有価証券報告書-第63期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 14:16
【資料】
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【項目】
136項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は154,775百万円(前連結会計年度末144,041百万円)となり、10,734百万円増加いたしました。
現金及び預金の増加(49,167百万円から66,820百万円へ17,652百万円増)、商品及び製品の減少(31,665百万円から26,398百万円へ5,266百万円減)及び原材料及び貯蔵品の減少(16,427百万円から14,708百万円へ1,718百万円減)が大きく、現金及び預金の増加の原因の主なものは、たな卸資産の減少及び投資有価証券の売却によるものであります。また、商品及び製品、原材料及び貯蔵品の減少の原因の主なものは、在庫管理の徹底による効率化などに取り組んだことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は34,920百万円(前連結会計年度末37,300百万円)となり、2,379百万円減少いたしました。
投資有価証券の減少(4,364百万円から2,814百万円へ1,550百万円減)が大きく、その原因の主なものは、投資有価証券を売却したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は51,378百万円(前連結会計年度末53,692百万円)となり、2,314百万円減少いたしました。
支払手形及び買掛金の減少(32,942百万円から31,625百万円へ1,317百万円減)及び短期借入金の減少(4,526百万円から4,012百万円へ514百万円減)が大きく、支払手形及び買掛金の減少の原因の主なものは、原材料等の仕入が減少したことによるものであります。また、短期借入金の減少の原因の主なものは、運転資金として銀行から調達していた借入金を返済したためであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は10,435百万円(前連結会計年度末9,964百万円)となり、471百万円増加いたしました。
長期借入金の増加(6,121百万円から6,683百万円へ562百万円増)が大きく、その原因の主なものは、米ドル建ての借入金において、為替換算レート差による円換算額が増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は127,881百万円(前連結会計年度末117,684百万円)となり、10,197百万円増加いたしました。
その原因の主なものは、利益剰余金の増加(93,196百万円から93,840百万円へ644百万円増)及び為替換算調整勘定の増加(△17,495百万円から△8,188百万円へ9,307百万円増)によるものであります。
(2)経営成績の分析
当連結会計年度における当社の主要市場である米国の景気は、年明け以降、西海岸港湾の労働問題や寒波などの影響から鈍化がみられたものの、全般的には回復傾向となりました。欧州の景気は、ロシア経済の低迷やギリシャ債務危機再燃の影響はありましたが、ドイツを中心に緩やかな回復基調がみられました。中国では住宅市場の悪化などから景気減速がみられました。わが国におきましては、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動に加え天候不順の影響から景気回復ペースは緩慢な動きとなりました。
このような状況下、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の当連結会計年度の売上高は217,088百万円(前期比7.2%減)となりましたが、利益面につきましては、営業利益は564百万円(前期は5,465百万円の営業損失)となり、経常利益は為替差益1,570百万円の発生等により1,924百万円(前期は2,253百万円の経常損失)、当期純利益は1,354百万円(前期は6,745百万円の当期純損失)となりました。
DVD・BD関連製品やプリンターなど売上高の減少はみられますが、在庫管理の徹底による効率化などに取り組んだことから損益が改善いたしました。
(3)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益の計上、売上債権の減少及びたな卸資産の減少等があったものの、仕入債務の減少、定期預金の預入による支出及び有形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度末に比べ621百万円(1.4%)減少し、当連結会計年度末には42,991百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は16,897百万円(前年同期は1,251百万円の使用)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上、売上債権の減少及びたな卸資産の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は17,360百万円であり、前連結会計年度に比べ14,630百万円(535.8%)増加となりました。これは主に定期預金の預入による支出及び有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は2,725百万円であり、前連結会計年度に比べ1,950百万円(41.7%)減少となりました。これは主に短期借入金の減少及び配当金の支払によるものであります。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクには以下のものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(当社グループの経営方針について)
当社グループは、グローバル規模での最適地生産・販売体制のもと、良質で低価格の製品を消費者に提供する方針をとっており、主要製品である映像機器(DVD関連製品・液晶テレビ等)及び情報機器(プリンター等)並びにその他(受信関連用電子機器・オーディオアクセサリー等)の製造・販売を行っております。
上記デジタル製品分野は、価格競争が激しく、ライフサイクルも短く、かつ新技術・新機能の開発競争も激化しており、これらの状況は当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
① 製品のコスト、市場価格について
当社グループは、ウォルマートを代表とするマスマーチャンダイザーの顧客を最大のターゲットにしているため、低価格の実現が必要と考えております。このため、最適地生産体制の確立、独自に開発した生産性向上システムであるFPS(フナイ・プロダクション・システム)の一層の深耕を図るとともに、部品の内製化及び集中購買等を通じてコスト削減を行っております。
しかし、当民生用電気機器業界は競争が激しいため、部品・原材料価格が上昇した場合は、これらの対策を実施したにも拘らず、コスト圧力が生じ当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 新技術への対応について
当民生用電気機器業界におきましては、かつてないスピードでのグローバル化、業際を越えた業界再編、インターネットの浸透と環境に配慮した社会の進展といった変化の中、市場ニーズも多様化しており、新製品開発の質・量・スピードを高めていく必要があります。
当社グループでは、こうした課題に対応すべく、他社との事業提携や産学連携、人材育成などにより新規事業分野を中心とする技術力の向上、場合によってはM&A等も選択肢の一つとして捉えております。しかし、予想以上の市場ニーズの多様化や技術革新等の発生によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 製品・サービスの欠陥について
当社では、品質管理及び技術関係部署を中心に品質の維持向上に努めております。また、国内外にサービス会社を設立しサービス体制を整えております。ただし、製品の欠陥が生じ、製品の修理、交換の対応に問題が生じた場合、その保証の影響及び社会的評価の低下等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 知的財産権について
近年、自社販売商品を持たずに、第三者から購入した知的財産権を用いて特許訴訟を提起して特許実施料収入を得る、所謂「パテント・トロール」の活動が盛んになっております。この傾向に製造販売業界全体が苦慮しており、このトロールの活動如何では多額の賠償額支払いを余儀なくされ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 企業買収及び業務提携等について
当社グループでは売上拡大と収益向上を効率的に実現するため、企業買収や業務提携を行うことがあります。しかし、様々な要因により、企業買収が合意に至らない場合、当初期待した相乗効果が得られない場合、提携関係を継続できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績、成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。
(海外市場動向等の影響について)
① 北米市場への依存度について
当社グループの売上高は海外市場の構成が高く、特に北米市場への全売上げに占める割合は当連結会計年度実績で70.1%となっております。
そのため、北米の景気が急速に後退した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 中国での生産依存について
当社グループは、コストメリットが活かせる地域に生産を集中させ、部品の大量一括購買を行うことにより、製品の価格競争力の向上を図っております。当連結会計年度における海外生産比率は99.0%であり、そのうち、中国における生産(委託加工及び自社生産)比率は62.1%となっており、生産拠点の分散化を図ってきたことから同国での生産比率は低下傾向にありますがまだ高い水準にあります。同国において人件費の高騰、政治体制の変動、紛争・自然災害の発生等、不測の事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替変動リスクについて
当社グループは、主力製品について最適地生産・販売体制の考えに基づいて生産地を決定しております。
中国におきましてはDVD関連製品、液晶テレビ及びプリンター等を生産(委託加工を含む)しております。また、タイにおきましては液晶テレビ、フィリピンではインクカートリッジを生産しております。
一方、販売につきましては、当社がこれらの製品を当該海外生産子会社から仕入れ、海外販売子会社を通じて、もしくはOEM供給先に対する直接販売等によって、北米等を中心とした世界の市場に向けて販売する他、国内におきましても直接販売及び販売子会社を通じて販売を行っております。
仕入総額に対する海外生産子会社からの仕入比率は、当連結会計年度85.3%であるのに対して、海外売上高の割合は、同85.2%となっており、大半の仕入、販売取引は米ドル建てにて行われております。そのため、為替変動に伴うリスクも軽減されていると考えております。
しかし、為替変動のリスクは完全に排除できておらず、海外通貨建ての資産・負債は決算日時点の為替レートにより円換算されることから、大幅な為替変動は当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(その他のリスク)
① 法的規制について
当社グループは事業を展開する各国において、商取引、輸出入、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、金融取引及び事業者への課税をはじめとする様々な法規制の適用を受けます。これらの法規制あるいは当局の法令解釈が従来から変更になること等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 訴訟等について
当社グループは国内外で展開する事業において、継続的に運営に関する各種の訴訟リスクが存在します。重要な訴訟等が提起された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 情報管理について
当社グループの社内システムについて情報漏洩対策やウィルス防御システムの導入などを施しておりますが、人的ミスや新種のウィルス等に起因する情報漏洩やシステムダウンを完全に防御できない可能性があります。こうした事象が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 退職給付債務について
当社グループ及び一部のグループ会社では、確定給付企業年金制度を設けており、その退職給付債務は、年金資産に係る長期期待運用収益率や割引率などの数理計算上の前提に基づいて算出されております。しかしながら、その前提条件に変更の必要が生じた場合や運用環境の悪化等により年金資産が減少した場合、また、年金制度の変更等により将来の退職給付費用が増加した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 繰延税金資産について
当社グループは、将来の課税所得に関する様々な予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産は減額され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 資金調達について
当社グループの業績の悪化により、資金調達の制約を受け、資金調達コストの上昇を招く可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、借入金の一部には財務制限条項が付されており、この条項に抵触した場合には借入利率の上昇や期限の利益を喪失する等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。