有価証券報告書-第58期(令和2年5月21日-令和3年5月20日)

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2021/07/30 16:30
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、2020年5月1日に行われた当社連結子会社であるASKUL LOGIST株式会社と西湘運輸株式会社との企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2020年5月21日から2021年5月20日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により個人消費・企業活動が停滞し、世界的にはワクチン接種普及による明るい兆しはあるものの、わが国においては緊急事態宣言の発令が度重なる等、依然として先行きは不透明な状況となっております。
新型コロナウイルス感染症拡大による影響が多くの業種において需要低迷を招く中、当社グループが属するeコマース市場は、新しい生活様式における人との接触を減らす購買活動としての役割への期待が高く、需要は増加傾向にあります。一方で、配送ドライバー不足等に起因した配送運賃の高止まりや同業他社とのサービス品質競争が続いており、楽観視できない経営環境が続いております。
このような状況の中、主力分野であるeコマース事業のBtoB事業は、eコマース市場拡大を機会と捉え、「働く人のライフラインとして全ての仕事場に信頼されるサービスを提供する」をミッションに、さらなる事業成長を推進してきました。BtoC事業は、2023年5月期の「LOHACO」営業利益黒字化の実現に向け、構造改革に取り組みました。
当連結会計年度においては、2020年4月の緊急事態宣言以降に落ち込んだBtoB事業の売上高成長率が2020年5月の緊急事態宣言解除後は堅調に推移し、また手指消毒液やマスク等の新型コロナウイルス感染対策商品の特需が継続したため、BtoB事業は増収大幅増益となり、BtoC事業の「LOHACO」も損益改善が計画通り進捗しました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,221億51百万円(前期比5.4%増)、営業利益139億23百万円(前期比57.8%増)、経常利益138億50百万円(前期比60.0%増)、特別損失として、「LOHACO 本店」のWEBサイトリニューアル等に伴う固定資産除却損8億45百万円、連結から除外となった株式会社エコ配に対する貸倒引当金繰入額7億円に加え、2021年2月13日に発生した福島県沖地震、その後続いた地震による災害による損失6億88百万円等を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は77億58百万円(前期比37.2%増)となり、いずれの段階利益も過去最高益を大幅に更新し、営業利益は13期ぶり、最終利益は8期ぶりの過去最高益となりました。
セグメント別の経営成績につきましては、以下のとおりです。
当社グループの主力分野であるBtoB事業につきましては、2020年4月の緊急事態宣言発令によるお客様の事業活動の自粛の影響を受けて売上高が落ち込みましたが、2020年5月の緊急事態宣言解除後は、中小企業のお客様を中心に、コロナ禍で事業活動を再開、継続していくために必要となった手指消毒液やマスクに加え、使い捨てグローブやパーティション等の感染対策商品に対する需要が増加したことにより、売上高成長率は堅調に推移しました。中堅・大企業のお客様についてもオフィス用品をはじめとする需要が従来の水準に戻りつつあり、またeコマース需要の増加による梱包資材等のMRO(注1)商材や、取扱い商材数が890万アイテムを超え品揃え強化に注力しているロングテール商材の売上高も伸長したことから、当連結会計年度は増収となりました。
従来から強化しておりますSEO(注2)の効果に加え、経済産業省および厚生労働省からの要請を受けて実施した手指消毒液の優先お届け等をきっかけに取引を開始した医療機関・介護施設のお客様等、新規のお客様が増加しました。当社サービスを継続してご利用いただけるよう、商材の拡大やお届け品質の向上に取り組んだ結果、稼働率も新規・既存のお客様ともに上昇しました。
この結果、BtoB事業の売上高は、前期比で161億20百万円増収の3,451億92百万円(前期比4.9%増)となりました。 BtoC事業につきましては、「サイバーサンデー」や「超PayPay祭」等の販促効果もあり、売上高は順調に伸長しました。損益改善については、コロナ禍の自粛生活が続く中で、付加価値の高い商品の提案や、販売価格の適正化等により商品粗利率の向上が進み、売上総利益率の改善に寄与いたしました。第1四半期連結会計期間で落ち込んだ広告収入も、第4四半期連結会計期間では上記販促効果もあり大きく伸長しました。
この結果、「LOHACO」の売上高は、前期比で42億38百万円増収の528億58百万円(前期比8.7%増)となり、BtoC事業合計でも、前期比で52億54百万円増収の685億88百万円(前期比8.3%増)となりました。
以上より、両事業を合計したeコマース事業の売上高は4,137億81百万円(前期比5.4%増)となりました。差引売上総利益は、継続的な原価低減活動に加え、感染対策商品をはじめとする商品利益率の高い商品の売上高が伸長し、「LOHACO」における売上総利益率の改善も進んだことから、1,041億71百万円(前期比10.1%増)となりました。
決算賞与9億71百万円を計上したものの、両事業の増収および「LOHACO」におけるヤフー株式会社との連携強化による販促費、固定費の抑制が寄与したことにより、売上高販管費比率は前期比0.2ポイント減少し、販売費及び一般管理費が891億83百万円に抑えられ、営業利益は149億88百万円(前期比63.1%増)となりました。
(注) 1 Maintenance, Repair and Operationsの頭文字をとった略称で、工場・建設現場・倉庫等で使用される消耗品・補修用品等の間接材全般を指します。
2 Search Engine Optimizationの頭文字をとった略称で、サーチエンジンで商品を検索した際に当社のWEBサイトが上位に掲載される施策を指します。
<ロジスティクス事業>ASKUL LOGIST株式会社において物流業務受託売上が大幅に伸長したことにより増収となったものの、2020年11月に開始した物流業務受託に係る固定費負担(開始前の物流センター賃料を含む)の影響により、営業損失となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は76億77百万円(前期比6.7%増)、営業損失は11億円(前期は営業損失4億円)となっております。
なお、当連結会計年度において、連結子会社でありました株式会社エコ配の株式を一部譲渡したため、同社および同社の子会社である株式会社ecoプロパティーズを連結の範囲から除外しております。
<その他>嬬恋銘水株式会社の売上高は概ね前期並みで進捗し、利益率の高い商品の増収により増益となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は13億31百万円(前期比0.6%増)、営業利益は71百万円(前期比19.1%増)となっております。
財政状態の状況は以下の通りであります。
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は1,901億7百万円となり、前連結会計年度末と比べ159億60百万円増加いたしました。主な増加要因は、受取手形及び売掛金が68億81百万円、建設仮勘定が39億29百万円、現金及び預金が29億99百万円、ソフトウエア仮勘定が22億33百万円、未収入金が16億73百万円、商品及び製品が13億42百万円増加したことであります。主な減少要因は、ソフトウエアが13億1百万円減少したことであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は1,309億3百万円となり、前連結会計年度末と比べ95億82百万円増加いたしました。主な増加要因は、支払手形及び買掛金が59億25百万円、未払金が20億88百万円、電子記録債務が17億63百万円、未払法人税等が8億21百万円増加したことであります。主な減少要因は、リース債務(長期)が6億68百万円減少したことであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は592億3百万円となり、前連結会計年度末と比べ63億78百万円増加いたしました。これは、配当金の支払19億41百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益77億58百万円の計上、有償ストック・オプションの権利行使に伴う自己株式の処分8億29百万円等があったことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は30.9%(前連結会計年度末は30.1%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は662億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億99百万円増加いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、159億98百万円(前期比6億10百万円減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益112億77百万円、仕入債務の増加78億57百万円、減価償却費とソフトウエア償却費、のれん償却額の合計64億95百万円の増加要因に対し、売上債権の増加74億48百万円の減少要因があったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、90億79百万円(前期比30億23百万円減)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出48億86百万円、ソフトウエアの取得による支出40億5百万円の減少要因があったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、39億19百万円(前期比8億41百万円増)となりました。これは、配当金の支払19億41百万円、リース債務の返済による支出18億65百万円、長期借入金の返済による支出17億82百万円の減少要因があったこと等によります。
③ 生産、仕入および販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
その他 (注)1803△6.0
合計803△6.0

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。
2 金額は、製造原価によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 eコマース事業およびロジスティクス事業につきましては、生産業務を行っていないため該当事項はありません。
b. 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(百万円)前年同期比(%)
eコマース事業310,573+4.2
その他105+18.4
合計310,679+4.2

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、仕入価格によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 ロジスティクス事業につきましては、物流・小口貨物輸送サービスの提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
eコマース事業413,781+5.4
ロジスティクス事業7,677+6.7
その他692△10.4
合計422,151+5.4

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積りを用いております。この会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、新たに減損処理が必要となる可能性があります。
(のれんの減損)
当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間にわたって均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を慎重に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a. 経営成績等
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
b. キャッシュ・フローの分析
「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループが属するeコマース市場は引き続き成長が見込まれているものの、競合とのサービス競争は激化しており、競合他社の状況が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。当社グループといたしましては、BtoB事業は、新たに位置付けた2大戦略業種(医療・介護、製造業)向けを中心に、お客様のご要望にあった品揃えの拡大や当社オリジナル商品の拡充を進めるとともに、既存サイトの特長を結集し、新たな機能も兼ね備えた新WEBサイトの構築により、他社との差別化を図ってまいります。BtoC事業は、ヤフー株式会社のシステム基盤の活用をはじめとするZホールディングスグループとのシナジーにより、固定費の大幅な削減を図り、お客様の支持拡大のためのサービス品質向上に注力してまいります。その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りです。
④ 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、物流センターの新設・増強やWEBサイトの刷新等の設備投資資金、BtoC事業の成長を加速させるためのシナジー効果のある事業者の買収資金等があります。
設備投資資金や買収資金等の資金については、金利コスト等を勘案しながら、自己資金または金融機関からの借入金、リース契約等により調達しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、eコマースのBtoC事業をBtoB事業と並ぶ収益の柱に成長させることを目指し、BtoC事業に係る流通総額1,000億円をこれまで目標に掲げておりましたが(当連結会計年度の実績は697億50百万円)、2021年7月に、2025年5月期を最終年度とする4年間の中期経営計画を発表いたしました。
中期経営計画では、オフィス通販からすべての仕事場とくらしを支えるインフラ企業へのトランスフォーメーションを成し遂げるべく、2025年5月期の経営目標として連結売上高5,500億円、連結営業利益率5%、ROE20%を新たな目標に掲げております。なお、当連結会計年度においては連結売上高4,221億円、連結営業利益率3.3%、ROE14.0%となっております。
今後は、BtoB事業における「戦略業種と品揃えの拡大」「BtoB最強eコマースサイトの構築」、BtoC事業における「Zホールディングスグループとのシナジー」、加えて両事業を支える「プラットフォームの改革」を最重要戦略として、中期経営計画の経営目標達成に向けて各施策を推進してまいります。

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