有価証券報告書-第118期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/19 16:09
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【項目】
134項目

研究開発活動

当社グループでは、コア技術である「摩擦と振動、その制御と解析」技術を活かし、自動車のみならず、あらゆる交通機関の各種ブレーキ製品を担う新摩擦材・次世代型のブレーキの開発を進めております。また製品開発を支える基礎技術、解析の深化を重点的に行うための研究開発への投資と開発体制の充実を図っております。
開発戦略としては、“環境・低コスト・高性能”の3軸を基本とし、音・振動に対する知見をさらに深化させ、共通化/標準化の思想に基づいた軽量化・電動化などの環境対応技術開発、低コストブレーキ開発、高性能ブレーキ技術開発を推進してまいります。これらの開発は日本・米国・欧州・中国に加え、成長著しいASEAN市場をにらみ新たにタイに平成26年1月に開発拠点を設立致しました。今後も、地産地消を基本に現地開発、現地調達を更に促進し、グローバル拠点間での特長を活かしながら、必要な技術を駆使してグローバル競争力を高めた次期製品開発に注力してまいります。
(日本)
ブレーキ摩擦材開発については、高性能化と低コスト化という市場・お客様ニーズの二極化に対応した開発取組みを進めております。乗用車用高性能パッドと低コストパッドを中心に、高性能で音・振動特性に優れ、且つ昨今着目されてきているホイールダストについても低減させ、環境に配慮した安全な摩擦材原材料を使用した高品質な製品の開発を進めると同時に、低コスト化についても、性能や環境へ配慮しながら開発を進めております。また、米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された摩擦材の新たな環境規制に対応する為、新摩擦材の開発に取組んでおります。
ディスクブレーキ・ドラムブレーキの開発においても、高性能化と低コスト化の両面から開発に注力しております。高性能車対応として開発された、アルミ合金製対向型ブレーキは高い評価を頂きました。
現在開発中の高性能車両向けアルミ合金製対向型ブレーキにおきましては、F1用ブレーキ開発で培った技術を盛り込み、部品の共通化・標準化を徹底的に実行し、コスト競争力の向上と、抽出されたリソースの新規開発への配分を増加させる事によって、差別化製品を提供してまいります。
環境に配慮した製品開発に対しても、車の燃費向上の観点から革新的な軽量化と引き摺り低減に取組んでおります。電動化技術ではブレーキに小型電気モーターを搭載し、電気信号で制動を行える電動ブレーキ、パーキング機能のみを電動化した電動パーキングといった製品の技術開発を北米と連携しながら行っております。また、グローバルでの供給を更に強化させるため、技術面とコスト面のベンチマークを徹底して行い、使用地域の独自性や使用状況に応じた製品造りへの技術開発を進めております。
㈱曙ブレーキ中央技術研究所においては、[1]素材開発(摩擦特性制御、低環境負荷)[2]次世代摩擦材の開発(小型、軽量化、高性能化)[3]摩擦現象の研究(摩擦挙動メカニズム)を中心として研究開発に取り組んでおります。安全性、快適性、長寿命に向けた摩耗制御に寄与する独自材料開発、脱枯渇、戦略資源を狙った低環境負荷型の材料開発、鋳鉄のレアアース削減、新分野開拓を目指した機能性粒子の創製、摩擦材材料の摩擦挙動現象との関係、ゼロエミッションに向けた表面処理技術などの研究テーマを遂行し、他社との差別化、優位性確保を図っております。
(北米)
北米自動車メーカーはもとより、グローバルなニーズ及びワシントン州を含む複数の州で条例化された摩擦材の新たな環境規制に対応する新摩擦材や次世代ブレーキの製品開発に取り組んでおります。日系自動車メーカーについても、開発から量産までの現地完結型開発を展開しております。摩擦材においては、乗用車からピックアップトラック用まで高性能で音振特性に優れ、前述の新たな環境規制に対応するさらに環境に配慮した材料開発を行っております。
ブレーキの機構開発については、乗用車からSUV,ピックアップトラック用まで幅広く開発活動を行っており、軽量アルミ合金によるディスクブレーキの開発も展開しております。また、ディスクロータ/ドラムについても量産展開しており、ブレーキモジュール開発による軽量で音・振動特性に優れた高性能、高品質な製品開発を行っております。電動化技術につきましては、日本と連携しながらお客様の声を反映させた開発を進めております。
(欧州)
欧州における、摩擦材開発に関しては、高速でのユーセージに対応する高性能(効き、ジャダー)及び、音・振動特性、REACH(Registration, Evaluation Authorization and Restriction of Chemicals:化学物質の登録、評価、認可、および制限に関する規則)の導入など、環境規制の厳しい欧州市場に適合する摩擦材から日米市場向け輸出欧州車に適合する摩擦材まで幅広いお客様ニーズに対応できる開発を行っております。日系のお客様のみならず、欧州市場でのお客様に対する摩擦材の開発、生産の供給体制を整えております。現地調達原材料による材料の共通化および欧州製法の導入により、コスト競争力の強化を目的とした開発をしております。
開発拠点のあるフランス以外では、ドイツに開発の出先機関(現地法人)を置き、よりお客様に密接したディスクブレーキ適用開発を進めており、イギリスにある開発の出先機関では、モータースポーツ用ディスクブレーキ開発及び高性能車両向けディスクブレーキ開発に特化し、日本と連携しながらお客様の声を反映させた開発を進めております。
(中国)
新興国市場のニーズに合わせた製品を提供するため、現地のお客様の声を反映させた製品の開発・設計を進めております。摩擦材においては、部品・原材料の現地調達化と現地の環境に適したつくり方により、新興国市場で通用するコストと性能特性を有する製品開発を行っております。ディスクブレーキにおいては、中国市場のお客様の要求や使われ方を調査・分析し、必要な機能・性能を低コストで提供できる製品の開発と提案を行っております。
(タイ)
成長著しいASEAN諸国向けのブレーキ開発の拠点とすべく、タイに平成26年1月に新たに設立いたしました。地産地消を基本に現地開発、現地調達を更に促進し、お客様のニーズを反映した開発を推進して参ります。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,338百万円であり、この他に日常的な改良に伴って発生した研究開発関連の費用は8,175百万円であります。