訂正有価証券報告書-第52期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/28 12:27
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、国内における企業収益の改善、雇用環境の改善が続き、消費動向も緩やかながら拡大傾向で推移しましたが、各地での記録的な豪雨や台風、地震などの災害が相次いだことや米中の貿易摩擦の動向による世界経済の不確実性など先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような状況のもと、当社では2018年3月期を初年度とする「アートネイチャーREBORNプラン」の実現に向けて「お客様満足」、「体制革新」、「人財育成」、「従業員満足」の「4つのこだわり」を必ず実現させるべく「4つの実現」に進化させ、各種諸施策を実行してまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、37,985百万円(前連結会計年度比2.0%増)となりました。売上高の増加、経費の効率的な使用により営業利益は3,227百万円(同25.1%増)、経常利益は3,308百万円(同22.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,864百万円(同107.8%増)で増収増益となりました。
<男性向け売上高>男性向け売上高については、お客様担当制強化によるお客様の定着推進、お客様満足度向上に向けた販売スタッフの技術力・接客力の強化等の営業基盤の整備強化が進んだことにより、リピート売上が増加したため22,086百万円(前連結会計年度比2.4%増)となりました。
<女性向け売上高>女性向け売上高については、展示試着会の効率的かつ効果的な開催、販売スタッフの技術・接客・商品提案力などのスキル強化、長期的かつ継続的にお客様とのつながりを持てる体制づくり等の諸施策を実施し、リピート売上が増加したため11,541百万円(同0.2%増)となりました。
<女性向け既製品売上高>女性向け既製品ウィッグを販売する「ジュリア・オージェ」の売上高については、店舗毎のきめ細かなプロモーション、販売スタッフの技術・接客・商品提案力などのスキル強化等の諸施策を実施するとともに10周年キャンペーンが奏功し、既存店舗の売上高が増加し3,199百万円(同3.1%増)となりました。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ2,082百万円増加し、42,971百万円となりました。これは、現金及び預金、売掛金等が増加したこと等により流動資産が1,780百万円増加し、繰延税金資産の増加等により固定資産が302百万円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べ1,336百万円増加し、18,203百万円となりました。これは、未払法人税等の増加等により流動負債が1,424百万円増加した一方、長期借入金の減少等により固定負債が87百万円減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べ746百万円増加し、24,767百万円となりました。これは利益剰余金が950百万円増加したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は以下のとおりであり、現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末比1,585百万円増加し、17,986百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益3,000百万円に加え、減価償却費975百万円、減損損失307百万円、退職給付に係る負債の増加225百万円、前受金の増加194百万円があった一方、法人税等の支払415百万円、売上債権の増加217百万円等により4,449百万円の資金収入(前連結会計年度は3,686百万円の資金収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出1,112百万円、無形固定資産の取得による支出151百万円等により1,333百万円の資金支出(前連結会計年度は1,000百万円の資金支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入金の返済による支出400百万円、自己株式の取得による支出147百万円、配当金の支払914百万円等により1,481百万円の資金支出(前連結会計年度は1,756百万円の資金支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
A.生産実績
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)の生産実績を示すと、次のとおりであります。
品目当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
枚数(枚)前年同期比(%)
オーダーメードかつら67,53898.3

(注) 当社グループは、取り扱う品種が多品種であり、販売価格による表示が困難なため、生産数量にて記載しております。
B.受注実績
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)の受注状況を示すと、次のとおりであります。
品目当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
オーダーメードかつら21,639100.98,286105.2

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
C.販売実績
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
男性向け事業(百万円)22,086102.4
女性向け事業(百万円)11,541100.2
女性向け既製品事業(百万円)3,199103.1
報告セグメント計(百万円)36,828101.8
その他(百万円)1,157108.8
合計(百万円)37,985102.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、連結会計年度末における資産・負債並びに連結会計年度における収益・費用の報告金額及び開示に与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、見積りには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
A.貸倒引当金
債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。連結子会社については、個々の債権の回収可能性を検討して計上しております。
B.賞与引当金
従業員の賞与支給に備えるため、賞与支給見込額の当連結会計年度負担額を引当計上しております。
C.役員賞与引当金
役員の賞与支給に備えるため、賞与支給見込額の当連結会計年度負担額を引当計上しております。
D.商品保証引当金
商品の無償保証契約に基づく修理費に充てるため、過去の修理実績に基づきその必要額を見積もり計上しております。
E.ポイント引当金
ポイント制度に基づき付与したポイントの利用に備えるため、使用実績率に基づき将来利用されると見込まれるポイントに対し、その費用負担額を計上しております。
F.退職給付に係る負債
従業員に対する退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき計上しております。
G.固定資産の減損
当連結会計年度において、収益性低下などにより投資額の回収が困難と見込まれる事業用資産について減損処理を行っております。
H.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは繰延税金資産の計上について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討して回収可能見積額を計上しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
A.経営成績等の分析
2018年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画の2019年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりです。
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
なお、当連結会計年度の売上高については、37,985百万円(期初計画比0.0%減)となりました。利益について営業利益は3,227百万円(同15.4%増)、経常利益は3,308百万円(同17.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,864百万円(同22.9%増)となりました。
ROEは、計画比1.4ポイント増の7.7%となりました。
指標2019年3月期(計画)2019年3月期(実績)2019年3月期(計画比)
売上高38,000百万円37,985百万円0.0%減
営業利益2,796百万円3,227百万円15.4%増
経常利益2,813百万円3,308百万円17.6%増
親会社株主に帰属する
当期純利益
1,517百万円1,864百万円22.9%増
ROE(自己資本利益率)6.3%7.7%1.4ポイント増

(注) 2019年3月期(計画)には、2018年5月15日に発表いたしました業績予想を記載しております。
B.キャッシュ・フローの状況の分析
a.キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。
2015年3月期2016年3月期2017年3月期2018年3月期2019年3月期
自己資本比率(%)55.858.058.558.657.4
時価ベースの自己資本比率(%)88.482.459.257.048.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)59.951.627.921.79.0
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)2,889.2261.3468.3566.61,161.7

(注)各指標の算出は、以下の算式によります。
自己資本比率=自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率=時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率=有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ=キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値に期末発行済株式数(自己株式除く)を乗じて算出しております。
※ キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
b.契約債務
2019年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別要支払額(百万円)
契約債務合計1年以内1年超3年以内3年超5年以内5年超
短期借入金-----
長期借入金398398---
リース債務77---

上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
c.財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。
2019年3月31日現在、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の残高は398百万円であります。また、当連結会計年度末において、取引銀行3行と5,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高-百万円、借入未実行残高5,000百万円)。
(3)経営者の問題認識と今後の方針
当社グループの経営者は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。当社グループを取り巻く外部環境は、国内経済や消費動向は緩やかに拡大しているものの、隣接業界を含め新規参入企業や同業他社との競争激化などの影響も加わって、引き続き厳しいものと考えております。
このような経営環境の中、2019年3月期は当初予定通りに増収増益を達成し、引き続いて将来に亘って持続的な成長を果たすために、新規のお客様の獲得に加え、既存のお客様の定着に向けた諸施策を、全社一丸となって取組んでいく所存です。
メンズ部門については、業界トップ企業として地位を確固たるものとすべく安定的な成長を目指します。レディース部門については、ウィッグの新規ユーザーの裾野が広がり、今後も需要が拡大していく市場と考えており、経営資源を重点的に投下することで、継続的な成長を図ってまいります。
これらを実現するための戦略として、営業面では、メンズ・レディース部門とも、お客様にとって魅力ある新商品を定期的に市場投入するとともに、効率的な広告宣伝によってお客様に当社製品の品質の高さを訴求してまいります。また、お客様の数を増やすと共に、お客様満足度の向上によるお客様の定着化を高めることで、リピート販売の推進を図ってまいります。
女性向け既製品ウィッグ(ジュリア・オージェ)部門は10周年を迎えましたが、女性向け営業体制の一本化によるレディース部門との連携の強化と、お客様一人ひとりに合った提案を徹底することで、業績の拡大を目指します。理容備品販売においても、新商品の投入により商品ラインアップを増やし、商品を拡充すると共に、当社商品を取り扱うECサイトを増やす等、販路を拡大することで、業績拡大を目指します。海外市場においては、中国、シンガポール、タイ、マレーシアにおける当社ブランドの浸透と、地域に根差した販売施策によって潜在需要の掘り起こしを行い、業容の拡大に取組みます。
製品開発・生産に関しては、確立された開発フローに沿って新製品の開発を計画的に進めるとともに、海外生産子会社での一層の生産性向上と、さらなる原価低減に取組み、生産から販売までの一貫体制の充実を図ってまいります。
さらに、上記の戦略を実現していくため、お客様のニーズに的確に対応できるカウンセラー、スタイリストや販売スタッフの育成に向けた研修の充実と、マネジメント層の育成など人財教育に注力してまいります。