有価証券報告書-第14期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/30 14:02
【資料】
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【項目】
126項目
(11)重要事象等について
当企業グループは、当連結会計年度におきまして、2017年1月13日(米国時間)に米国司法省と合意した司法取引に関連して多額の特別損失を計上したことなどにより、3期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上しました。また、米国司法省と合意した司法取引に関連して未払金を計上したことなどにより、連結会計年度末におきまして流動負債が流動資産を超過する状況になりました。さらに、当社米国子会社及び欧州子会社の一部事業を売却すること等でキャッシュ・フローはプラスとなったものの、返済期限を迎えた借入金について、1カ月未満の短い借入期間による借換え実行となる等の状況が継続している他、米国司法省と合意した司法取引に基づく10億ドルの支払のうち支払済みの1億5千万ドルを除く8億5千万ドルの支払が今後発生することや、連結財務諸表に関する注記事項(連結貸借対照表関係)5 偶発債務記載の(1)市場措置、(2)エアバッグ製品に関連する訴訟等に関連して多額の費用等を負担する可能性があることなどから、当企業グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。一方、売上高、営業利益は好調を維持しており、また、これらの継続企業の前提に疑義を生じさせるような事象又は状況に対応すべく、以下の対応策を実施してまいりました。
①関係当局への協力、自動車メーカー及び取引金融機関との取引継続に向けた活動、外部専門家委員会の活動
当企業グループは、当企業グループ製エアバッグを搭載した自動車の市場措置に関連し、製品ユーザーの皆様の安全・安心の確保、信頼回復に向け、自動車メーカーと協力して調査・分析を行うとともに、市場措置の対応、並びに米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)と2015年11月3日(米国時間)に合意した同意指令(Consent Order)、及び2016年5月4日(米国時間)に合意した同修正合意をはじめとする関係当局からの要請等にも全面的に協力し、エアバッグの品質に関する問題の解決、及びユーザーの皆様の安全確保に向けて、全力で取り組んでまいりました。このような品質問題の解決とともに、革新的な製品開発と最高の品質とサービスでお客様のニーズに応えながら、豊かで安全な社会の発展に貢献できるよう、確かな安全を追求していくことが当企業グループの社会的使命と考え、当企業グループ製品の安定的な供給及びその継続の前提である事業基盤の安定を維持するために自動車メーカーとの協議を継続してまいりました。また、そのような事業活動を資金面で担保するため、取引金融機関との協議も併せて継続し、借入残高維持についてご理解をいただいてまいりました。さらに、これら関係者の皆様にとって透明性のある手続となるよう、当企業グループのガバナンス再構築、資本・財務政策、調達政策等の施策を含む当企業グループの再建計画を策定すること等を目的として企業外部の有識者で構成される外部専門家委員会を平成28年2月に発足させ、再建に向けての活動を行ってまいりました。なお、当該再建計画の策定作業の一環として、エアバッグのリコール問題への対処を目指すべく、外部専門家委員会の下で当社に対する新たな出資者(スポンサー)を募集し、再建計画の提案内容について自動車メーカーと協議してまいりました。
②設備投資及びコストの削減
今後の売上計画に応じた設備投資削減、低コスト国への生産及び主要機能移管によるコスト削減等により、キャッシュ・フローの改善を図ってまいりました。
③保有有価証券の売却
保有有価証券売却に伴うキャッシュ・フローの改善を実行しました。
④ノンコア事業売却の検討
自動車安全部品の製造・販売というコア事業以外の事業の売却を検討してまいりましたが、2016年9月28日(米国時間)に当社の米国子会社の一部事業を売却しました。また、2017年2月22日(米国時間)に、当社の米国子会社2社及び欧州子会社の一部事業を売却しました。
⑤インフレータ事業の見直し
エアバッグ事業の継続及び将来の拡大を目指して、インフレータ部門の抜本的な見直しを検討してまいりました。
しかしながら、財政状態の悪化に歯止めをかけることができませんでした。そのため、当社は、当企業グループの事業の再生のために資金支援等を受けることが不可欠であるとの判断に至り、2017年6月25日(米国時間)、スポンサー候補であったキー・セイフティー・システムズ社との間で、当企業グループが全世界で保有する資産及び事業を、実質的に全て同社へ譲渡する旨の基本合意に至りました。また、平成29年6月26日開催の取締役会において、民事再生法の規定による再生手続開始の申立てを行うことを決議し、東京地方裁判所に申立てを行い、同日受理され、直ちに同裁判所より弁済禁止の保全命令及び監督命令が発令されました。また、平成29年6月28日に同裁判所より民事再生手続開始決定がなされました。さらに、同時に当社の国内連結子会社であるタカタ九州株式会社及びタカタサービス株式会社についても、民事再生手続開始の申立てを行い、また、当社の米国子会社であるTKHを含む米州子会社12社についても、2017年6月25日(米国時間)、米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続開始の申立てを行うことを決議し、同日付けで米国デラウェア州連邦破産裁判所に申立てを行いました。
今後、当社では再生計画案を作成し、裁判所の認可を受けて再生計画を遂行することとなりますが、再生計画案は現時点では未確定であり、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。