有価証券報告書-第191期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/24 9:23
【資料】
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【項目】
122項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における経営環境を振り返りますと、米国経済は、雇用環境の改善などを背景に個人消費が堅調に推移し景気は回復基調となりました。欧州は、主要国ドイツにおいて年度後半から景気がやや持ち直したものの、ウクライナ情勢やギリシャの債務問題などもあり、依然として不安定な状況が続きました。中国は輸出が持ち直し、個人消費も比較的堅調に推移したものの、成長が以前よりは減速し、その他の新興国は、原油を始めとする資源価格の下落や新興国通貨の対ドル下落などにより、成長に停滞感が出ました。一方国内では、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動による落ち込み影響があったものの、年度後半からは、ゆるやかな回復基調に転じました。
このような環境の中で当社グループは、平成25年4月1日にスタートした中期経営計画「Yamaha Management Plan 2016」の2年目として、重点事業戦略である「中国・新興国における成長加速」、「エレクトロニクス領域での売上げ拡大」、「コスト競争力の強化」、「新規の事業開発」に引き続き取組みました。
「中国・新興国における成長加速」につきましては、新興国市場に適したピアノ、ギター等戦略モデルの投入によるシェア拡大を図ったほか、中国でのピアノ特約店を中心とした販売網の新規開拓、インドネシアでの音楽教室と連動したコンセプトショップ「Music Square」の展開等による販売網拡大などを図りました。インドの現地販売子会社では、取引先の拡大や価格戦略の見直しにより、売上げが伸長しました。
「エレクトロニクス領域での売上げ拡大」につきましては、市場のニーズをとらえた電子鍵盤楽器や業務用音響機器の発売による売上げ拡大を推進し、また前期より参入し事業拡大を進めている商業空間向け音響市場では、主に欧州や国内において納入実績を重ねてまいりました。
「コスト競争力の強化」につきましては、部品、材料の調達コストの削減や原価低減活動の推進により、海外労務費の上昇などを吸収し、計画に沿ってコスト削減を進捗させることができました。
「新規の事業開発」につきましては、前期に100%出資子会社化した「Line 6,Inc.」、「Revolabs,Inc.」とともに、両社の技術・ノウハウとこれまで当社グループで保有していた知見、技術を融合させることによる、新たな顧客価値を生み出すための共同開発を進め、新規事業での成長加速とシナジー効果の創出を図りました。
なお、国内事業構造改革の一環として、平成26年4月1日付で、会社分割により、楽器・音響機器の国内生産部門を100%出資子会社3社に承継させ、ピアノ生産を担う「株式会社ヤマハピアノ製造」、管弦打楽器生産を担う「株式会社ヤマハミュージカルプロダクツ」、電子楽器・音響機器生産を担う「株式会社ヤマハミュージックエレクトロニクス」がそれぞれ発足しました。また、電子部品事業の市場の変化や競争に対応するため、ヤマハ鹿児島セミコンダクタ株式会社の半導体製造事業の譲渡を決定し、製造の外部委託化による一層の柔軟性と機動性のある事業を目指すこととしました。
販売の状況につきましては、売上高は4,321億77百万円(前年同期比5.3%増加)となりました。
損益の状況につきましては、営業利益は301億35百万円(前年同期比15.9%増加)、経常利益は312億31百万円(前年同期比19.4%増加)、当期純利益は249億29百万円(前年同期比8.9%増加)となりました。
セグメントの業績を示すと、次の通りであります。
(楽器事業)
ピアノは、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動により、国内での販売が低調でしたが、北米及び中国を中心に売上げを伸ばし、全体では堅調に推移しました。電子楽器は、主力のクラビノーバCLPシリーズのモデルチェンジ等により、デジタルピアノが全地域で増収となったほか、10年ぶりに新商品を発売したエレクトーンが大きく売上げを伸ばしました。特に、旧モデルを買い替えることなく新モデル同様にアップデートできるユニットの販売が好評で、国内での販売を大きく牽引しました。管楽器は、北米を中心に売上げを伸ばしました。また、弦打楽器は、ギターが普及価格帯を中心に全地域で売上げを伸ばし、中高級価格帯のアコースティックLシリーズも引き続き好調に推移しました。教室収入は在籍生徒数の減少により減収となりました。
以上により、当事業の売上高は2,816億67百万円(前年同期比7.4%増加)、営業利益は250億64百万円(前年同期比27.0%増加)となりました。
(音響機器事業)
オーディオ機器は、北米で回復の兆しが見えるものの厳しい状況が続き、減収となりました。新カテゴリーのライティングオーディオシステム「Relit」を発売し、欧州を中心に話題となりましたが、主力のAVレシーバーの販売が振るいませんでした。業務用音響機器は、欧州で好調に推移したほか、国内のホール、劇場向けなどの音響設備事業も増収に寄与しました。新商品のデジタルミキサー、パワードスピーカー、音楽制作用オーディオインターフェイスが堅調で、加えて天井埋め込み型スピーカー等の設備向け機器も市場浸透が進みました。また、業務用通信カラオケ機器は減収となったものの、SOHO向けルーターや会議システムなどICT (Information & Communication Techno1ogy)機器が売上げを伸ばしました。
以上により、当事業の売上高は1,128億39百万円(前年同期比7.0%増加)、営業利益は61億33百万円(前年同期比4.6%増加)となりました。
(電子部品事業)
半導体は、事業環境が好転せず、主にスマートフォン向けの地磁気センサー(電子コンパス)及びアミューズメント機器用画像コントローラーの販売が振るいませんでした。
以上により、当事業の売上高は134億35百万円(前年同期比28.6%減少)、営業損失は14億46百万円(前年同期は営業利益7億70百万円)となりました。
(その他の事業)
自動車用内装部品及びFA機器は受注が回復し、増収となりました。一方で、ゴルフ用品及びリゾート事業は減収でした。
以上により、当事業の売上高は242億35百万円(前年同期比2.3%増加)、営業利益は3億84百万円(前年同期は営業損失3億70百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年同期に比べ186億34百万円増加(前年同期は80億60百万円増加)し、期末残高は761億59百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、主として税金等調整前当期純利益により、317億29百万円(前年同期に得られた資金は332億13百万円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、有形固定資産の取得による支出等により、117億円(前年同期に使用した資金は229億50百万円)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、配当による支出等により、59億9百万円(前年同期に使用した資金は47億45百万円)となりました。