有価証券報告書

【提出】
2021/06/24 16:13
【資料】
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【項目】
166項目

足許の環境変化を踏まえた経営課題の認識と、今後の経営戦略の考え方は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境
当事業年度にコロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ世界の自動車需要は、元の水準まで回復しないものの、各国の景気刺激策の後押しもあり、2021年度において一定の回復はみられると予想しております。しかしながら、足許では、新型コロナウイルス感染症の収束の不透明感、材料市況の高騰、半導体供給不足を主とするサプライチェーン途絶リスクが浮上しており、当社を取り巻く事業環境は引き続き不安定な状況です。
(2)経営方針、経営戦略及び対処すべき課題
このような不透明な外部環境の下、当社グループは収益基盤の強化と黒字化の達成を図るべく、引き続き中期経営計画「Small but Beautiful」に沿って、構造改革等の施策を進めてまいります。
⦅当社グループが目指す姿⦆
当社グループは、中長期的な持続的成長に向けて、「三菱自動車らしさ」の再定義を行いました。当社グループが目指す姿、つまり「三菱自動車らしさ」とは、環境を軸とした、安全・安心・快適であると考えております。具体的には、当社が強みを持つ①電動化技術と、②オフロードの高い走破性を持ったSUV技術、そして、③機能的で愉しい空間での快適性能を、お客様に体感して頂けるようなクルマづくりをしていくことを想定しております。
当社グループの電動化技術の根幹にあるプラグイン・ハイブリッド技術は、急速に普及する脱炭素社会への最適解として大きな武器となる可能性を有しております。このプラグイン・ハイブリッド技術を、どのような道路環境においても高いパフォーマンスを維持できるSUVに搭載することによって、電欠を気にすることなく、どこまでも走れる走行性能を持つ、唯一無二のモデルとして、訴求していきたいと考えております。
また、当社グループには、アライアンスと独自技術による様々なオプションを選択できるという強みがあります。幅広いコンポーネントのオプションを組み合わせることで、それぞれの国や地域のニーズに合致させ、三菱自動車らしさを加味した魅力的なクルマづくりを順次展開してまいります。
さらに、当社グループは、電動技術を搭載した製品を通じて、あらゆるユーザーの皆様の環境への取り組みに対し、様々な価値を提供していきたいと考えております。例えば、法人に向けては、事業運営に関わるCO2削減や、緊急時の電力の供給源としてご提案できると考えております。自治体に向けては、災害時における電力の供給源や、本格化するワクチン輸送時の電力サポートなどの付加価値提供が実現できると想定しております。消費者の皆様に向けては、個人レベルでのSDGs(持続可能な開発目標)実現にお役立ていただけるだけではなく、災害時における電力の供給源としてご活用いただけます。
加えて、地域への貢献として、二次的な活用としてのV2Xの取り組みを進めております。具体的には、電動車両を電力の調整リソースとして活用する実験をしており、今後ビジネスとして発展させたいと考えております。
グローバル自動車需要は、先進国を中心に徐々に回復してきているものの、我々を取り巻く環境は引き続き厳しく、不透明な状況です。そういった環境下においても、当社グループは中期経営計画「Small but Beautiful」を確実に実行し、経営基盤を一層強固なものにしてまいります。
⦅地域戦略⦆
コア地域であるアセアンやオセアニアでは、さらなるシェアアップや販売拡大の為、それぞれの国に適した取り組みを行ってまいります。
まず、当事業年度においてコロナ禍で激しい競争に晒されたタイ・フィリピンにつきましては、2021年度も厳しい市場環境状況が続くと想定しており、それぞれの課題に対する対応は実施しているものの、シェア奪回には一定の時間を要すると認識しております。これらの地域では、厳しい環境の下、反転攻勢の準備として、販売ネットワークの強化を加速いたします。
一方で、堅調な市場回復が見られるインドネシア、エクスパンダーやトライトンが好調に推移し、売上・利益ともに拡大を続けるマレーシア、著しい市場拡大の中、当事業年度に過去最高販売台数を記録したベトナム等は、2021年度も好調な販売モメンタムが続くと想定しており、そういった地域では、需要の増加を確実に捕捉すべく拡販に努めます。
また、当事業年度において過去最高のマーケットシェアを達成したニュージーランド、為替の影響もあり好調に推移しているオーストラリアでは、発表以来高い評価を頂いている新型『アウトランダー』や『エクリプス クロス』PHEVモデルの投入などを通じ、さらなる販売台数の拡大を図ります。
このように、厳しい環境が続く国ではやるべき施策を着実に実行し、オポチュニティが期待できる国では機会をしっかりと捉えてまいります。
⦅商品戦略⦆
当社グループは、現在、2022年度以降のさらなる商品ラインナップの充実に向けて、開発を加速させております。アセアンでは、次世代型のトライトンを皮切りに、当社の既存商品の刷新、ラインアップの強化を図り、更にはアセアンプラットフォームを活用した全く新しい商品を、計画通り順次市場に投入してまいります。これらにより各セグメントでのラインアップを充実させ、当社のブランドをさらに強化いたします。
⦅固定費削減⦆
固定費削減につきましては、当初の想定以上に進捗し、2年間で20%以上の削減計画を1年前倒しで当事業年度に達成することができました。当事業年度に取り組んだ多くの施策は、2021年度も通年で効果を発揮する見込みです。
一方で、当社グループの新車投入向けの広告宣伝費や2022年度以降市場投入が予定されている新商品開発など、成長に向けた投資は必須です。2021年度におきましては、それらの投資を積極的に行いつつ、構造改革による固定費削減の通年貢献効果で打ち返し、費用総額を当事業年度並みに抑制してまいります。