四半期報告書-第94期第3四半期(平成29年10月1日-平成29年12月31日)

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2018/02/13 16:06
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【項目】
14項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


(1)業績の状況
(単位:百万円)

当第3四半期
連結累計期間
前第3四半期
連結累計期間
増減
収益5,751,7845,210,165541,619
売上総利益500,296461,91638,380
営業利益95,73583,26012,475
持分法による投資損益113,36587,22026,145
親会社の所有者に帰属する
四半期利益
164,807107,68857,119

(注)「営業利益」は、投資家の便宜を考慮し、日本の会計慣行に従った自主的な表示であり、IFRSで求められて
いる表示ではありません。「営業利益」は、要約四半期連結包括利益計算書における「売上総利益」及び
「販売費及び一般管理費」(貸倒引当金繰入額を含む)の合計額として表示しております。
収益
収益は、主に生活産業、素材での増収により、前第3四半期連結累計期間比5,416億円(10.4%)増収の5兆7,518億円となりました。
売上総利益
売上総利益は、前第3四半期連結累計期間比384億円(8.3%)増益の5,003億円となりました。オペレーティング・セグメント別には、主にエネルギー・金属、素材で増益となりました。
営業利益
営業利益は、前第3四半期連結累計期間比125億円(15.0%)増益の957億円となりました。
持分法による投資損益
持分法による投資損益は、前第3四半期連結累計期間比261億円(30.0%)増益の1,134億円となりました。オペレーティング・セグメント別には、主にエネルギー・金属で増益となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益
親会社の所有者に帰属する四半期利益(以下、四半期利益)は、前第3四半期連結累計期間比571億円(53.0%)増益の1,648億円となりました。
当第3四半期連結累計期間のオペレーティング・セグメント別の業績は次の通りです。
・生活産業
中国向け大豆取引採算悪化の影響等により、売上総利益は、前第3四半期連結累計期間比30億円(1.5%)減益の2,047億円となりました。四半期利益は、情報関連事業における関連会社株式売却益の計上及び米国税制改正の影響等もあり、前第3四半期連結累計期間比158億円(34.8%)増益の611億円となりました。
・素材
売上総利益は、Helena Chemicalにおける円安の影響及び取扱数量の増加等により、前第3四半期連結累計期間比133億円(9.5%)増益の1,534億円となり、四半期利益は、米国税制改正の影響等もあり、前第3四半期連結累計期間比69億円(25.5%)増益の338億円となりました。
・エネルギー・金属
売上総利益は、石油トレーディング分野及びLNG分野における採算改善、石炭並びに油ガス価格の上昇等により、前第3四半期連結累計期間比257億円(210.8%)増益の380億円となりました。四半期利益は、米国税制改正に伴う法人所得税の悪化があったものの、前年同期の石油・ガス開発事業における減損損失の反動、並びにチリ銅事業及び豪州石炭事業における持分法による投資損益の改善等により、前第3四半期連結累計期間比366億円(-%)改善の82億円となりました。
・電力・プラント
洋上風力据付事業における連結子会社が持分法適用会社になったこと等により、売上総利益は、前第3四半期連結累計期間比94億円(23.7%)減益の302億円となりました。四半期利益は、海洋事業案件等及び米国税制改正の影響により、持分法による投資損益が増益となったものの、海外インフラ案件における損失等により、前第3四半期連結累計期間比102億円(23.2%)減益の336億円となりました。
・輸送機
航空機、自動車並びに建機・産機関連事業における新規連結等の影響により、売上総利益は、前第3四半期連結累計期間比121億円(17.9%)増益の798億円となりました。四半期利益は、前年同期の北米自動車関連事業売却益の反動等があったものの、米国税制改正の影響等により、前第3四半期連結累計期間比34億円(11.0%)増益の340億円となりました。
(注)1 当連結会計年度より、「生活産業」の一部を「素材」に、また、「その他」の一部を「生活産業」に編
入しております。これに伴い、前第3四半期連結累計期間のオペレーティング・セグメント情報を組み
替えて表示しております。
2 セグメント間取引は、通常の市場価格により行われております。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末から1,379億円(19.6%)減少し、5,671億円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業資金負担等の増加があったものの、主に海外子会社の営業収入があり、881億円の収入となりました。前第3四半期連結累計期間比では1,136億円の収入の減少であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
海外事業における資本的支出等により、714億円の支出となりました。前第3四半期連結累計期間比では104億円の支出の減少であります。
以上により、当第3四半期連結累計期間のフリーキャッシュ・フローは、167億円の収入となりました。前第3四半期連結累計期間比では1,032億円の収入の減少であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債及び長期借入金等の返済、配当金の支払いを行った結果、1,577億円の支出となりました。前第3四半期連結累計期間比では2,575億円の支出の増加であります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、2020年に向けた当社グループの在り姿と、新たな経営指針を明示した3ヵ年の中期経営計画「Global Challenge 2018」を策定し、平成28年4月よりスタートしております。「Global Challenge 2018」では、財務基盤の強化を最優先課題として掲げております。また、既存事業の一層の拡大を図るとともに、将来、当社グループの中核となり得る新規事業を戦略的に推進し、“成長し続ける丸紅グループ”を実現します。
中期経営計画「Global Challenge 2018」では、2020年の在り姿を見据え、「事業・投資指針」、「キャッシュフロー経営」、「ポートフォリオ指針」、「海外戦略の強化」、「当社グループ人材戦略」の5つの経営指針を定めており、各指針の概要は以下の通りです。
「事業・投資指針」
長期的な収益拡大の基盤を世界各国・地域に据え、ビジネスモデル毎に異なる経営環境・事業特性に対応した事業・投資戦略を推進します。
「キャッシュフロー経営」
営業キャッシュフローの極大化により成長投資余力を高めます。また、新たな事業投資が生み出す収益・キャッシュとともに、大きな成長が見込めない事業が生むキャッシュを次代の成長事業へ再投資することで、企業価値の最大化を図ります。
「ポートフォリオ指針」
成長を担う事業、安定的な収益を生む事業、ボラティリティのある事業のバランスを考慮しつつ、厳しい経営環境においても長期的に収益成長し続けられるポートフォリオを構築します。また、既存事業の収益力強化により、成長計画を確実に実現し、事業価値の向上を図るとともに、ノンコア事業から撤退し、資産の優良化を図ります。
「海外戦略の強化」
米国を中心とする先進国、中間層が厚みを増すアセアンを重点市場とし、将来への布石としてサブサハラ地域へ積極的に取り組みます。
「当社グループ人材戦略」
グローバルの中で勝ち抜ける強い人材を登用・育成します。また、グループ内ダイバーシティを一層推進し、人材の登用・配置を行うことで、個々の人材が、仕事に誇りとやりがいを持てる企業グループを目指します。
平成29年5月9日に中期経営計画「Global Challenge 2018」の定量目標を、以下の<修正中期経営計画における基本方針>に基づき、財務基盤の更なる強化を最優先課題として継続すること、同時に事業戦略の進化を図ることを明確にした上で修正しております。
<修正中期経営計画における基本方針>「財務基盤の更なる強化」
●財務基盤の強化を最優先課題として継続し、遅くとも平成32年度末までにネットD/Eレシオを0.8倍程度へ
●キャッシュフロー経営の強化
・基礎営業キャッシュフローの極大化
・資産リサイクルを促進、回収・戦略的EXITの推進
・配当後フリーキャッシュフローを4,000億円~5,000億円(3年累計)創出し、債務返済へ
・新規投資を戦略的に厳選、4,000億円~5,000億円(3年累計)が目安
「事業戦略の進化」
●事業を戦略的に厳選、個々の領域における競争優位性を追求し、事業価値の最大化へ
●事業会社経営の進化
・事業会社の価値最大化に資する最良経営人材の登用
・事業オーナーとしての役割強化
●ポートフォリオマネジメント(ビジネスモデル別資本配分)の推進・強化
<定量目標の修正>
経営指標修正前修正後
親会社の所有者に
帰属する当期利益
平成30年度 2,500億円
(非資源 2,300億円以上)
平成30年度 2,000億円
(非資源 1,800億円以上)
フリーキャッシュフロー
(配当後)
平成28年度~30年度累計
黒字化
(平成30年度末ネットD/Eレシオ 1.3倍程度)
平成28年度~30年度累計
4,000億円~5,000億円
(平成30年度末ネットD/Eレシオ 1.0倍程度)
ROE10%以上10%以上
新規投融資平成28年度~30年度
1兆円
(内訳)
セールス&マーケティング事業 30%
ファイナンス事業 20%
安定収益型事業 40%
資源投資 10%
平成28年度~30年度
4,000億円~5,000億円
非資源を中心に戦略的に厳選
連結配当性向親会社の所有者に帰属する
当期利益の25%以上
親会社の所有者に帰属する
当期利益の25%以上

また、上述の通り、修正中期経営計画では3ヵ年累計で4,000億円~5,000億円の新規投融資の実行を目安としております。前連結会計年度では、合計で約1,100億円の新規投融資を実行しました。主な内容としては、米国における天然ガス焚き火力発電事業、中東における電力・水・蒸気供給事業、ブラジルにおけるFPSO傭船事業、ポルトガルにおけるガス配送事業等です。当第3四半期連結累計期間では、合計で約700億円の新規投融資を実行しました。主な内容としては、米国における牛肉生産販売事業、トルコにおける衣料品等の企画製造販売事業、日本におけるバイオマス発電事業等です。
(4)研究開発活動
特に記載すべき事項はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当第3四半期連結累計期間の経済環境を概観しますと、米国をはじめとする先進国では緩やかな回復が続き、中国などの新興国でも持ち直しの動きがみられました。この結果、世界経済は総じてみれば緩やかな成長となりました。一方、この間、原油をはじめとする商品市況はやや軟調に推移した後、回復しました。
米国経済は、堅調な雇用環境などを背景に、景気の拡大が続きました。これを受けて米国連邦準備制度理事会(FRB)は、利上げを継続し、保有資産の縮小にも踏み切りました。
欧州経済は、緩やかな成長が続きました。フランス大統領選挙などの主要選挙では政治リスクが一旦遠のいた結果となりました。
新興国経済は、中国やブラジル、ロシアといった国々で持ち直しの動きがみられました。
日本経済は、雇用の改善が続き内需が底堅く推移するなか、外需が牽引する形で緩やかな成長が続きました。
このような経済環境のなか、当第3四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前第3四半期連結累計期間比571億円(53.0%)増益の1,648億円となりました。この結果、平成30年2月6日に公表した修正連結業績予想における当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益2,000億円に対しての進捗率は、82.4%となりました。オペレーティング・セグメント別の業績につきましては、「3 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1)業績の状況」をご参照願います。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 財政状態
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末比2,323億円増加の7兆1,291億円となりました。また、資本合計は、前連結会計年度末比1,944億円増加の1兆9,371億円となりました。
当第3四半期連結会計期間末の社債及び借入金(流動・非流動)の合計額から現金及び現金同等物並びに定期預金を控除したネット有利子負債は、前連結会計年度末比837億円増加の2兆1,837億円となりました。この結果、当第3四半期連結会計期間末のネットD/Eレシオは1.13倍となりました。
② 資金調達
当社及び連結子会社の資金調達に関しては、資産構成に合わせた最適資金調達を基本方針とし、銀行をはじめとした金融機関からの間接調達と社債、コマーシャル・ペーパー等の直接調達により、安定的な流動性を確保するとともに、金融費用の削減を目指しております。
また、主要な連結子会社の資金調達を当社及び国内外の金融子会社、海外現地法人からのグループファイナンスに一元化する体制の下、資金余剰のあるグループ会社の余資を、他のグループ会社の資金需要に機動的に活用し、当社グループ全体の資金効率化を推進しております。
なお、財務基盤の更なる強化を図るため、平成28年8月16日に永久劣後特約付ローンによる2,500億円の資金調達を実行しております。
直接調達手段として、国内公募普通社債発行登録枠2,000億円を設定しております。
当社はムーディーズ・ジャパン株式会社(Moody's)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)、株式会社格付投資情報センター(R&I)、株式会社日本格付研究所(JCR)の4社から格付けを取得しております。
当第3四半期連結会計期間末における長期格付けは、前連結会計年度末から変更なく、Moody'sがBaa2、S&PがBBB、R&IがA、JCRがA+となっております。
③ 流動性の状況
連結ベースの流動比率は、前連結会計年度末の121.0%に対し、当第3四半期連結会計期間末は116.3%となり、流動性の点で当社の財務健全性を維持しております。また、当社及び連結子会社では、主として現預金及びコミットメントラインの設定により、十分な流動性補完を確保しております。
当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物並びに定期預金の残高は5,682億円となっております。
設定しているコミットメントラインは以下の通りです。
・ 大手邦銀を主としたシンジケート団による3,000億円(長期)
・ 欧米主要銀行を主としたシンジケート団による555百万米ドル(短期)
上記に加えて、市場性のある有価証券等流動性の高い資産を保有しておりますので、当社及び連結子会社における資金需要、並びに一年以内に償還予定社債等の市場性資金(当第3四半期連結会計期間末残高401億円)に対する十分な流動性を確保しております。
(将来に関する記述等についてのご注意)
本報告書に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が当四半期報告書提出日現在において入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。