有価証券報告書-第100期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/28 13:07
【資料】
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【項目】
143項目

対処すべき課題

本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当企業グループは以下の経営理念を定めております。
『確かな計測技術で、 新たな価値を創造し、 豊かな社会の実現に貢献します。』
“確かな計測技術で”
-「流体計測技術」から将来を見据えた新たなビジネス拡大の可能性として、「計測技術」まで事業領域を拡大
“新たな価値を創造”
-お客様に付加価値の高いセンサ・ソリューション、そしてサービスを提供
“豊かな社会の実現に貢献”
-地球温暖化問題への取り組み。カーボンニュートラル、水素、アンモニア、メタネーションなどへの関連商品を提供し、再生エネルギーのサプライチェーンに貢献
-SDGsの17の目標:「産業界のマザーツール」メーカーとして、商品を通して社会の営み、あらゆる産業を下支え
当企業グループは、企業活動を通じて、これまで培ってきた技術をより一層深化させることにより、持続的な社会の実現に貢献する商品およびサービスを提供し、中長期経営ビジョンの「アジアNO.1のセンシング・ソリューション・カンパニー」を目指し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に取り組んでおります。
(2) 目標とする経営指標
企業グループの存続と企業体質の改善を目指し、グループの競争力・企業価値・資本効率の向上を図るため、ROEについては3.0%達成を目指しております。
(3) 経営環境および対処すべき課題
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による影響により、依然として厳しい状況が続いていることに加え、ロシアによるウクライナ軍事侵攻などの地政学的リスクの高まりにより先行きの不透明感は強まる状況となっていおりす。 わが国経済においても新型コロナウイルス感染症の収束が期待される一方、断続的な感染拡大に伴う緊急事態宣言などの発出により、社会・経済活動の本格的回復には至らず、さらに2022年の年明けより再び新たな変異株の感染が拡大したほか、半導体不足、円安や資源価格高騰に起因する原材料・燃料コストの上昇を背景に設備投資が抑制され、当企業グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、当企業グループは、中期経営計画「Imagination 2025」において中長期経営ビジョンの「アジアNO.1のセンシング・ソリューション・カンパニー」の実現に向けた構造改革を推進し、成長戦略として「センサ事業成長戦略」「サービス事業成長戦略」「システム事業成長戦略」「新規事業創出戦略」、経営基盤強化戦略として「製造BCL戦略」「人事財務強化戦略」「DX推進戦略」「サステナビリティ推進戦略」の8つの戦略を掲げ、既存事業の変革と社会の課題を解決するイノベーションの実現を目指すとともに、現在の経営基盤の見直しや改善により、強靭で社会から信頼される経営基盤の構築も目指し、次の課題に取り組んでおります。
① 脱炭素社会への取り組み
当企業グループは、創業より石油関連市場を主要な取引先としておりましたが、脱炭素社会を見据え、収益基盤の多様化に取り組んでまいります。石油元売り企業の総合エネルギー企業への転換に深く関わっていくとともに、化石燃料に代わるエネルギーとして実用化が進められている水素、アンモニア、メタネーションなどへの関連商品を提供し、技術開発や高品質による市場優位性の維持向上を目指すとともに、次世代エネルギーのサプライチェーンに貢献することでカーボンニュートラルの実現に取り組んでまいります。
同時に、カーボンニュートラル実現までには一定の期間がかかることから、その期間においては、エネルギーの安全保障に関わる石油・天然ガスの安定供給にも貢献し、人々の暮らしを守り、社会に貢献してまいります。
② サービス事業・校正事業の拡大
当企業グループは、流量計の専業メーカとして、容積式、質量式、超音波式などをはじめとして7種類の測定原理の幅広い商品ラインアップを有していると同時に幅広い技術力とメンテナンス力を強みとしています。この強みと創業より70年以上の経験を活かし、守り(受け身型)のサービスから攻め(提案型)のサービスに転換し、お客様のご使用条件やご要望に合わせたメンテナンスを当社商品のみならず他社商品につきましても提供し、お客様の課題の解決に取り組んでまいります。
校正事業につきましては、計量法校正事業者(JCSS: Japan Calibration Service System)として気体流量、石油流量、水流量の3種類の登録を日本国内で唯一有しており、当社商品に校正という付加価値を付与してまいりました。その技術と設備を他社商品の校正にも使用し、最大限に活用することで収益力を強化し、自動車関連市場向け流量計、他社製流量計、海外向け流量計を中心に販促強化し、JCSS校正を事業として成長させてまいります。
③ アジア事業の拡大
当企業グループは、中国・韓国・台湾などの東アジア地区、またシンガポールなどのASEAN地区を中心にグローバル事業を拡大してまいりました。これらアジアの経済発展は今後も進み、マーケットが成長していくことが予想されます。これに対応するため、アジア各子会社・各代理店における販売チャネルの見直しと再構築を実施し、収益の拡大に取り組み、特に中国子会社においてはアジア事業の中核となるべく、積極的に経営資源を投下することとし、製造・販売・技術の一体体制を構築することで、アジアでの事業基盤の拡大と成長戦略を推し進めてまいります。
④ DX推進
計測器は 「産業のマザーツール」 と呼ばれる通り、産業の発展を支えるうえで、また科学技術を進化させるうえで研究開発、設計、生産、検査、サービスなど、あらゆる場面で必要とされる基本ツールであります。このマザーツールをさらにデジタル化させる、具体的には各種設備や機器にセンサと通信機能を持たせることにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うことで「デジタル技術による変革(DX/Digital Transformation)」が進むこととなります。当企業グループでは、デジタル化に対応した流量センサならびにパッケージシステムの開発を進め、市場への提供を目指し、更に収集した情報を活用したシステムソリューションの開発を中長期目標と定め、DXを推進してまいります。また、同時に当企業グループ自身も、従業員のDXに対するマインドを醸成させ、デジタル技術による変革を積極的に推進し、企業の成長を加速してまいります。
⑤ SDGs(持続可能な開発目標)への取り組み
当企業グループは、SDGsの17の目標の中で、次世代に豊かな自然を継承できるよう、商品を通して環境問題へ貢献することを事業活動の目標としております。その実現のために、①項の次世代エネルギーのサプライチェーンへの貢献の他、水素ステーション用の水素計測超高圧コリオリ流量計やアンモニア計測用の各種流量計、また、VOC(揮発性有機化合物)排出規制により、気化したガソリンを大気中に排出させずタンクに戻す、ベーパーリカバリーシステム用の渦流量計を開発し、販売してまいりました。引き続き、「環境貢献商品の創出」、「資源の有効利用」、「環境保護の推進」に使命感をもって取り組むことで、真に豊かな環境と調和のとれた社会の実現を目指してまいります。
⑥ 当企業グループの成長を支えるベースづくり
当企業グループの成長や変革の実現には、そのベースとなる人財の育成が不可欠です。そのため、当企業グループでは、女性、外国人、中途採用者などを含む多様な人財活躍、教育制度の充実、健康経営に取り組むとともに、過重労働を防止し、従業員一人一人が快適でかつ働きがいをもって生き生きと働ける職場環境を整備してまいります。また、コロナ禍での新しい生活様式をふまえた働き方改革を推進し、今後も引き続きテレワークなどの「働き方の新しいスタイル」の更なる実現に取り組んでまいります。