有価証券報告書-第115期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、経済活動の停滞や個人消費の低迷が続く等、国内外において厳しい状況となりました。政府の各種施策により一定の抑制効果はあったものの、感染拡大に歯止めがかからず、経済の下振れリスクを含んだ先行き不透明な状態が続いております。
自動車業界は、新型コロナウイルスの影響により、国内では一時的に需要が落ち込んだものの、下期より回復しました。海外においても、大きく需要が減少しましたが、北米では下期に大幅に回復しました。一方、中国においては、早期に経済活動が再開し、年度を通じて好調を維持しました。
電子機器業界は、新型コロナウイルスの影響により製品の生産、出荷に遅れが生じるとともに、スマートフォン、ハードディスク等の需要が減少しました。一方で、オンライン化の推進により、パソコンやタブレットの需要は増加しました。
事務機業界は、新型コロナウイルスの影響により、複合機およびプリンターともに需要が減少しました。
このような環境の中、当社の当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、803,000百万円となり、前連結会計年度末対比で74,304百万円の増加となりました。これは主に、投資を一時的に抑制したことから、有形固定資産が減少したものの、運転資金需要に対応した短期借入の実施による現金及び預金の増加、下半期の販売増加に伴う受取手形及び売掛金の増加、更に保有株式の時価上昇により投資有価証券が増加したことによるものです。
負債合計は、300,886百万円となり、前連結会計年度末対比19,429百万円の増加となりました。これは主に、退職給付に係る負債が減少したものの、短期借入金と繰延税金負債が増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末対比54,875百万円増の502,114百万円となり、自己資本比率は57.0%となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上や配当の支払いにより利益剰余金が減少したものの、その他有価証券評価差額金が増加したことによるものです。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を当連結会計年度の期首から適用しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
b.経営成績
当社の経営成績は以下のとおりです。
シール事業におきましては、自動車向けは、下期に入り需要は回復しましたが、上期の需要が落ち込んだことが影響し、販売は減少しました。一方で、一般産業機械向けは、中国における建設機械需要の増加により、販売は増加しました。
その結果、売上高は293,023百万円(前年同期比7.6%の減収)となりました。営業利益は、人件費・経費等の削減に努めましたが、販売減少の影響により、23,183百万円(前年同期比4.6%の減益)となりました。
電子部品事業におきましては、高機能スマートフォン向け、自動車向けの需要は下期に入り回復しましたが、上期の需要が大きく落ち込んだことにより、販売は減少しました。
その結果、売上高は281,771百万円(前年同期比0.5%の減収)となりました。営業損失は、販売が減少したものの、人件費・経費等の削減、償却費の減少効果により、8,371百万円(前年同期は12,600百万円の営業損失)となりました。
ロール事業におきましては、複合機および補修用部品の需要が落ち込んだことにより、販売は減少しました。
その結果、売上高は14,184百万円(前年同期比20.3%の減収)となりました。営業損失は、人件費・経費等の削減に努めましたが販売減少の影響が大きく、1,422百万円(前年同期は751百万円の営業損失)となりました。
特殊潤滑剤等のその他事業におきましては、売上高は7,390百万円(前年同期比17.5%の減収)となりました。営業利益は1,060百万円(前年同期比6.4%の増益)となりました。
以上の結果、当社グループの経営成績は、売上高は596,369百万円(前年同期比4.9%の減収)となりました。営業利益は14,467百万円(前年同期比20.3%の増益)、経常利益は18,339百万円(前年同期比5.6%の増益)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,361百万円(前年同期は2,218百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末に比べ38,019百万円増加し120,385百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果、得られた資金は、45,824百万円(前年同期比35.8%の減少)となりました。これは主として、下半期の業績の回復を背景とした運転資金の増加によるものです。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果、使用した資金は、18,719百万円(前年同期比62.9%の減少)となりました。これはコロナ禍の影響を鑑み、年初より投資を圧縮したことが主たる要因です。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果、得られた資金は、5,884百万円(前年同期は17,497百万円の支出)となりました。これは配当金の支払および長期借入金の返済をしたものの、コロナ禍の影響を鑑み短期借入を実施したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (百万円) | 前年同期比(%) |
| シール事業 | 293,060 | 92.7 |
| 電子部品事業 | 283,529 | 102.0 |
| ロール事業 | 14,051 | 78.9 |
| その他事業 | 6,526 | 72.3 |
| 合計 | 597,168 | 96.2 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2.上記中には商品仕入高を含んでおりますが、当社グループにおいては仕入販売事業の事業規模には金額的重要性はありません。
3.上記中には消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループは、主として得意先より生産計画の内示を受け、それに基づく見込み生産を行っているため記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (百万円) | 前年同期比(%) |
| シール事業 | 293,023 | 92.4 |
| 電子部品事業 | 281,771 | 99.5 |
| ロール事業 | 14,184 | 79.7 |
| その他事業 | 7,390 | 82.5 |
| 合計 | 596,369 | 95.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| Apple Inc. | 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) |
| 76,465 | 12.2 | 87,537 | 14.7 | |
3.上記中には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの状況は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、全事業とも売上は前年対比で減少しました。一方で、営業利益は経費の削減・投資の抑制効果等により、前年対比で増益となりました。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
シール事業におきましては、自動車向けは、下期における需要回復により売上の回復が見られましたが、上期における国内外の需要の落ち込みが大きく影響し、通期の売上は減少しました。一方で、一般産業機械向けは、中国における建設機械需要の増加により、売上は増加しました。持続的な競争力を有する生産体制の構築に引き続き注力するとともに、不採算品目の見直しを行い、収益の確保を進めてまいります。
電子部品事業におきましては、自動車向け・タブレット向けは増収となったものの、スマートフォン向けにおいて需要変動の影響を受け全体売上は減少しましたが、体質改革が国内外で着実に進んだ結果、人件費、経費及び償却費用等の減少効果により、前年対比で営業損失幅は改善しました。引き続き、固定費の管理による変動に強い体質づくりを推進するとともに、生産体制の再構築による生産効率の向上及び自動車向けを含む新用途への拡販により、事業の安定化を図りつつ持続性のある成長につなげてまいります。
ロール事業におきましては、従来からの事務機市場の成長鈍化に加え、リモートワークの普及によってペーパーレス化が加速したことで、複合機および補修用部品の需要が落ち込み、売上は減少しました。引き続き原価低減を含む収益改善施策を推し進め、アフターコロナのロール市場においても収益を出せる体質の構築に注力してまいります。
また、昨年度同様、新商品・新事業創出にも力を入れております。今年度は、新たに生体信号ゴム電極「Sotto」シリーズとして、衣類に取り付け可能な「Sotto ファブリック」や、脳波計測用「Sotto ブレイン」が加わり、両製品ともECサイトでの試行販売が開始されております。その他にも、細胞培養容器としての活用が期待される透明フッ素樹脂「MEXFLON®」など、各事業の専門的な技術を生かした新商品の開発を進めております。開発品の早期の収益貢献を実現するため、顧客検証と並行して事業化に向けた体制作りにも取り組んでまいります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」で述べましたとおり、以下が主なものとなります。
a. 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
b. 顧客の業績への依存
c. 他企業との連携
d. 需要動向の変化による影響
e. 為替変動の影響
f. 金利変動の影響
g. 株式市場の動向による影響
h. 原材料の価格変動
i. 法的規制等の影響
j. 訴訟その他の法的手続にかかわるリスク
k. 知的財産権侵害の影響
l. 環境規制が及ぼす影響
m. 政治経済情勢による影響
n. 自然災害等による影響
o. 情報流出の影響
p. サイバー攻撃等の影響
q. 製品の品質問題が及ぼす影響
当社グループでは、ますます拡大する海外事業の適切な管理や新商品開発による販売強化、品質力のさらなる向上、自然災害等に備え、BCM(事業継続マネジメント)の運用、業務の効率化、デジタル化の推進、ならびにこれらを担う人材の育成に力を入れ、将来を見据えて当社グループが持続的に成長発展していけるよう、取り組んでおります。
また、経営成績に影響する各種リスクを回避できるよう、引き続き経営者として努力してまいりますとともに、企業目的である「全てのステークホルダーに利益と誇りをもたらす」、そのための事業方針である「技術に裏打ちされた独自性のある、かつ社会に有用な商品を世界中で安くつくり適正価格で売る」の具現化に努めてまいります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループとしては中長期的な経営上の目標として、収益性を表す指標としてROA5%、経営の安全性を表す指標として自己資本比率が50%の維持を掲げています。これらを達成した結果として、一般的に優良企業と目されるROE10%に届くことになります。
しかし現在は収益力が落ち込んでいるため、自己資本比率以外は短期的な目標たりえず、まずは各セグメントでの売上高利益率の回復に専念したいと考えています。
| 経営目標 | 目標水準 | 2020年度(実績) |
| ROA | 5% | △0.2% |
| ROE | 10% | △0.3% |
| 自己資本比率 | 50% | 57.0% |
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.契約債務
2021年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
| 年度別要支払額(百万円) | |||||
| 契約債務 | 合計 | 1年以内 | 1年超3年以内 | 3年超5年以内 | 5年超 |
| 短期借入金 | 76,914 | 76,914 | - | - | - |
| 長期借入金 | 13,161 | - | 10,687 | 2,386 | 88 |
| リース債務 | 1,468 | 426 | 304 | 150 | 586 |
c.財務政策
財務政策としては、良好な財務体質と資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために経営資源を配分することを基本方針としており、具体的な指標としてROA5%、ROE10%、自己資本比率50%の水準を中長期的な目標としています。
経営資源の配分については、安定的な経営に必要な手元現預金水準を維持しつつ、設備投資等、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。
設備投資は、将来にわたり長期安定的な利益を生み出すため、新商品・新ビジネスへの対応や、付加価値の内部取り込みといった目的の投資の他、品質向上及び省人化の投資、また計画的な設備の老朽化更新といった投資が主な内容となっております。
各年度の設備投資額はフリーキャッシュ・フロー黒字の範囲内を原則とし、十分な水準の手元流動性を確保するよう努めておりますが、不足する運転資金、設備投資資金については金融機関からの借入により調達しています。
株主還元については、中長期的な業績に対応して一定水準の安定した配当を継続することが大切であると考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。