四半期報告書-第65期第1四半期(平成30年1月1日-平成30年3月31日)

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2018/05/14 13:34
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28項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 業績
当第1四半期連結累計期間におけるスポーツ用品業界は、健康志向によるスポーツへの関心の高まりや、日常でのスポーツ用品利用の拡大を背景に、堅調に推移しました。
このような情勢のもと、当社グループは、更なる成長の礎を築くため中期経営計画「ASICS Growth Plan (AGP)2020」を修正し、アメリカでのランニングシューズ、中国、デジタルを重点分野に設定しました。
アメリカでは、クッション性だけでなく反発性にも優れた新しいミッドソール「HyperGEL」を搭載し、ランニングはもちろん、普段履きとしても使用できるカジュアルなデザインを備えたランニングシューズ「HyperGEL-KENZEN」を市場投入しました。あわせて、インフルエンサーを活用したキャンペーンやローンチイベントを実施するなど、ブランド価値の向上を図りました。
中国では、インフルエンサーを活用したマーケティングキャンペーンをアシックスブランド、オニツカタイガーブランドで実施し、それぞれのブランドの認知拡大を図りました。
デジタルでは、デジタルマーケティングツールの導入を進め、お客様との接点拡大とコミュニケーションの強化に努めました。
直営店の展開として、アシックスタイガーブランドでは、渋谷に旗艦店をオープンしました。また、オニツカタイガーブランドでは、店内に設置したタブレット端末でシューズをカスタマイズできるサービス「NIPPON MADE カスタムオーダー」を、「オニツカタイガー 表参道 NIPPON MADE」にて開始し、銀座、難波に旗艦店をオープンしました。そのほか、トロントに旗艦店を出店するなど、アシックスグループの直営店舗数は、全世界で877店となりました。
ブランディングの展開として、アシックスブランドでは日本、アメリカ、欧州、中国などで著名なインフルエンサーを活用したマーケティングキャンペーンを実施し、ブランドメッセージ「I MOVE ME(ワタシを、動かせ。)」を訴求しました。
また、アマチュア時代から当社製品を愛用いただいている米国MLBロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手とアドバイザリースタッフ契約を締結し、大谷選手の意見を取り入れながら、当社の技術を盛り込んで作製した製品を提供するなど引き続きサポートを行いました。
加えて、男子プロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手とアドバイザリースタッフ契約を締結し、ジョコビッチ選手本人の意見を取り入れて新たに開発したテニスシューズ「GEL-RESOLUTION NOVAK」を市場投入しました。そのほか、国際トライアスロン連合とグローバル・ディベロップメント・パートナー契約の締結や東京、バルセロナをはじめとする世界各地のマラソン大会への協賛を行いました。
JOC・JPCゴールドパートナー(スポーツ用品)としての活動では、平昌2018冬季オリンピック・パラリンピックに出場する日本代表選手団へオフィシャルスポーツウェアを提供しました。
そのほか、従業員のより健康的な生活の実現を目指し健康経営に取り組み、経済産業省と日本健康会議が優良な健康経営を実践している法人を顕彰する『健康経営優良法人2018~ホワイト500~』に選定されました。
当第1四半期連結累計期間における売上高は104,642百万円と前年同期間比7.4%の減収(前年度の為替換算レートを適用した場合9.4%減)となりました。このうち国内売上高は、スポーツウエアで収益性の低い商品群を縮小したことなどにより、28,625百万円と前年同期間比7.1%の減収となりました。海外売上高は、東アジア地域でランニングシューズおよびオニツカタイガーシューズなどが好調に推移し、オセアニア/東南・南アジア地域でオニツカタイガーシューズが堅調でした。しかしながら、米州地域が低調であったことにより、76,016百万円と前年同期間比7.6%の減収(前年度の為替換算レートを適用した場合10.3%減)となりました。
売上総利益は原価率の改善があったものの減収の影響などにより、49,854百万円と前年同期間比3.2%の減益となりました。販売費及び一般管理費は、直営店の出店拡大に伴う費用の増加などにより、41,305百万円と前年同期間比7.9%の増加となり、営業利益は8,549百万円と前年同期間比35.4%の減益となりました。経常利益は、前年同期間は為替差益を計上しましたが、当第1四半期連結累計期間は為替差損を計上したことなどにより7,414百万円と前年同期間比47.2%の減益となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は5,315百万円と前年同期間比43.2%の減益となりました。
報告セグメント別の業績は、次のとおりであります。
① 日本地域
日本地域におきましては、スポーツウエアで収益性の低い商品群を縮小したことなどにより、売上高は32,928百万円(前年同期間比7.0%減)となりました。セグメント利益につきましては減収の影響などにより1,710百万円(前年同期間比52.8%減)となりました。
② 米州地域
米州地域におきましては、米国が低調であったことなどにより、売上高は21,927百万円(前年同期間比26.6%減、前年度の為替換算レートを適用した場合23.3%減)となりました。セグメント利益につきましては原価率の改善はあったものの、減収の影響などにより443百万円(前年同期間比82.8%減、前年度の為替換算レートを適用した場合82.0%減)となりました。
③ 欧州地域
欧州地域におきましては、一部の新興国で堅調に推移し、売上高は28,730百万円(前年同期間比3.7%増、前年度の為替換算レートを適用した場合5.8%減)となりました。セグメント利益につきましては原価率の改善はあったものの、直営店の出店拡大に伴う費用の増加などにより2,358百万円(前年同期間比2.4%増、前年度の為替換算レートを適用した場合7.0%減)となりました。
④ オセアニア/東南・南アジア地域
オセアニア/東南・南アジア地域におきましては、東南・南アジアが好調でしたが、オーストラリアが低調であったことなどにより、売上高は7,560百万円(前年同期間比6.3%減、前年度の為替換算レートを適用した場合7.3%減)となりました。セグメント利益につきましては原価率の改善はあったものの、減収の影響などにより1,446百万円(前年同期間比7.6%減、前年度の為替換算レートを適用した場合8.5%減)となりました。
⑤ 東アジア地域
東アジア地域におきましては、特に中国でランニングシューズおよびオニツカタイガーシューズなどが好調でしたが、韓国が低調に推移し、売上高は14,688百万円(前年同期間比5.8%増、前年度の為替換算レートを適用した場合2.7%増)となりました。セグメント利益につきましては、中国における積極的な広告投資および韓国の減益の影響などにより、1,931百万円(前年同期間比25.8%減、前年度の為替換算レートを適用した場合27.7%減)となりました。
⑥ その他事業
その他事業におきましては、ホグロフスブランドのアウトドアウエアなどが堅調であったことおよび為替換算レートの影響により、売上高は2,981百万円(前年同期間比12.6%増、前年度の為替換算レートを適用した場合7.2%増)となり、セグメント利益は197百万円となりました。
(2) 財政状態に関する説明
当第1四半期連結会計期間末の財政状態といたしましては、総資産330,008百万円(前連結会計年度末比5.2%減)、負債の部合計141,533百万円(前連結会計年度末比3.7%減)、純資産の部合計188,475百万円(前連結会計年度末比6.4%減)でした。
流動資産は、売上債権が増加したものの、現金及び預金、たな卸資産などの減少により、240,346百万円(前連結会計年度末比6.0%減)となりました。
固定資産は、のれんおよびソフトウェアなどの減少による無形固定資産の減少などにより、89,662百万円(前連結会計年度末比3.1%減)となりました。
流動負債は、未払費用および仕入債務が減少したものの、償還期限が1年以内となった新株予約権付社債の固定負債から流動負債への振り替えなどにより、98,127百万円(前連結会計年度末比31.0%増)となりました。
固定負債は、上記の振り替えによる新株予約権付社債の減少などにより、43,405百万円(前連結会計年度末比39.7%減)となりました。
株主資本は、自己株式の取得などにより、192,738百万円(前連結会計年度末比0.6%減)となりました。
その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定および繰延ヘッジ損益の減少などにより、△6,120百万円となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
会社の支配に関する基本方針について
① 会社の支配に関する基本方針の内容
当社は、上場会社として当社株式の自由な売買を認める以上、当社の取締役会の賛同を得ずに行われる、いわゆる「敵対的買収」であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。特定の者による当社株式の大規模な買付行為等に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。
一方で、当社および当社グループは、株主の皆様をはじめ、お客様、取引先および従業員等のステークホルダーとの間に築かれた良好な関係を基本として、スポーツを核とした事業領域で当社が長年つちかってきた「技術」、「製品」、「ブランド」に対する信頼こそが強みであり、これを維持し促進することが当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資すると考えます。従って、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者としては、これらに関する十分な情報や理解がなくては、将来実現することのできる当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する可能性があり、不適切であると考えます。
② 当社の状況および企業価値向上に向けた取り組み
当社は、1949年に、スポーツを通じて青少年の健全な育成に貢献することを願い鬼塚商会として創業以来、「健全な身体に健全な精神があれかし」を創業哲学とし、「スポーツを通して、すべてのお客様に価値ある製品・サービスを提供する」ことを理念に、お客様の求めるものを徹底的に追求し、世界のスポーツをする選手、スポーツを愛するすべての人々や健康を願う方々の役に立つよう、技術とものづくりに対するこだわりを持ち続けてまいりました。
1977年に、同業2社との合併を機に、この創業哲学のラテン語「Anima Sana In Corpore Sano」の頭文字から社名を株式会社アシックス(ASICS)へ変更し、社業の発展に努めてまいりました。
当社は、2016年から2020年度までの中期経営計画「ASICS Growth Plan (AGP) 2020」に基づき、3つの事業領域である①アスレチックスポーツ事業領域、②スポーツライフスタイル事業領域および③健康快適事業領域において、当社グループ共通の7つのコア戦略を遂行し、事業の拡大・強化に取り組んでおります。
また、当社グループは、コーポレートガバナンス基本方針を制定し、企業価値を継続的に高め、株主の皆様をはじめ、すべてのステークホルダーからさらに信頼される会社となるために、スピードある透明性の高い経営を実現するためのコーポレートガバナンスを目指し、その中で、経営管理体制の整備を行うとともに、企業経営に関する監督および監査機能・内部統制の充実、コンプライアンスの徹底、経営活動の透明性の向上などに努め、株主の視点を経営に反映させることを心がけております。
③ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針が支配されることを防止するための取り組み
当社は、平成29年3月29日開催の定時株主総会において、当社株式の大規模な買付行為への対応方針の一部を改定して3年間継続することを決定いたしました(以下、改定後の当社株式の大規模な買付行為への対応方針を「本対応方針」といいます。)。
本対応方針の概要は次のとおりです。
当社取締役会は、大規模買付者による情報提供及び大規模買付行為に対する取締役会の意見の公表に関する合理的なルールに従って大規模買付行為が行われることが、当社の企業価値・株主共同の利益に資すると考え、事前の情報提供に関する一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設定いたしました。
大規模買付ルールの概要は次のとおりです。
(ⅰ)大規模買付者には、大規模買付行為の前に、当社取締役会に対して、当社株主の皆様の判断および当社取締役会としての意見形成のために必要かつ十分な情報(以下「本必要情報」といいます。)を書面で提供していただきます。当社取締役会は、取締役会による評価、検討、意見形成等のため必要かつ十分な本必要情報が大規模買付者から提出されたと判断した場合には、直ちにその旨大規模買付者に通知するとともに、速やかに当社株主の皆様に公表します。なお、大規模買付者からの情報提供の迅速化と当社取締役会が延々と情報提供を求めて情報提供期間を引き延ばす等の恣意的な運用を避ける観点から、この情報提供期間は意向表明書の受領から最長60日としております
(ⅱ)当社取締役会は、取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間(以下「取締役会評価期間」といいます。)として、大規模買付者が当社取締役会に対し本必要情報の提供を完了したと公表した日の翌日から、60日間(対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社全株式の買付けの場合)または90日間(その他の大規模買付行為の場合)を設定します。取締役会評価期間の終了までに、取締役会が評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案をなしえないときは、独立委員会からの勧告を最大限尊重したうえで、合理的な範囲内において取締役会評価期間を延長することができるものとしますが、その場合でも取締役会評価期間は最長120日までとします。なお、取締役会評価期間を延長する場合は、延長する理由、延長期間等を開示いたします。大規模買付行為は、取締役会評価期間の経過後にのみ開始されるものとします。当社取締役会は、取締役会評価期間中、独立委員会に諮問し、必要に応じて外部専門家等の助言および監査役の意見を参考に、提供された本必要情報を十分に評価・検討し、独立委員会からの勧告を最大限尊重したうえで、対抗措置の発動または不発動を含め、当社取締役会としての意見を慎重にとりまとめて決議し公表します。
次に大規模買付行為がなされた場合の対応方針の概要は次のとおりです。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守する場合、当社取締役会は、大規模買付行為に対する対抗措置の発動要件を満たすときを除き、当社株主の皆様に対して、当該買付提案に対する諾否の判断に必要な判断材料を提供させていただくにとどめ、原則として、当該大規模買付行為に対する対抗措置はとりません。
当社取締役会は、大規模買付ルールを遵守しなかった場合のほか、大規模買付ルールが遵守された場合であっても、当該大規模買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう場合で、かつ、対抗措置を発動することが相当であると判断したときに限り、株主総会において株主の皆様に承認を得たうえで、当社株主の皆様の利益を守るために、当該大規模買付行為に対する対抗措置として、無償割当てによる新株予約権を発行することができるものとします。なお、当社取締役会が当該判断を行う場合には、外部専門家等および当社監査役の意見を参考に、提供された本必要情報を十分に評価・検討したうえ、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとします。また、当社取締役会は、対抗措置を発動するに際し、株主総会の開催が著しく困難な場合を除き、株主総会を招集し、対抗措置に関する当社株主の皆様の意思を確認するものとします。かかる株主意思確認のための株主総会において、出席株主の議決権の過半数の賛同が得られなければ、対抗措置の発動は行いません。その場合、大規模買付者は、当社株主の皆様の意思を確認し、対抗措置の発動・不発動が決定されるまで、大規模買付行為は開始できないものとします。
④ 上記取り組みが会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
まず、本対応方針は、会社の支配に関する基本方針に沿って、当社株式に対する大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを当社株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、当社株主の皆様のために大規模買付者と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
次に、本対応方針は、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合や、大規模買付ルールを遵守する場合であっても、当該大規模買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう場合で、かつ、対抗措置を発動することが相当であると判断したときに限り、株主総会において株主の皆様の承認を得たうえで、対抗措置が発動されるように設定されており、当社取締役会による恣意的な対抗措置の発動を防止するための仕組みが確保されています。
また、本対応方針における対抗措置の発動等に際しては、独立社外取締役または独立社外監査役によって組織された独立委員会に諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされています。また、その判断の概要については当社株主の皆様に情報開示をすることとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に適うように本対応方針の公正・透明な運用が行われる仕組みが確保されています。
最後に、本対応方針は、株主総会における当社株主の皆様の承認を条件に継続されるものであり、その継続について当社株主の皆様の意向が反映されることとなっております。また、本対応方針継続後、その後の株主総会において本対応方針の変更又は廃止の決議がなされた場合には、本対応方針も当該決議に従い変更又は廃止されることになります。
さらに、当社取締役の任期は1年間となっており、毎年の取締役選任手続を通じて本対応方針の継続、廃止または変更の是非の判断に当社株主の皆様の意向が反映されます。
これらの措置により、本対応方針は、会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は1,111百万円(前年同期間比11.7%増)であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 従業員の状況
当第1四半期連結累計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(6) 生産、受注及び販売の状況
当第1四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい増減はありません。
(7) 設備の状況
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。