有価証券報告書-第53期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/19 15:11
【資料】
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【項目】
81項目

事業等のリスク

当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。当グループでは、リスクマネジメントを含むグループの内部統制全般を統括する組織として「内部統制委員会」を設置しております。メンバーは取締役社長と担当執行役員及び監査等委員(社外取締役を除く)で構成されており、当委員会では、さまざまなリスクについて定期的に抽出を行い、その中でもグループとして事業に与える影響が大きなリスクを特定して対策を講じています。さらに各地域、各部門ごとの活動テーマにおいても、年度単位で計画立案し、定期的に報告を行っております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 為替変動による影響について
当社グループは検体検査に関連する製品及び関連するサービスを提供する「ヘルスケア事業」を主たる事業としております。また、当社グループは海外関係会社及び代理店を経由して海外へ販売を行っており、連結売上高に占める海外売上高の比率は、2019年3月期85.0%、2020年3月期84.5%と高い水準で推移しております。このため、為替予約等によるリスクヘッジを実施するなど対処しておりますが、当社グループの経営成績及び財政状態は為替変動による影響を受けております。
なお、2020年3月期における為替影響は、以下の通りであります。
1円変動の影響売上高営業利益
USD590百万円161百万円
EUR432百万円114百万円
CNY5,073百万円3,585百万円

(2) 医療制度改革の影響について
急速な少子高齢化、医療技術の進歩、患者の医療の質に対する要望の高まり等、医療を取り巻く環境変化を背景に、医療費を適正化し質の高い医療サービスを効率的に提供するための医療制度改革が継続して進められております。当社グループの経営成績及び財政状態は、このような医療制度改革の影響を受ける可能性があります。
当社グループは、今後も医療費の適正化政策が継続し、病院経営の効率化や医療の高度化・新たな検査への対応が求められる環境下で、個別化医療に資する診断技術創出等のライフサイエンスの事業化を進める一方、検体検査機器、検体検査試薬、IT、サービス&サポートを合わせたトータルソリューションを提供し、多様化するニーズにきめ細かく対応できるよう努めてまいります。
(3) 製品の品質について
当社グループが供給する検体検査機器製品及び診断薬製品等には高い信頼性が要求されるため、万全の品質管理体制の下、製品の品質保証に取り組んでおります。
しかしながら、万が一製品に品質問題が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、各国の法令・国際規格等に準拠する品質を維持するための仕組みの整備・運用はもとより、国内外の市場及び社内からの信頼性や安全性に関する情報を調査・分析し、設計品質の向上につながる技術情報の蓄積、新製品の量産開始・市場導入前の品質チェックに活かすことによって、品質保証の強化に取り組んでおります。
(4) 製品の安定供給について
当社グループでは、検体検査機器製品及び診断薬製品等を世界190カ国以上に供給しており、市場への製品の安定的供給に努めております。
しかしながら、サプライヤーの事業停止などにより原材料の調達が困難となった場合や、製造拠点が大規模な自然災害や感染症等の発生、また火災などの重大な事故に罹災した場合には、市場への製品供給に支障をきたす可能性があります。その場合には、特に当社グループ売上高の57.3%(2020年3月期)を占める診断薬製品に大きな影響を与えます。
そのため、当社グループの主力事業である血球計数検査分野の診断薬に関しては、安全在庫の1ヵ月以上確保、生産拠点の複数化を推進すると共に、原材料については複数社購買や備蓄などによるリスク回避に努めると共に、製造拠点においても災害等に対する予防・復旧対策の充実に取り組んでおります。
(5) 情報システム利用におけるリスク対策について
当社グループでは、情報伝達や基幹業務支援、稟議等の決裁手続きに各種情報システムを導入しており、事業上の情報の多くはネットワークを通じて処理しております。
そのため、情報システムやネットワーク回線の障害、あるいはコンピュータウィルスや外部からの情報システムへの侵入等による業務への影響を最小限に抑えるために、ネットワークの二重化や日常における運用管理の徹底、ウィルスゲートウェイの設置等によるセキュリティ対策のほか、厳格なユーザー管理や指紋認証装置によるアクセス制御などの内部統制の強化に取り組んでおります。
(6) 企業買収等に関わるリスクについて
当社グループでは、持続的成長や事業展開の手段としてM&Aまたは資本提携等を実施することがあります。これらのM&A等の実施にあたっては事前に十分な調査を行い、当社の負担するリスクを限定するよう努めております。しかし、対象会社の経営環境や事業の変化、事前調査において判明しなかった情報の露呈、または買収後の対象企業の経営環境や事業の変化等の影響を受け、期待されていた効果等が実現されない可能性があります。
(7) その他のリスクについて
当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。これらの拠点において、地震等の大規模な自然災害の発生やテロ被害、新型インフルエンザ等、人類が免疫を持たない未知の感染症の世界的な蔓延(パンデミック)に見舞われ、当社のグループの設備・インフラへの甚大な被害や人的被害が生じたり、顧客の需要低下、人材の確保並びに労働環境のリスクが高まった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。