有価証券報告書-第99期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/20 13:48
【資料】
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【項目】
141項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当グループの社是である「人と技術と信頼と」は、当社創業40周年の年である1987年に掲げられ、以来30余年、グループ役職職員一同この言葉の下に社業に励んできており、普遍的なコンセプトとして捉えております。
一方、当社は、本年4月より経営体制の変更と中期経営計画「KBKブレイクスルー2023」の発表にあたり、経営理念を従来の「必要な技術を必要な企業へ」から、「ニーズとシーズの橋になる」へ改めました。お客様をはじめ皆様から、極東貿易と言えば技術商社という評価をいただいてまいりました。しかし、当グループは、企業に対し単なる「技術」を提供するだけに留まらず、お客様や社会のニーズに対して、世界中に点在しているシーズを結びつけ、架け橋となっていくことが、これから将来に亘る責務であるとの決意で、経営理念を「ニーズとシーズの橋になる」に改めました。
この理念を実現する当グループの具体的な将来像が、経営ビジョンである「社会に+1(プラスワン)を提供する企業集団へ」であります。取引先の「欲しい」に応えるだけでなく、取引先と全てのステークホルダーの皆様に充実を提供できる企業集団となることで、力強い収益力と社会的責任を有した企業へと成長を遂げてまいります。
(2) 目標とする経営指標
中期経営計画「KBKブレイクスルー2023」は、期間を5年といたしました。これは、当グループが目指す企業集団へ進化していくための大胆な改革をやり遂げるためには、従来の3年という時間では十分ではないために、5年という期間を設定したものであります。
当グループは、本計画期間の中で、収益構造を盤石なものに再構築し、経営マインドをより株主の皆様に軸足を移しつつ、全てのステークホルダーの皆様に更に貢献することで、新しい極東貿易グループへと成長してまいります。
具体的な経営目標については以下を策定いたしました。
当グループは、計画最終年度にあたる2024年3月期までに、
・連結経常利益 25億円
・ROE 8%
・総還元性向 35%以上
加えて、1~2年以内に発行済株式数の10%程度の自社株買いを実施する事を計画しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
中期経営計画「KBKブレイクスルー2023」は、経営ビジョンを実現し、新しい極東貿易グループへと生まれ変わっていくための戦略がこのコンセプトの土台となっており、大きく以下の①及び②の考え方で構成されております。
① 収益力の徹底強化を実現するための機能の追求と結集
一つには「事業ポートフォリオの最適化」があります。創業70年を超える中で、かつての高度成長を支えた国内産業向け資機材を扱う事業も、そのニーズが大きく変化しております。これらに対応する為、グループ内および社内でのリソースの再配置や部門の再編が喫緊の課題となっております。このため、グループ内の全ての事業を抜本的に見直し、成長産業への資源集中と、成熟産業向けの事業の効率化等を行ってまいります。また、事業ごとの資本効率を把握し、非効率事業については事業プロセスの見直しや撤退を含めて検討し、実行してまいります。いずれにしましても、当社は国内外の産業インフラに対して、そのニーズに合った商材、サービス、しくみを提供して行く事に変わりはございません。
二つ目は「新たな価値を生み出すM&Aと事業投資の実行」です。事業ポートフォリオの最適化を行った結果、補完・強化が必要なものに対しては、M&Aや事業投資を実施してテコ入れを図ってまいります。また、それと同時に新しい分野に対する事業投資や人材投資も積極的に行っていく予定です。
② 全てのステークホルダーの皆様に対する責任に応えるための徹底的な企業体質の改善
一つには株主の皆様をはじめとするステークホルダーの皆様のご期待に副っていくために資本コストを意識した経営を実践してまいります。最適資本構成に関する当社の考え方に基づいてバランスシートマネジメントを心がけていくと同時に、資本コストを上回るリターンを持続的に創出する取組みを行ってまいります。
二つ目は、「IR・PR・ER強化による企業価値の向上」があります。株価を高めていくためにIR活動の強化は必要不可欠であり、極東貿易グループとはどんな企業集団なのかというPRを積極的に行っていくことも必要であると考えております。そして「KBKブレイクスルー2023」の経営ビジョンと戦略をグループ全体に浸透させ、そのためのアクションを従業員一人一人に能動的に行ってもらうというER活動こそが計画達成のための重要ポイントであると認識しております。
(4) 会社の対処すべき課題
当グループは、2019年3月期に中期経営計画「KBK2016」を終えました。株主価値の持続的な向上を図るための重点戦略を遂行することにより、経常利益の数値目標は達成いたしましたが、次期以降において克服すべき課題も認識しております。2020年3月期から始まる新たな中期経営計画「KBKブレイクスルー2023」では、注力すべき事業領域を選別し、それに即した体制強化を行いつつ、中長期的視点に立った具体的な戦略を着実に実行いたします。健全な財務基盤の下で、新たな事業投資を着実に推し進めるとともに収益力の徹底強化を実現するための機能の追求と結集を図っていく所存です。
また、株主の皆様に対する利益還元も重要な責務であると認識しており、継続的な増配を実現するために、収益力を高めることによる財務体質の強化を図り、企業価値の持続的な向上に資する事業運営を推進いたします。
経営管理面では、2019年3月期から任意の指名及び報酬委員会を導入し、役員報酬に株式報酬制度を取り入れるなどコーポレートガバナンスの強化に努めてまいりました。2020年3月期からは社外取締役が1/3以上の割合となる取締役選任議案を第99回定時株主総会に提出させていただくなど、透明性の高い経営を継続的に目指してまいります。