有価証券報告書-第164期(2025/04/01-2026/03/31)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況
① 経営成績の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上収益606,779百万円(前期比9.4%増)、営業利益10,848百万円(同28.0%減)、経常利益10,887百万円(同31.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,720百万円(同37.6%減)となりました。
② セグメントごとの経営成績
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
「国内卸売」
紙は、デジタル化の進行などの構造的要因に加え、定期雑誌の発行部数の減少、チラシ・カタログ等の発行回数・部数の減少や判型縮小といった傾向が継続しており、販売数量は前期に比べて減少しました。
板紙では、段ボール原紙は、自動車をはじめとする工業製品向け等の需要低迷が続いたものの、堅調なインバウンド需要の下支え等により、販売数量は前期並みとなりました。白板紙は医薬品・化粧品向け等が堅調であったことに加え、アニメキャラクター等のトレーディングカード用途が好調を継続していることから販売数量は増加し、板紙全体の販売数量は前期並みとなりました。
エレクトロニクス関連用途を中心とする機能材料製品については、地域・分野ごとに需要のばらつきがあるものの、新規の取り込みもあり、販売は前期並みとなりました。
これらの結果、売上収益は前期比3.7%減の193,118百万円となりました。経常利益は、粗利の減少や販売費及び一般管理費の増加等により、前期比5.0%減の5,698百万円となりました。
「海外卸売」
主要市場である米国、オセアニア、及び英国においては、デジタル化の進行などを背景に紙需要の減少が継続しました。また、本邦からの輸出についても、市況価格の低下により中国をはじめとするアジア向けの紙・板紙販売が前期を下回る結果となりました。一方で、前連結会計年度にM&Aにより新たにグループ化したドイツ及びフランスの子会社5社の販売数量が加わったことから、海外卸売セグメント全体の販売数量は増加しました。
売上収益については、当該ドイツ及びフランス子会社の業績が前第4四半期から連結業績に寄与したことに加え、前連結会計年度にオセアニアで実施した補完的M&Aの効果により高付加価値品の販売が増加したことにより、前期比22.7%増の338,078百万円となりました。
利益面では、米国事業が増益となったことや、当該フランス子会社の業績が貢献したものの、当該ドイツ子会社の事業環境の回復に想定以上の時間を要したこと、英国及びオセアニア事業における販売価格の下落、ならびに為替差損の計上等が影響し、549百万円の経常損失となりました(前期は3,195百万円の経常利益)。
「製紙加工」
段ボール事業は販売数量・金額ともに前期並みとなりました。一方で燃料、電力、及び副資材等の価格が前期と比べて高い水準にあり、労務費も増加したことにより製造費用が増加しました。再生家庭紙事業においては、製造コストの上昇はあったものの、堅調な需要のもと販売数量は前期並み、販売金額は継続的な価格修正の浸透により前期を上回りました。
これらの結果、売上収益は前期比0.4%減の51,409百万円、経常利益は再生家庭紙事業の増益が寄与し、前期比7.4%増の7,260百万円となりました。
「環境原材料」
古紙事業は、国内は紙・板紙需要の減少に伴う古紙の発生減が継続し、また前連結会計年度に関東地区の3事業所を譲渡したことから販売は減少しました。米国では東南アジア向け段ボール古紙の輸出が減少しました。
パルプについては、国内・海外向けともに販売が減少しました。総合リサイクル事業はリサイクル処理量の増加により販売は前期を上回りました。太陽光発電事業及び木質バイオマス発電事業については、販売は前期並みでありましたが、修繕費等の増加がありました。木質バイオマス発電所向け燃料については、当連結会計年度後半には仕入コストの改善は見られたものの販売数量・単価ともに前期を下回りました。
これらの結果、売上収益は前期比11.5%減の20,044百万円、経常利益は持分法適用関連会社における固定資産の減損に伴う持分法による投資損失の計上もあり、前期比72.1%減の561百万円となりました。
「不動産賃貸」
一部テナントの退去があったこと等により、売上収益は前期比0.7%減の4,130百万円、経常利益は管理費用等の経費の増加により前期比2.7%減の1,511百万円となりました。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは2024年度を初年度とした3年間の中期経営計画『OVOL中期経営計画2026』を策定しております。当中期経営計画の最終年度である2026年度の目標といたしました連結財務指標と当連結会計年度実績は以下のとおりです。
(注)ROIC算出方法:
NOPAT(税引後経常利益[利払前])÷投下資本(有利子負債+自己資本[期首・期末平均])
算出式の分子であるNOPATは、連結財務指標目標である経常利益をベースとしております。
④ 生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
ロ 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
ハ 受注実績
当社グループは、主として需要等を勘案した見込生産を行っているため、記載を省略しております。
ニ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、売上債権の減少や投資有価証券の売却があったものの、現預金や棚卸資産が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べて2,470百万円増の394,704百万円となりました。
総負債は、有利子負債の増加等により、前連結会計年度末に比べて7,128百万円増の253,797百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上があったものの、自己株式の取得や配当金の支払等により、前連結会計年度末に比べて4,658百万円減の140,907百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
① キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて6,253百万円増加し、25,280百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少等により、24,554百万円の収入となりました(前期は21,010百万円の収入)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資有価証券の売却があったものの、有形固定資産の取得や事業譲受等により、1,178百万円の支出となりました(前期は11,217百万円の支出)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
自己株式の取得や配当金の支払等により、16,793百万円の支出となりました(前期は9,335百万円の支出)。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、各事業活動に必要とされる運転資金、投融資資金及び株主還元のための資金の確保について、直接金融または間接金融における多様な手段の中から調達時点の市場環境等を考慮して資金調達を実施しております。また、当社グループのさらなる成長に必要な事業投資の継続と財務の健全性維持との両立を基本方針としております。
イ 資金調達手段
当社グループは、上記の資金調達の基本方針に則り、M&Aや設備投資資金ならびに運転資金といった資金使途を踏まえ、営業活動によって獲得されたキャッシュ・フローをベースに、直接金融市場においては社債及びコマーシャル・ペーパーを発行し、間接金融市場では銀行借入による長期借入金や短期借入金に加えて十分な当座貸越枠を確保しております。また、資金調達手段の多様化を図ることで、資金使途及び調達環境の情勢に応じた有利な手段を選択し、機動的な資金調達を実施しております。
当連結会計年度末時点における当社の長期及び短期の信用格付けは以下のとおりとなっており、今後も一層の格付向上を目指し、収益性の向上、財務の健全性維持に努めてまいります。
「フリー・キャッシュ・フロー」 (単位:百万円)
「有利子負債明細」 (単位:百万円)
(※)一年内返済予定分の残高を含みます。
ロ 資金の効率化
当社グループは、グループ内の資金効率向上を目的として、グループ各社における余剰資金の集中と配分を行うべく、グループファイナンス制度を国内及び海外の各地域にて導入しております。
ハ 財務指標目標
当社グループは、OVOL中期経営計画2026にて策定した財務指標目標に対して、基幹事業である紙・板紙の卸売事業で必要な運転資金の安定的な調達と、事業の多角化及びグループ経営の強化につなげる成長投資資金の調達余力を確保するため、営業活動の収益性向上、保有資産の効率的活用、ネットD/Eレシオや自己資本比率などの財務の健全性を示す経営指標の向上に取り組んでおります。
「財務指標」
ニ 株主還元
当社グループは、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要施策のひとつとして位置づけ、長期にわたる経営基盤の安定と強化に努め、企業価値の向上を目指しております。配当の方針につきましては、安定的な配当を継続して行うことを基本方針とし、連結業績の動向も勘案することとしております。
2024年度よりスタートしたOVOL中期経営計画2026の期間においては、市場の期待に応える積極的な株主還元として「連結配当性向30%以上とする累進配当」を掲げ、その後株主還元をさらに充実させ、安定的な配当を行う姿勢をより一層明確にするため、中期経営計画2026の残り期間(2026年3月期及び2027年3月期)においては、1株当たり年間配当金について「連結配当性向30%以上かつ連結自己資本配当率(DOE)3%以上とする累進配当」を行う方針といたしました。この変更に伴い、当期末の配当を1株当たり14円から20円とし、すでに実施済みの中間配当と合わせ、年間の配当額は1株当たり34円、前期から9円の増配といたしました。
自己株式の取得については、2025年11月に8,384,900株を6,356百万円にて取得し、同月に30,000,000株の消却を実施いたしました。加えて、2026年2月9日開催の取締役会において、2026年2月10日から2026年8月7日までの期間に、取得株式総数5,000,000株または取得価額の総額5,500百万円を上限とする自己株式取得を決議し、当期においては2,363,200株を2,564百万円にて取得いたしました。その後2026年6月1日の買付けをもって取得価額の上限に達したため、取得を終了しております。
OVOL中期経営計画2026の最終年度となる2026年度においては、前期から2円増配となる1株当たり36円(中間配当18円)を予定しており、自己株式の取得については、さらなる取得についても引き続き機動的かつ柔軟に検討してまいります。
(4) 今後の見通し
2027年3月期の連結業績予想については、営業利益15,500百万円(前期比42.9%増)、経常利益15,000百万円(同37.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,000百万円(同69.5%増)としております。
当社グループは、「OVOL長期ビジョン2030」における3つのあるべき姿である「世界最強の紙流通企業グループ」「持続可能な社会と地球環境に一層貢献する企業グループ」「紙業界の枠を超えたエクセレントカンパニー」の実現に向け、「OVOL中期経営計画2026」において各種施策に取り組んでまいりました。事業環境の著しい変化に加え、成長投資・人的資本投資として進める本社移転に伴う一時費用の発生も見込まれることから、「中計2026」最終年度の定量目標である連結経常利益22,000百万円の達成は困難な見通しですが、引き続き各種施策の取り組みを加速させることで、持続的な成長と企業価値の向上を図ってまいります。
セグメントごとの経常利益(セグメント利益)予想は次のとおりであります。
セグメント利益(経常利益) (単位:百万円、%)
「国内卸売」
人口の減少や少子化の進行、情報発信・収集手段としてのSNSの定着等により、紙の需要は今後も縮小していくものと想定しております。一方、板紙につきましては、日用品・通販向けの需要は底堅く推移し、前期に好調であったトレーディングカード向け需要も継続するものと見込んでおります。
運賃等の物流費や人件費などの経費の増加が見込まれるものの、代理店機能とサプライチェーンの強化によるマーケットシェアの拡大に加え、サプライチェーンにおける当社の機能や価値の提供を通じて競合他社との差別化を図っていきます。これらにより、経常利益は増益を見込んでおります。
「海外卸売」
海外市場においては、先進国での紙需要の縮小傾向は継続すると想定しております。前期に業績が大きく低迷したドイツ子会社においては、販売数量の回復、不採算取引の見直し、前期に実施した事業構造改革の効果等により、業績改善を見込んでおります。
その他の市場においても、高付加価値品の拡販に加え、補完的M&Aをさらに推進し収益力の向上を図ってまいります。これらにより、前期の赤字から黒字へ転換し、経常利益は大幅な増益を見込んでおります。
「製紙加工」
製紙加工事業においては、段ボール事業では販売数量の増加及び平均販売単価の上昇を見込んでおります。再生家庭紙事業では前期並みの販売数量を想定しつつ、平均販売単価の上昇を見込んでおります。両事業ともに、燃料費・電力費・副資材費及び労務費などの製造関連コストは高水準が続くものと想定しておりますが、生産性向上やコスト削減などの効率化施策を引き続き推進することにより、経常利益は増益を見込んでおります。
「環境原材料」
古紙事業においては、紙・板紙需要の減少に伴う古紙発生量の減少が続くものと想定しておりますが、引き続き中部地区を中心とした新規仕入先の開拓及び数量の拡充に取り組んでまいります。総合リサイクル事業においては、処理数量の確保と単価の上昇を見込んでおります。太陽光発電事業においては、売上収益は減少を見込むものの、修繕費や支払利息の減少等を見込んでおります。木質バイオマス発電事業においては、売上収益は前期並みを見込む一方、燃料コストの削減に取り組んでまいります。木質バイオマス発電所向け燃料販売事業においては、マレーシアにおける第3ヤードの新規稼働による取扱量の増加等を見込んでおり、これらを合わせた環境原材料セグメント全体の経常利益は増益を見込んでおります。
「不動産賃貸」
都心部のオフィスやマンション賃貸需要の高まりによる賃料相場の上昇を踏まえた契約更新などに引き続き取り組んでまいりますが、金利の上昇や修繕費等の物件管理費用の増加により、経常利益は減益を見込んでおります。
一方で、不動産マーケットの活況を背景に、当社保有主要物件の評価額は大きく上昇しており、資本効率向上の観点から売却も視野に入れた検討を進めてまいります。
(5) 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的な判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積もり及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況
① 経営成績の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの業績は、売上収益606,779百万円(前期比9.4%増)、営業利益10,848百万円(同28.0%減)、経常利益10,887百万円(同31.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,720百万円(同37.6%減)となりました。
② セグメントごとの経営成績
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
| 売上収益 | 経常利益(セグメント利益) | ||||||
| 2025年3月期連結会計年度 | 2026年3月期 連結会計年度 | 増減率 | 2025年3月期連結会計年度 | 2026年3月期連結会計年度 | 増減率 | ||
| 報告セグメント | 国内卸売 | 200,627 | 193,118 | △3.7% | 6,000 | 5,698 | △5.0% |
| 海外卸売 | 275,488 | 338,078 | 22.7% | 3,195 | △549 | - | |
| 製紙加工 | 51,597 | 51,409 | △0.4% | 6,761 | 7,260 | 7.4% | |
| 環境原材料 | 22,650 | 20,044 | △11.5% | 2,012 | 561 | △72.1% | |
| 不動産賃貸 | 4,161 | 4,130 | △0.7% | 1,553 | 1,511 | △2.7% | |
| 計 | 554,524 | 606,779 | 9.4% | 19,521 | 14,482 | △25.8% | |
| 調整額 | - | - | △3,698 | △3,595 | |||
| 合計 | 554,524 | 606,779 | 9.4% | 15,822 | 10,887 | △31.2% | |
「国内卸売」
紙は、デジタル化の進行などの構造的要因に加え、定期雑誌の発行部数の減少、チラシ・カタログ等の発行回数・部数の減少や判型縮小といった傾向が継続しており、販売数量は前期に比べて減少しました。
板紙では、段ボール原紙は、自動車をはじめとする工業製品向け等の需要低迷が続いたものの、堅調なインバウンド需要の下支え等により、販売数量は前期並みとなりました。白板紙は医薬品・化粧品向け等が堅調であったことに加え、アニメキャラクター等のトレーディングカード用途が好調を継続していることから販売数量は増加し、板紙全体の販売数量は前期並みとなりました。
エレクトロニクス関連用途を中心とする機能材料製品については、地域・分野ごとに需要のばらつきがあるものの、新規の取り込みもあり、販売は前期並みとなりました。
これらの結果、売上収益は前期比3.7%減の193,118百万円となりました。経常利益は、粗利の減少や販売費及び一般管理費の増加等により、前期比5.0%減の5,698百万円となりました。
「海外卸売」
主要市場である米国、オセアニア、及び英国においては、デジタル化の進行などを背景に紙需要の減少が継続しました。また、本邦からの輸出についても、市況価格の低下により中国をはじめとするアジア向けの紙・板紙販売が前期を下回る結果となりました。一方で、前連結会計年度にM&Aにより新たにグループ化したドイツ及びフランスの子会社5社の販売数量が加わったことから、海外卸売セグメント全体の販売数量は増加しました。
売上収益については、当該ドイツ及びフランス子会社の業績が前第4四半期から連結業績に寄与したことに加え、前連結会計年度にオセアニアで実施した補完的M&Aの効果により高付加価値品の販売が増加したことにより、前期比22.7%増の338,078百万円となりました。
利益面では、米国事業が増益となったことや、当該フランス子会社の業績が貢献したものの、当該ドイツ子会社の事業環境の回復に想定以上の時間を要したこと、英国及びオセアニア事業における販売価格の下落、ならびに為替差損の計上等が影響し、549百万円の経常損失となりました(前期は3,195百万円の経常利益)。
「製紙加工」
段ボール事業は販売数量・金額ともに前期並みとなりました。一方で燃料、電力、及び副資材等の価格が前期と比べて高い水準にあり、労務費も増加したことにより製造費用が増加しました。再生家庭紙事業においては、製造コストの上昇はあったものの、堅調な需要のもと販売数量は前期並み、販売金額は継続的な価格修正の浸透により前期を上回りました。
これらの結果、売上収益は前期比0.4%減の51,409百万円、経常利益は再生家庭紙事業の増益が寄与し、前期比7.4%増の7,260百万円となりました。
「環境原材料」
古紙事業は、国内は紙・板紙需要の減少に伴う古紙の発生減が継続し、また前連結会計年度に関東地区の3事業所を譲渡したことから販売は減少しました。米国では東南アジア向け段ボール古紙の輸出が減少しました。
パルプについては、国内・海外向けともに販売が減少しました。総合リサイクル事業はリサイクル処理量の増加により販売は前期を上回りました。太陽光発電事業及び木質バイオマス発電事業については、販売は前期並みでありましたが、修繕費等の増加がありました。木質バイオマス発電所向け燃料については、当連結会計年度後半には仕入コストの改善は見られたものの販売数量・単価ともに前期を下回りました。
これらの結果、売上収益は前期比11.5%減の20,044百万円、経常利益は持分法適用関連会社における固定資産の減損に伴う持分法による投資損失の計上もあり、前期比72.1%減の561百万円となりました。
「不動産賃貸」
一部テナントの退去があったこと等により、売上収益は前期比0.7%減の4,130百万円、経常利益は管理費用等の経費の増加により前期比2.7%減の1,511百万円となりました。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは2024年度を初年度とした3年間の中期経営計画『OVOL中期経営計画2026』を策定しております。当中期経営計画の最終年度である2026年度の目標といたしました連結財務指標と当連結会計年度実績は以下のとおりです。
| 連結財務指標 | 当連結会計年度(実績) | 2026年度目標 |
| 経常利益 | 10,887百万円 | 22,000百万円 |
| (セグメント別経常利益) | ||
| 国内卸売 | 5,698百万円 | 7,000百万円 |
| 海外卸売 | △549百万円 | 8,000百万円 |
| 製紙加工 | 7,260百万円 | 7,500百万円 |
| 環境原材料 | 561百万円 | 2,000百万円 |
| 不動産賃貸 | 1,511百万円 | 1,500百万円 |
| 調整額 | △3,595百万円 | △4,000百万円 |
| ROE(自己資本利益率) | 3.6% | 8.0%以上 |
| ROA(総資産経常利益率) | 2.8% | 5.0%以上 |
| ROIC(投下資本利益率)(注) | 4.2% | 7.0%以上 |
| ネットD/Eレシオ | 0.60倍 | 1.0倍以下 |
(注)ROIC算出方法:
NOPAT(税引後経常利益[利払前])÷投下資本(有利子負債+自己資本[期首・期末平均])
算出式の分子であるNOPATは、連結財務指標目標である経常利益をベースとしております。
④ 生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
| 製紙加工 | 39,152 | 101.2 |
| 環境原材料 | 4,537 | 105.7 |
| (注) 金額は製造原価によっております。 |
ロ 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
| 国内卸売 | 153,102 | 95.7 |
| 海外卸売 | 279,087 | 120.6 |
| 環境原材料 | 16,017 | 90.4 |
| (注) 1 金額は仕入価格によっております。 2 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。 |
ハ 受注実績
当社グループは、主として需要等を勘案した見込生産を行っているため、記載を省略しております。
ニ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
| 国内卸売 | 193,118 | 96.3 |
| 海外卸売 | 338,078 | 122.7 |
| 製紙加工 | 51,409 | 99.6 |
| 環境原材料 | 20,044 | 88.5 |
| 不動産賃貸 | 4,130 | 99.3 |
| 合計 | 606,779 | 109.4 |
| (注) 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。 |
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、売上債権の減少や投資有価証券の売却があったものの、現預金や棚卸資産が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べて2,470百万円増の394,704百万円となりました。
総負債は、有利子負債の増加等により、前連結会計年度末に比べて7,128百万円増の253,797百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上があったものの、自己株式の取得や配当金の支払等により、前連結会計年度末に比べて4,658百万円減の140,907百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
① キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて6,253百万円増加し、25,280百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少等により、24,554百万円の収入となりました(前期は21,010百万円の収入)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資有価証券の売却があったものの、有形固定資産の取得や事業譲受等により、1,178百万円の支出となりました(前期は11,217百万円の支出)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
自己株式の取得や配当金の支払等により、16,793百万円の支出となりました(前期は9,335百万円の支出)。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、各事業活動に必要とされる運転資金、投融資資金及び株主還元のための資金の確保について、直接金融または間接金融における多様な手段の中から調達時点の市場環境等を考慮して資金調達を実施しております。また、当社グループのさらなる成長に必要な事業投資の継続と財務の健全性維持との両立を基本方針としております。
イ 資金調達手段
当社グループは、上記の資金調達の基本方針に則り、M&Aや設備投資資金ならびに運転資金といった資金使途を踏まえ、営業活動によって獲得されたキャッシュ・フローをベースに、直接金融市場においては社債及びコマーシャル・ペーパーを発行し、間接金融市場では銀行借入による長期借入金や短期借入金に加えて十分な当座貸越枠を確保しております。また、資金調達手段の多様化を図ることで、資金使途及び調達環境の情勢に応じた有利な手段を選択し、機動的な資金調達を実施しております。
当連結会計年度末時点における当社の長期及び短期の信用格付けは以下のとおりとなっており、今後も一層の格付向上を目指し、収益性の向上、財務の健全性維持に努めてまいります。
| 長期 | 短期 | |
| ㈱日本格付研究所(JCR) | A/安定的 | J-1 |
| ㈱格付投資情報センター(R&I) | A/安定的 | a-1 |
「フリー・キャッシュ・フロー」 (単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 21,010 | 24,554 | 3,545 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △11,217 | △1,178 | 10,039 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 9,793 | 23,376 | 13,584 |
「有利子負債明細」 (単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
| コマーシャル・ペーパー | 15,500 | 25,000 | 9,500 |
| 社債 | 20,000 | 20,000 | - |
| 直接調達 | 35,500 | 45,000 | 9,500 |
| 短期借入金 | 47,572 | 44,986 | △2,586 |
| 長期借入金(※) | 15,966 | 12,109 | △3,857 |
| 間接調達 | 63,538 | 57,095 | △6,442 |
| 有利子負債合計 | 99,038 | 102,095 | 3,058 |
(※)一年内返済予定分の残高を含みます。
ロ 資金の効率化
当社グループは、グループ内の資金効率向上を目的として、グループ各社における余剰資金の集中と配分を行うべく、グループファイナンス制度を国内及び海外の各地域にて導入しております。
ハ 財務指標目標
当社グループは、OVOL中期経営計画2026にて策定した財務指標目標に対して、基幹事業である紙・板紙の卸売事業で必要な運転資金の安定的な調達と、事業の多角化及びグループ経営の強化につなげる成長投資資金の調達余力を確保するため、営業活動の収益性向上、保有資産の効率的活用、ネットD/Eレシオや自己資本比率などの財務の健全性を示す経営指標の向上に取り組んでおります。
「財務指標」
| OVOL中期経営計画2026目標 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |
| ROE(自己資本利益率) | 8.0%以上 | 5.8% | 3.6% |
| ROA(総資産経常利益率) | 5.0%以上 | 4.1% | 2.8% |
| ROIC(投下資本利益率) | 7.0%以上 | 5.7% | 4.2% |
| ネットD/Eレシオ | 1.0倍以下 | 0.60倍 | 0.60倍 |
ニ 株主還元
当社グループは、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要施策のひとつとして位置づけ、長期にわたる経営基盤の安定と強化に努め、企業価値の向上を目指しております。配当の方針につきましては、安定的な配当を継続して行うことを基本方針とし、連結業績の動向も勘案することとしております。
2024年度よりスタートしたOVOL中期経営計画2026の期間においては、市場の期待に応える積極的な株主還元として「連結配当性向30%以上とする累進配当」を掲げ、その後株主還元をさらに充実させ、安定的な配当を行う姿勢をより一層明確にするため、中期経営計画2026の残り期間(2026年3月期及び2027年3月期)においては、1株当たり年間配当金について「連結配当性向30%以上かつ連結自己資本配当率(DOE)3%以上とする累進配当」を行う方針といたしました。この変更に伴い、当期末の配当を1株当たり14円から20円とし、すでに実施済みの中間配当と合わせ、年間の配当額は1株当たり34円、前期から9円の増配といたしました。
自己株式の取得については、2025年11月に8,384,900株を6,356百万円にて取得し、同月に30,000,000株の消却を実施いたしました。加えて、2026年2月9日開催の取締役会において、2026年2月10日から2026年8月7日までの期間に、取得株式総数5,000,000株または取得価額の総額5,500百万円を上限とする自己株式取得を決議し、当期においては2,363,200株を2,564百万円にて取得いたしました。その後2026年6月1日の買付けをもって取得価額の上限に達したため、取得を終了しております。
OVOL中期経営計画2026の最終年度となる2026年度においては、前期から2円増配となる1株当たり36円(中間配当18円)を予定しており、自己株式の取得については、さらなる取得についても引き続き機動的かつ柔軟に検討してまいります。
(4) 今後の見通し
2027年3月期の連結業績予想については、営業利益15,500百万円(前期比42.9%増)、経常利益15,000百万円(同37.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,000百万円(同69.5%増)としております。
当社グループは、「OVOL長期ビジョン2030」における3つのあるべき姿である「世界最強の紙流通企業グループ」「持続可能な社会と地球環境に一層貢献する企業グループ」「紙業界の枠を超えたエクセレントカンパニー」の実現に向け、「OVOL中期経営計画2026」において各種施策に取り組んでまいりました。事業環境の著しい変化に加え、成長投資・人的資本投資として進める本社移転に伴う一時費用の発生も見込まれることから、「中計2026」最終年度の定量目標である連結経常利益22,000百万円の達成は困難な見通しですが、引き続き各種施策の取り組みを加速させることで、持続的な成長と企業価値の向上を図ってまいります。
セグメントごとの経常利益(セグメント利益)予想は次のとおりであります。
セグメント利益(経常利益) (単位:百万円、%)
| 2026年3月期 | 2027年3月期 (予想) | 増減額 | 増減率 | |
| 国内卸売 | 5,698 | 6,000 | 302 | 5.3 |
| 海外卸売 | △549 | 4,200 | 4,749 | - |
| 製紙加工 | 7,260 | 7,800 | 540 | 7.4 |
| 環境原材料 | 561 | 1,500 | 939 | 167.4 |
| 不動産賃貸 | 1,511 | 1,300 | △211 | △14.0 |
| 調整額 | △3,595 | △5,800 | △2,205 | - |
| 計 | 10,887 | 15,000 | 4,113 | 37.8 |
「国内卸売」
人口の減少や少子化の進行、情報発信・収集手段としてのSNSの定着等により、紙の需要は今後も縮小していくものと想定しております。一方、板紙につきましては、日用品・通販向けの需要は底堅く推移し、前期に好調であったトレーディングカード向け需要も継続するものと見込んでおります。
運賃等の物流費や人件費などの経費の増加が見込まれるものの、代理店機能とサプライチェーンの強化によるマーケットシェアの拡大に加え、サプライチェーンにおける当社の機能や価値の提供を通じて競合他社との差別化を図っていきます。これらにより、経常利益は増益を見込んでおります。
「海外卸売」
海外市場においては、先進国での紙需要の縮小傾向は継続すると想定しております。前期に業績が大きく低迷したドイツ子会社においては、販売数量の回復、不採算取引の見直し、前期に実施した事業構造改革の効果等により、業績改善を見込んでおります。
その他の市場においても、高付加価値品の拡販に加え、補完的M&Aをさらに推進し収益力の向上を図ってまいります。これらにより、前期の赤字から黒字へ転換し、経常利益は大幅な増益を見込んでおります。
「製紙加工」
製紙加工事業においては、段ボール事業では販売数量の増加及び平均販売単価の上昇を見込んでおります。再生家庭紙事業では前期並みの販売数量を想定しつつ、平均販売単価の上昇を見込んでおります。両事業ともに、燃料費・電力費・副資材費及び労務費などの製造関連コストは高水準が続くものと想定しておりますが、生産性向上やコスト削減などの効率化施策を引き続き推進することにより、経常利益は増益を見込んでおります。
「環境原材料」
古紙事業においては、紙・板紙需要の減少に伴う古紙発生量の減少が続くものと想定しておりますが、引き続き中部地区を中心とした新規仕入先の開拓及び数量の拡充に取り組んでまいります。総合リサイクル事業においては、処理数量の確保と単価の上昇を見込んでおります。太陽光発電事業においては、売上収益は減少を見込むものの、修繕費や支払利息の減少等を見込んでおります。木質バイオマス発電事業においては、売上収益は前期並みを見込む一方、燃料コストの削減に取り組んでまいります。木質バイオマス発電所向け燃料販売事業においては、マレーシアにおける第3ヤードの新規稼働による取扱量の増加等を見込んでおり、これらを合わせた環境原材料セグメント全体の経常利益は増益を見込んでおります。
「不動産賃貸」
都心部のオフィスやマンション賃貸需要の高まりによる賃料相場の上昇を踏まえた契約更新などに引き続き取り組んでまいりますが、金利の上昇や修繕費等の物件管理費用の増加により、経常利益は減益を見込んでおります。
一方で、不動産マーケットの活況を背景に、当社保有主要物件の評価額は大きく上昇しており、資本効率向上の観点から売却も視野に入れた検討を進めてまいります。
(5) 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的な判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積もり及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。