有価証券報告書-第65期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 14:26
【資料】
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【項目】
123項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、消費の低迷は続いているものの、住宅投資の持ち直しや、財・サービス輸出の増加が寄与して、全体的には緩やかな成長が続きました。
海外においては、新興国経済の勢いの鈍化はあったものの、中国では景気刺激策による内需の拡大が見られ、マイナス金利政策による消費支出と不動産市場拡大を背景に成長を続ける欧州経済、雇用拡大と賃金上昇や公共投資の拡大期待等により好調を持続し、更に加速させつつある米国経済等、地政学リスクや新興国の資金決済リスクを抱えつつも、世界経済全体としては緩やかな成長軌道にありました。
当社グループの主要顧客であります国内自動車メーカーの日本市場での状況としましては、熊本地震による生産一時停止の影響で落ち込んでいた乗用車生産は、下期より回復基調に転じ、輸出増加により、生産台数では前年を上回る状況です。一方、海外メーカーも含めた海外自動車市場の状況につきましては、SUVを中心に欧州・中国市場は堅調に推移しましたが、アジア主要国での前年割れに加えて、米国市場での販売台数の伸びがGDPの伸びを下回る等モメンタムの変化が見られ、全体的には成長鈍化の兆しが見られました。米国や欧州での保護貿易主義的な動きと併せて、今後の動向を注視していく必要があります。
このような状況のなか、当連結会計年度の売上高は、主として円高による為替換算の影響により、前期比2.4%減の2,594億3千9百万円となりました。一方、利益面では、原価低減活動や材料費等変動費率の低減により売上総利益が大きく改善し、営業利益は前期比8.1%増の298億1千3百万円となりました。経常利益も円高による為替差損の影響があったものの、前期比7.8%増の284億3千1百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益においても前期比14.8%増の203億6千4百万円となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
① 合成樹脂成形品事業
[国内自動車業界向け]
国内における自動車の生産台数は、熊本地震の影響や軽自動車の減産等の影響を受けて上期はマイナスとなったものの、下期に挽回しました。加えて新型車への当社製品の1台あたり搭載金額が順調に伸びたことにより、増収となりました。
[海外自動車業界向け]
海外においては、全般的に引き続き堅調な需要に支えられ、現地通貨ベースでは、前年度比増収増益を果たしました。特に東南アジアと中国においては、日系OEMの好調な自動車販売により好業績を維持し、欧州においても、買収したドイツ子会社2社が順調に業績を伸ばし、売上利益の拡大に貢献しました。欧州では、ドイツ系OEMのほか、韓国系や米系等、非日系OEMとの取引が拡大しており全体を牽引しております。北米では、米国内の消費の底堅さに加え、メキシコの高成長もあり、引き続き業績は堅調に推移しました。一方で韓国は、国内需要の低迷もあり、伸び率はやや鈍化しました。
また、当社ではグローバル生産体制を更に加速すべく、中国重慶市で新工場を立ち上げたほか、米国ジョージア州でも新工場建設が進んでおり、平成29年より量産開始を予定するなど、顧客の海外展開に対応した生産体制の拡充を図っております。
[その他業界向け]
その他業界向けとしては、特に今後本格化する高齢化社会を見据えて、高齢者が直面するさまざまな課題を軽減
し、快適で健康的な住生活に貢献できる製品の開発・提案と拡販に努めております。
以上の結果、合成樹脂成形品事業としましては、日本・海外共に好調に推移したものの、円高による海外売上の為替換算影響により、当連結会計年度の売上高は前期比2.5%減の2,332億6千万円となり、セグメント利益は、生産効率を高める原価低減活動等により前期比9.3%増の323億3千8百万円となりました。
② ベッド及び家具事業
本事業は子会社のシモンズ株式会社及びそのアジアの子会社が行っている日本とアジアでの高級ベッドの製造・販売です。国内においては、高級ベッドとしてのブランド戦略の推進によりホテル向けを中心に堅調に推移しましたが、海外においては中国での消費減速の影響と、円高による為替換算の影響もあって、前年割れとなりました。この結果、売上高は前期比1.7%減の235億9千3百万円となりましたが、セグメント利益は、日本での原価率の改善等により前期比2.3%増の35億5千8百万円となりました。
③ その他の事業
本事業は主に子会社の株式会社ジャパンタイムズが行っている新聞及び出版事業です。売上高は前期比3.4%増の25億8千6百万円となり、経費削減等により、セグメント利益も8百万円(前期は1千8百万円の損失)と改善が見られました。
(2)キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、367億2千万円の資金の増加となり、前期が338億4千5百万円の資金の増加であったことと比べて、28億7千5百万円の増加となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が26億8千9百万円増加し、287億6百万円になったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、8億円の資金の増加となり、前期が324億9千9百万円の資金の減少であったことと比べて、333億円の増加となりました。これは主に、定期預金の払戻と預入の差額が156億6千2百万円の資金の増加となり、前期が147億5百万円の資金の減少であったことに比べて、303億6千8百万円増加となった一方、有形固定資産の新規取得は166億7千5百万円と、前年比で51億8千2百万円減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、85億3千2百万円の資金の減少となり、前期が21億6百万円の資金の増加であったことと比べて、106億3千8百万円減少しました。これは主に、前期は社債の発行による収入が200億7千5百万円あったことに比べて、当期は発行がなかったこと、及び自己株式の取得売却による資金の増減が、当期は純額で10億2千8百万円の増加であったことと比べて、前期は102億9千5百万円の減少であり、前期比で113億2千4百万円の資金の増加になったこと等によるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、前期末と比較して264億2千7百万円増加し、799億3千7百万円となりました。
[連結キャッシュ・フロー計算書の要約]
区分前連結会計年度当連結会計年度
現金及び現金同等物の期首残高(百万円)51,90453,510
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)33,84536,720
投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△32,499800
(固定資産投資)(百万円)(△21,858)(△16,675)
財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)2,106△8,532
現金及び現金同等物に係る換算差額(百万円)△1,846△2,561
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)(百万円)1,60526,427
現金及び現金同等物の期末残高(百万円)53,51079,937