有価証券報告書-第38期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/29 9:03
【資料】
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【項目】
167項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「世界から飢餓と貧困を撲滅する」という基本理念の下に、フード業を幅広く展開し、「世界中の人々に安全でおいしい食を手軽な価格で提供する」という使命を持って、グローバルな展開を行っております。安全で質の高い商品とサービスをお客様に提供するため、メニューの開発から食材の調達、製造・加工、物流、販売に至る全過程を自ら企画・設計し、一貫してコントロールするMMD(マス・マーチャンダイジング・システム)の構築に努めております。
MMDを実践することで、より幅広い層のお客様に、いつでも、気軽に利用していただける店舗づくりを実現し、業容の一層の拡大と効率化を図り、株主価値の増大に努めてまいります。
(2)経営環境
上期については雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移しましたが、下期に入り2019年10月の消費増税の影響に加え、2020年に入り当社グループ設立以来経験したことがない新型コロナウイルス感染症の世界的流行もあり厳しい経営環境が続きました。
当社グループの事業構造については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載の通りであり、主要な顧客は一般消費者であります。日本の外食産業の市場規模は年間25兆円と言われ、当社グループは同産業のリーディングカンパニーでありますが、当社の市場シェアは1割にも満たないことから市場は寡占化されておらず、また、参入障壁が最も低い産業の一つであり、企業間の競争が激しい産業でもあります。さらに、食という視点からはいわゆる中食産業とも競合関係にあります。
日本国内においては店舗による運営の大部分を直営により行っております。海外においては、米国でフランチャイズによる店舗運営を行っているほか、その他地域では直営により運営を行っております。
外食事業については、売上高の大部分が日本国内での店舗販売によるものであり、店舗においてイートイン(EI)、テイクアウト(TO)、ドライブスルー(DT)、デリバリー(DL)等の複数のチャネルで販売を強化しております。店内業務効率化のために、POSシステムのほか、業態によっては券売機、セルフサービスの注文システムやキャッシングレジシステムを導入しております。お客様利便性向上及び店内業務効率化のために、決済手段として現金のほかクレジットカード、電子マネー等の非現金決済手段の導入を進めております。売上現金についてはお取引先様に現金回収を委託する等、従業員の労務環境の改善に努めております。仕入調達については、当社のグループ食品安全保証本部による仕入先の安全性認証のもと、国内外の仕入先の開拓に努め、良いものを時期・季節に合った適正価格で調達できる体制を整えております。当社の専門部署が中心となって、グループ内共通仕入システムを運営し仕入コストの低減を図っております。
小売事業については、売上高のすべてが日本国内での店舗販売によるものであり、対面販売のほか、一部でセルフサービス方式での販売を行っております。仕入調達については、小売事業共通のプラットフォームにより共同して調達を行っているほか、一部の外食事業と共通の食材についてはグループ内共通仕入システムにより、外食事業と共同して行うことで仕入コストの低減を図っております。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響について、外食事業では政府や自治体要請による外出自粛、店舗営業時間の制限による店内飲食の客数減少という経営環境の悪化が見込まれる一方で、販売チャネルをEI、TO、DT、DLと積極的に拡大することで客数の回復による経営環境の改善に努めております。小売事業については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、足元の経営環境悪化要因とはなっておりません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(1)及び(4)に記載の、経営方針及び中期経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)
①MMD(マス・マーチャンダイジング・システム)の進化
当社グループは、お客様に安全でおいしい商品を安心してお召し上がりいただくために、MMDによる安全性の確保を継続するとともに、業績の向上を目指し、業容の拡大とグループシナジーの追求を行ってまいりました。今後も、更なる強化によって食材の安全性の追求と商品クオリティの向上、コスト改善を図ってまいります。
②食の安全性の追求
「お客様になり代わって食材の安全性を確認する」ことを最重要課題とし、グループの「食の安全」に責任を負うグループ食品安全保証本部において、店舗における衛生管理の徹底、食材のトレーサビリティの確立、食材の品質検査等の強化を行い、食の安全の追求を行ってまいります。
③ブランドの進化
当社グループは、全業態においてQQSC(クオリティ・クイックサービス・クリンリネス)の追求を行い、すべてのお客様により快適な空間でお食事をお召し上がりいただけるよう、ユニバーサルデザインの店舗作りの推進や、お客様の多様なニーズにお応えできる商品を導入することなどにより、ブランドの進化に努めてまいります。
(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
①出店及びM&Aによる成長
国内外において業態の収益力を高め、積極的な出店を継続してまいります。また、M&Aの活用によるMMDの更なる強化を図ってまいります。
②人財の採用及び育成
人財採用及び人財育成は対処すべき重要な経営課題と認識しております。当社グループの理念に共鳴する優秀な人財を確保し、持続的な成長を支える人財を育成すべく採用活動及び研修活動を強化してまいります。
また、女性社員の活躍推進を含む多様な働き方の促進や、中途採用の強化、グローバル人財の採用・育成を積極的に進めてまいります。
③労働環境の改善
当社グループは、労働環境の改善のための労働時間管理システムの導入、マネジャー層に対するコンプライアンス教育の強化、従業員との対話機会の充実等を通じ、継続して多様な改善施策を実施してまいりました。引き続き、福利厚生の拡充、人事評価制度や給与体系の見直し等、労働環境の改善を進めてまいります。
④お客様の利便性向上及び迅速な経営判断に資するためのシステム構築
当社グループでは、お客様の利便性向上のためのシステム構築を進めております。また、売上・在庫等の情報を収集する仕組みを構築しておりますが、国内外でグループ各社の販売拠点を拡大していく中、今後、更に情報収集・統合の効率化を進め、経営陣の迅速な判断に資するシステムと体制の構築にも取り組んでまいります。
⑤人工知能(AI)などを利用した業務効率化と自動化
現在、第4次産業革命とも呼ばれる人工知能(AI)・ロボット等の技術革新やデータ活用により、定型労働に加えて非定型労働においても省人化が進展しております。当社グループにつきましても、店舗、工場、物流などの各工程において、積極的に人工知能(AI)・ロボット等を取り入れ、業務の効率化・自動化を推進してまいります。

⑥新型コロナウイルス感染症への対応
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の拡大に対しましては、当社グループの使命である食の社会インフラの役割を果たすために、小川取締役副社長を本部長とする緊急対策本部を設置し、店舗営業の継続とお客様ならびに従業員の安全と健康維持に努めております。
感染症拡大につきましては、いまだ先行きの見通しが困難な状況にありますが、引き続き、臨機応変かつ適切に対処してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営指標(KPI)として売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期純利益率、ROEを重視しております。なお、2021年3月期の連結業績予想につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により先行きを見通すことが困難であることから未定としております。
中期目標といたしましては、2022年3月期に、売上高7,217億円、営業利益307億円(売上高営業利益率4.3%)、経常利益288億円(売上高経常利益率4.0%)、当期純利益145億円(売上高当期純利益率2.0%)、ROE10.0%の達成を目指しております。また、株主利益の増大と企業価値の向上のための重要な長期経営指標として、売上高経常利益率10%を目指しております。
当該KPIを採用している理由としましては、中期経営方針として①既存事業の収益改善②国内外における新規出店による業容の拡大③人財育成及び職場環境の改善を挙げており、経営方針の進捗状況や実現可能性の評価等を行うことが可能になるためであります。
当該KPIの各数値については、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。