有価証券報告書-第14期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/30 14:02
【資料】
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【項目】
126項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当企業グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析・検討内容は連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当企業グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りの過程において、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる結果となることがあります。
当企業グループにおいては、特に以下の会計方針にかかる見積りが、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。
① 製品保証引当金
当企業グループは、納入済製品等の補修費支出及び製造物責任の履行に備えて、過去の実績と当連結会計年度の発生状況を考慮した所要見込額を、製品保証引当金として計上しております。
② 貸倒引当金
売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、当社及び国内連結子会社は一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。また在外連結子会社は主として特定の債権について回収不能見込額を計上しております。
③ 繰延税金資産
当企業グループは、繰延税金資産について全部または一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に計上金額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
(2) 経営成績の分析
① 売上高及び営業利益
当連結会計年度における経営成績等の概要については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載しております。
また当企業グループの収益構造の主な特徴は、下記の通りであります。
(グローバルな収益構造)
当企業グループは、グローバルに自動車安全部品の生産・販売を行っており、日本、米州、欧州及びアジアの4セグメントを経営管理の単位として展開しております。
セグメント別の売上高及びセグメント利益(営業利益)の構成は下記のとおりでありますが、各地域で一定の規模を確保したものとなっており、収益構造はグローバル化しております。
(単位:百万円)
報告セグメント合計調整額
(注)1
連結
財務諸表
計上額
(注)2
日本米州欧州アジア
売上高
外部顧客への売上高79,966269,970164,598147,997662,533-662,533
セグメント間の内部売上高又は振替高57,79520,7269,04133,315120,879△120,879-
137,762290,697173,640181,312783,413△120,879662,533
セグメント利益6,12611,1162,13619,66239,041△8338,958

(注)1.セグメント利益(営業利益)の調整額△83百万円には、セグメント間取引消去△11百万円、及びのれん償却△72百万円が含まれております。
2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
② 経常利益及び親会社株主に帰属する当期純損失
当企業グループの経常利益は、前期と比べ営業利益が減少した一方で、為替差益を計上したことなどにより、429億99百万円(前期比22.1%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損失は、特別損失として主に司法取引に関連する損失975億45百万円等を計上した結果として、795億88百万円(前期は130億75百万円の純損失)となりました。
(3) 財政状態の分析
① 資産
当期末における総資産は4,309億54百万円、その内訳は流動資産3,189億86百万円(74.0%)、固定資産1,119億68百万円(26.0%)であり、流動資産の比率が高くなっております。流動比率は、流動資産が182億27百万円増加した一方で、未払金の増加などの要因により、流動負債が1,056億33百万円増加したことにより、前連結会計年度の128.0%から93.6%に34.4ポイント減少しました。固定長期適合比率は、固定資産が減損などの要因により303億8百万円減少し、また、特別損失として主に米国司法省との司法取引に関連する損失975億45百万円等を計上した結果、利益剰余金が795億88百万円減少したことなどにより、前連結会計年度の69.3%から128.2%に58.9ポイント増加しました。
当期末の総資産は、前期末と比べ120億81百万円減少しました。これは主に、前期末比で現金及び預金が増加した一方で、固定資産が減少したことによるものです。
② 負債
当期末における負債合計は3,978億12百万円、その内訳は流動負債3,406億97百万円、固定負債571億15百万円であり、総資産に対する比率は92.3%となっております。
当期末の負債は、前期末と比べ793億63百万円増加しました。これは主に、前期末比で未払金が増加した影響であります。
③ 純資産
当期末における純資産は331億42百万円となりました。そのうち自己資本は302億49百万円であり、主な内訳は資本金418億62百万円、資本剰余金425億79百万円、利益剰余金△251億56百万円であります。自己資本比率は7.0%となりました。
当期末の純資産は、前期末と比べ914億44百万円減少しました。これは主に、特別損失として主に米国司法省との司法取引に関連する損失975億45百万円等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失795億88百万円を計上したことによるものです。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当企業グループの当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末と比較して194億70百万円増加の770億83百万円となりました。また自己資本は302億49百万円(自己資本比率7.0%)、有利子負債残高は839億79百万円(総資産の19.5%)となっております。
税金等調整前当期純損失の計上、売上債権の増加等の減少要因があった一方で、減損損失を計上し、司法取引関連損失等の増加要因を計上したことにより営業活動によるキャッシュ・フローは増加しており、また設備投資による支出があった一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式売却による収入、事業譲渡による収入、投資有価証券売却による収入等があったことにより、前期末比、資金残高は増加しております。資金調達におきましては、金融機関、自動車会社等のサポートも得ながら既存借入金の維持、流動性向上を図り、当社事業活動を遂行する上で必要な手元流動性を維持しました。
当社の当期末における資産構成は、関係会社株式残高が1,116億50百万円と総資産の60.8%を占め、流動資産は599億27百万円(総資産の32.6%)となっております。一方、流動負債は1,572億78百万円であり、流動比率38.1%となっています。
(5) 事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策
「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載の通り、当社の財政状態は急速に悪化していることから、当企業グループの事業の再生のために資金支援等を受けることが不可欠であるとの判断に至り、当社は、2017年6月25日(米国時間)、スポンサー候補であったキー・セイフティー・システムズ社との間で、当企業グループが全世界で保有する資産及び事業を、実質的に全て同社へ譲渡する旨の基本合意に至りました。また、平成29年6月26日開催の取締役会において、民事再生法の規定による再生手続開始の申立てを行うことを決議し、東京地方裁判所に申立てを行い、同日受理され、直ちに同裁判所より弁済禁止の保全命令及び監督命令が発令されました。また、平成29年6月28日に同裁判所より民事再生手続開始決定がなされました。さらに、同時に当社の連結子会社であるタカタ九州株式会社及びタカタサービス株式会社についても、民事再生手続開始の申立てを行い、また、当社の米国子会社であるTK HOLDINGS INC.を含む米州子会社12社についても、2017年6月25日(米国時間)、米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続開始の申立てを行うことを決議し、同日付けで米国デラウェア州連邦破産裁判所に申立てを行いました。
当該再生手続につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」を参照ください。
今後は、同時に再生手続の申立てを行った各子会社とともに、東京地方裁判所及び同裁判所から監督委員に選任された宮川弁護士の監督又は米国デラウェア州連邦破産裁判所の下、キー・セイフティー・システムズ社による資金支援、収支改善及び運営支援等、並びに金融機関からの資金支援を受けつつ事業の再建を目指し、債権者の皆様に対して少しでも多くの弁済額を確保出来るよう、役職員一丸となって会社の事業の再建に尽力してまいる所存です。