有価証券報告書-第13期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 14:39
【資料】
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【項目】
169項目

対処すべき課題

以下に記載している将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、次の経営理念とそれらを実現するための経営ビジョン(当社の進むべき方向性)を策定し、これらの経営方針とビジョンの下、グローバル競争に打ち勝つ企業規模と展開力を実現し、安全・環境に即した先進技術の追求を通じ、車体部品とトランスミッション部品の専門メーカーとして世界TOPを目指し、企業価値・株主価値の向上に努めてまいります。
<経営理念>社是
・人間性尊重
・技術革新
・堅実経営
行動指針
・愛情と相互信頼をモットーに自己啓発に努めよう
・先進技術を追求し良質廉価な製品を提供しよう
・自主性をもち英知と機敏さで社会に貢献しよう
<経営ビジョン>情熱と革新を融合させ人とクルマと地球のより良い未来をかたちづくる
(2)経営指標
当社グループは、健全な財務体質を維持しつつ、自己資本に対する収益性を高めること、そのために、売上・利益の持続的な拡大を図ること、そして株主還元による株主価値の向上を目指しています。
健全な財務体質を維持向上するため、自己資本比率は50%以上を維持すること、同時に、資本効率の面では自己資本利益率(ROE)10%以上を目指します。そのためには、安定した利益成長が求められます。当社は売上・利益の拡大を図るため、売上高成長率及び売上高営業利益率の向上を目指します。目標として、2030年度に売上高4,000億円、営業利益280億円、営業利益率7.0%を目指します。また、設備産業の特性から、売上拡大のための設備投資と資産は効率性を重視し、総資産利益率(ROA)、投下資本利益率(ROIC)の向上を目指します。
また、当社グループは、株主の利益向上を経営の重要課題のひとつとしています。持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的として、安定的・継続的な株主還元を実施し、目標値として2031年3月期に株主資本配当率(DOE)を3.0%とするとともに、配当性向を2025年3月期から30%以上とすることを基本方針としています。
(3)会社の対処すべき課題
大変革期のただ中にある自動車業界にあって、事業会社としての生き残りを賭けて、当社グループでは以下の課題に重きを置いた取り組みを推進してまいります。
① 車体領域のシステムサプライヤー(Tier 0.5)への進化
世界中で進む急速なEVシフトへの対応のため、自動車業界各社は、EVとして競争力ある車両開発や電池、モーターといった新たな領域の開発に工数を割くと同時に、世界各地で新たな調達網(サプライチェーン)を構築することが急務となっています。これらの多大な工数を賄うために、完成車メーカーは外部リソースとしてのサプライヤーの活用を拡大することが想定されます。当社はこれを商機と捉え、これまで培った車体一台分解析技術と生産技術を駆使するとともに、外部とのアライアンスを積極的に検討、活用することで、一次メーカーと称される現在の「Tier 1」サプライヤーから一つ上のステージである「Tier 0.5」に進化し、開発から量産までを完成車メーカーから一括受注する「車体領域のシステムサプライヤー」としての事業モデルを確立することを目指しています。
現在、開発連携、生産能力補完、材料・設備調達の観点から、企業間のアライアンスを各領域で構築し、これにより増強されたリソースを基に、東京都に所在する自社拠点の実証ラインにて複数のEV関連技術を実証しています。外部アライアンスの強化を継続するとともに、早期の事業化に向けて引き続き取り組んでまいります。
② スマートファクトリーの実現
自動車の電動化は、当社の商品である車体部品の造りを大きく変える可能性を有しており、従来は複数の部品で構成されていたコンポーネントを一体加工する「ギガキャスト」技術の登場もその一つの兆候とみなされています。この車体構造の変革は、生産方式、ひいては工場のあり方そのものの変革を伴うものであり、次世代の工場は、これまで以上の生産性と信頼性を備えることが求められています。
この課題に対して当社グループでは、生産性及び信頼性向上の取り組みとして、「知能を持った賢い工場(生産ライン)」「生産量の変動に追従できる柔軟な生産体制」をコンセプトとする未来の生産工場づくりに取り組んでおり、「工場内物流の無人化」「製造工程の無人化」「自動検査の導入」「現場のビッグデータ活用」を推進し、「高品質、低コスト、高度なオペレーション」によるスマートファクトリーを実現することを目指しています。このコンセプトを具現化するものとして、現在新たに建設中の中部工場(岐阜県海津市)及び中国の南沙工場では、最先端のテクノロジーを導入し、生産の無人化に加えて、無人搬送車(AGV)・無人フォークリフト(AGF)の導入及び倉庫システムとの連動による物流の無人化を実現する予定です。
これらの新工場での検証結果も加えたグループ内での先行する実績・知見に改善を重ね、世界各地に展開するグループ各社に水平展開することで、グローバルでの収益力の向上を図ってまいります。
③ 人的資本への投資
「人間性尊重」の社是に基づき、人財こそ最も重要な経営資源と位置づけて、「全ての従業員に成長の機会を提供し、自主的なスキルアップの支援」と「次の時代に向け新たな価値を生み出す人財の創出」を方針として、従業員とともに成長する取り組みを推進しています。
重点施策として「従業員一人ひとりの成長の支援」「多様な人財の活躍の後押し」「経営幹部候補人財の育成」「専門人財等の採用」を掲げ、女性活躍推進については、2028年までに女性採用比率を25%、女性役職者比率を2023年3月期比で1.5倍、男性育児休業取得率を30%以上、多様な働き方を支援する新規施策を1件以上実施する等のKPIに基づく予実管理にも努めています。
また、昨今の人財の流動化への対応として、従業員の定着化を目的とした人事制度の整備、福利厚生の充実、「健康経営」の推進・拡充等の「働きやすさ」の向上のみならず、従業員一人ひとりが「働きがい」や「ジーテクトで働く意義・メリット」を実感できることが重要であるという認識の下、経営層とのコミュニケーション強化、管理職層の研修拡充や若手層へのヒアリングによるマッチングの実施等のエンゲージメント向上施策を強化・推進してまいります。