有価証券報告書-第61期(2023/05/21-2024/05/20)

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2024/07/30 15:00
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2023年5月21日から2024年5月20日まで)におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進んだことにより企業活動・個人消費行動に持ち直しがみられ、大手企業から先行して雇用・所得環境の改善が進んでいることから緩やかな回復が続くことが期待されています。一方、ロシアのウクライナ侵攻等による原材料・エネルギー価格の上昇や円安による輸入価格の上昇は国内物価を上昇させ、家計・企業の活動に影響を与えています。
このような状況の中、当社グループは、前連結会計年度に達成した「売上成長カーブを変える」を継続しながら、2024年5月期では「利益成長カーブも変える」を最大のミッションと位置付け、中期経営計画(2022年5月期~2025年5月期)に掲げた最終年度の業績目標達成に向け、取扱い商品数の拡大に加え、BtoB事業での積極的な広告費・販促費の投下、本格稼働した新アスクルWEBサイトへのお客様の移行等、当社グループの成長に繋がる積極的な施策を進めてまいりました。
また、当社は「エシカルeコマース」の実現を目指していることから、いわゆる「物流2024年問題」解決の一助となるべく、BtoB事業のASKULおよびソロエルアリーナの2023年10月31日18時以降のご注文分から、配送バー(注)を変更しました。お客様にまとめてご注文いただくことで、サプライチェーン全体における環境・労働負荷低減によるサステナブルな社会の実現に向けた取り組みも進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高4,716億82百万円(前期比5.6%増)、営業利益169億53百万円(前期比16.0%増)、経常利益166億77百万円(前期比15.4%増)、「ALP首都圏」火災に係る損害賠償請求訴訟の判決確定により受取損害賠償金118億62百万円を特別利益に計上したことで親会社株主に帰属する当期純利益191億39百万円(前期比95.6%増)の増収増益となり、売上高、利益ともに過去最高額を更新しました。
セグメント別の経営成績につきましては、以下のとおりです。
当社グループの主力分野であるBtoB事業につきましては、仕事場で働く全てのお客様のご要望にお応えすべく、飲料、日用消耗品等の生活用品商材、抗原検査キット等の新型コロナウイルス感染症関連商材、袋・梱包資材等のMRO商材など、幅広く商品を取り揃えております。新型コロナウイルス感染症関連商材については、感染者数の減少により感染症対策がひと段落したことから、抗原検査キット、消毒剤等の売上高が減少しましたが、日常の生活への回帰等もあり、ペットボトル飲料や日用消耗品等の生活用品の売上高が順調に増加しました。
新型コロナウイルス感染症関連商材の特需の減少やご注文数の計画未達等の影響はあるものの、主力商品の一部の価格改定等による購入単価の上昇等により、当社サービスによる中小企業向け、中堅大企業向け売上高は、ともに増加しました。
また、前連結会計年度末に連結子会社化した株式会社AP67の事業子会社であるフィード株式会社等の業績が当連結会計年度を通じて寄与したことや、連結子会社である株式会社アルファパーチェスの業績が順調であったことも、売上高の大きな成長に寄与しました。
この結果、BtoB事業の売上高は、前期比で352億75百万円増収の4,091億43百万円(前期比9.4%増)となりました。
そのほか、中期経営計画の達成に向けてロングテール商品の売上拡大を進めておりますが、その実現のための施策として、当連結会計年度においては、関西の大型物流センター(AVC関西)に自動搬送ロボットを導入し、関西エリアの保管効率と出荷効率を向上させるための設備面の整備を推進してきました。来期以降については、お客様から需要のあるロングテール商品の調達力、マーチャンダイジング力の強化により、ロングテール商品の稼働率を上げていくことで、売上高の拡大に繋げてまいります。
もう一つのミッションである新アスクルWEBサイトへのソロエルアリーナのお客様の移行については、新アスクルWEBサイトへの移行を完了したお客様の対応を優先するため移行計画を見直し、2025年5月期中の移行完了を予定しております。
BtoC事業につきましては、売上高は、LINEヤフー株式会社(旧Zホールディングス株式会社)のコマース事業のコスト最適化によるキャンペーン変更も影響し、期首計画通りの減収となりました。当連結会計年度においては、BtoBとBtoCの融合により、BtoB事業で取り扱うコストパフォーマンスの高い大容量品等の「LOHACO」での販売や組織・機能の融合によるオペレーションの低コスト化、加えて、「LOHACO by ASKUL(LOHACO本店)」と「LOHACO Yahoo!店」の統合によるお客様の利便性向上等、継続的な営業利益創出のための収益力の強化を進めてまいりました。
この結果、「LOHACO」の売上高は、前期比で100億16百万円減収の361億60百万円(前期比21.7%減)となり、BtoC事業合計で、前期比で100億22百万円減収の532億30百万円(前期比15.8%減)となりました。
以上の結果、両事業を合計したeコマース事業の売上高は4,623億74百万円(前期比5.8%増)となりました。売上総利益は、生活用品の売上高の増加や一部商品の価格改定等により売上総利益率が改善し、1,169億44百万円(前期比9.7%増)と大幅な増益となりました。
販売費及び一般管理費は、主力商品の一部の価格改定や配送バーの変更によるお客様のまとめ買いが進んだ影響等により、一箱あたり売上単価が上昇し、売上高配送費比率が減少しました。一方で、投資を行ってきた新アスクルWEBサイトや「ASKUL東京DC」の稼働およびフィード株式会社等の子会社化により、ソフトウエア償却費、減価償却費およびのれんの償却費等が増加し、また、当連結会計年度の重点施策の一つとして、BtoB事業のサービス名称や戦略商材の取扱い認知度向上を目的としたテレビCMの実施とそれと連携したインターネット広告出稿の増加等により、売上高販管費比率が前期比0.6ポイント増加しました。以上の結果、販売費及び一般管理費は998億46百万円となり、営業利益は170億97百万円(前期比14.4%増)となりました。
<ロジスティクス事業>ASKUL LOGIST株式会社の当社グループ外の物流業務受託の売上高は概ね前期と同水準で推移しました。人件費等の高騰もあり、営業損失となっておりますが、価格改定等により前期比で収益性は改善しており、一層の生産性の向上を進めてまいります。
この結果、当連結会計年度の売上高は85億58百万円(前期比1.6%減)、営業損失は1億46百万円(前期は営業損失3億24百万円)となっております。
<その他>嬬恋銘水株式会社での飲料水の販売が堅調に推移しました。下期において製造ラインの不具合等により一時的に製造数量および販売数量が減少し、期首計画には未達となったものの、増収増益となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は19億51百万円(前期比2.4%増)、営業利益は29百万円(前期比124.7%増)となっております。
(注) 基本配送料を当社が負担する注文金額基準。

財政状態の状況は以下の通りであります。
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は2,430億62百万円となり、前連結会計年度末と比べ155億56百万円増加いたしました。これは主に、「ALP首都圏」火災に係る損害賠償請求訴訟の判決確定等に伴い未収入金が135億70百万円、「ASKUL関東DC」に関連した設備投資により建設仮勘定が61億39百万円、増収により受取手形、売掛金及び契約資産が19億24百万円増加した一方、前連結会計年度末日が金融機関の休日であったため、決済日が連結会計年度末日である電子記録債務84億44百万円が前連結会計年度末残高に含まれていたこと等により現金及び預金が44億78百万円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は1,617億25百万円となり、前連結会計年度末と比べ10億95百万円増加いたしました。これは主に、増益により未払法人税等が47億42百万円、仕入金額の増加により支払手形及び買掛金が44億63百万円、未払金が25億65百万円増加した一方、電子記録債務が76億75百万円、長期借入金(1年内返済予定を含む)が31億22百万円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は813億36百万円となり、前連結会計年度末と比べ144億60百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益191億39百万円の計上に対し、配当金の支払35億9百万円があったことにより利益剰余金が156億29百万円増加した一方、新たな株主還元方針として2024年3月より実施しております自己株式の取得等により自己株式が17億15百万円増加(純資産は減少)したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は32.2%(前連結会計年度末は28.2%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は617億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ44億78百万円減少いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、168億87百万円の収入(前期は201億31百万円の収入)となりました。これは、受取損害賠償金118億62百万円、法人税等の支払額48億86百万円、仕入債務の減少額32億12百万円があった一方、税金等調整前当期純利益284億31百万円、減価償却費、ソフトウエア償却費、のれん償却額および顧客関連資産償却額の合計105億63百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、115億37百万円の支出(前期は229億29百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出61億72百万円、ソフトウエアの取得による支出52億66百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、98億28百万円の支出(前期は102億32百万円の収入)となりました。これは、長期借入れによる収入70億円、セール・アンド・リースバックによる収入14億80百万円があった一方、長期借入金の返済による支出101億22百万円、配当金の支払額35億9百万円、リース債務の返済による支出29億15百万円、自己株式の取得による支出17億49百万円があったこと等によるものであります。
③ 生産、仕入および販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)
その他 (注)11,365+2.3
合計1,365+2.3

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。
2 金額は、製造原価によっております。
3 eコマース事業およびロジスティクス事業につきましては、生産業務を行っていないため該当事項はありません。
b. 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(百万円)前期比(%)
eコマース事業345,801+4.2
その他 (注)1138△8.6
合計345,940+4.2

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 金額は、仕入価格によっております。
4 ロジスティクス事業につきましては、物流・小口貨物輸送サービスの提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
eコマース事業462,374+5.8
ロジスティクス事業8,558△1.6
その他 (注)1749△15.8
合計471,682+5.6

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積りを用いております。この会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、新たに減損処理が必要となる可能性があります。
(のれんおよび顧客関連資産の減損)
当社グループは、のれんおよび顧客関連資産について、その効果の発現する期間にわたって均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を慎重に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a. 経営成績等
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
b. キャッシュ・フローの分析
「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループが属するeコマース市場は引き続き成長が見込まれているものの、競合とのサービス競争は激化しており、競合他社の状況が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。当社グループといたしましては、主要なASKUL事業は、データドリブンな意思決定による商品採用・価格決定業務等のスピード向上のためのマーチャンダイジングDXを進めると同時にマーケティングラボの開始、サプライヤーとの連携によるデータ活用等により品揃えを強化してまいります。また、データ活用により優良化しやすいお客様をターゲティングした開拓手法の強化や登録後の定着施策の実施によるお客様の開拓手法や定着率向上施策の見直し、レコメンドエンジン最適化等による販促精度の向上、検索のアルゴリズム最適化とお客様の声に基づいた機能改善によりサイト進化を図りUI/UXを強化してまいります。その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りです。
④ 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、物流センターの新設・増強やWEBサイトの刷新等の設備投資資金、各事業の成長を加速させるためのシナジー効果のある事業者の買収資金等があります。
設備投資資金や買収資金等の資金については、金利コスト等を勘案しながら、自己資金または金融機関からの借入金、リース契約等により調達しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは劇的に変化する競争環境を勝ち抜くため、2021年7月2日に2025年5月期を最終年度とする4年間の中期経営計画を発表いたしました。中期経営計画では、オフィス通販からすべての仕事場とくらしを支えるインフラ企業へのトランスフォーメーションを成し遂げるべく、2025年5月期の経営目標として連結売上高5,500億円、連結営業利益率5%、ROE20%を目標に掲げております。なお、当連結会計年度においては連結売上高4,716億円、連結営業利益率3.6%、ROE26.9%となっております。

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