有価証券報告書-第17期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 13:23
【資料】
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【項目】
164項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「遺伝子治療などの革新的なバイオ技術の開発を通じて、人々の健康に貢献します。」という企業理念のもと、技術基盤であるバイオテクノロジーを活用し、「バイオ産業支援」と「遺伝子医療」の両事業を通じて、社会への貢献を果たしていくとともに、企業価値の向上を目指しております。
(2)経営戦略等
当社グループは、前連結会計年度より2019年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画「タカラバイオ中期経営計画2019」(以下、「本中計」という。)を策定し、実行しております。
本中計策定時においては、「⦅バイオ産業支援事業⦆、⦅遺伝子医療事業⦆、⦅医食品バイオ事業⦆の3つの事業部門戦略の推進とこれを支える経営基盤を強化し、グローバル企業かつ再生医療等製品企業としてのプレゼンスを向上させ、飛躍的な成長を目指す』ことを基本方針して掲げ、スタートいたしましたが、当連結会計年度中に医食品バイオ事業(健康食品およびキノコにかかる両事業)を譲渡し、より一層の経営資源の選択と集中を実施することといたしました。
これにより、本中計における事業ポートフォリオに一部変更が生じることになりますが、今後のグループ全体の飛躍的成長を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「バイオ産業支援」と「遺伝子医療」の両事業における研究開発活動を積極的に実施していくため内部留保の充実が重要と考えております。現状では、研究開発費を先行的に投下している段階であり、資本効率の重要性を鑑みつつも、当面は研究開発費の増加を吸収しながら持続的な利益成長を目指す方針であります。このことから、当社グループは、「営業利益」を当面最も重視する経営指標と位置づけております。
(4)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、国内におきましては、個人消費の回復や企業収益の改善により、緩やかな回復が続いておりますが、海外におきましては、米中の貿易摩擦拡大や金融資本市場の変動等の影響により、依然として先行きは不透明な状況となっております。
バイオ業界におきましては、近年、新技術が相次いで開発され、目覚ましい進歩を遂げる中、新技術の事業化の加速に向けた企業間競争が激化してきております。特に、当社グループが注力している再生・細胞医療分野では、政府や規制当局による法整備等が日本を皮切りに米国や欧州でも行われつつあり、競争は企業間のみならず、各国の成長戦略の一部として扱われ、グローバル化の様相を呈しております。
(5)事業上および財務上の対処すべき課題
当社グループは、本中計最終年度を迎え、修正営業利益目標6,000百万円(2018年5月11日公表)を上回る6,200百万円(2019年5月14日公表)を目指して、以下の課題に取り組み、持続的成長を実現してまいります。
① バイオ産業支援事業
1)米国2社買収による事業シナジー効果の最大化
旧WaferGen Bio-systems, Inc.および旧Rubicon Genomics, Inc.(ともに現Takara Bio USA, Inc.)の2社買収により取得した技術と既存の保有技術を融合させ、超微量核酸サンプル解析領域でより幅広い製品・サービスを提供し、グローバル展開を加速いたします。
2)CDMO(再生医療等製品の開発・製造支援)事業の拡大
建設中の研究開発施設および再生医療等製品の製造施設を2019年12月より本格稼働させる予定であります。これを契機にさらなる拡大をはかり、再生医療等製品関連CDMO事業のトップランナーの地位を堅持いたします。
3)研究基盤開発の強化
研究用試薬の新製品やCDMO事業における新規メニュー開発を積極的に進めるとともに、次世代遺伝子治療パイプラインの創出に向けた活動も強化いたします。
② 遺伝子医療事業
1)国内の提携プロジェクトの推進
C-REV、NY-ESO-1・siTCR®およびCD19・CARの3つのプロジェクトを大塚製薬株式会社と協力して、国内における遺伝子治療薬の早期の製造販売承認に向けて開発を進めます。
2)海外開発における新たな提携
2018年8月にDong-A ST Co., Ltd.に対して、韓国におけるC-REVに関する独占的開発および販売を許諾するライセンス契約を締結いたしました。今後も海外における新たな提携を推進いたします。