有価証券報告書-第9期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
対処すべき課題
以下に記載している将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、次の経営理念とそれらを実現するための経営ビジョン(当社の進むべき方向性)を策定し、これらの経営方針とビジョンの下、グローバル競争に打ち勝つ企業規模と展開力を実現し、安全・環境に即した先進技術の追求を通じ、車体部品とトランスミッション部品の専門メーカーとして世界TOPを目指し、企業価値・株主価値の向上に努めてまいります。
<経営理念>社是
・人間性尊重
・技術革新
・堅実経営
行動指針
・愛情と相互信頼をモットーに自己啓発に努めよう
・先進技術を追求し良質廉価な製品を提供しよう
・自主性をもち英知と機敏さで社会に貢献しよう
<経営ビジョン>先進技術と良質廉価技術の融合で低炭素社会に貢献し、世界中のお客様に満足される企業
(2)経営指標
当社グループは、健全な財務体質を維持しつつ、自己資本に対する収益性を高めること、そのために、売上・利益の持続的な拡大を図ることを目指しています。
健全な財務体質を維持向上するため、自己資本比率は50%以上を維持すること、同時に、資本効率の面では資本利益率(ROE)は8%以上を目指します。そのためには、安定した利益成長が求められます。当社は売上・利益の拡大を図るため、売上高成長率及び売上高営業利益率の向上を目指します。また、設備産業の特性から、売上拡大のための設備投資と資産は効率性を重視し、総資産利益率(ROA)、投下資本利益率(ROIC)の向上を目指します。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループが属する自動車産業は、「CASE & MaaS」という大変革期を迎えております。当社は、「情熱と革新を融合させ、人とクルマのより良い未来をかたちづくる」をビジョンに掲げ、開発から量産までを担う車体専門メーカーとなり環境と安全性で車づくりをリードする企業を目指しています。
CASE & MaaSの進展による当社の事業環境認識は、EV化とシェアリング拡大を通じて、自動車の価格の2極化が進むこと、カーメーカーのCASE対応の開発負担が増加しサプライヤーの活用の機会が増えること、環境規制が軽量化ニーズを一段と高めることなどです。当社は、これを受けて次の4項目を重点施策として推進しています。
① 企業体質の向上
企業体質の向上のために生産性と品質の信頼性を向上してまいります。
製造現場の生産性は、プレス工程、溶接工程、物流の自動化を進めていきます。また、間接部門も含めデジタル情報技術を活用した業務効率の向上を図ります。また、品質は顧客との信頼関係の基礎であり、カメラ映像や画像分析技術を活用した品質保証を進め、生産ライン内部での精度測定・品質検査の実現により、品質の信頼性を高めてまいります。
② 売上・利益の拡大
製造業の持続的な成長には、技術開発が不可欠であり、車体一台開発の加速と既存技術の更なる進化を進めてまいります。車体一台開発には、車体一台の複合解析能力の向上が必要です。さらに、先進的で高付加価値の車づくりのため、ジーテクト東京ラボ“GTL”で世界の拠点情報や欧州エンジニアリングサービス会社の技術を集約し、新たなコア技術を獲得してまいります。先進技術を集めた高付加価値の高級車の開発競争への参画、EV化に伴う軽量化技術の進化を狙います。既存技術である冷間超高張力鋼板(超ハイテン材)加工技術や熱間プレス(ホットスタンプ)の生産効率向上とレーザー加工の最小化、マルチマテリアル化やバッテリーケース開発などにさらに磨きをかけます。生産性向上による原価低減と合わせ、普及モデルの売上原単位拡大や新規受注を目指します。
また、「生産性/信頼性向上プロジェクト」を推進し、デジタル技術や映像解析技術を活用した省人化、無人化等による原価低減を進めてまいります。
③ 人財
当社の成長の基盤を担う各階層の人財育成・確保に努めます。次世代経営を担う幹部候補には、外部研修や社内のエキスパートによる経営の継承を図る育成プログラムを推進します。若手からミドルまで階層別に能力・スキルを補完するため、ハードタスクや海外子会社経営などを通じ実践教育を行います。新たな成長分野を開拓するため、外部登用も含めエキスパート人材を確保します。
④ 社会貢献
企業の持続的な成長のため、気候変動問題への対応、再生エネルギーの活用や企業価値向上の指針としてのSDGsを実践してまいります。
新型コロナウイルス感染症への当面の対策と今後の対応
2020年初頭から新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、世界経済に甚大な影響を与えております。世界の自動車産業にも需要と供給の両面で影響を与えており、人々の価値観や行動様式の変化とともに、長期的な影響が懸念されています。
今回の危機に際し、当面の対応として、当社は従業員の安全確保、手元流動性の確保、サプライチェーンの維持に努めております。国内外の操業中の工場では、入構時の検温・体調確認、マスク着用・手洗いの励行、帰国者の自主的隔離、構内の社会的距離の維持などの感染防止を徹底しています。
工場の操業を停止している拠点においては、労務費等の固定費の支出が継続します。日本・米国などで金融機関からの資金調達を行っており、すべてのグループ会社の資金繰りに問題は生じておりません。また、4月20日に株式会社格付投資情報センター(R&I)から信用格付A-を取得し、将来の資金調達の多様化も検討していきます。
日本及び海外の生産拠点とは、経営トップが定期的にテレビ会議による工場及び地域の状況確認・情報収集、生産継続のための要員・設備の維持管理等を行っており、一部を除き、工場操業を再開しております。経費削減や設備投資の見直しを図り、従業員・家族の感染防止を徹底し、また、サプライチェーンの維持のため、取引先の経営状況の把握と支援、オンライン調達の推進などを行っています。
中長期的には、全グループ会社の財務体質の強化を図るため、収益性の改善や経営指導などを推進し、各社の自己資本比率と手元流動性確保に努めてまいります。
また、生産領域の自動化による感染リスクの低減を図るとともに、リモートワークの導入を機に間接部門の働き方を再構築し、営業・購買・技術・管理分野の労働生産性の向上に取り組んでまいります。
この新型コロナウイルス感染症によって人々の価値観や行動様式の変化がもたらされる新しい時代に向けて、財務体質の更なる強化による市場からの信頼と安定した経営基盤、デジタル技術を活用した生産性向上の加速、働き方の新しいスタイル構築によるワーキングイノベーションで、持続的な成長に繋げてまいります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、次の経営理念とそれらを実現するための経営ビジョン(当社の進むべき方向性)を策定し、これらの経営方針とビジョンの下、グローバル競争に打ち勝つ企業規模と展開力を実現し、安全・環境に即した先進技術の追求を通じ、車体部品とトランスミッション部品の専門メーカーとして世界TOPを目指し、企業価値・株主価値の向上に努めてまいります。
<経営理念>社是
・人間性尊重
・技術革新
・堅実経営
行動指針
・愛情と相互信頼をモットーに自己啓発に努めよう
・先進技術を追求し良質廉価な製品を提供しよう
・自主性をもち英知と機敏さで社会に貢献しよう
<経営ビジョン>先進技術と良質廉価技術の融合で低炭素社会に貢献し、世界中のお客様に満足される企業
(2)経営指標
当社グループは、健全な財務体質を維持しつつ、自己資本に対する収益性を高めること、そのために、売上・利益の持続的な拡大を図ることを目指しています。
健全な財務体質を維持向上するため、自己資本比率は50%以上を維持すること、同時に、資本効率の面では資本利益率(ROE)は8%以上を目指します。そのためには、安定した利益成長が求められます。当社は売上・利益の拡大を図るため、売上高成長率及び売上高営業利益率の向上を目指します。また、設備産業の特性から、売上拡大のための設備投資と資産は効率性を重視し、総資産利益率(ROA)、投下資本利益率(ROIC)の向上を目指します。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループが属する自動車産業は、「CASE & MaaS」という大変革期を迎えております。当社は、「情熱と革新を融合させ、人とクルマのより良い未来をかたちづくる」をビジョンに掲げ、開発から量産までを担う車体専門メーカーとなり環境と安全性で車づくりをリードする企業を目指しています。
CASE & MaaSの進展による当社の事業環境認識は、EV化とシェアリング拡大を通じて、自動車の価格の2極化が進むこと、カーメーカーのCASE対応の開発負担が増加しサプライヤーの活用の機会が増えること、環境規制が軽量化ニーズを一段と高めることなどです。当社は、これを受けて次の4項目を重点施策として推進しています。
① 企業体質の向上
企業体質の向上のために生産性と品質の信頼性を向上してまいります。
製造現場の生産性は、プレス工程、溶接工程、物流の自動化を進めていきます。また、間接部門も含めデジタル情報技術を活用した業務効率の向上を図ります。また、品質は顧客との信頼関係の基礎であり、カメラ映像や画像分析技術を活用した品質保証を進め、生産ライン内部での精度測定・品質検査の実現により、品質の信頼性を高めてまいります。
② 売上・利益の拡大
製造業の持続的な成長には、技術開発が不可欠であり、車体一台開発の加速と既存技術の更なる進化を進めてまいります。車体一台開発には、車体一台の複合解析能力の向上が必要です。さらに、先進的で高付加価値の車づくりのため、ジーテクト東京ラボ“GTL”で世界の拠点情報や欧州エンジニアリングサービス会社の技術を集約し、新たなコア技術を獲得してまいります。先進技術を集めた高付加価値の高級車の開発競争への参画、EV化に伴う軽量化技術の進化を狙います。既存技術である冷間超高張力鋼板(超ハイテン材)加工技術や熱間プレス(ホットスタンプ)の生産効率向上とレーザー加工の最小化、マルチマテリアル化やバッテリーケース開発などにさらに磨きをかけます。生産性向上による原価低減と合わせ、普及モデルの売上原単位拡大や新規受注を目指します。
また、「生産性/信頼性向上プロジェクト」を推進し、デジタル技術や映像解析技術を活用した省人化、無人化等による原価低減を進めてまいります。
③ 人財
当社の成長の基盤を担う各階層の人財育成・確保に努めます。次世代経営を担う幹部候補には、外部研修や社内のエキスパートによる経営の継承を図る育成プログラムを推進します。若手からミドルまで階層別に能力・スキルを補完するため、ハードタスクや海外子会社経営などを通じ実践教育を行います。新たな成長分野を開拓するため、外部登用も含めエキスパート人材を確保します。
④ 社会貢献
企業の持続的な成長のため、気候変動問題への対応、再生エネルギーの活用や企業価値向上の指針としてのSDGsを実践してまいります。
新型コロナウイルス感染症への当面の対策と今後の対応
2020年初頭から新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、世界経済に甚大な影響を与えております。世界の自動車産業にも需要と供給の両面で影響を与えており、人々の価値観や行動様式の変化とともに、長期的な影響が懸念されています。
今回の危機に際し、当面の対応として、当社は従業員の安全確保、手元流動性の確保、サプライチェーンの維持に努めております。国内外の操業中の工場では、入構時の検温・体調確認、マスク着用・手洗いの励行、帰国者の自主的隔離、構内の社会的距離の維持などの感染防止を徹底しています。
工場の操業を停止している拠点においては、労務費等の固定費の支出が継続します。日本・米国などで金融機関からの資金調達を行っており、すべてのグループ会社の資金繰りに問題は生じておりません。また、4月20日に株式会社格付投資情報センター(R&I)から信用格付A-を取得し、将来の資金調達の多様化も検討していきます。
日本及び海外の生産拠点とは、経営トップが定期的にテレビ会議による工場及び地域の状況確認・情報収集、生産継続のための要員・設備の維持管理等を行っており、一部を除き、工場操業を再開しております。経費削減や設備投資の見直しを図り、従業員・家族の感染防止を徹底し、また、サプライチェーンの維持のため、取引先の経営状況の把握と支援、オンライン調達の推進などを行っています。
中長期的には、全グループ会社の財務体質の強化を図るため、収益性の改善や経営指導などを推進し、各社の自己資本比率と手元流動性確保に努めてまいります。
また、生産領域の自動化による感染リスクの低減を図るとともに、リモートワークの導入を機に間接部門の働き方を再構築し、営業・購買・技術・管理分野の労働生産性の向上に取り組んでまいります。
この新型コロナウイルス感染症によって人々の価値観や行動様式の変化がもたらされる新しい時代に向けて、財務体質の更なる強化による市場からの信頼と安定した経営基盤、デジタル技術を活用した生産性向上の加速、働き方の新しいスタイル構築によるワーキングイノベーションで、持続的な成長に繋げてまいります。