有価証券報告書-第123期(2025/04/01-2026/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度の世界経済は、国際情勢や通商環境が不安定な中、主要国におけるインフレ率の安定化が進み、総じて底堅く推移しました。しかしながら、2月以降中東情勢が緊迫化し、供給制約に伴う資源価格の上昇、それに伴う物価上昇や個人消費の低迷など各国の経済が下振れる可能性も想定されます。
国内経済においても、個人消費の持ち直しや企業業績の堅調さを背景に、緩やかな回復基調が続くものの、資源価格の動向や物価の上振れ懸念など引き続き注意が必要です。
当社グループの舶用推進システム事業と関連性の高い造船業界では、日米協力に関する覚書の締結や「造船業再生ロードマップ」の策定など、建造能力拡大に向けた動きが徐々に進展しております。また、足元の建造船台はすでに埋まっており、一部の造船所では2030年納期の新造船を受注するなど、国内造船所各社は十分な手持ち工事量を確保しています。
物流システム事業においても、米国市場での競争優位性を引き続き維持しており、アジア地域及び国内における新設、既存設備の増設、老朽化に伴う更新需要が堅調に推移しております。
当社グループの主力事業の受注環境は当面、概ね良好な状況が続くものと見込んでおります。
国際情勢の動向や、金利・為替レートの急激な変動といった要因には引き続き注意が必要ですが、当社グループでは、有利子負債を適切な水準に維持することや為替予約の活用などにより、これらのリスクに対して適切に対応しております。
このように不確実性が高く、かつ変化の激しい外部環境の下で持続的な成長を実現するため、当社グループは、今後3年間の姿を固定的に定めるのではなく、常に計画を更新し続けるローリング方式の中期経営計画を採用しております。2024年度の決算実績も踏まえ、3年後となる2027年度までを対象とした機能戦略(財務・人材)及び事業戦略をローリングした「三井E&S Rolling Vision 2025」を2025年5月に策定しました。本計画では、中長期的に目指す姿へ向けて中核事業のさらなる成長と新規事業の拡大への事業投資を進めるとともに、適正な配当政策による株主還元を行い、株主資本コストと負債コストのバランスを意識し企業価値向上に努めてまいります。
舶用推進システム事業においては、当社グループのグリーン技術に基づき、アンモニア焚きエンジンなどの二元燃料エンジンの開発・製造を強化するとともに、関連する周辺機器事業の拡大を進めております。また、舶用推進システムのサプライヤーとして、海上物流分野における脱炭素社会の実現に引き続き貢献してまいります。こうした取り組みの一環として、川崎重工業株式会社と共同で、液化アンモニアを燃料として使用可能なLPG/アンモニア運搬船について、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)より基本設計承認(AiP)を取得いたしました。これにより、アンモニア焚きエンジンの実用化に向けた技術的信頼性が一段と高まりました。また、環境省と国土交通省の連携事業である「ゼロエミッション船等の建造促進事業」に、「アンモニア燃料推進システムの生産能力増強」を応募し、採択されております。
物流システム事業においては、2025年4月にクレーン輸送船「YAMATO」の引渡しを受け、同船を自社保有することで海上輸送能力を強化いたしました。これにより、世界市場への展開に向けた基盤を構築するとともに、将来の生産能力拡大に向けた投資も進めております。また、横浜港において水素燃料電池を用いた荷役機械の実証運転を開始し、環境対応技術の開発を推進しております。国内向け受注では、東京港中央防波堤外側コンテナ埠頭Y3バース向けにヤード用コンテナクレーン(トランステーナ)を17基受注、東南アジア向けでは、Westports Malaysia Sdn Bhd向けヤード用コンテナクレーンを15基受注するなど引き続き好調で、更に米国ロングビーチ港向けに岸壁用コンテナクレーン(ポーテーナ)2基を受注するなど、海外展開も着実に進展しております。こうした取り組みを通じて、国内外コンテナターミナル事業の発展に、より一層の貢献を果たしてまいります。
成長事業推進事業においては、デジタル技術を活用した保守・メンテナンス分野の強化を進めております。具体的には、船体汚損の管理を行う新サービス「FALCONs(Fouling Advanced Lifecycle Control Service)」の提供、港湾クレーンや各種プラントなど多様な設備を対象としたドローンによる点検・保守サービスの展開、さらに港湾ターミナルの運営効率を向上させるソリューションの提供などを推進しております。
また、財務基盤の強化や収益構造の改善に取り組んだ結果、当社は2025年12月24日付で、株式会社格付投資情報センター(R&I)より、発行体格付「A-」、方向性「ポジティブ」を新規に取得いたしました。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ453億41百万円増加の4,945億54百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ143億23百万円減少の2,607億34百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べ596億64百万円増加の2,338億19百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、受注高は3,158億4百万円(前期比△25.1%)、売上高は3,531億96百万円(前期比+12.1%)、営業利益は376億41百万円(前期比+62.7%)、経常利益は448億92百万円(前期比+61.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は384億56百万円(前期比△1.6%)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度との比較については、変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(成長事業推進)
受注高は432億85百万円(△5.8%)、売上高は437億57百万円(+9.3%)、営業利益は87億72百万円(+28.4%)となりました。
(舶用推進システム)
受注高は1,310億51百万円(△38.5%)、売上高は1,497億37百万円(+10.5%)、営業利益は144億74百万円(+93.6%)となりました。
(物流システム)
受注高は665億58百万円(△12.6%)、売上高は651億85百万円(+3.9%)、営業利益は139億39百万円(+134.1%)となりました。
(周辺サービス)
受注高は747億80百万円(△13.6%)、売上高は943億33百万円(+25.5%)、営業利益は8億26百万円(前期は16億15百万円の損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて212億12百万円増加して545億89百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、284億19百万円(前連結会計年度は148億52百万円の収入)となりました。これは主として、仕入債務の減少及び法人税等の支払などによる支出があった一方、税金等調整前当期純利益の計上並びに売上債権及び契約資産の減少などによる収入があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の収入は、25億52百万円(前連結会計年度は609億2百万円の収入)となりました。これは主として、有形及び無形固定資産の取得などによる支出があった一方、有形及び無形固定資産の売却及び関係会社株式の売却などによる収入があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、104億17百万円(前連結会計年度は765億66百万円の支出)となりました。これは主として、長期借入金の返済及び配当金の支払などによる支出があったことによるものであります。
[財政状態の推移:連結ベース]
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ453億41百万円増加の4,945億54百万円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が120億30百万円、流動資産その他が108億47百万円それぞれ減少した一方、現金及び預金が217億2百万円、投資有価証券が253億30百万円、投資その他の資産その他が190億75百万円それぞれ増加したことなどによります。
負債は、前連結会計年度末と比べ143億23百万円減少の2,607億34百万円となりました。これは、電子記録債務が75億63百万円、長期借入金が63億80百万円それぞれ減少したことなどによります。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、その他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ596億64百万円増加の2,338億19百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度と比べて1,058億95百万円減少(△25.1%)の3,158億4百万円となりました。
売上高は、舶用推進システム事業において大型エンジン及び二元燃料エンジンが増加したことや物流システム事業において大型工事が順調に進捗したことなどにより、前連結会計年度と比べて380億83百万円増加(+12.1%)の3,531億96百万円となりました。
営業利益は、売上高の増加に加えて、舶用推進システム事業及び物流システム事業の損益が改善したことなどにより、前連結会計年度と比べて145億11百万円増加(+62.7%)の376億41百万円となりました。
経常利益は、営業利益の増加などにより前連結会計年度と比べて171億36百万円増加(+61.7%)の448億92百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、関係会社株式売却益が減少したことなどにより、前連結会計年度と比べて6億17百万円減少(△1.6%)の384億56百万円となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度との比較については、変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(成長事業推進)
脱炭素分野では、国内初となる洋上水素ステーション向け高圧大流量水素圧縮機を納入しました。水素市場を含む脱炭素市場の立上りの遅れにより、高圧大流量水素圧縮機の新規受注には至りませんでしたが、国内製鉄所向け高炉用送風機は2024年度に引き続き大型案件2件を連続受注しました。
デジタル分野では、設備点検における人手依存の解消を目的とし、ドローンによる点検からデータ管理・評価までを一体化した新しいデジタルソリューションの提供を開始しました。ドローン自動飛行ルート作成アプリ「ドローンスナップ」により同一画角で撮影した点検画像データを、一元管理する「ドローンスナップクラウド」上に蓄積し、時系列での比較・分析を可能とすることで、点検業務の安全性向上と共に効率化を実現しています。
今後も様々な機能拡張を図り、点検品質の向上と設備保全の高度化を推進し、引き続き、人口縮小化社会における保守・メンテナンス分野の課題解決に取り組み、お客様の安定稼働・安全運転に貢献してまいります。
受注高は、前期に産業機械製品の大型案件の受注があったことなどにより、前期と比べて26億68百万円減少(△5.8%)の432億85百万円となりました。売上高及び営業利益は、産業機械製品の増加に加えてアフターサービス事業が好調に推移したことにより、それぞれ前期と比べて37億39百万円増加(+9.3%)の437億57百万円、19億41百万円増加(+28.4%)の87億72百万円となりました。
(舶用推進システム)
GHG排出量削減を目的とした国際的な環境規制の強化を背景に、LNG、LPG、メタノール等を燃料とする舶用低速二元燃料エンジンの需要が拡大してきており、2025年度は当社においても受注・生産ともに堅調に推移しました。二元燃料エンジンについては、グループ会社である株式会社三井E&S DU(MESDU)が受注したWinterthur Gas & Diesel(WinGD)ライセンスのメタノール焚きエンジンを当社玉野工場において製造し、両ライセンスのエンジン生産体制を確立しました。MESDUではWinGDエンジンの引合いが増加しており、当社玉野・MESDU相生両工場でEverllence/WinGD両ライセンスエンジンを柔軟に生産し、顧客ニーズに応える高品質なエンジンを供給してまいります。
将来のゼロエミッション燃料として期待されるアンモニアについては、2026年2月にEverllenceライセンスのアンモニア焚きエンジン及び当社製アンモニア燃料供給装置の船級・客先立会試験を完了しました。グループ会社であるTGE Marine Gas Engineering GmbHの知見も生かし、当社グループは推進システムサプライヤーとして燃料供給装置を含むアンモニア燃料推進システムを提供してまいります。
アフターサービス事業については、ドック工事増加や環境規制対応需要を背景に、高水準の受注・売上を確保しています。
受注高は、前期に大型エンジンの複数基を一括受注したことなどにより、前期と比べて818億81百万円減少(△38.5%)の1,310億51百万円となりました。売上高は、大型エンジン及び二元燃料エンジンが増加したことなどにより、前期と比べて142億30百万円増加(+10.5%)の1,497億37百万円となり、営業利益は、売上高の増加に加えて、アフターサービス事業が好調に推移したことなどにより、前期と比べて69億97百万円増加(+93.6%)の144億74百万円となりました。
(物流システム)
ベトナムにおける大型案件の連続受注、カンボジアのODA案件など、海外での受注は好調を維持しております。国内においては、2025年度は案件が少ない状況でありましたが、ほぼ100%の受注率を達成し、国内外ともに目標値を達成しました。
米国においては、国家安全保障に基づくコンテナクレーンの需要が高まる中、ポーテーナ2基を受注しました。これにより、米国港湾の顧客に信頼されるパートナーとしての地位をさらに確固たるものとしていきます。
ベトナムにおいては、現地で生産したトランステーナ4基を納入しました。今後も引き続き、ベトナムでの生産拡大に向けて取り組んでまいります。
また、今後拡大が見込まれる遠隔操作案件に関しては、東京港向けに遠隔操作トランステーナ17基を受注しました。さらに、製鉄所向けの製品出荷用クレーンについて、無線リモコン化改造工事を完了し、今後、デジタルという切り口で製品の価値を高め、人口縮小社会への課題解決に貢献してまいります。
アフターサービス関連は、コンテナクレーンの稼働状況に応じた維持管理計画を含む予防保全の提案や大型案件の創出により引き続き好調です。パーツサプライでは、顧客が在庫の拡充を図る売れ筋部品や新規案件の推奨予備品、予備スプレッダなどの受注が好調です。
受注高は、国内向けを始めアジア諸国や米国など海外向けにおいても着実に積み上げましたが、過去最高の受注高を記録した前期と比べて95億53百万円減少(△12.6%)の665億58百万円となりました。売上高は、大型工事の順調な進捗などにより、前期と比べて24億17百万円増加(+3.9%)の651億85百万円となり、営業利益は、売上高の増加や大型工事の採算改善などにより、前期と比べて79億84百万円増加(+134.1%)の139億39百万円となりました。
(周辺サービス)
周辺サービス事業においては、国内子会社におけるシステム関連や鋼構造物等の安定した受注により売上を牽引しました。一方、海外子会社では受注契約時期の遅延などにより受注高は減少したものの、既受注工事が順調に進捗したことにより、売上高は増加し、採算も改善いたしました。
受注高は、前期に大口工事の受注があったことなどにより、前期と比べて117億82百万円減少(△13.6%)の747億80百万円となりました。売上高は、主に海外子会社において増加したことにより、前期と比べて191億39百万円増加(+25.5%)の943億33百万円となり、営業損益は、海外子会社における採算の改善などにより、前期の16億15百万円の損失から8億26百万円の利益となりました。
c. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a. 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、当社グループの製品製造のための材料費、外注費、人件費等の運転資金需要や、投資資金需要であります。このうち、運転資金需要については、今般の豊富な受注残高を背景に旺盛な状況が継続しております。投資資金需要は、主に中核事業のグリーン技術・デジタル技術を活用するために必要な成長投資資金及び製造工場を維持・増強するための設備投資資金になります。
当社グループでは、有利子負債の過度な増加を抑制する観点から、運転資金の増加を適切にコントロールしていくとともに、設備投資、投融資などの長期性資金については、主力事業への成長投資資金に集中させることで、一時的な多額の資金支出を抑制していく方針としております。
b. 資金調達
当社グループの運転資金需要、投資資金需要に対しては、事業活動で得たキャッシュ・フローにて賄うことを基本とし、日々の資金の動きで不足が生じた場合は、金融機関からの借入等により調達しております。借入金を適時調達できる状態を維持するため、取引金融機関とは長年にわたる良好な取引関係を維持・構築しており、加えて、一部の金融機関とはコミットメントラインを設定することにより、緊急の資金需要にも備えております。また、上場子会社を除いた国内連結子会社との間ではCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、グループ全体での資金効率を高め、安定的に資金の流動性を確保できる体制を構築しております。
なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
※当社では、リース債務を別管理しております
④ 経営計画の達成・進捗状況
当社グループは、2024年8月に公表したローリング方式の中期経営計画「三井E&S Rolling Vision 2024」及び2025年5月に公表した「三井E&S Rolling Vision 2025」(以下、「RV2025」)において、株主資本コスト及び負債コストを意識した経営へ移行し、投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回る状態の実現を目指しております。
RV2025の初年度に当たる2025年度においては、ROIC9%を目標として設定しておりましたが、実績は16%となり、WACC9%を上回る結果となりました。また、同年度の配当性向についても、目標水準である15%を達成いたしました。
一方で、2025年度は豊富な工事量を背景に計画を大幅に上回る営業利益を計上したものの、中東情勢の緊迫化や資源価格の上昇に伴う物価上昇などにより、不確実性の高い事業環境が継続しております。こうした状況を踏まえ、当社グループは、2028年を目標年度とする機能戦略(財務・人材)及び事業戦略をローリングした「三井E&S Rolling Vision 2026」(以下、「RV2026」)を2026年5月に策定いたしました。
RV2026では、「グリーン技術」及び「デジタル技術」を活用し、マーケティングとイノベーションの両輪を回すことにより、中核事業である舶用推進システム事業、物流システム事業並びに新規事業の持続的な成長を図ることを成長戦略としております。また、戦略の推進に向けて投資活動の加速を図るとともに、人的資本経営の推進にも取り組んでまいります。
当社グループの主力事業における受注環境は、当面、比較的良好な状況が継続するものと見込まれます。一方で、事業環境の不透明性を踏まえ、持続的な成長の実現に向けて必要な事業投資を着実に実行するとともに、適正な配当政策を通じた株主還元に努めてまいります。あわせて、株主資本コストと負債コストのバランスを意識した財務運営を行い、これらの取り組みを通じて中長期的な株主価値の向上を図ってまいります。
なお、RV2026の各施策につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。
<三井E&S Rolling Vision 2026 数値目標>
※ ROIC=(営業利益-法人税等合計)÷(株主資本と有利子負債の前当期末平均)


① 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度の世界経済は、国際情勢や通商環境が不安定な中、主要国におけるインフレ率の安定化が進み、総じて底堅く推移しました。しかしながら、2月以降中東情勢が緊迫化し、供給制約に伴う資源価格の上昇、それに伴う物価上昇や個人消費の低迷など各国の経済が下振れる可能性も想定されます。
国内経済においても、個人消費の持ち直しや企業業績の堅調さを背景に、緩やかな回復基調が続くものの、資源価格の動向や物価の上振れ懸念など引き続き注意が必要です。
当社グループの舶用推進システム事業と関連性の高い造船業界では、日米協力に関する覚書の締結や「造船業再生ロードマップ」の策定など、建造能力拡大に向けた動きが徐々に進展しております。また、足元の建造船台はすでに埋まっており、一部の造船所では2030年納期の新造船を受注するなど、国内造船所各社は十分な手持ち工事量を確保しています。
物流システム事業においても、米国市場での競争優位性を引き続き維持しており、アジア地域及び国内における新設、既存設備の増設、老朽化に伴う更新需要が堅調に推移しております。
当社グループの主力事業の受注環境は当面、概ね良好な状況が続くものと見込んでおります。
国際情勢の動向や、金利・為替レートの急激な変動といった要因には引き続き注意が必要ですが、当社グループでは、有利子負債を適切な水準に維持することや為替予約の活用などにより、これらのリスクに対して適切に対応しております。
このように不確実性が高く、かつ変化の激しい外部環境の下で持続的な成長を実現するため、当社グループは、今後3年間の姿を固定的に定めるのではなく、常に計画を更新し続けるローリング方式の中期経営計画を採用しております。2024年度の決算実績も踏まえ、3年後となる2027年度までを対象とした機能戦略(財務・人材)及び事業戦略をローリングした「三井E&S Rolling Vision 2025」を2025年5月に策定しました。本計画では、中長期的に目指す姿へ向けて中核事業のさらなる成長と新規事業の拡大への事業投資を進めるとともに、適正な配当政策による株主還元を行い、株主資本コストと負債コストのバランスを意識し企業価値向上に努めてまいります。
舶用推進システム事業においては、当社グループのグリーン技術に基づき、アンモニア焚きエンジンなどの二元燃料エンジンの開発・製造を強化するとともに、関連する周辺機器事業の拡大を進めております。また、舶用推進システムのサプライヤーとして、海上物流分野における脱炭素社会の実現に引き続き貢献してまいります。こうした取り組みの一環として、川崎重工業株式会社と共同で、液化アンモニアを燃料として使用可能なLPG/アンモニア運搬船について、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)より基本設計承認(AiP)を取得いたしました。これにより、アンモニア焚きエンジンの実用化に向けた技術的信頼性が一段と高まりました。また、環境省と国土交通省の連携事業である「ゼロエミッション船等の建造促進事業」に、「アンモニア燃料推進システムの生産能力増強」を応募し、採択されております。
物流システム事業においては、2025年4月にクレーン輸送船「YAMATO」の引渡しを受け、同船を自社保有することで海上輸送能力を強化いたしました。これにより、世界市場への展開に向けた基盤を構築するとともに、将来の生産能力拡大に向けた投資も進めております。また、横浜港において水素燃料電池を用いた荷役機械の実証運転を開始し、環境対応技術の開発を推進しております。国内向け受注では、東京港中央防波堤外側コンテナ埠頭Y3バース向けにヤード用コンテナクレーン(トランステーナ)を17基受注、東南アジア向けでは、Westports Malaysia Sdn Bhd向けヤード用コンテナクレーンを15基受注するなど引き続き好調で、更に米国ロングビーチ港向けに岸壁用コンテナクレーン(ポーテーナ)2基を受注するなど、海外展開も着実に進展しております。こうした取り組みを通じて、国内外コンテナターミナル事業の発展に、より一層の貢献を果たしてまいります。
成長事業推進事業においては、デジタル技術を活用した保守・メンテナンス分野の強化を進めております。具体的には、船体汚損の管理を行う新サービス「FALCONs(Fouling Advanced Lifecycle Control Service)」の提供、港湾クレーンや各種プラントなど多様な設備を対象としたドローンによる点検・保守サービスの展開、さらに港湾ターミナルの運営効率を向上させるソリューションの提供などを推進しております。
また、財務基盤の強化や収益構造の改善に取り組んだ結果、当社は2025年12月24日付で、株式会社格付投資情報センター(R&I)より、発行体格付「A-」、方向性「ポジティブ」を新規に取得いたしました。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ453億41百万円増加の4,945億54百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ143億23百万円減少の2,607億34百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べ596億64百万円増加の2,338億19百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、受注高は3,158億4百万円(前期比△25.1%)、売上高は3,531億96百万円(前期比+12.1%)、営業利益は376億41百万円(前期比+62.7%)、経常利益は448億92百万円(前期比+61.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は384億56百万円(前期比△1.6%)となりました。
| [経営成績の推移:連結ベース] | ||||||
| 受注高 (百万円) | 売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 経常利益 (百万円) | 親会社株主に帰属する当期純利益 (百万円) | 1株当たり 当期純利益 (円) | |
| 2026年3月期 | 315,804 | 353,196 | 37,641 | 44,892 | 38,456 | 381.15 |
| 2025年3月期 | 421,699 | 315,112 | 23,130 | 27,756 | 39,074 | 385.39 |
| 2024年3月期 | 336,987 | 301,875 | 19,630 | 20,711 | 25,051 | 255.73 |
セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度との比較については、変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(成長事業推進)
受注高は432億85百万円(△5.8%)、売上高は437億57百万円(+9.3%)、営業利益は87億72百万円(+28.4%)となりました。
(舶用推進システム)
受注高は1,310億51百万円(△38.5%)、売上高は1,497億37百万円(+10.5%)、営業利益は144億74百万円(+93.6%)となりました。
(物流システム)
受注高は665億58百万円(△12.6%)、売上高は651億85百万円(+3.9%)、営業利益は139億39百万円(+134.1%)となりました。
(周辺サービス)
受注高は747億80百万円(△13.6%)、売上高は943億33百万円(+25.5%)、営業利益は8億26百万円(前期は16億15百万円の損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて212億12百万円増加して545億89百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、284億19百万円(前連結会計年度は148億52百万円の収入)となりました。これは主として、仕入債務の減少及び法人税等の支払などによる支出があった一方、税金等調整前当期純利益の計上並びに売上債権及び契約資産の減少などによる収入があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の収入は、25億52百万円(前連結会計年度は609億2百万円の収入)となりました。これは主として、有形及び無形固定資産の取得などによる支出があった一方、有形及び無形固定資産の売却及び関係会社株式の売却などによる収入があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、104億17百万円(前連結会計年度は765億66百万円の支出)となりました。これは主として、長期借入金の返済及び配当金の支払などによる支出があったことによるものであります。
[財政状態の推移:連結ベース]
| 総資産 (百万円) | 純資産 (百万円) | 自己資本比率 (%) | 営業活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) | 投資活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) | 財務活動によるキャッシュ・ フロー (百万円) | 有利子 負債残高 (百万円) | |
| 2026年3月期 | 494,554 | 233,819 | 46.3 | 28,419 | 2,552 | △10,417 | 92,721 |
| 2025年3月期 | 449,212 | 174,154 | 37.8 | 14,852 | 60,902 | △76,566 | 97,850 |
| 2024年3月期 | 467,140 | 146,510 | 30.4 | △34,435 | △354 | 24,110 | 162,012 |
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
| 成長事業推進 | 44,622 | 14.9 |
| 舶用推進システム | 158,704 | 14.0 |
| 物流システム | 64,462 | 4.0 |
| 周辺サービス | 93,627 | 27.3 |
| その他 | 364 | △75.2 |
| 合計 | 361,781 | 14.8 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比(%) | 受注残高 (百万円) | 前期比(%) |
| 成長事業推進 | 43,285 | △5.8 | 39,150 | △2.4 |
| 舶用推進システム | 131,051 | △38.5 | 142,295 | △12.1 |
| 物流システム | 66,558 | △12.6 | 97,726 | 1.9 |
| 周辺サービス | 74,780 | △13.6 | 183,461 | △2.8 |
| その他 | 128 | △7.1 | 84 | △19.2 |
| 合計 | 315,804 | △25.1 | 462,718 | △4.9 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| 成長事業推進 | 43,757 | 9.3 |
| 舶用推進システム | 149,737 | 10.5 |
| 物流システム | 65,185 | 3.9 |
| 周辺サービス | 94,333 | 25.5 |
| その他 | 182 | △88.8 |
| 合計 | 353,196 | 12.1 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ453億41百万円増加の4,945億54百万円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が120億30百万円、流動資産その他が108億47百万円それぞれ減少した一方、現金及び預金が217億2百万円、投資有価証券が253億30百万円、投資その他の資産その他が190億75百万円それぞれ増加したことなどによります。
負債は、前連結会計年度末と比べ143億23百万円減少の2,607億34百万円となりました。これは、電子記録債務が75億63百万円、長期借入金が63億80百万円それぞれ減少したことなどによります。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、その他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ596億64百万円増加の2,338億19百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度と比べて1,058億95百万円減少(△25.1%)の3,158億4百万円となりました。
売上高は、舶用推進システム事業において大型エンジン及び二元燃料エンジンが増加したことや物流システム事業において大型工事が順調に進捗したことなどにより、前連結会計年度と比べて380億83百万円増加(+12.1%)の3,531億96百万円となりました。
営業利益は、売上高の増加に加えて、舶用推進システム事業及び物流システム事業の損益が改善したことなどにより、前連結会計年度と比べて145億11百万円増加(+62.7%)の376億41百万円となりました。
経常利益は、営業利益の増加などにより前連結会計年度と比べて171億36百万円増加(+61.7%)の448億92百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、関係会社株式売却益が減少したことなどにより、前連結会計年度と比べて6億17百万円減少(△1.6%)の384億56百万円となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度との比較については、変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(成長事業推進)
脱炭素分野では、国内初となる洋上水素ステーション向け高圧大流量水素圧縮機を納入しました。水素市場を含む脱炭素市場の立上りの遅れにより、高圧大流量水素圧縮機の新規受注には至りませんでしたが、国内製鉄所向け高炉用送風機は2024年度に引き続き大型案件2件を連続受注しました。
デジタル分野では、設備点検における人手依存の解消を目的とし、ドローンによる点検からデータ管理・評価までを一体化した新しいデジタルソリューションの提供を開始しました。ドローン自動飛行ルート作成アプリ「ドローンスナップ」により同一画角で撮影した点検画像データを、一元管理する「ドローンスナップクラウド」上に蓄積し、時系列での比較・分析を可能とすることで、点検業務の安全性向上と共に効率化を実現しています。
今後も様々な機能拡張を図り、点検品質の向上と設備保全の高度化を推進し、引き続き、人口縮小化社会における保守・メンテナンス分野の課題解決に取り組み、お客様の安定稼働・安全運転に貢献してまいります。
受注高は、前期に産業機械製品の大型案件の受注があったことなどにより、前期と比べて26億68百万円減少(△5.8%)の432億85百万円となりました。売上高及び営業利益は、産業機械製品の増加に加えてアフターサービス事業が好調に推移したことにより、それぞれ前期と比べて37億39百万円増加(+9.3%)の437億57百万円、19億41百万円増加(+28.4%)の87億72百万円となりました。
(舶用推進システム)
GHG排出量削減を目的とした国際的な環境規制の強化を背景に、LNG、LPG、メタノール等を燃料とする舶用低速二元燃料エンジンの需要が拡大してきており、2025年度は当社においても受注・生産ともに堅調に推移しました。二元燃料エンジンについては、グループ会社である株式会社三井E&S DU(MESDU)が受注したWinterthur Gas & Diesel(WinGD)ライセンスのメタノール焚きエンジンを当社玉野工場において製造し、両ライセンスのエンジン生産体制を確立しました。MESDUではWinGDエンジンの引合いが増加しており、当社玉野・MESDU相生両工場でEverllence/WinGD両ライセンスエンジンを柔軟に生産し、顧客ニーズに応える高品質なエンジンを供給してまいります。
将来のゼロエミッション燃料として期待されるアンモニアについては、2026年2月にEverllenceライセンスのアンモニア焚きエンジン及び当社製アンモニア燃料供給装置の船級・客先立会試験を完了しました。グループ会社であるTGE Marine Gas Engineering GmbHの知見も生かし、当社グループは推進システムサプライヤーとして燃料供給装置を含むアンモニア燃料推進システムを提供してまいります。
アフターサービス事業については、ドック工事増加や環境規制対応需要を背景に、高水準の受注・売上を確保しています。
受注高は、前期に大型エンジンの複数基を一括受注したことなどにより、前期と比べて818億81百万円減少(△38.5%)の1,310億51百万円となりました。売上高は、大型エンジン及び二元燃料エンジンが増加したことなどにより、前期と比べて142億30百万円増加(+10.5%)の1,497億37百万円となり、営業利益は、売上高の増加に加えて、アフターサービス事業が好調に推移したことなどにより、前期と比べて69億97百万円増加(+93.6%)の144億74百万円となりました。
(物流システム)
ベトナムにおける大型案件の連続受注、カンボジアのODA案件など、海外での受注は好調を維持しております。国内においては、2025年度は案件が少ない状況でありましたが、ほぼ100%の受注率を達成し、国内外ともに目標値を達成しました。
米国においては、国家安全保障に基づくコンテナクレーンの需要が高まる中、ポーテーナ2基を受注しました。これにより、米国港湾の顧客に信頼されるパートナーとしての地位をさらに確固たるものとしていきます。
ベトナムにおいては、現地で生産したトランステーナ4基を納入しました。今後も引き続き、ベトナムでの生産拡大に向けて取り組んでまいります。
また、今後拡大が見込まれる遠隔操作案件に関しては、東京港向けに遠隔操作トランステーナ17基を受注しました。さらに、製鉄所向けの製品出荷用クレーンについて、無線リモコン化改造工事を完了し、今後、デジタルという切り口で製品の価値を高め、人口縮小社会への課題解決に貢献してまいります。
アフターサービス関連は、コンテナクレーンの稼働状況に応じた維持管理計画を含む予防保全の提案や大型案件の創出により引き続き好調です。パーツサプライでは、顧客が在庫の拡充を図る売れ筋部品や新規案件の推奨予備品、予備スプレッダなどの受注が好調です。
受注高は、国内向けを始めアジア諸国や米国など海外向けにおいても着実に積み上げましたが、過去最高の受注高を記録した前期と比べて95億53百万円減少(△12.6%)の665億58百万円となりました。売上高は、大型工事の順調な進捗などにより、前期と比べて24億17百万円増加(+3.9%)の651億85百万円となり、営業利益は、売上高の増加や大型工事の採算改善などにより、前期と比べて79億84百万円増加(+134.1%)の139億39百万円となりました。
(周辺サービス)
周辺サービス事業においては、国内子会社におけるシステム関連や鋼構造物等の安定した受注により売上を牽引しました。一方、海外子会社では受注契約時期の遅延などにより受注高は減少したものの、既受注工事が順調に進捗したことにより、売上高は増加し、採算も改善いたしました。
受注高は、前期に大口工事の受注があったことなどにより、前期と比べて117億82百万円減少(△13.6%)の747億80百万円となりました。売上高は、主に海外子会社において増加したことにより、前期と比べて191億39百万円増加(+25.5%)の943億33百万円となり、営業損益は、海外子会社における採算の改善などにより、前期の16億15百万円の損失から8億26百万円の利益となりました。
c. キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a. 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、当社グループの製品製造のための材料費、外注費、人件費等の運転資金需要や、投資資金需要であります。このうち、運転資金需要については、今般の豊富な受注残高を背景に旺盛な状況が継続しております。投資資金需要は、主に中核事業のグリーン技術・デジタル技術を活用するために必要な成長投資資金及び製造工場を維持・増強するための設備投資資金になります。
当社グループでは、有利子負債の過度な増加を抑制する観点から、運転資金の増加を適切にコントロールしていくとともに、設備投資、投融資などの長期性資金については、主力事業への成長投資資金に集中させることで、一時的な多額の資金支出を抑制していく方針としております。
b. 資金調達
当社グループの運転資金需要、投資資金需要に対しては、事業活動で得たキャッシュ・フローにて賄うことを基本とし、日々の資金の動きで不足が生じた場合は、金融機関からの借入等により調達しております。借入金を適時調達できる状態を維持するため、取引金融機関とは長年にわたる良好な取引関係を維持・構築しており、加えて、一部の金融機関とはコミットメントラインを設定することにより、緊急の資金需要にも備えております。また、上場子会社を除いた国内連結子会社との間ではCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、グループ全体での資金効率を高め、安定的に資金の流動性を確保できる体制を構築しております。
なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 合計 | 返済・償還 1年以内 | 返済・償還 1年超 | |
| 短期借入金 | 49,040 | 49,040 | - |
| 長期借入金 | 43,681 | 6,232 | 37,449 |
| 有利子負債 計※ | 92,721 | 55,272 | 37,449 |
| リース債務 | 5,831 | 2,050 | 3,780 |
| 総計 | 98,552 | 57,322 | 41,229 |
※当社では、リース債務を別管理しております
④ 経営計画の達成・進捗状況
当社グループは、2024年8月に公表したローリング方式の中期経営計画「三井E&S Rolling Vision 2024」及び2025年5月に公表した「三井E&S Rolling Vision 2025」(以下、「RV2025」)において、株主資本コスト及び負債コストを意識した経営へ移行し、投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回る状態の実現を目指しております。
RV2025の初年度に当たる2025年度においては、ROIC9%を目標として設定しておりましたが、実績は16%となり、WACC9%を上回る結果となりました。また、同年度の配当性向についても、目標水準である15%を達成いたしました。
一方で、2025年度は豊富な工事量を背景に計画を大幅に上回る営業利益を計上したものの、中東情勢の緊迫化や資源価格の上昇に伴う物価上昇などにより、不確実性の高い事業環境が継続しております。こうした状況を踏まえ、当社グループは、2028年を目標年度とする機能戦略(財務・人材)及び事業戦略をローリングした「三井E&S Rolling Vision 2026」(以下、「RV2026」)を2026年5月に策定いたしました。
RV2026では、「グリーン技術」及び「デジタル技術」を活用し、マーケティングとイノベーションの両輪を回すことにより、中核事業である舶用推進システム事業、物流システム事業並びに新規事業の持続的な成長を図ることを成長戦略としております。また、戦略の推進に向けて投資活動の加速を図るとともに、人的資本経営の推進にも取り組んでまいります。
当社グループの主力事業における受注環境は、当面、比較的良好な状況が継続するものと見込まれます。一方で、事業環境の不透明性を踏まえ、持続的な成長の実現に向けて必要な事業投資を着実に実行するとともに、適正な配当政策を通じた株主還元に努めてまいります。あわせて、株主資本コストと負債コストのバランスを意識した財務運営を行い、これらの取り組みを通じて中長期的な株主価値の向上を図ってまいります。
なお、RV2026の各施策につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。
<三井E&S Rolling Vision 2026 数値目標>
| 指標 | (参考) 2025年度計画 | 2025年度実績 | 2026年度計画 | 2027年度計画 | 2028年度計画 |
| 連結売上高 | 3,400億円 | 3,532億円 | 3,700億円 | 4,100億円 | 4,400億円 |
| 連結営業利益率 | 7.0% | 10.7% | 8.6% | 9.3% | 9.5% |
| 連結営業利益 | 240億円 | 376億円 | 320億円 | 380億円 | 420億円 |
| 自己資本比率 | 39% | 46.3% | 48% | 48% | 50% |
| ROIC(※) | 9% | 16.1% | 10% | 10% | 10% |
| WACC | - | 9% | - | - | - |
※ ROIC=(営業利益-法人税等合計)÷(株主資本と有利子負債の前当期末平均)
| マテリアリティ項目 | (参考) 2025年度目標 | 2025年度実績 | 2030年度目標 |
| 環境対応製品の2022~30年度累積販売・稼働台数によるCO2削減 (単位:万t-CO2/年) | 88万t | 81万t | 1,000万t |
| 港湾関連製品の自動化・システム化2022~30年度累積販売・稼働台数 (単位:件) | 460件 | 509件 | 1,000件 |

