有価証券報告書
有報資料
1. 「経営戦略2027 -総合力をエンジンに未来を創る-」
当社は、2025年4月に、新しい経営戦略として「経営戦略2027-総合力をエンジンに未来を創る-」を策定・公表しました。
当社を取り巻く事業環境は、かつてないほど地政学リスク、経済情勢リスクが複雑に絡み合う中、地域特性に応じた脱炭素の現実解を探る動き、AIの急速な発展に伴う様々な変化もあり、政治・経済・環境・技術等あらゆる面で不確実性が一段と高まっています。このような不確実性の高い事業環境において、変化によるリスクと機会を踏まえて柔軟に事業戦略を見直しつつ、既存事業の収益基盤の更なる強化と案件創出に取り組むべく、当社の中長期的な経営方針を「経営戦略2027」としてまとめました。
(1)経営戦略
■目指す姿
多様性に裏打ちされた「総合力」を事業環境に応じて発揮することで、最適な事業ポートフォリオを構築し、持続的な成長と企業価値向上を実現する企業。
総合力:多様な事業をグローバルに展開、多彩・多才な人材がオペレーションに深く関与することで、信用・信頼を築き上げ、幅広い産業知見・深いインサイトを蓄積し、時代の変化を先取りして柔軟に事業戦略を進化させる力。
■定量目標
成長性を測る新たな中核指標として「営業収益CF:平均成長率10%以上」、資本効率を意識した経営の継続・強化指標として「ROE:2027年度に12%以上」を目標に掲げ、成長性と効率性の同時実現を目指します。

■財務健全性
「Net Debt Equity Ratio:0.6倍」を上限目処に設定し、財務健全性を維持しながら、戦略的にレバレッジを活用する方針とします。
■株主還元
累進配当を維持すると共に、機動的に自己株式取得を行うとする基本方針を維持します。
(2)経営戦略2027実現のための価値創造メカニズム
従来の循環型成長モデルを「磨く(Enhance)」「変革する(Reshape)」「創る(Create)」に再定義し、当社の競争優位性である総合力と、それぞれを強化する施策の掛け合わせにより、中長期的な成長を実現します。

(3)資金配分戦略
2027年度までの3年間で計画していた更新投資約1兆円以上及び拡張・新規投資約3兆円以上については、堅調な営業収益キャッシュ・フローの推移、投資回収の加速、及び投資案件パイプライン(投資案件候補)の状況等を踏まえ、更新投資を約1.3兆円以上、拡張・新規投資を約3.3兆円以上へと引き上げました。また、今後もキャッシュ・フローの状況により追加配分枠が生じた場合は、投資案件パイプライン等を踏まえ、投資又は追加還元への配分を検討します。
2. 「経営戦略2027」価値創造メカニズムの進捗の状況
当連結会計年度は成長性と効率性の同時実現に向け、「磨く」・「変革する」・「創る」の各取組みが着実に進捗しました。当社を取り巻く事業環境の不確実性は「経営戦略2027」の策定・公表時から更に高まっていますが、翌連結会計年度においても投資規律を保ちながら新規投資案件の実行、及び収益基盤強化に取り組み、価値創造メカニズムを加速して参ります。
3. 当連結会計年度のセグメント別の事業環境
① 地球環境エネルギーグループ
主要商材であるLNGの世界需要は微増し、2025年の需要は約4.2億トンとなりました。なお、アジアのLNGスポット価格(JKM)は、2026年2月までは、百万Btu(英国熱量単位)当たり9米ドル台から14米ドル台のレンジで推移しましたが、中東情勢の影響を受けた2026年3月には20米ドル超まで上昇しました。原油取引の国際的な基準価格の一つであるブレント原油価格は、世界的な供給余剰と需要減速を背景に年度初めから2026年2月まで1バレル当たり60米ドル半ばを推移する緩やかな下落基調でしたが、JKM同様に中東情勢の影響を受け、2026年3月には110米ドル超まで高騰しました(年間平均1バレル当たり約70米ドル)。
② マテリアルソリューショングループ
世界経済の不透明感が継続する中、各種素材の主要市場である中国の内需低迷を背景とした過剰輸出の継続により、各種素材の市況は軟化基調で推移しました。鉄鋼分野では、中国経済の減速や中国からの鋼材輸出増等を背景に需給が緩和する中、国内では建設分野を中心に需要の回復が限定的となり、事業環境は弱含みで推移しました。化学品分野でも市況低迷が長期化する中、地域情勢の変化等による不確実性も事業環境に影響を与えました。
③ 金属資源グループ
主力事業の一つである原料炭については、上期は中国の国内鋼材需要低迷に伴い、中国鋼材の旺盛な輸出が前年度から継続し、鋼材及び原料炭市況の低迷に繋がりました。一方で、下期以降はインドの高炉稼働率上昇に牽引された需要増に加え、一部炭鉱での生産障害や豪州における大雨の影響に伴う供給制約により、原料炭市況は回復基調に転じました。もう一つの主力事業である銅については、2025年4月以降において米国関税政策の影響、及び大型鉱山の相次ぐ生産障害による供給懸念や米国利下げ観測等を背景として市況は堅調に推移し2026年1月末に史上最高値を更新、その後は中東情勢・米国金融政策等のマクロ要因を中心にボラタイルな値動きが継続する展開となりました。
④ 社会インフラグループ
米国不動産事業では、米国利下げの進展を背景に市場流動性は回復基調にあり、不動産取引量は回復に転じました。また、データセンター分野でも国内、米国共にクラウドの普及や生成AI需要に伴い、市場拡大しました。産業機械分野では、底堅い設備投資需要や円安の影響等を受けて、事業環境は堅調に推移しました。
⑤ モビリティグループ
世界的な金利の高止まり、特にアセアンにおける実体経済の軟化や厳格なファイナンス(自動車ローン)審査の継続等により自動車市場は低迷し、競合各社が購買力のある顧客を巡り値引き競争が激化する等、厳しい事業環境にありました。その中で、アセアンをはじめとする既存の自動車バリューチェーン事業ではAI・DX活用による顧客体験の質向上・ブランドロイヤリティ強化等を推進し、インド・日本・豪州ではモビリティサービス事業の構築を推進しました。
⑥ 食品産業グループ
穀物事業では、世界的に豊作が続いたことで相場は概ね安定的に推移しました。水産事業では、例年に比べ海水温が高く養殖サーモンの成長が良好であったため、業界全体で大幅な増産となり相場は低位に推移しました。一方で中長期的な需要増加基調は維持されており、CermaqによるGrieg Seafood ASA傘下のサーモン養殖3事業の取得を通じ、生産規模拡大と安定供給体制の強化を進めました。畜産事業では、堅調な鶏肉需要を背景に国内相場は高水準が続きました。
⑦ S.L.C.グループ
国内小売・流通事業に関しては、原材料価格の高騰、インフレ、賃金上昇等のコスト圧力に対する影響等はあったものの、消費者ニーズを踏まえたマーケティング施策による売上拡大や、AI仕入施策による品揃えの最適化、オペレーション最適化により事業は堅調に推移しました。また、金融事業に関しては、金利・為替のボラティリティの影響は限定的に止まり、事業は堅調に推移しました。
⑧ 電力ソリューショングループ
主力事業の一つである再生可能エネルギー事業については、米国においてインフレ抑制法に基づく税額控除要件が減税・歳出法の成立により一部変更されたほか、欧州委員会によるクリーン産業ディール国家補助枠組みの採択、複数国における政策支援の導入・実施等、事業環境の地域によるばらつきの拡大が見られるものの、競争力のある電源として世界での導入は着実に進行しています。他方で、データセンター/AI需要や電化進展による電力需要の増加、エネルギー価格の高騰、及び地政学リスクの高まり等を背景に、エネルギー安全保障や産業競争力維持・強化への対応が重要課題となる中、安定的な電力供給が可能で環境負荷が相対的に低いガス火力発電の有用性が世界的に再認識されました。
4. 翌連結会計年度以降のセグメント別の事業環境の見通し
エネルギー事業に関わる商材・機能を一元化し、地域ごとに柔軟なバリューチェーンを構築することで、エネルギートランジション期の多様なニーズに応え、最適なソリューションを提供することを目的に、地球環境エネルギーグループと電力ソリューショングループを統合し「エネルギー&パワーソリューショングループ」を設立しました。これに伴い、当連結会計年度までの8グループ体制を、翌連結会計年度から7グループ体制へと改編します。
① エネルギー&パワーソリューショングループ
脱炭素社会への移行は不可逆的な潮流である一方、世界的なエネルギー需要の増加見通しや地政学リスクの高まり等を背景として、エネルギー安全保障及び産業競争力の強化に向けた対応が各国で加速する事が想定されます。このような事業環境の下、天然ガス/LNGについては、引き続きアジア地域を中心に中長期的な需要増加が見込まれています。次世代エネルギー分野においては、上記の事業環境に加え、インフレ進行に伴うコスト上昇の影響も受け、商材並びに地域毎の事業進展のばらつきが一層顕在化しています。具体的には、コスト競争力の観点からバイオ燃料・クレジット事業が欧米を中心に先行する一方で、水素及び水素派生品については、社会実装の進展速度が相対的に鈍化しています。また、電力需要の増加や地政学リスクへの対応を背景として、既に再生可能エネルギーが競争力を持つ地域を中心に再生可能エネルギー、産油・ガス国では火力発電等、地域特性及び競争力に応じた電源の導入が進展すると想定されます。加えて、このような事業環境の下、送電容量の不足や局地的な電力需給の逼迫が社会課題となり、ガス火力発電や蓄電池等を活用した需給調整機能の重要性が更に高まる事が見込まれます。
② マテリアルソリューショングループ
中東を中心として不透明な世界情勢に加え、AI進展による素材開発の高速化等を背景に、素材産業を取り巻く事業環境は今後も変化を続けていくことが想定されます。人口増加を支える住宅・インフラ素材に加え、軽量化・電化を支える素材、デジタル社会の発展を支える素材等への需要は、今後も底堅く推移する見通しです。地域や用途によっては需要動向にばらつきが見られるものの、素材分野全体としては安定した需要環境が見込まれます。
③ 金属資源グループ
原料炭においては、インド等の新興国による需要の牽引、中国鋼材需要並びに同国鋼材輸出量の推移、天候等に起因する原料炭生産者の供給制約等、海上貿易市場へ影響を与え得る事象を注視しています。銅においては、引き続き堅調な需要と供給側の制約によりタイトな需給環境となる見込みです。中長期的には、新興国を中心とする世界経済の成長や、脱炭素・電化を背景とした再エネ・EVの普及等により、金属資源の需要は底堅く推移することが見込まれます。
④ 社会インフラグループ
米国不動産事業については、インフレ・金利動向に影響を受ける状況に変化はなく、不動産取引量を注視しています。データセンターについては、クラウドの普及や生成AI需要拡大に伴い日米共に引き続き市場拡大が見込まれています。また、社会インフラの維持・発展を支える産業機械分野は、底堅い需要増加が見込まれます。
⑤ モビリティグループ
主力地域であるアセアンの自動車市場は、厳格なファイナンス審査や競合各社との激しい競争が暫く継続する見通しであり、また、世界情勢の不安定な状況が継続し、実体経済等への影響が生じる可能性もあり、不透明な事業環境が続くと予想されます。一方、同地域での自動車市場は、潜在的な需要や自動車普及率に鑑みると、中長期的には回復・更なる拡大に転じると想定されます。また、グローバル全体での電動化・自動運転化は、普及速度に変化はあっても不可逆的に進展する見込みであり、周辺市場の成長と新たな事業機会が見込まれます。
⑥ 食品産業グループ
地政学リスクの高まりや、これに起因する通商・経済安全保障政策の変化などにより、不確実性の高い事業環境が継続すると見込まれます。一方、世界的な人口増加やバイオ燃料需要の拡大を背景に基礎食料の需要は底堅く推移するとともに、消費者のWell-being志向の高まりや嗜好の多様化に伴い、食の質的向上へのニーズも引き続き拡大していくものと見込まれます。
⑦ S.L.C.グループ
中長期的には国内の人口減少・高齢化に伴う消費市場縮小の流れ、短期的には原材料価格の高止まりや金利上昇の影響、加えて、中東情勢による調達への影響や電気代の上昇等も想定されますが、当面は安定した消費動向が続くことにより、対面市場は底堅く推移していく見通しです。また、海外でも、米国や東南アジア等を中心に、人口増加や経済成長に伴う対面市場の伸長や新たな事業機会が見込まれます。
5. 個別重要案件
当連結会計年度における重要な個別案件については、「3 事業等のリスク 2.主要なリスクの概要 ⑤事業投資リスク」内の(重要な投資案件)をご参照ください。
当社は、2025年4月に、新しい経営戦略として「経営戦略2027-総合力をエンジンに未来を創る-」を策定・公表しました。
当社を取り巻く事業環境は、かつてないほど地政学リスク、経済情勢リスクが複雑に絡み合う中、地域特性に応じた脱炭素の現実解を探る動き、AIの急速な発展に伴う様々な変化もあり、政治・経済・環境・技術等あらゆる面で不確実性が一段と高まっています。このような不確実性の高い事業環境において、変化によるリスクと機会を踏まえて柔軟に事業戦略を見直しつつ、既存事業の収益基盤の更なる強化と案件創出に取り組むべく、当社の中長期的な経営方針を「経営戦略2027」としてまとめました。
(1)経営戦略
■目指す姿
多様性に裏打ちされた「総合力」を事業環境に応じて発揮することで、最適な事業ポートフォリオを構築し、持続的な成長と企業価値向上を実現する企業。
総合力:多様な事業をグローバルに展開、多彩・多才な人材がオペレーションに深く関与することで、信用・信頼を築き上げ、幅広い産業知見・深いインサイトを蓄積し、時代の変化を先取りして柔軟に事業戦略を進化させる力。
■定量目標
成長性を測る新たな中核指標として「営業収益CF:平均成長率10%以上」、資本効率を意識した経営の継続・強化指標として「ROE:2027年度に12%以上」を目標に掲げ、成長性と効率性の同時実現を目指します。

■財務健全性
「Net Debt Equity Ratio:0.6倍」を上限目処に設定し、財務健全性を維持しながら、戦略的にレバレッジを活用する方針とします。
■株主還元
累進配当を維持すると共に、機動的に自己株式取得を行うとする基本方針を維持します。
(2)経営戦略2027実現のための価値創造メカニズム
従来の循環型成長モデルを「磨く(Enhance)」「変革する(Reshape)」「創る(Create)」に再定義し、当社の競争優位性である総合力と、それぞれを強化する施策の掛け合わせにより、中長期的な成長を実現します。

(3)資金配分戦略
2027年度までの3年間で計画していた更新投資約1兆円以上及び拡張・新規投資約3兆円以上については、堅調な営業収益キャッシュ・フローの推移、投資回収の加速、及び投資案件パイプライン(投資案件候補)の状況等を踏まえ、更新投資を約1.3兆円以上、拡張・新規投資を約3.3兆円以上へと引き上げました。また、今後もキャッシュ・フローの状況により追加配分枠が生じた場合は、投資案件パイプライン等を踏まえ、投資又は追加還元への配分を検討します。
2. 「経営戦略2027」価値創造メカニズムの進捗の状況
当連結会計年度は成長性と効率性の同時実現に向け、「磨く」・「変革する」・「創る」の各取組みが着実に進捗しました。当社を取り巻く事業環境の不確実性は「経営戦略2027」の策定・公表時から更に高まっていますが、翌連結会計年度においても投資規律を保ちながら新規投資案件の実行、及び収益基盤強化に取り組み、価値創造メカニズムを加速して参ります。
3. 当連結会計年度のセグメント別の事業環境
① 地球環境エネルギーグループ
主要商材であるLNGの世界需要は微増し、2025年の需要は約4.2億トンとなりました。なお、アジアのLNGスポット価格(JKM)は、2026年2月までは、百万Btu(英国熱量単位)当たり9米ドル台から14米ドル台のレンジで推移しましたが、中東情勢の影響を受けた2026年3月には20米ドル超まで上昇しました。原油取引の国際的な基準価格の一つであるブレント原油価格は、世界的な供給余剰と需要減速を背景に年度初めから2026年2月まで1バレル当たり60米ドル半ばを推移する緩やかな下落基調でしたが、JKM同様に中東情勢の影響を受け、2026年3月には110米ドル超まで高騰しました(年間平均1バレル当たり約70米ドル)。
② マテリアルソリューショングループ
世界経済の不透明感が継続する中、各種素材の主要市場である中国の内需低迷を背景とした過剰輸出の継続により、各種素材の市況は軟化基調で推移しました。鉄鋼分野では、中国経済の減速や中国からの鋼材輸出増等を背景に需給が緩和する中、国内では建設分野を中心に需要の回復が限定的となり、事業環境は弱含みで推移しました。化学品分野でも市況低迷が長期化する中、地域情勢の変化等による不確実性も事業環境に影響を与えました。
③ 金属資源グループ
主力事業の一つである原料炭については、上期は中国の国内鋼材需要低迷に伴い、中国鋼材の旺盛な輸出が前年度から継続し、鋼材及び原料炭市況の低迷に繋がりました。一方で、下期以降はインドの高炉稼働率上昇に牽引された需要増に加え、一部炭鉱での生産障害や豪州における大雨の影響に伴う供給制約により、原料炭市況は回復基調に転じました。もう一つの主力事業である銅については、2025年4月以降において米国関税政策の影響、及び大型鉱山の相次ぐ生産障害による供給懸念や米国利下げ観測等を背景として市況は堅調に推移し2026年1月末に史上最高値を更新、その後は中東情勢・米国金融政策等のマクロ要因を中心にボラタイルな値動きが継続する展開となりました。
④ 社会インフラグループ
米国不動産事業では、米国利下げの進展を背景に市場流動性は回復基調にあり、不動産取引量は回復に転じました。また、データセンター分野でも国内、米国共にクラウドの普及や生成AI需要に伴い、市場拡大しました。産業機械分野では、底堅い設備投資需要や円安の影響等を受けて、事業環境は堅調に推移しました。
⑤ モビリティグループ
世界的な金利の高止まり、特にアセアンにおける実体経済の軟化や厳格なファイナンス(自動車ローン)審査の継続等により自動車市場は低迷し、競合各社が購買力のある顧客を巡り値引き競争が激化する等、厳しい事業環境にありました。その中で、アセアンをはじめとする既存の自動車バリューチェーン事業ではAI・DX活用による顧客体験の質向上・ブランドロイヤリティ強化等を推進し、インド・日本・豪州ではモビリティサービス事業の構築を推進しました。
⑥ 食品産業グループ
穀物事業では、世界的に豊作が続いたことで相場は概ね安定的に推移しました。水産事業では、例年に比べ海水温が高く養殖サーモンの成長が良好であったため、業界全体で大幅な増産となり相場は低位に推移しました。一方で中長期的な需要増加基調は維持されており、CermaqによるGrieg Seafood ASA傘下のサーモン養殖3事業の取得を通じ、生産規模拡大と安定供給体制の強化を進めました。畜産事業では、堅調な鶏肉需要を背景に国内相場は高水準が続きました。
⑦ S.L.C.グループ
国内小売・流通事業に関しては、原材料価格の高騰、インフレ、賃金上昇等のコスト圧力に対する影響等はあったものの、消費者ニーズを踏まえたマーケティング施策による売上拡大や、AI仕入施策による品揃えの最適化、オペレーション最適化により事業は堅調に推移しました。また、金融事業に関しては、金利・為替のボラティリティの影響は限定的に止まり、事業は堅調に推移しました。
⑧ 電力ソリューショングループ
主力事業の一つである再生可能エネルギー事業については、米国においてインフレ抑制法に基づく税額控除要件が減税・歳出法の成立により一部変更されたほか、欧州委員会によるクリーン産業ディール国家補助枠組みの採択、複数国における政策支援の導入・実施等、事業環境の地域によるばらつきの拡大が見られるものの、競争力のある電源として世界での導入は着実に進行しています。他方で、データセンター/AI需要や電化進展による電力需要の増加、エネルギー価格の高騰、及び地政学リスクの高まり等を背景に、エネルギー安全保障や産業競争力維持・強化への対応が重要課題となる中、安定的な電力供給が可能で環境負荷が相対的に低いガス火力発電の有用性が世界的に再認識されました。
4. 翌連結会計年度以降のセグメント別の事業環境の見通し
エネルギー事業に関わる商材・機能を一元化し、地域ごとに柔軟なバリューチェーンを構築することで、エネルギートランジション期の多様なニーズに応え、最適なソリューションを提供することを目的に、地球環境エネルギーグループと電力ソリューショングループを統合し「エネルギー&パワーソリューショングループ」を設立しました。これに伴い、当連結会計年度までの8グループ体制を、翌連結会計年度から7グループ体制へと改編します。
① エネルギー&パワーソリューショングループ
脱炭素社会への移行は不可逆的な潮流である一方、世界的なエネルギー需要の増加見通しや地政学リスクの高まり等を背景として、エネルギー安全保障及び産業競争力の強化に向けた対応が各国で加速する事が想定されます。このような事業環境の下、天然ガス/LNGについては、引き続きアジア地域を中心に中長期的な需要増加が見込まれています。次世代エネルギー分野においては、上記の事業環境に加え、インフレ進行に伴うコスト上昇の影響も受け、商材並びに地域毎の事業進展のばらつきが一層顕在化しています。具体的には、コスト競争力の観点からバイオ燃料・クレジット事業が欧米を中心に先行する一方で、水素及び水素派生品については、社会実装の進展速度が相対的に鈍化しています。また、電力需要の増加や地政学リスクへの対応を背景として、既に再生可能エネルギーが競争力を持つ地域を中心に再生可能エネルギー、産油・ガス国では火力発電等、地域特性及び競争力に応じた電源の導入が進展すると想定されます。加えて、このような事業環境の下、送電容量の不足や局地的な電力需給の逼迫が社会課題となり、ガス火力発電や蓄電池等を活用した需給調整機能の重要性が更に高まる事が見込まれます。
② マテリアルソリューショングループ
中東を中心として不透明な世界情勢に加え、AI進展による素材開発の高速化等を背景に、素材産業を取り巻く事業環境は今後も変化を続けていくことが想定されます。人口増加を支える住宅・インフラ素材に加え、軽量化・電化を支える素材、デジタル社会の発展を支える素材等への需要は、今後も底堅く推移する見通しです。地域や用途によっては需要動向にばらつきが見られるものの、素材分野全体としては安定した需要環境が見込まれます。
③ 金属資源グループ
原料炭においては、インド等の新興国による需要の牽引、中国鋼材需要並びに同国鋼材輸出量の推移、天候等に起因する原料炭生産者の供給制約等、海上貿易市場へ影響を与え得る事象を注視しています。銅においては、引き続き堅調な需要と供給側の制約によりタイトな需給環境となる見込みです。中長期的には、新興国を中心とする世界経済の成長や、脱炭素・電化を背景とした再エネ・EVの普及等により、金属資源の需要は底堅く推移することが見込まれます。
④ 社会インフラグループ
米国不動産事業については、インフレ・金利動向に影響を受ける状況に変化はなく、不動産取引量を注視しています。データセンターについては、クラウドの普及や生成AI需要拡大に伴い日米共に引き続き市場拡大が見込まれています。また、社会インフラの維持・発展を支える産業機械分野は、底堅い需要増加が見込まれます。
⑤ モビリティグループ
主力地域であるアセアンの自動車市場は、厳格なファイナンス審査や競合各社との激しい競争が暫く継続する見通しであり、また、世界情勢の不安定な状況が継続し、実体経済等への影響が生じる可能性もあり、不透明な事業環境が続くと予想されます。一方、同地域での自動車市場は、潜在的な需要や自動車普及率に鑑みると、中長期的には回復・更なる拡大に転じると想定されます。また、グローバル全体での電動化・自動運転化は、普及速度に変化はあっても不可逆的に進展する見込みであり、周辺市場の成長と新たな事業機会が見込まれます。
⑥ 食品産業グループ
地政学リスクの高まりや、これに起因する通商・経済安全保障政策の変化などにより、不確実性の高い事業環境が継続すると見込まれます。一方、世界的な人口増加やバイオ燃料需要の拡大を背景に基礎食料の需要は底堅く推移するとともに、消費者のWell-being志向の高まりや嗜好の多様化に伴い、食の質的向上へのニーズも引き続き拡大していくものと見込まれます。
⑦ S.L.C.グループ
中長期的には国内の人口減少・高齢化に伴う消費市場縮小の流れ、短期的には原材料価格の高止まりや金利上昇の影響、加えて、中東情勢による調達への影響や電気代の上昇等も想定されますが、当面は安定した消費動向が続くことにより、対面市場は底堅く推移していく見通しです。また、海外でも、米国や東南アジア等を中心に、人口増加や経済成長に伴う対面市場の伸長や新たな事業機会が見込まれます。
5. 個別重要案件
当連結会計年度における重要な個別案件については、「3 事業等のリスク 2.主要なリスクの概要 ⑤事業投資リスク」内の(重要な投資案件)をご参照ください。