有価証券報告書-第89期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/23 15:01
【資料】
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【項目】
153項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、企業理念「アルプスアルパインは人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します」、及び現在のESG、SDGsにも通ずる創業期制定の社訓をベースとした「価値の追求」「地球との調和」「社会への貢献」「個の尊重」「校正な経営」の5つの経営姿勢をグループ共通の価値観として、各社が連携して経営計画を推進し、業容の拡大と企業価値の最大化を図っていきます。
当社では、事業ビジョンに「Perfecting the Art of Electronics」を掲げ、「Right(正しい、最適、適切)、Unique(独自性、差異化)、Green(環境にやさしい)」の実現により、全ての人々、社会に対して当社が約束する独自の価値を追究していきます。
物流事業では、(株)アルプス物流が電子部品を主な取扱い貨物とし、企業理念を「ものづくりを支える最適物流を追求し、豊かな社会の実現に貢献します」、事業領域を「電子部品を核とした総合物流サービス」と定めています。
(2) 中長期的な経営戦略と目標とする経営指標
当社は2019年の経営統合から3年が経過し、各事業の融合を織り込んだうえで2022年4月から第2次中期経営計画がスタートしました。これに合わせて事業セグメントの変更を行い、収益基盤の維持・拡大を目指す「コンポーネント事業」、今後の成長領域と位置付けて伸ばす「センサ・コミュニケーション事業」、改善により収益体質の良質化を図る「モジュール・システム事業」へと再整理を行いました。
現在、3年にわたる第2次中期経営計画に取り組んでおり、経営統合時に掲げた全社の目指す姿「革新的T型企業“ITC101”」への取り組みを継続し、コアデバイスを深耕して製品力を高める「縦のI型」と、広範なデバイスや技術をシステムに仕上げる「横のI型」を合わせた革新的な「T型」企業へと進化すべく、更なる取り組みを進めています。
さまざまな事業環境の変化を鑑み、この度、第2次中期経営計画のスタートを機に経営目標を見直し、第1次中期経営計画で掲げた売上高1兆円、営業利益率10%は継続した上でROE(自己資本利益率)10%を加えました。この達成時期については、第3次中期経営計画期間の2027年度としています。
これらの実現に向けて、既存事業の良質化と新事業へのリソースシフト、マーケティング力の強化、当社製品の独自性や強みを融合させて更に高める「T型」戦略と、コア技術の深耕によって新たな技術や製品を生み出す「しみだし」による製品開発の追求、DX(Digital Transformation)を用いた業務・原価改革などコスト改革の推進、ものづくり品質を更に極めることによる顧客満足の向上などに鋭意、取り組んでいきます。
物流事業では、(株)アルプス物流の中期経営計画の基本方針を「地球と社会にやさしく・最適物流の追求と進化」と定め、電子部品物流、消費物流共に個々の顧客に合わせた物流サービスの提供を目指します。
(3) 会社の経営環境と対処すべき課題
当社グループを取り巻く環境は、依然として先行きを見通すことが大変困難です。各国では新型コロナウイルスワクチン接種が進み、経済活動は、まだら模様ながら回復傾向にありますが、半導体不足の長期化や地政学リスクなどにより、予断を許さない状況です。
自動車産業では、主要各国でEV化政策が打ち出され、各自動車メーカーで具体的な目標を定めた開発活動や量産化が進んでいます。CASEへの対応や高機能・多機能化ニーズなど、自動車におけるエレクトロニクス製品の重要性が増しており、今後も拡大していくものと期待されます。また、5G通信の普及により、モバイル機器の伸張を始め、VR(Virtual Reality)やAR(Augmented Reality)の実用化、AI、IoT、ロボティクス等、DXの社会実装も伸長しています。また、地球温暖化対策も喫緊の課題として、EV化を始め、再生可能エネルギーの活用など脱炭素化の動きが今後ますます加速するものと考えています。
これらの経営環境において、当社は「ステークホルダー価値の最大化とCSR(企業の社会的責任)・ESG(環境、社会、ガバナンス)の両立」を目指す会社の姿とするとともに、「ハードウェア+ソフトウェアの両技術で、快適・感動、安全、環境の価値を創出するT型企業」を目指す事業の姿としました。
経済価値だけでなく、社会貢献や社会的価値の創出を目指すこと、またハードとソフトを融合したT型の強みを生かすことで当社の優位性を発揮し、持続的な成長へとつなげていきます。
物流事業では、主要顧客である電子部品業界において、さまざまな機器や自動車の電子化の進展によって今後も成長が予想されています。一方で、お客様の商品やマーケットの変化によるサプライチェーンの変化も進んでおり、お客様の物流ニーズは高度化かつ多様化しています。このような中、お客様ごとの「最適物流」を追求し、より多くのお客様にサービスを提供していくことで、更なるグローバル成長を図ります。なお、2022年4月28日開催の当社取締役会において、当社連結子会社である(株)アルプス物流を、2022年6月22日開催予定の同社株主総会における取締役異動案の可決を前提に、2022年6月30日に持分法適用関連会社に変更することに同意しました。取締役異動案は同社株主総会において可決されたことから、同社は2022年6月30日に持分法適用会社に変更される予定です。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」を参照ください。
また、その他の事業についても、グループ外部に対する拡販活動の強化などにより、収益への貢献を果たしていきます。