有価証券報告書-第108期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況及び分析
当連結会計年度における我が国経済は、海外経済の減速等を背景に輸出の伸びが鈍化したものの、雇用・所得環境の改善等により、内需を中心に緩やかに回復しました。世界経済は、米中貿易問題に端を発した2019年前半からの中国での景気後退などにより、インドネシアをはじめとするASEAN各国でも影響を受け、金融市場において不安定な動きが見られるなど、先行きの不透明感が強まりました。
市場の状況につきましては、国内トラック市場は底堅く推移しつつも、海外主要市場では市場の鈍化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年2月から販売が低下し、3月ではまさに急ブレーキがかかった状態となりました。
当連結会計年度の国内のトラック市場につきましては、昨年度に引き続き大型トラックは底堅く推移し、大中型トラックの総需要は91.9千台と前期に比べ0.4千台(0.4%)の増加となりました。一方で、小型トラックの総需要は103.3千台と前期に比べ5.9千台(5.4%)減少となりました。
当連結会計年度の国内販売につきましては、昨年度に引き続き好評をいただいており、大中型・小型トラックを合わせたシェアは過去最高であった昨年度に次ぎ、32.6%を達成いたしました。
国内売上台数につきましては、大中型・小型トラック、バス総合計で66.5千台と前期に比べ5.6千台(7.8%)減少いたしました。
海外市場につきましては、インドネシア・アメリカをはじめとする主力市場の鈍化に加え、新型コロナウイルス感染症の影響を受け販売台数が減少し、当連結会計年度の海外トラック・バスの売上台数は107.7千台と前期に比べ24.3千台(18.4%)減少いたしました。
以上により、日野ブランド事業のトラック・バスの総売上台数は174.3千台と前期に比べ29.9千台(14.6%)減少いたしました。
また、トヨタ向け車両台数につきましては、SUV及び小型トラックの台数が減少した結果、総売上台数は139.3千台と前期に比べ13.3千台(8.7%)減少いたしました。
このような非常に厳しい経営環境ではありますが、当社グループは、経営戦略「Challenge2025(2025年に向けて)」を堅持し、お客様や社会の課題解決と、事業基盤の強化は着実に推進していく所存です。具体的な施策につきましては、第2「事業の状況」 『1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等』 (2)会社の環境及び対処すべき課題 ②2025に向けた取り組みに記載のとおりです。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
ⅰ)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ707億40百万円減少し、1兆2,750億80百万円となりました。これは、当連結会計年度末の売掛債権が637億59百万円減少、投資有価証券が73億83百万円減少したこと等によります。
(負債合計)
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ669億62百万円減少し、6,823億99百万円となりました。これは、買掛債務が432億1百万円減少、有利子負債が99億67百万円減少したことに加え、未払法人税等の負債が減少したことによります。
(純資産合計)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ37億78百万円減少し、5,926億80百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を314億67百万円計上した一方で、剰余金の配当を160億75百万円行ったこと、及びその他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定が減少したこと等によります。
セグメントごとの財政状態は次のとおりであります。
(日本)
主に、有形固定資産が69億3百万円増加した一方で、当連結会計年度末の売上が減少したことに伴い売掛債権が404億16百万円減少したこと等により、セグメント資産は9,653億18百万円と前連結会計年度末に比べ、376億90百万円減少しました。
(アジア)
当連結会計年度末のリース債権が28億46百万円増加した一方、当連結会計年度末の売上が減少したことに伴い売掛債権が256億73百万円減少したこと等により、セグメント資産は2,733億87百万円と前連結会計年度末に比べ、260億41百万円減少しました。
(その他)
当連結会計年度末のたな卸資産が59億92百万円増加した一方で、当連結会計年度末の売上が減少したことに伴い売掛債権が101億5百万円減少したこと等により、セグメント資産は1,319億27百万円と前連結会計年度末に比べ、17億32百万円減少しました。
ⅱ)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の連結売上高は1兆8,155億97百万円と前期に比べ1,657億33百万円(△8.4%)の減収となりました。
国内トラック市場につきましては、底堅く推移したものの、売上高は5,329億39百万円と前期に比べ197億49百万円(△3.6%)の減収となりました。
海外トラック・バスにつきましては、インドネシア・アメリカ等の主力市場の鈍化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大により売上台数が減少し、売上高は4,485億72百万円と前期に比べ1,027億54百万円(△18.6%)の減収となりました。
トヨタ向け車両につきましては、SUV及び小型トラックの台数が減少したこと等により、売上高は3,286億39百万円と前期に比べ319億12百万円(△8.9%)の減収となりました。
その他の部門の売上高につきましては、補給部品の売上高は増加した一方で米国、タイにおけるトヨタブランド車向けユニット事業の売上高が減少したこと等により、5,054億46百万円と前期に比べ113億16百万円(△2.2%)の減収となりました。
(営業利益)
主にトラック・バスの売上台数減少により、当連結会計年度の営業利益は、548億59百万円と前期に比べ318億58百万円(△36.7%)の減益となりました。なお、売上原価の売上高に対する比率は85.0%(前期は84.5%)、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は12.0%(前期は11.1%)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度は、営業利益の318億58百万円の減益に加え、為替差損が前期に比べ15億35百万円増加したこと等により、経常利益は495億96百万円と前期に比べ343億7百万円(△40.9%)の減益となりました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度は、経常利益は343億7百万円の減益となりましたが、当期は投資有価証券売却益が前期に比べ14億40百万円増加したこと及び、当期は特別品質対策費の計上が無かったこと(前期は39億47百万円)等により、税金等調整前当期純利益は509億73百万円と前期と比べ315億49百万円(△38.2%)の減益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、162億33百万円と前期に比べ52億78百万円の減少となりました。
また、非支配株主に帰属する当期純利益は、32億71百万円と前期に比べ28億30百万円減少しました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は314億67百万円と前期に比べ234億40百万円(△42.7%)の減益となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(日本)
日野ブランド事業の国内向けトラック・バスの売上高は、前期に比べ減収となりました。海外向けについては、主力市場の鈍化及び新型コロナウイルス感染症の拡大による市場低迷に伴いアジアや北米向けの売上台数が減少したこと等により、減収となりました。また、トヨタ向けについては、主にSUV及び小型トラックの売上台数が減少したこと等により、減収となりました。
以上により、売上高は1兆4,735億28百万円と前期に比べ1,201億51百万円(△7.5%)の減収となりました。損益面におきましては、売上台数の減少等により、セグメント利益(営業利益)は361億12百万円と前期に比べ186億76百万円(△34.1%)の減益となりました。
(アジア)
主要国における売上台数が新型コロナウイルス感染症の拡大等の影響により減少したことにより、売上高は3,622億90百万円と前期に比べ732億5百万円(△16.8%)の減収となりました。損益面におきましては、売上台数の減少に伴い、セグメント利益(営業利益)は159億68百万円と前期に比べ69億19百万円(△30.2%)の減益となりました。
(その他)
米国をはじめとする主要国において新型コロナウイルス感染症の拡大等の影響により売上台数が減少したことにより、売上高は2,411億91百万円と前期に比べ232億9百万円(△8.8%)の減収となりました。損益面におきましては、売上台数の減少に伴い、セグメント利益(営業利益)は29億59百万円と前年同期に比べ58億4百万円(△66.2%)の減益となりました。
ⅲ)生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 日本 | トラック・バス(台) | 136,008 | △13.2 |
| トヨタ向け車両(台) | 145,012 | △4.1 | |
| アジア | トラック・バス(台) | 35,152 | △28.9 |
| トヨタ向け車両(台) | 722 | △50.4 | |
| 報告セグメント計 | トラック・バス(台) | 171,160 | △17.0 |
| トヨタ向け車両(台) | 145,734 | △4.5 | |
| その他 | トラック・バス(台) | - | - |
| トヨタ向け車両(台) | - | - | |
| 合計 | トラック・バス(台) | 171,160 | △17.0 |
| トヨタ向け車両(台) | 145,734 | △4.5 |
(b)受注実績
当社グループは国内及び海外の販売実績及び販売見込等の資料を基礎として見込生産を行っております。なお、トヨタ向け車両についてはトヨタ自動車株式会社からの受注に基づき生産しております。
(c)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 日本(百万円) | 1,473,528 | △7.5 |
| アジア(百万円) | 362,290 | △16.8 |
| 報告セグメント計(百万円) | 1,835,819 | △9.5 |
| その他(百万円) | 241,191 | △8.8 |
| 調整額(百万円) | △261,413 | △16.3 |
| 合計(百万円) | 1,815,597 | △8.4 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
| 金額 (百万円) | 割合 (%) | 金額 (百万円) | 割合 (%) | |
| トヨタ自動車㈱ | 390,477 | 19.7 | 357,485 | 19.7 |
2.上記金額には、消費税等は含まれていません。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
①キャッシュ・フローの状況及び分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益の計上等による資金の増加があった一方、有形固定資産の取得による資金の減少等により、前期末に比べ8億88百万円減少(前期は38億95百万円減少)し、397億93百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、951億76百万円(前期は486億53百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上が509億73百万円(前期は825億23百万円)、減価償却費の計上が580億11百万円(前期は585億39百万円)および売上債権の減少による資金の増加が573億68百万円(前期は106億5百万円の資金の減少)あった一方で、仕入債務の減少による資金の減少が413億31百万円(前期は212億58百万円の資金の減少)あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、670億6百万円(前期は722億84百万円の減少)となりました。これは主に、生産設備を中心とした有形固定資産の取得による支出が603億81百万円(前期は589億36百万円)あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、282億43百万円(前期は209億2百万円の増加)となりました。これは主に、配当金の支払が160億75百万円(前期は166億47百万円)あった一方で、有利子負債の純減少額が48億48百万円(前期は406億38百万円の純増加)あったことによるものです。
②資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と製品製造のための材料及び部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。
③契約債務
2020年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
| 年度別要支払額(百万円) | |||||
| 契約債務 | 合計 | 1年以内 | 1年超3年以内 | 3年超5年以内 | 5年超 |
| 短期借入金 | 178,170 | 178,170 | - | - | - |
| 1年内返済予定の長期借入金 | 14,118 | 14,118 | - | - | - |
| 長期借入金 | 19,839 | - | 18,235 | 703 | 900 |
④財務政策
当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを財務方針としております。設備投資、投融資などの長期資金需要に対しては、内部留保、長期借入債務及び社債の発行により、また、運転資金需要には短期借入債務により対応しております。借入債務については、主にトヨタ自動車株式会社、金融機関からの借入れによって調達しております。
また資金マネジメントについては、当社と子会社の資金管理の一元化を図るなかで、緊密な連携をとることにより、グローバルな資金効率の向上を図っております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、各種の見積りと仮定を行っております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、国内・海外市場ともに2020年後半まで続くとの仮定のもと会計上の見積りを行っております。
① 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮し、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、親会社株主に係る当期純損益額が変動する可能性があります。
② 退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しております。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
③ 製品保証引当金
当社は、保証書の約款に従い販売した製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、過去の実績を基礎にして計算しております。
引当金の見積り時において想定していなかった製品の不具合による保証義務の発生や、引当の額を超えて保証費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。