有価証券報告書-第114期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済の減速に伴う輸出の低迷や大型台風等の影響に加えて、新型コロナウイルスの影響により、世界各国において企業の生産活動が停止する事態に発展し、景気は急速に後退しております。また世界的な感染拡大の影響を受け、世界経済は全体的に先行き不透明感が高まっております。
自動車業界は、国内では、消費税増税の影響はあったもののその影響は小幅に留まり、需要は底堅く推移しました。海外においては、中国・北米市場では低迷が続きました。
電子機器業界は、スマートフォン、ハードディスクドライブ、デジタルカメラの生産台数が減少しました。
事務機業界は、業界全体はカラー機の伸張はあるものの、生産台数はほぼ横ばいでした。
このような環境の中、当社の当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、728,695百万円となり、前連結会計年度末対比で56,438百万円の減少となりました。これは主に、設備投資の減少及び減損処理による有形固定資産の減少や、保有株式の時価下落による投資有価証券の減少に加え、受取手形及び売掛金、棚卸資産が減少したことによるものです。
負債合計は、281,457百万円となり、前連結会計年度末対比18,177百万円の減少となりました。これは主に、退職給付に係る負債は増加したものの、短期借入金と繰延税金負債が減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末対比38,260百万円減の447,238百万円となり、自己資本比率は55.9%となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金の減少、及び親会社株主に帰属する当期純損失の計上や配当の支払いにより利益剰余金が減少したことによるものです。
b. 経営成績
当社の経営成績は以下のとおりです。
シール事業におきましては、自動車向けについては、年度前半は国内での需要は底堅く推移しましたが、中国、東南アジア、北米での市場低迷が続いていること、および第4四半期における新型コロナウイルスの感染拡大によるグローバルでの工場の稼働停止等より、販売は減少しました。一般産業機械向けについては、建設機械、工作機、ロボット向け等の需要が減少したことにより、販売は減少しました。
その結果、売上高は316,966百万円(前年同期比7.2%の減収)となりました。営業利益は、減収の影響、および償却費の増加等により、24,290百万円(前年同期比32.9%の減益)となりました。
電子部品事業におきましては、自動車向けの需要については横ばいでしたが、スマートフォン向けやデジタルカメラ向けの需要が減少したことにより、販売は減少しました。
その結果、売上高は283,079百万円(前年同期比4.8%の減収)となりました。営業損失は、販売は減少しましたが、人件費・償却費等の減少により、12,600百万円(前年同期は14,151百万円の営業損失)となりました。
ロール事業におきましては、プリンター部品の需要の減少と為替影響に加え、新型コロナウイルスの影響もあり販売は減少しました。
その結果、売上高は17,807百万円(前年同期比11.3%の減収)となりました。営業損失は、経費等の削減に努めましたが販売減少の影響が大きく、751百万円(前年同期は129百万円の営業損失)となりました。
特殊潤滑剤等のその他事業におきましては、売上高は8,962百万円(前年同期比13.5%の減収)となりました。営業利益は996百万円(前年同期比17.2%の減益)となりました。
以上の結果、当社グループの業績は、売上高は626,815百万円(前年同期比6.4%の減収)となりました。営業利益は12,028百万円(前年同期比48.0%の減益)、経常利益は17,373百万円(前年同期比44.2%の減益)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,218百万円(前年同期は3,419百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,604百万円増加し82,366百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果、得られた資金は、71,370百万円(前年同期比11.8%の増加)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益の計上、および非資金項目である減価償却費と減損損失の計上によるものです。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果、使用した資金は、50,425百万円(前年同期比36.4%の減少)となりました。これは主として有形固定資産の取得によるものです。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果、使用した資金は、17,497百万円(前年同期は6,633百万円の収入)となりました。これは主として配当金の支払、および長期借入金の返済、短期借入金の返済によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) (百万円) | 前年同期比(%) |
| シール事業 | 316,133 | 91.8 |
| 電子部品事業 | 277,850 | 94.6 |
| ロール事業 | 17,812 | 87.9 |
| その他事業 | 9,024 | 87.1 |
| 合計 | 620,820 | 92.8 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2.上記中には商品仕入高を含んでおりますが、当社グループにおいては仕入販売事業の事業規模には金額的重要性はありません。
3.上記中には消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当社グループは、主として得意先より生産計画の内示を受け、それに基づく見込み生産を行っているため記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) (百万円) | 前年同期比(%) |
| シール事業 | 316,966 | 92.8 |
| 電子部品事業 | 283,079 | 95.2 |
| ロール事業 | 17,807 | 88.7 |
| その他事業 | 8,962 | 86.5 |
| 合計 | 626,815 | 93.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
| Apple Inc. | 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) |
| 99,752 | 14.9 | 76,465 | 12.2 | |
3.上記中には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度、弊社グループの状況は米中貿易摩擦の影響や競争の激化など外部環境の変化もあり全事業とも売上・営業利益が減少いたしました。
シール事業
シール事業は、成長が期待される燃料自動車や電気自動車向けの部品は引き合いが増えている一方、中国市場を中心とした自動車、建機・農機生産の減速で売上が減少いたしました。米中貿易摩擦の影響や環境問題に対する法規制の影響等で自動車生産台数が前年と比べ落ち込んだことが売上減の主な要因となっております。インフラ整備は一通り完了していることもあり、目下、投資よりも生産品目の最適地生産や生産設備の集約・自動化推進などの体質改善に注力しております。
電子部品事業
電子部品事業は、業界特有の激しい需給変動の影響を受け、営業損失を計上しております。事業立て直しのスピード加速を目的に2019年11月より社長以下弊社役員が事業会社の日本メクトロン株式会社の経営を兼務しており、とりわけ電気自動車向けモジュール品など、自動車向け製品については今後の成長が期待されるということで、NOKグループの総力を挙げて拡販を進めてまいります。また、昨年から続けております海外生産拠点での一貫生産体制構築は年内に完了する予定であり、拠点毎にスマートフォン用製品、自動車製品、カメラやハードディスク向けに代表される民生用製品と生産品目の専門性を高め、生産効率の向上と自動車等新領域の売上拡大に結び付けられるよう努力しております。
ロール事業
ロール事業は引き続き厳しい状況が続いております。ペーパーレス化の流れ等や海外メーカーを中心とした競合の増加等の逆境もある中で、原価低減を含む収益改善施策を更に推し進め、弊社の保有する技術的知見も活用した高付加価値製品の新規開発・拡販に注力し黒字化を達成できるよう活動してまいります。
また、2017年度のNB開発本部設立以降は新商品・新事業創出にも特に力を入れており、マイクロ流体デバイスへの薬品注入時の液漏れを防げる「ピペットパッキン」、筋電バンドに埋め込んだ生体信号ゴム電極「Sotto」、クレイ(粘土)のように凹凸部に押し付けるだけで最適な形状に成形できる熱伝導部材「Tran-Qクレイ」など、各事業の特色を掛け合わせた新たな製品が揃いつつあります。顧客検証と並行して事業化に向けた体制づくりにも取り組み、早期の収益貢献を実現したいと考えております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」で述べましたとおり以下が主なものとなります。
a. 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
b. 顧客の業績への依存
c. 他企業との連携
d. 需要動向の変化による影響
e. 為替変動の影響
f. 金利変動の影響
g. 株式市場の動向による影響
h. 原材料の価格変動
i. 法的規制等の影響
j. 訴訟その他の法的手続にかかわるリスク
k. 知的財産権侵害の影響
l. 環境規制が及ぼす影響
m. 政治経済情勢による影響
n. 自然災害等による影響
o. 情報流出の影響
p. サイバー攻撃等の影響
q. 製品の品質問題が及ぼす影響
当社グループでは自然災害等に備え、BCM(事業継続マネジメント)の構築、ますます拡大する海外事業の適切な管理、品質力の更なる向上や新商品開発、並びにこれらを担う人材の育成に力を入れ、将来を見据えて当社グループが持続的に成長発展していけるよう、3カ年計画(2020年度から2022年度まで)を作成し、取り組んでおります。
また、経営成績に影響する各種リスクを回避できるよう、引き続き経営者として努力してまいりますとともに、企業目的である「全てのステークホルダーに利益と誇りをもたらす」、そのための事業方針である「技術に裏打ちされた独自性ある、かつ社会にとって有用な商品を世界中で安くつくり適正価格で売る」の具現化に努めてまいります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループとしては中長期的な経営上の目標として、収益性を表す指標としてROA5%、経営の安全性を表す指標として自己資本比率が50%の維持を掲げています。これらを達成した結果として、一般的に優良企業と目されるROE10%に届くことになります。
しかし現在は収益力が落ち込んでいるため、自己資本比率以外は短期的な目標足りえず、まずは各セグメントでの売上高利益率の回復に専念したいと考えています。
| 経営目標 | 目標水準 | 2019年度(実績) |
| ROA | 5% | △0.3% |
| ROE | 10% | △0.5% |
| 自己資本比率 | 50% | 55.9% |
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b. 契約債務
2020年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
| 年度別要支払額(百万円) | |||||
| 契約債務 | 合計 | 1年以内 | 1年超3年以内 | 3年超5年以内 | 5年超 |
| 短期借入金 | 59,617 | 59,617 | - | - | - |
| 長期借入金 | 17,441 | - | 10,467 | 6,408 | 564 |
| リース債務 | 1,324 | 241 | 557 | 428 | 96 |
c. 財務政策
財務政策としては、良好な財務体質と資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために経営資源を配分することを基本方針としており、具体的な指標としてROA5%、ROE10%、自己資本比率50%の水準を中長期的な目標としています。
経営資源の配分については、安定的な経営に必要な手元現預金水準を維持しつつ、設備投資等、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。
設備投資は、将来にわたり長期安定的な利益を生み出すため、新商品・新ビジネスへの対応や、付加価値の内部取り込みといった目的の投資の他、品質向上及び省人化の投資、また計画的な設備の老朽化更新といった投資が主な内容となっております。
各年度の設備投資額はフリーキャッシュ・フロー黒字の範囲内を原則とし、十分な水準の手元流動性を確保するよう努めておりますが、不足する運転資金、設備投資資金については金融機関からの借入により調達しています。
株主還元については、中長期的な業績に対応して一定水準の安定した配当を継続することが大切であると考えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては会計上の見積りを行う必要があり、資産及び負債や収益及び費用等の額に不確実性がある場合において、連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて合理的な金額を算出しております。
当該会計上の見積りのうち、以下の事項について財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすものと考えております。
なお、文中の中期経営計画は、策定時点において入手可能な内外の情報等に基づいたものであり、会社が参加している複数の市場に係る成長率や、経営者によって実行可能と判断された施策等の仮定が用いられています。また、新型コロナウイルス感染の拡大の収束の時期については予測が困難であり、今後更に長期化した場合は、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
a.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来の課税所得や一時差異等の加減算に係るスケジューリングに基づき、将来減算一時差異のうち将来において回収可能性があると判断した部分について計上を行い、回収が見込めない部分については評価性引当金を計上しております。
将来の課税所得は、直近の中期経営計画や実現可能なタックスプランニング等による見積りや仮定に基づいております。
将来の状況が当該見積りや仮定へ影響を及ぼした場合には繰延税金資産の回収可能性に変動が生じ、繰延税金資産の修正が必要となる可能性があります。
b.固定資産の減損
「固定資産の減損に係る会計基準」が適用される固定資産のうち、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなったものについてその帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該差額を減損損失として計上しております。
減損損失の計上プロセスには、減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定が含まれており、それらは直近の中期経営計画に基づいた将来キャッシュ・フローの見積りを基礎として行われております。
当該将来キャッシュ・フローの見積りについて将来の状況により見直しが必要となった場合には、追加の減損損失が発生する可能性があります。
なお、当連結会計年度における減損損失計上額は、「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (損益計算書関係)」に記載のとおりであります。
c.退職給付会計
当社グループが採用している確定給付制度における退職給付に係る資産及び負債は、退職給付見込額のうち期末までに発生していると認められる額を割り引いて計算した退職給付債務から、年金資産の額を控除して算定されております。
この算定を行うにあたっては、割引率及び年金資産の期待運用収益率等の数理計算上の仮定が用いられています。割引率については期末における長期の国債の利回りを基礎として決定しており、年金資産の期待運用収益率については、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産から現在及び将来期待される長期の収益率を考慮して決定しております。
当該数理計算上の仮定について将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の退職給付に係る資産、負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係) 2.確定給付制度 (8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。