有価証券報告書-第125期(2023/04/01-2024/03/31)
b. 戦略
サステナビリティは事業運営の中核をなすものであり、ステークホルダーからの信頼を得るために必要不可欠である。日産は、ステークホルダーの皆さまの関心、環境と社会のグローバルアジェンダ並びに技術革新などの最新動向を踏まえながら、サステナビリティ戦略を策定し、活動を推進している。
サステナビリティ戦略強化に向けて、日産の優先課題をより明確にするため、リスクや機会分析を踏まえた会社全体として取り組むべきマテリアリティを特定した。
マトリックスという形で日産の取り組みの優先順位を定義し、2030年度に向けた会社の方向性をより詳細にステークホルダーにお伝えすることで、協働機会の拡大や信頼関係の向上を図り、さらなる取り組み推進につなげたいと考える。
マテリアリティ特定のプロセス
STEP1. 社会・環境課題の明確化
定期市場動向分析、ステークホルダー・投資家の皆さまとの対話より得られた社会からの期待値、グローバルスタンダード、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)、SDGs、世界経済フォーラム(WEF)発行のリスクレポートなどからグローバルなアジェンダを明確化。
STEP2. 自動車セクター及び日産の重要課題特定
コーポレート長期ビジョンにより実現する世界と、そこで果たすべき自動車セクターの役割という視点からリスクと機会を分析することで、日産にとっての課題を特定。
STEP3. マテリアリティの優先度整理
日産が社会・環境へ与える価値・インパクトと、社会・環境から日産へのインパクトの2側面からリスクと機会で優先度の整理を実施し、日産のつくりだす価値と今後さらに強化して取り組むべき課題をマトリックス型により整理。有識者レビューを行い、フィードバックを反映。
STEP4. 執行役員、取締役との合意
特定したマテリアリティは、各項目の設定理由や背景を含め執行役員、取締役へ報告し、合意を得て決定。
日産のマテリアリティマトリックス

マテリアリティの詳細は当社企業サイトに掲載しているESGデータブックもしくはサステナビリティデータブック(2024年7月末公開予定)を参照いただきたい。
また、マテリアリティの一つである生態系サービスと生物多様性について、2010年に日産は、国連大学と共に自社の活動がバリューチェーン全体の生態系に与える影響と依存を評価し、その研究成果を報告書「Ecosystem Services and the Automotive」として発表した。これは2001~2005年に国連が主導した「ミレニアム生態系評価」に基づく「企業のための生態系サービス評価」の手法を用いたものである。この評価を通じて、自動車メーカーが優先対応すべき3つの重点領域「エネルギーの調達」「材料資源の調達」「水資源の利用」を特定した。また2013年には水に関するインパクト評価を実施し、資源調達段階での水資源の利用が、日産の事業活動での水使用量の20倍以上に上ることが試算された。
これらの評価結果はマテリアリティの判断にも反映されており、「ニッサン・グリーンプログラム」の方針や戦略、具体的なアクションに落とし込まれている。
日産はTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の提言に賛同するとともにTNFDフォーラムに参画している。今後は、推奨される枠組みに沿った開示についてさらに検討を進めていく予定である。
日産は2023年度に、マテリアリティで特定された重要課題をもとに、第5次中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2030(NGP2030)」、及び社会性の2030年度までの取り組みを包括的に推進する「ニッサン・ソーシャルプログラム2030(NSP2030)」を策定した。「NGP2030」は、技術やビジネスの進化によって環境負荷を低減し、社会と自然にポジティブな影響を与え、人々の生活が、持続可能で自然と調和できる社会創りを目指している。「NSP2030」は社会性に特化した初のプログラムであり、日産が従業員、サプライヤー、パートナー、社会と共に成長し、「人」を中心とした企業になることを目指し、従業員をはじめとするさまざまな「人」へ価値を提供していく。「NSP2030」の重点領域は、安全、品質、責任ある調達、知的財産、地域社会、従業員と定めており、領域毎に2030年度に向けたゴールを定義している。「NGP2030」と「NSP2030」はともに経営計画「The Arc」の土台を成し、「Nissan Ambition 2030」の実現に向けて重要な役割を果たす。
サステナビリティは事業運営の中核をなすものであり、ステークホルダーからの信頼を得るために必要不可欠である。日産は、ステークホルダーの皆さまの関心、環境と社会のグローバルアジェンダ並びに技術革新などの最新動向を踏まえながら、サステナビリティ戦略を策定し、活動を推進している。
サステナビリティ戦略強化に向けて、日産の優先課題をより明確にするため、リスクや機会分析を踏まえた会社全体として取り組むべきマテリアリティを特定した。
マトリックスという形で日産の取り組みの優先順位を定義し、2030年度に向けた会社の方向性をより詳細にステークホルダーにお伝えすることで、協働機会の拡大や信頼関係の向上を図り、さらなる取り組み推進につなげたいと考える。
マテリアリティ特定のプロセス
STEP1. 社会・環境課題の明確化
定期市場動向分析、ステークホルダー・投資家の皆さまとの対話より得られた社会からの期待値、グローバルスタンダード、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)、SDGs、世界経済フォーラム(WEF)発行のリスクレポートなどからグローバルなアジェンダを明確化。
STEP2. 自動車セクター及び日産の重要課題特定
コーポレート長期ビジョンにより実現する世界と、そこで果たすべき自動車セクターの役割という視点からリスクと機会を分析することで、日産にとっての課題を特定。
STEP3. マテリアリティの優先度整理
日産が社会・環境へ与える価値・インパクトと、社会・環境から日産へのインパクトの2側面からリスクと機会で優先度の整理を実施し、日産のつくりだす価値と今後さらに強化して取り組むべき課題をマトリックス型により整理。有識者レビューを行い、フィードバックを反映。
STEP4. 執行役員、取締役との合意
特定したマテリアリティは、各項目の設定理由や背景を含め執行役員、取締役へ報告し、合意を得て決定。
日産のマテリアリティマトリックス

| マテリアリティ | 重要と考える理由 |
| ガバナンス、法規制、 コンプライアンス | コーポレートパーパスや行動規範に基づき、透明性のあるフレームワークを用いた効果的なガバナンスを通じて最大限の誠実性を持って事業運営を行う。また法規制を遵守し人々と社会に対し敬意と誠実さを持ち行動する。 |
| 包括的なモビリティ ソリューション | 自動運転などの新しいモビリティ技術とサービスをより多くの人に提供し、誰もが安心で自由に移動できるインクルーシブな社会を実現する。 |
| 人権 | すべての従業員が個人の尊厳と人権を最大限に尊重する組織を醸成する。また国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を参照した社内倫理基準に基づき行動する。 |
| クルマの電動化 | 電動車ラインナップの拡充、バッテリーと車両の技術革新、クルマの多様な使い方を可能にするエコシステム構築により、カーボンニュートラル実現を目指す。 |
| 再生可能エネルギー | 国や自治体との協働や、さまざまな業界団体との連携を通して、CO2削減に向けた再生可能エネルギーや代替燃料の使用を推進する。EVバッテリーの循環利用などの4R(*)の取り組みやV2Xの活用を通し、エネルギーマネジメントで社会課題の解決を継続する。 * 4R:バッテリーの再利用、再製品化、再販売、リサイクル |
| クルマの安全性 | 先進の運転支援技術をより多くのお客さまに提供することで、日産車のかかわる交通事故の死者数を実質ゼロにする「ゼロ・フェイタリティ」実現を目指す。 |
| クリーンな排出ガス | 「大気並みにクリーンな排出ガス」を目指して、製品や拠点から排出されるのは、よりクリーンな排出ガス(Nox、PMなど含む)となるよう努める。 |
| プライバシー& データ保護 | データ保護及びプライバシー権の保護に取り組み、適切なセキュリティ対策を講じてステークホルダーの個人情報を守り、新しい技術とセキュリティリスクを考慮したデータの安全な取り扱いに責任を持つ。 |
| コミュニティの発展 | 災害時の復旧支援や人道支援に加え、「ブルー・スイッチ」のような社会変革への取り組みを通じてコミュニティの発展に貢献する。 |
| 製品品質 | デザイン、性能、化学物質管理及び車室内空質向上などの製品品質向上により、より安心・快適で使いやすいモビリティを提供する。 |
| サプライチェーン マネジメント | サプライヤーCSRガイドラインに基づき人権・環境に配慮したサプライチェーンからの責任ある調達で、原材料の安定供給と地域共存を実現する。 |
| サステナブル資源 マネジメント | 資源価格変動や調達リスクを回避し、資源依存を最小化するため、リペア/リユース/リビルト/リサイクルなどのサーキュラーエコノミーの効果的な循環利用による、最適なクルマ作りの仕組みを構築する。 |
マテリアリティの詳細は当社企業サイトに掲載しているESGデータブックもしくはサステナビリティデータブック(2024年7月末公開予定)を参照いただきたい。
また、マテリアリティの一つである生態系サービスと生物多様性について、2010年に日産は、国連大学と共に自社の活動がバリューチェーン全体の生態系に与える影響と依存を評価し、その研究成果を報告書「Ecosystem Services and the Automotive」として発表した。これは2001~2005年に国連が主導した「ミレニアム生態系評価」に基づく「企業のための生態系サービス評価」の手法を用いたものである。この評価を通じて、自動車メーカーが優先対応すべき3つの重点領域「エネルギーの調達」「材料資源の調達」「水資源の利用」を特定した。また2013年には水に関するインパクト評価を実施し、資源調達段階での水資源の利用が、日産の事業活動での水使用量の20倍以上に上ることが試算された。
これらの評価結果はマテリアリティの判断にも反映されており、「ニッサン・グリーンプログラム」の方針や戦略、具体的なアクションに落とし込まれている。
日産はTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の提言に賛同するとともにTNFDフォーラムに参画している。今後は、推奨される枠組みに沿った開示についてさらに検討を進めていく予定である。
日産は2023年度に、マテリアリティで特定された重要課題をもとに、第5次中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2030(NGP2030)」、及び社会性の2030年度までの取り組みを包括的に推進する「ニッサン・ソーシャルプログラム2030(NSP2030)」を策定した。「NGP2030」は、技術やビジネスの進化によって環境負荷を低減し、社会と自然にポジティブな影響を与え、人々の生活が、持続可能で自然と調和できる社会創りを目指している。「NSP2030」は社会性に特化した初のプログラムであり、日産が従業員、サプライヤー、パートナー、社会と共に成長し、「人」を中心とした企業になることを目指し、従業員をはじめとするさまざまな「人」へ価値を提供していく。「NSP2030」の重点領域は、安全、品質、責任ある調達、知的財産、地域社会、従業員と定めており、領域毎に2030年度に向けたゴールを定義している。「NGP2030」と「NSP2030」はともに経営計画「The Arc」の土台を成し、「Nissan Ambition 2030」の実現に向けて重要な役割を果たす。