク(政策と法規制、技術、市場、評判)と物理リスク(急性、慢性)の側面から評価しました。
※1 短期:1年以内、中期:3年以内、長期:3年超(現在は2030年まで)
※2 大:売上~10%、中:売上3%程度、小:売上0.5%~
※3 CBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism):EUが導入した炭素国境調整措置
機会は、資源効率性、エネルギー源、製品とサービス、市場、レジリエンスの側面から評価しています。
※1 短期:1年以内、中期:3年以内、長期:3年超(現在は2030年まで)
※2 大:売上~10%、中:売上3%程度、小:売上0.5%~
4)リスクマネジメント
企業の持続的成長と企業価値向上を実現するためには、事業を取り巻く様々なリスク項目について、事業への影響度と重要度を見極めた上で、中長期で施策を立案、対応していくことが重要であると認識しています。当社は、リスクに対する備えを検討するためのフレームワークとしてリスクマップを作成しており、気候変動関連リスクは経営上のリスクとしてリスクマップに含まれています。具体的な活動としては、年に1回、担当部門がリスク調査を行い、洗い出されたリスクはサステナビリティ委員会で評価・管理しています。また、財務影響度の大きいリスクは取締役会に報告し審議されています。
当社は、気候変動に関するシナリオ分析を実施し、その結果を基にリスクと機会を特定しました。これにより、当社の事業に与えるインパクトを内部的な基準に基づいて定量的に評価しました。
1)シナリオ分析方法
IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)及びIEA(International Energy Agency)の情報を基に、物理シナリオ(RCP8.5、RCP2.6)及び移行シナリオ(STEPS、NZE)を選定し、4℃と1.5℃のシナリオ世界観における分析を行いました。2030年時点の4℃シナリオと1.5℃シナリオには気温上昇に大きな差異が見られないこと、事業視点で2050年時点の移行リスク・機会を予測することは困難であるため次の組み合わせに対して評価を行いました。
| 2030年 | 2050年 | |
| 移行リスク | 2℃/1.5℃シナリオ | - |
| 物理リスク | - | 4℃シナリオ |
| 機会 | 2℃/1.5℃シナリオ | - |
2)シナリオ分析結果
シナリオ分析の結果、4℃シナリオの場合、異常気象に伴う災害の激甚化に対して国内外の拠点への対策のみならず、サプライチェーン全体に範囲を広げたリスク対策の重要性を認識しています。一方、1.5℃シナリオの場合は、移行リスクを低減するために、脱炭素化に対する取り組みを継続的に推進するとともに、気候変動に適応する製品・サービス・市場における機会への積極的な対応が必要であると再確認しました。
3)リスクと機会の評価
リスクは、移行リスク(政策と法規制、技術、市場、評判)と物理リスク(急性、慢性)の側面から評価しました。
| リスク種類 | 気候変動に 関する分類 | リスク | 時間軸※1 | 財務 影響度※2 | 対応策 | |
| 移行 | 新たな規制 | 炭素価格設定 メカニズム | 2023年に欧州で試験導入が始まったCBAM※3は、現在、CO2排出量が多い材料に限定されているが、今後、対象部材の拡大や各国への政策拡大が予想される。低CO2部材を適用しない場合、追徴税の支払いが増加する。また、低CO2部材を適用した場合は、原価率が悪化し収益に影響するリスクがある | 長期 | 中 | 製品群ごとのホットスポット分析を行い、影響が大きい部材から順にCO2排出量低減を推進 |
| 需要の変化 | 顧客行動の変化 | 企業レベルのGHG排出量調査から製品カーボンフットプリント調査に変化しつつあり、算定工数が増加するリスクがある | 中期 | 小 | 製品カーボンフットプリント算定業務を組織的な活動とするための体制強化 | |
| 自動車業界を中心に生産時のCO2排出量削減が加速。低CO2排出材への切り替えや設計が進まず、競争力が低下するリスクがある | 中期 | 中 | 製品群ごとのホットスポット分析を行い、影響が大きい部材から順にCO2排出量低減を推進 | |||
| 物理 | 急性 | サイクロンや洪水等の異常気象の重大度と頻度の増加 | 昨今の異常気象により、どの地域においても大型ハリケーンが直撃するリスクがある。大型ハリケーンが直撃した際のリスクは、河川氾濫による洪水リスクであり、当社生産工場だけでなく、サプライヤー生産工場も同様にリスクがある | 中期 | 小 | 自社工場及び主要サプライヤー工場の洪水リスクマップの作成 |
| 慢性 | 平均気温の上昇 | 平均気温の上昇により、特に夏場において猛暑日が増え、疲労による生産性の低下や空調稼働率増加によりエネルギーコストが上昇するリスクがある | 長期 | 中 | 空調設備のエネルギー消費量増加に伴う電力コスト増加を抑制するため、効率的な省エネ施策と、ポートフォリオ視点での再エネ調達戦略を実現するため、インターナルカーボンプライシング制度を導入 | |
※1 短期:1年以内、中期:3年以内、長期:3年超(現在は2030年まで)
※2 大:売上~10%、中:売上3%程度、小:売上0.5%~
※3 CBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism):EUが導入した炭素国境調整措置
機会は、資源効率性、エネルギー源、製品とサービス、市場、レジリエンスの側面から評価しています。
| 機会の 種類 | 気候変動に関する分類 | 機会 | 時間軸※1 | 財務 影響度※2 |
| 製品/ サービス | 研究開発と技術革新による 新製品又はサービスの開発 | ・気候変動に起因する異常気象が頻繁に発生するようになり、気候変動へ適応した経済活動にシフトしている。気候変動へ適応するには影響と効果を定量的に測定できなければならない。当社は各種センサー技術・製品を有しており、様々な市場に潜在的なニーズがあると予測できる | 中期 | 中 |
| ・気候変動に起因する異常気象は河川洪水による災害リスクや降水量の減少による水ストレス地域の拡大等、水リスクが重要課題になる。当社は漏水センサーや水位センサー等水関連製品・技術を保有しており、これらの需要が増加することが予測できる | 短期 | 小 | ||
| 低排出材及びサービスの 開発・拡張 | ・環境負荷が高いメッキや塗装等に変わる新しい加飾技術(光加飾等)を用いた製品の提供によりビジネスが拡大 | 中期 | 小 | |
| 資源の 効率性 | より効率的な生産及び流通プロセスの利用 | ・物流トラッカーの市場導入により効率的な流通に貢献 ・アナログメーターの市場導入により工場のIoT化に貢献 | 中期 | 小 |
※1 短期:1年以内、中期:3年以内、長期:3年超(現在は2030年まで)
※2 大:売上~10%、中:売上3%程度、小:売上0.5%~
4)リスクマネジメント
企業の持続的成長と企業価値向上を実現するためには、事業を取り巻く様々なリスク項目について、事業への影響度と重要度を見極めた上で、中長期で施策を立案、対応していくことが重要であると認識しています。当社は、リスクに対する備えを検討するためのフレームワークとしてリスクマップを作成しており、気候変動関連リスクは経営上のリスクとしてリスクマップに含まれています。具体的な活動としては、年に1回、担当部門がリスク調査を行い、洗い出されたリスクはサステナビリティ委員会で評価・管理しています。また、財務影響度の大きいリスクは取締役会に報告し審議されています。