有価証券報告書-第190期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/25 10:20
【資料】
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【項目】
128項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における経営環境を振り返りますと、米国では景気が緩やかな回復基調をたどり、国内においても政府の経済対策や金融政策を背景として景況感の改善が見られました。一方、欧州では財政危機の不安は沈静化してきたものの、依然として停滞感が残っております。また、中国をはじめとする新興国では成長のペースが鈍化しており、楽観視できない状況が続いております。
このような状況の中で当社グループは、平成25年4月にスタートした中期経営計画「Yamaha Management Plan 2016(YMP2016)」に掲げる施策を推進しました。
中国・新興国における成長加速につきましては、南アフリカに駐在員事務所を設置したほか、トルコ、ベトナムにおける販売拠点の営業を開始するなど新たな市場の開拓を進めるとともに、既存市場においても販売網の整備や各市場に適した商品の投入により、売上げの拡大を図りました。
エレクトロニクス事業領域での売上げ拡大につきましては、電子鍵盤楽器において差別化による市場シェアの拡大を推進したほか、業務用音響機器では、主力商品のラインアップの拡充を図りました。また、ICT(Information & Communication Technology)機器においては、ネットワーク機器のソリューション型ビジネスへの転換と音声コミュニケーション機器事業の拡大に注力しました。
コスト競争力の強化につきましては、国内生産構造改革の効果と原価低減活動の推進により、海外労務費・材料費の高騰分を吸収し、計画に沿ってコストダウンを進捗させることができました。加えて、グローバルでの部材調達機能の強化とコスト削減を図るべく、部材の新規調達先開拓等を行うための現地法人を中国に設立しました。
また、国内事業構造改革の一環として、平成26年4月1日付で、会社分割により、楽器・音響機器の国内生産部門を100%出資子会社3社に承継させました。これにより、ピアノ生産を担う「株式会社ヤマハピアノ製造」、管弦打楽器生産を担う「株式会社ヤマハミュージカルプロダクツ」、電子楽器・音響機器生産を担う「株式会社ヤマハミュージックエレクトロニクス」が、それぞれ発足しました。
新規事業への成長投資としては、平成26年1月に、ギター周辺機器、PA機器、ワイヤレスマイクなどの開発・製造・販売を行う「Line6,Inc.」(本社:米国)を、また平成26年3月には、会議室向けワイヤレスマイク、電話会議システムなどの開発・製造・販売を行う「Revolabs,Inc.」(本社:米国)を、それぞれ当社の100%出資子会社としました。今後、これら新規事業での成長加速と既存事業とのシナジー効果の創出を図っていきます。
なお、平成25年4月1日付で、会社分割により、当社の楽器・音響機器卸販売及び教室事業を100%出資子会社に承継させるとともに、同社と子会社2社を合併させ「株式会社ヤマハミュージックジャパン」とし、また同社の子会社として、楽器小売販売会社8社を合併して「株式会社ヤマハミュージックリテイリング」としました。
販売の状況につきましては、為替による増収影響により、売上高は4,103億4百万円(前年同期比11.8%増加)となりました。
損益の状況につきましては、営業利益259億94百万円(前年同期比182.1%増加)、経常利益は261億46百万円(前年同期比204.7%増加)、当期純利益は228億98百万円(前年同期比455.5%増加)となりました。
セグメントの業績を示すと、次の通りであります。なお、当連結会計年度より、組織変更に伴い、従来の「AV・IT」事業を「音響機器」事業に名称変更しております。また、セグメント区分を見直し、業務用音響機器を「楽器」事業から「音響機器」事業に変更しております。前年同期比の金額、増減率については、変更後の区分方法により計算し記載しております。
(楽器事業)
ピアノは、欧州及び新興国市場での販売が低調であったものの、北米での売上げの増加と国内での消費税増税前の需要拡大があり、全体では増収となりました。電子楽器は、デジタルピアノ及びポータブルキーボードが売上げを伸ばしました。管楽器は、国内及び北米で好調に推移しました。弦打楽器は、インドネシアのギター製造子会社でのストライキによる操業停止の影響を受け、売上げ減少となりました。そのほか、音楽ソフト及び教室収入は、売上げ減少となりました。
以上により、当事業の売上高は2,623億10百万円(前年同期比11.4%増加)、営業利益は197億28百万円(前年同期比205.8%増加)となりました。
(音響機器事業)
オーディオは、北米及び欧州での販売が低調であったものの、円安効果により増収となりました。業務用音響機器は、設備用音響機器が低迷しましたが、アンプ内蔵スピーカーが欧米で売上げを伸ばし、また音楽制作用インターフェイス機器・ソフトウェアも好調に推移しました。通信機器は、国内での業務用需要が伸び、好調に売上げを伸ばしました。
以上により、当事業の売上高は1,054億85百万円(前年同期比14.0%増加)、営業利益は58億66百万円(前年同期比28.8%増加)となりました。
(電子部品事業)
スマートフォン・タブレットPC向けの地磁気センサー(電子コンパス)及び音声処理用コーデック並びにアミューズメント向けの音声及び画像LSIが売上げを伸ばしました。
以上により、当事業の売上高は188億28百万円(前年同期比25.2%増加)、営業利益につきましては、構造改革による損益改善により7億70百万円(前年同期は営業損失20億44百万円)となりました。
(その他の事業)
自動車用内装部品は、欧州高級車向けの販売が伸長しましたが、国内自動車メーカーへの売上げは減少となりました。FA機器は、リークテスターが売上げを伸ばしましたが、プレシジョンマシンが低迷しました。ゴルフ用品は、国内売上げが減少したものの、韓国での売上げが大きく伸びたことから売上げ増加となりました。リゾート事業は、ほぼ前年並みとなりました
以上により、当事業の売上高は236億79百万円(前年同期比0.6%減少)、営業損失は3億70百万円(前年同期は営業利益2億54百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年同期に比べ80億60百万円増加(前年同期は64億54百万円減少)し、期末残高は575億24百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、主として税金等調整前当期純利益により、332億13百万円(前年同期に得られた資金は77億55百万円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は有形固定資産および投資有価証券の取得による支出等により、229億50百万円(前年同期に使用した資金は126億17百万円)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、短期借入金の返済および配当による支出等により、47億45百万円(前年同期に使用した資金は55億36百万円)となりました。