有価証券報告書-第104期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/26 12:59
【資料】
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【項目】
135項目

対処すべき課題

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「核心的価値観(コアバリュー)」、「理念(フィロソフィ―)」、「存在意義(パーパス)」および「将来像(ビジョン)」から成る「東京貿易グループの経営軸」を据えて事業活動に取り組んでおります。具体的には、核心的価値観である全員経営の精神を拠り所にして、自由闊達な文化の下、全グループ社員がそれぞれの立場で経営に参画し、常に持続的な社会の発展に貢献し、お客様の成功に寄与し、社会から必要な存在と認められ、お客様から感謝されるグループになる、そんなグループで働く社員が幸せと誇りを感じられるグループになることを理念としております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、経営戦略の遂行にあたり、グループ資産の効率的活用と株主資本に対する収益性を重視し、それぞれROAとROEを重要な経営指標として掲げ、グループ経営を効率的に推進し、企業価値の最大化を目指してまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2024年度から2027年度の第7次中期経営計画を策定し、2024年4月より開始いたしました。この4年間の中期経営計画の実行を通じて、より効率的な経営体制の構築と持続的な成長を目指してまいります。創業80周年を迎える2027年度(最終年度)には、グループ連結売上高1,000億円、営業利益100億円を目標として設定しています。この目標を達成するために、「連邦経営からグループ経営への移行」、「セグメント経営の導入」、
「経営プラットフォームの導入」の3つの柱に基づく戦略を展開してまいります。第7次中期経営計画の概要につきましては、2024年4月1日公表の当社ニュースリリース「東京貿易グループ第7次中期経営計画(2024年度~2027年度)を開始」をご参照ください。
(4) 会社の対処すべき課題
第6次中期経営計画の最終年となる当連結会計年度においては、既存事業が好調だったことに加え、成長戦略の一環で実行したM&Aによる事業拡大により売上高・経常利益ともに前期比で増収増益となりました。今後とも持続的な成長を目指すために、グループ全体のさらなる効率的な経営体制の構築が重要な課題となります。その課題への対応として、当社グループは、2024年度から2027年度の第7次中期経営計画を策定し、「連邦経営からグループ経営への移行」、「セグメント経営の導入」、「経営プラットフォームの導入」の3つの柱に基づく戦略を展開してまいります。
「連邦経営からグループ経営への移行」については、個社の独立採算制を重視した連邦経営を終了し、グループ各社の特性や強みを活かした「既存事業の徹底的な強化・磨き上げ」と「当社の強みを活かした事業開発」を両輪で推進する「事業開発型商社グループ」を目指します。また、グループ全体の戦略策定・推進機能の強化、並びにグループ経営資源の最適化を推進し、グループ各社は事業に専念し、グループとしての総合力を発揮する経営体制へ移行します。
「セグメント経営の導入」については、グループ各社単独ではなく、市場・顧客を広く捉えて、ビジネスチャンスを模索することが可能となるよう、「エネルギーインフラ」、「イメージソリューション」、「マテリアルサプライ」、「スマートマニュファクチャリング」の4セグメントを新たに設定し、市場ニーズにより柔軟に対応するセグメント経営を導入します。今後はセグメント経営を通じて、当社グループのお客様に新たな価値を提供することを目指します。 「経営プラットフォームの導入」については、管理部門をホールディングスに集中化させ、グループ内の効率化を図るための経営プラットフォームを導入します。これにより、個社別の組織体制から、グループ全体の総合力を生かす仕組みへ移行し、成長発展していくための基盤整備・機能強化並びに、組織全体の競争力向上を推進してまいります。
また、新たなセグメントに基づく事業上の課題は次のとおりです。
「エネルギーインフラ」では、関連する世界のエネルギー産業において、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、トランジションエネルギーであるLNG、次世代エネルギーであるアンモニア・水素、CCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)等のサプライチェーンの変革が始まっております。この市場環境の変化に対応すべく、主力のローディングアーム事業における海外販売の強化及び新たな製品開発、並びに新商材の獲得を推進し、次世代のエネルギーサプライチェーンを支え、世界中の人々への安全・安定なエネルギー供給に寄与するための機器・システム・ソリューションを提供することを目指してまいります。
「イメージソリューション」では、主力のセキュリティ事業において、ソリューション提案から施工・メンテナンスまでのトータルサービスを強みとし、画像認識やAI技術を活用した画像・AIソリューションの開発に注力し、顧客視点での競争優位性を高めてまいります。また、画像・AIソリューションをセキュリティ業界に留まらず、介護業界やマンション事業等へ拡大させるなど、新たな領域にも積極的に展開すると同時に、従来の安全・安心に加えて、省人・省力化を新たな提供価値として、さらなる社会の発展に貢献することを目指してまいります。
「マテリアルサプライ」では、既存事業における、耐火物事業の商材開発力・顧客基盤、鉄鋼事業の海外営業基盤等を活用し、事業領域の拡大を図る新たな商材・サービスの開発を推進しております。その一環として、デジタル測定事業の推進に取り組むとともに、新たに加わった鍛造ロール事業においては、鉄鋼事業の海外営業基盤を活用した事業領域拡大を目指し、シナジーの最大化に取り組んでまいります。今後も継続して、製造業のものづくりを支える差別化された商材・サービスをターゲット市場のサプライチェーンにおいて幅広く供給し、世界を舞台に製造業の発展に貢献することを目指してまいります。
「スマートマニュファクチャリング」では、主要顧客の製造業の現場において、デジタル技術を活用したものづくりやオペレーションの高度化が進んでおります。このような変化が生じる中、今まで培ってきた測定デジタル技術を基礎に、ものづくり高度化・オペレーション高度化を実現する多様なソリューションの開発を推進してまいります。また、顧客のエンジニアリングチェーン(製造業における企画から量産までのプロセス)やサプライチェーンにおいて、ソリューションの提供領域を広げていくことで、テクノロジーにより人口減少やカーボンニュートラルなどの社会課題の解決に貢献することを目指してまいります。
当社グループは第7次中期経営計画に基づき、さらなる発展を目指し、変化する市場環境に適応しながら、お客様・社会に大きく貢献してまいります。