有価証券報告書-第118期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/28 9:15
【資料】
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【項目】
159項目
(4)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について
[人的資本投資への基本的な考え方]
当社グループは、創業以来、「和して厳しく」の精神のもと、多様な価値観・強みを持つ従業員に応じたキャリア開発を推し進めております。一人ひとりの持つ技術や才能が存分に発揮される環境づくり、その上で、個々が高い志で切磋琢磨、鋭意努力することによる自律的な成長が重要と考えております。
上記の実現に向け、従業員一人ひとりの力を最大限に引き出し、必要な能力を伸ばし、中長期的な企業価値の向上に貢献するための人的資本への投資は、当社経営において重要と考えております。
[人材育成方針]
当社では、企業理念や志を体現する人材育成の基本的な考え方として「シマノコンピテンシー」を制定し、「企業」「組織」「個人」の3つの側面から「価値創造企業」を実現するための人材像を可視化しております。当コンピテンシーに基づく人材育成の一環として、従業員が自発的に学ぶ風土の醸成、新しい知識の発見・実践・実体験の場、さらには従業員同士のつながりを生む機会を創出しております。これらの取り組みが、「こころ躍る製品」の提供につながると考えております。
代表的な取り組みとして、2022年に社内大学(Shimano Campus)を創設し、会社の歴史や理念などへの理解を浸透させるためのコンテンツや、従業員同士がつながり、互いの専門知識や経験を共有できる場をバーチャルとリアルの二つの側面で構築し、従業員が新たな知の創造を深めることができる機会を提供しております。具体的にバーチャルの場では、従業員がWEB上で一般教養や専門知識など様々なコンテンツにアクセスできる環境を整えております。リアルの場では、経営層と従業員が車座になり、率直に意見を交換しながらシマノの理解を深め合う対話型セッション『ラウンドテーブルの会』を開催し、これまでに220名以上の従業員が参加しました。
その他にも、職位ごとに求められる資質やスキルの開発を目的とした階層別研修や、業務に関連したスキル、社会人として必要な知識に関する検定、語学研修や通信教育の充実に努めております。階層別研修には、対象となる入社1年目から3年目、各役職への登用者が計224名参加し、また語学研修・通信教育には計431名が取り組み、これらの受講費用は会社が補助し活用の促進を図っております。
グローバル全体としては、国内・海外拠点間、または、海外拠点同士での人材交流プログラム等を通じて、従業員のキャリア開発を推し進めております。
その例として、SLD(Shimano Leadership Development)では、若手技術者が約3ヶ月間、欧米の自転車小売店に滞在し、実際に製品が販売される現場や製品が使われる現場を体験します。また、現地の文化や言語も含めて習得・体感することで、実業のキャリア開発に活かしております。その他にも、海外拠点の次世代リーダーを創業の地「堺」の本社に招き、シマノの企業理念・文化・会社が目指す方向性について理解を深め、グローバルリーダーとしてのマネジメント力を養うことを目的とした研修LTSP(Learning Team Shimano Program)も実施しています。
また、日本および海外地域統括会社では、グローバルリーダーの成長を目的として、一部の管理職層以上に人材アセスメントツールを導入し、組織を円滑に運営する能力を身に付けるための徹底的な自己分析を促しています。また、アセスメント結果を活用した全世界共通の強化トレーニングを開始し、経営幹部の育成を支援する環境づくりに投資を行っています。
加えて、社員ひとりひとりが自ら生産性を飛躍的に高められるように、生成AIをグローバル全体に順次導入を開始し、“With AI”の環境づくりを推し進めています。この理解促進とスキル向上を目的として内製した「生成AI研修」を、受講を希望した社員に対して実施しています。
[社内環境整備方針]
当社では、経営方針の1つである「達成感と、よろこびを分かち合える、公正でいきいきとした職場づくりに努める」を実現するために、多様な経験・知見を持つ人材を積極的に取り入れ、従業員ごとの働き方のニーズに応え、健康に安心して働ける職場環境の構築が重要と考えております。
具体的には、時間や場所に捉われず、柔軟な働き方が可能となる在宅勤務制度・時差出勤制度や、育児・介護・不妊治療と仕事の両立を支援する取り組みの拡充に努めています。育児休業の取得率は女性100%、男性67.6%でした。仕事と介護の両立支援においては、従業員の不安解消や事前準備を促すことを目的に支援制度を新たに導入し、ハンドブックの発行や外部専門相談窓口の設置を開始した他、国内連結でセミナーを年2回実施し情報発信を行っております。
また、職場の心理的安全性は重要であり、コンプライアンス意識の浸透を目的としたE-ラーニングを従業員の94.1%が受講しており、その他、ストレスチェックの結果をもとに部署へのフィードバックやサポートなどを実施しております。
従業員の健康促進の観点では、自転車通勤の促進として、駐輪場、浴場、メンテナンス場の整備、自転車通勤手当の支給や、自転車・ヘルメット購入補助などを実施しております。現在では従業員の約4割にあたる714名が自転車通勤を選択し、社内においても自転車文化の向上、従業員の健康支援を促進しております。
グローバル全体としては、「安全と健康はすべてに優先する」という労働安全衛生の精神に基づき、従業員が安心して安全に働くことができる職場構築に努めています。労働災害ゼロを目指し、2018年に本社でスタートした安全特化プロジェクトの下関工場への展開を終え、現在、海外工場への展開を進めております。また、労働災害や事故事例を国内外の工場全体へ速やかに共有する仕組みの構築も進めております。
なお、本項に含まれる将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、指標に関しては、具体的な取組は進めているものの、現時点では必ずしもすべての連結子会社で行われてはいないため、当社グループとしての記載が困難であります。このため、上記指標に関する目標および実績は、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しています。
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