有価証券報告書-第52期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/30 9:05
【資料】
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【項目】
110項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の景気対策、日銀の金融政策等や円安の進行による輸出関連企業を中心とした収益改善、さらには雇用、所得環境の向上などにより回復基調を示しましたが、新興国を始めとした海外経済の成長鈍化や電力料金の値上げ等があり、先行きについては依然不透明な状況のまま推移いたしました。
このような状況下、販売面では、新デザイン容器や新機能容器をはじめ、マルチFP及びその製造工程で発生する端材を活用したマルチソリッドの販売は順調に推移しており、前期より販売を開始したOPET透明容器及び新透明PP容器も、機能面での優位性(耐油性・耐熱性等)をお客様に評価いただき、販売数量を大きく伸ばしております。特に今春56サイズにまでラインナップを広げたPPSAシリーズ(新透明PP容器)は、従来品と比較して透明性と耐熱性に優れ、レンジ加熱を利用した新たな商品作りが出来ることから、大幅な需要の拡大を見込んでおります。
さらには、上市2年目のリサイクルPET透明容器「エコAPET」の販売は好調に推移しており、バージン原料製品からリサイクル原料製品への切替えが進んでおります。上市22年目となるリサイクルPSP容器「エコトレー」と合わせたこれらエコ製品につきましては、リサイクル原料より生産されるため、原材料価格の高騰によるコスト増加のリスクにさらされにくいという優位性を有しているほか、お客様の環境及びリサイクルへの意識の高まりや、「環境立国・日本」の実現を目指す国の政策のもと、さらなる販売の拡大を見込んでおります。
平成25年5月20日には、原材料価格の大幅な上昇、円安及び電力料の値上がりによるコスト増加に対し、製品の軽量化、コスト削減などの自助努力で吸収することが困難な部分につき製品価格の改定を行うことを発表し、お客様と鋭意交渉してまいりましたが、当初予定よりも製品価格の改定時期に大幅な遅れが生じ、大変厳しい状況となりました。
また、汎用製品の価格競争は依然収まらず、不本意ながら汎用製品の一部で不採算取引の見直しを実施しました。
以上により、製品売上数量は前期比103.0%、製品売上高は前期比102.9%となりました。
商品売上高は、物流ネットワークの整備・充実と同時に商品取扱量の増加に努めたことにより、共同配送事業の売上高は拡大しておりますが、グループ会社で商流の見直しを行ったため、前期比99.1%となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,611億21百万円、前期に比べ29億28百万円の増収(前期比101.9%)となりました。
利益面におきましては、原材料価格が前第3四半期連結会計期間末以降急激に高騰し、さらに当第4四半期連結会計期間よりもう一段値上がりしたことにより、原材料コストが前期に比べ約46億円増加したほか、積極的に進めている設備投資等による経費の増加が約17億円となりました。加えて、汎用製品を中心とした価格競争に伴い取引を見直したことによる利益喪失が約13億円となりました。他方、弁当・惣菜容器の販売が好調に推移したこと、電力料や運送単価が上昇する中グループ全体でコスト改善に努めたこと及び製品価格改定等により、利益改善額は総額で約25億円となりましたが、コストの増加をカバーするには至らず、当連結会計年度の経常利益は、前期に比べ50億68百万円の減益となる100億54百万円(前期比66.5%)、当期純利益は61億37百万円(前期比69.4%)となりました。
昨年はお客様との価格改定の交渉に注力してまいりましたが、今後は、新製品の開発と品揃えのスピードをさらに加速し、マルチFP・マルチソリッド・OPET・新透明PPやエコ製品といった、当社オリジナル製品の販売拡大に注力してまいります。また、汎用製品につきましては、徹底した原価低減を図り、販売数量拡大に備えてまいります。加えて、お客様への売れる売り場の情報提案を推し進めてまいります。平成26年3月には東京ビッグサイトにて「エフピコフェア2014」を開催し、1万3千名のお客様に来場いただきました。特にユーザー様の来場が増加しており、PPSAシリーズ等をはじめとした当社オリジナル製品、環境及びリサイクルへの取組み、流通コスト削減等、これら当社の強みをもってお客様の問題解決に貢献してまいります。
物流設備面では、平成25年7月から九州第二配送センター、10月から関西第一配送センターがそれぞれ稼動を開始し、平成26年7月の稼動を計画している福山クロスドックセンター及び新たな物流拠点として平成26年10月の稼動を計画している八王子センターにつきましても、建設に着手いたしました。これら設備投資により全国を網羅する物流ネットワークを構築し、調達からお届けするまでの流通全体でのコスト低減を、お客様に提供してまいります。
生産設備面では、リニューアルを進めておりました関東第一工場の生産設備を刷新し、平成25年6月より稼動を開始した他、関東八千代工場では平成26年4月よりOPET透明シートの押出機(2号機)及び製品成型機(4ライン)を増設し、販売の増加に向けて稼働を開始しております。また、新透明PP容器の販売拡大に対応するために生産ラインの増設を計画しております。この他、当社の強みである価格競争力を持った新素材の研究や、新製品開発のさらなるスピードアップと品質の向上を図るべく、平成26年12月の稼動を目指し開発研修棟の建設に着手いたしました。
社会的責任としての障がい者雇用の促進につきましては、平成26年3月末現在グループ全体で372名(障がい者雇用数647名)及び業務提携先33名に雇用の機会を提供しており、障がい者雇用率は16.0%です。
(用語説明)
マルチFP(MFP):-40℃~+110℃の耐寒・耐熱性、耐油・耐酸性及び断熱性に優れた発泡PS(ポリスチレン)容器
マルチソリッド(MSD):マルチFPの端材を活用し、その特性を維持しつつシャープな形状を実現した非発泡PS(ポリスチレン)容器 耐熱温度+110℃
OPET透明容器:二軸延伸PETシートから成型した、耐油・耐酸性に優れ、透明度も高くOPSと同等の耐熱性を実現したPET(ポリエチレンテレフタレート)透明容器 耐熱温度+80℃
新透明PP容器:標準グレードのPP(ポリプロピレン)原料からOPSと同程度の透明度を実現した透明PP容器 耐熱温度+110℃
PPSAシリーズ:嵌合フードパック 新透明PP容器 耐熱温度+110℃
OPS透明容器:従来からの二軸延伸PS(ポリスチレン)シートから成型した透明容器 耐熱温度+80℃
エコトレー:スーパーで店頭回収されたPS容器と工場内端材を原料とするリサイクル発泡PS容器(平成4年販売開始)
エコAPET:スーパーで店頭回収されたPET透明容器、PETボトル及び工場内端材を原料とするリサイクルPET透明容器(平成24年販売開始)
クロスドックセンター:お客様にお届けする製品を、個別の配送トラックが在庫倉庫を廻って積込む方式にかわり、全ての出荷製品を一カ所に集め、配送ルート毎に自動ソーターで仕分けの後、配達順に積込むクロスドック方式を実現するセンター

(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より20億93百万円増加し、161億53百万円となりました。
営業活動により獲得した資金は、179億81百万円(前期に比べ21億74百万円の資金増加)となりました。
投資活動により支出した資金は、117億66百万円(前期に比べ13億9百万円の支出減少)となりました。
財務活動により支出した資金は、41億20百万円(前期に比べ15億41百万円の支出増加)となりました。
なお、キャッシュ・フローの詳細は、7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)財政状態②キャッシュ・フローの状況に記載しております。