有価証券報告書-第55期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、昨年度から続く新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中、ワクチン接種が進むこと等により経済活動が徐々に回復傾向にありましたが、ロシアのウクライナ侵攻による国際情勢不安に加え、エネルギー価格の高騰、急激な円安による物価上昇懸念が増すなど、これまでにも増して先行き不透明な状況で推移しております。
このような状況のもと、当社では、中期経営計画「アートネイチャーChallengeプラン」2年目を迎え、初年度同様、既存領域を拡充するとともに、新事業の領域を更に拡大して「次代を切り拓くアートネイチャー」の礎を築いていくため、「業績伸長」「新領域の開拓」「採用の強化」「人財の育成」「市場との対話」「業務の刷新」の6つの「重点チャレンジ施策」を実践してまいりました。また、昨年度から継続して、新型コロナウイルス感染症の予防対策を徹底し、事業活動を実施してまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、40,437百万円(前連結会計年度比12.7%増)となりました。また、利益面では売上高の増加により、営業利益は3,020百万円(同56.3%増)、経常利益は3,038百万円(同51.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,204百万円(同43.3%増)となりました。
<男性向け売上高>男性向け売上高については、新商品の好調な販売に加え、前年同期の新型コロナウイルス感染症拡大に伴うフィリピンでの生産工場の一時的な休止の影響等による大幅な売上高減少が解消された結果、22,660百万円(前連結会計年度比6.3%増)となりました。
<女性向け売上高>女性向け売上高については、新商品の好調な販売や展示試着会の開催等に加え、男性向け売上高同様、生産工場の一時的な休止の影響等が解消された結果、11,786百万円(同26.1%増)となりました。
<女性向け既製品売上高>女性向け既製品ウィッグの売上高については、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、入居する商業施設の休業等の影響はあったものの、前年同期に比べ限定的だったため、4,441百万円(同19.5%増)となりました。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比1,590百万円増加し、46,510百万円となりました。これは、現金及び預金や商品及び製品が増加したこと等により流動資産が1,435百万円増加したことに加え、投資その他の資産が増加したこと等により固定資産が155百万円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末比2,249百万円増加し、21,914百万円となりました。これは収益認識に関する会計基準適用に伴い契約負債、返金負債が増加したこと等により流動負債が2,089百万円増加したことに加え、退職給付にかかる負債の増加等により固定負債が159百万円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末比658百万円減少し、24,596百万円となりました。これは、主に利益剰余金が減少したことや自己株式が増加したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は以下のとおりであり、現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末比468百万円増加し、19,452百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益2,322百万円に加え、減価償却費911百万円、減損損失545百万円、退職給付に係る負債の増加185百万円があった一方、法人税等の支払1,433百万円、棚卸資産の増加754百万円、売上債権の増加147百万円等により2,505百万円の資金収入(前連結会計年度は4,232百万円の資金収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出787百万円、敷金及び保証金の差入による支出170百万円、長期貸付けによる支出150百万円、無形固定資産の取得による支出96百万円等により1,183百万円の資金支出(前連結会計年度は885百万円の資金支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払898百万円等により924百万円の資金支出(前連結会計年度は1,112百万円の資金支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
A.生産実績
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の生産実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 当社グループは、取り扱う品種が多品種であり、販売価格による表示が困難なため、生産数量にて記載しております。
B.受注実績
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の受注状況を示すと、次のとおりであります。
C.販売実績
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、連結会計年度末における資産・負債並びに連結会計年度における収益・費用の報告金額及び開示に与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、見積りには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
A.貸倒引当金等の引当金
貸倒引当金等の重要な引当金の計上基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)3.会計方針に関する事項(3) 重要な引当金の計上基準」をご参照ください。
B.退職給付に係る負債
従業員に対する退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき計上しております。
C.固定資産の減損
固定資産の減損については、管理会計上の区分や投資の意思決定を行う際の単位や事業の相互補完性等を考慮して合理的にグルーピングを行い、当該資産グループ単位で減損の兆候を把握しております。減損の兆候がある資産グループについては、その資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には減損を認識し、帳簿価額を回収可能価額まで減額して減損損失を計上しております。
D.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高く税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上しております。また、繰延税金資産は毎期見直しており、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除の全部又は一部が将来の税金負担額を軽減する効果を有さなくなったと判断した場合、計上していた繰延税金資産のうち回収可能性がない金額を取り崩しております。
E.資産除去債務
資産除去債務の計上基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(資産除去債務関係)」をご参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
A.経営成績等の分析
2021年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画の2022年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりです。
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
なお、当連結会計年度の売上高については、40,437百万円(計画比0.2%増)となりました。利益について営業利益は3,020百万円(同49.2%増)、経常利益は3,038百万円(同45.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,204百万円(同15.2%増)となりました。
ROEは、計画比0.5ポイント増の4.9%となりました。
(注) 2022年3月期(計画)には、2021年5月14日に発表いたしました業績予想を記載しております。なお、業績予想の修正を2022年1月27日及び2022年4月28日に発表しております。
B.キャッシュ・フローの状況の分析
a.キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。
(注) 各指標の算出は、以下の算式によります。
自己資本比率=自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率=時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率=有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ=キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値に期末発行済株式数(自己株式除く)を乗じて算出しております。
※ キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
b.契約債務
2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
c.財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。
なお、当連結会計年度末において、取引銀行3行と5,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高-百万円、借入未実行残高5,000百万円)。
(3) 経営者の問題認識と今後の方針
[経営者の問題意識]
当社グループの経営者は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。当社グループを取り巻く外部環境は、企業収益、雇用環境の改善が続き、緩やかな回復基調の動きが見られたものの、消費税増税の影響、米中の貿易摩擦による世界経済の減退懸念などに加え、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大等により、先行きは極めて不透明な状況で推移しております。
このような経営環境の中、将来に亘って持続的な成長を果たすために、新規のお客様の獲得に加え、既存のお客様の定着に向けた諸施策を、全社一丸となって取り組んでいく所存です。
[財務戦略の基本的な考え方]
次代を切り拓くアートネイチャーの礎を築くために、既存領域及び新領域の事業にバランスよく配分するとともに、安定的な経営を目指して、成長投資(含む設備投資)、手元資金、株主還元に振り向けることを財務戦略の基本的な考え方としています。
[成長投資]
[資金保有方針]
当社では、前受金残高を手元資金で担保するとともに、月商の約2.5ヶ月分とあわせて「岩盤資金」を維持することを基本方針としております。残りの現預金については、「戦略資金」と位置づけ、M&A等の積極的な事業投資に活用いたします。
さらに、今後増加予定のフリーキャッシュフローのうち、配当原資を差し引いた金額を、追加の「戦略資金」として位置づけます。
[株主還元]
当社では、安定配当の維持に努めることを基本方針としております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、昨年度から続く新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中、ワクチン接種が進むこと等により経済活動が徐々に回復傾向にありましたが、ロシアのウクライナ侵攻による国際情勢不安に加え、エネルギー価格の高騰、急激な円安による物価上昇懸念が増すなど、これまでにも増して先行き不透明な状況で推移しております。
このような状況のもと、当社では、中期経営計画「アートネイチャーChallengeプラン」2年目を迎え、初年度同様、既存領域を拡充するとともに、新事業の領域を更に拡大して「次代を切り拓くアートネイチャー」の礎を築いていくため、「業績伸長」「新領域の開拓」「採用の強化」「人財の育成」「市場との対話」「業務の刷新」の6つの「重点チャレンジ施策」を実践してまいりました。また、昨年度から継続して、新型コロナウイルス感染症の予防対策を徹底し、事業活動を実施してまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、40,437百万円(前連結会計年度比12.7%増)となりました。また、利益面では売上高の増加により、営業利益は3,020百万円(同56.3%増)、経常利益は3,038百万円(同51.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,204百万円(同43.3%増)となりました。
<男性向け売上高>男性向け売上高については、新商品の好調な販売に加え、前年同期の新型コロナウイルス感染症拡大に伴うフィリピンでの生産工場の一時的な休止の影響等による大幅な売上高減少が解消された結果、22,660百万円(前連結会計年度比6.3%増)となりました。
<女性向け売上高>女性向け売上高については、新商品の好調な販売や展示試着会の開催等に加え、男性向け売上高同様、生産工場の一時的な休止の影響等が解消された結果、11,786百万円(同26.1%増)となりました。
<女性向け既製品売上高>女性向け既製品ウィッグの売上高については、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、入居する商業施設の休業等の影響はあったものの、前年同期に比べ限定的だったため、4,441百万円(同19.5%増)となりました。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比1,590百万円増加し、46,510百万円となりました。これは、現金及び預金や商品及び製品が増加したこと等により流動資産が1,435百万円増加したことに加え、投資その他の資産が増加したこと等により固定資産が155百万円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末比2,249百万円増加し、21,914百万円となりました。これは収益認識に関する会計基準適用に伴い契約負債、返金負債が増加したこと等により流動負債が2,089百万円増加したことに加え、退職給付にかかる負債の増加等により固定負債が159百万円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末比658百万円減少し、24,596百万円となりました。これは、主に利益剰余金が減少したことや自己株式が増加したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は以下のとおりであり、現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末比468百万円増加し、19,452百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益2,322百万円に加え、減価償却費911百万円、減損損失545百万円、退職給付に係る負債の増加185百万円があった一方、法人税等の支払1,433百万円、棚卸資産の増加754百万円、売上債権の増加147百万円等により2,505百万円の資金収入(前連結会計年度は4,232百万円の資金収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出787百万円、敷金及び保証金の差入による支出170百万円、長期貸付けによる支出150百万円、無形固定資産の取得による支出96百万円等により1,183百万円の資金支出(前連結会計年度は885百万円の資金支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払898百万円等により924百万円の資金支出(前連結会計年度は1,112百万円の資金支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
A.生産実績
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の生産実績を示すと、次のとおりであります。
品目 | 当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | |
枚数(枚) | 前年同期比(%) | |
オーダーメードかつら | 64,640 | 107.4 |
(注) 当社グループは、取り扱う品種が多品種であり、販売価格による表示が困難なため、生産数量にて記載しております。
B.受注実績
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の受注状況を示すと、次のとおりであります。
品目 | 当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | |||
受注高 (百万円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前年同期比 (%) | |
オーダーメードかつら | 22,796 | 111.0 | 11,861 | 107.2 |
C.販売実績
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 前年同期比(%) |
男性向け事業(百万円) | 22,660 | 106.3 |
女性向け事業(百万円) | 11,786 | 126.1 |
女性向け既製品事業(百万円) | 4,441 | 119.5 |
報告セグメント計(百万円) | 38,888 | 113.1 |
その他(百万円) | 1,548 | 104.3 |
合計(百万円) | 40,437 | 112.7 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、連結会計年度末における資産・負債並びに連結会計年度における収益・費用の報告金額及び開示に与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、見積りには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
A.貸倒引当金等の引当金
貸倒引当金等の重要な引当金の計上基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)3.会計方針に関する事項(3) 重要な引当金の計上基準」をご参照ください。
B.退職給付に係る負債
従業員に対する退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務の見込額に基づき計上しております。
C.固定資産の減損
固定資産の減損については、管理会計上の区分や投資の意思決定を行う際の単位や事業の相互補完性等を考慮して合理的にグルーピングを行い、当該資産グループ単位で減損の兆候を把握しております。減損の兆候がある資産グループについては、その資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には減損を認識し、帳簿価額を回収可能価額まで減額して減損損失を計上しております。
D.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高く税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上しております。また、繰延税金資産は毎期見直しており、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除の全部又は一部が将来の税金負担額を軽減する効果を有さなくなったと判断した場合、計上していた繰延税金資産のうち回収可能性がない金額を取り崩しております。
E.資産除去債務
資産除去債務の計上基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(資産除去債務関係)」をご参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
A.経営成績等の分析
2021年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画の2022年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりです。
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
なお、当連結会計年度の売上高については、40,437百万円(計画比0.2%増)となりました。利益について営業利益は3,020百万円(同49.2%増)、経常利益は3,038百万円(同45.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,204百万円(同15.2%増)となりました。
ROEは、計画比0.5ポイント増の4.9%となりました。
指標 | 2022年3月期(計画) | 2022年3月期(実績) | 2022年3月期(計画比) |
売上高 | 40,363百万円 | 40,437百万円 | 0.2%増 |
営業利益 | 2,023百万円 | 3,020百万円 | 49.2%増 |
経常利益 | 2,088百万円 | 3,038百万円 | 45.5%増 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 1,045百万円 | 1,204百万円 | 15.2%増 |
ROE(自己資本利益率) | 4.4% | 4.9% | 0.5ポイント増 |
(注) 2022年3月期(計画)には、2021年5月14日に発表いたしました業績予想を記載しております。なお、業績予想の修正を2022年1月27日及び2022年4月28日に発表しております。
B.キャッシュ・フローの状況の分析
a.キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。
2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | |
自己資本比率(%) | 58.6 | 57.4 | 58.3 | 55.8 | 52.4 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 57.0 | 48.0 | 48.2 | 50.4 | 49.7 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) | 21.7 | 9.0 | ― | ― | ― |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 566.6 | 1,161.7 | 1,980.5 | 492.6 | ― |
(注) 各指標の算出は、以下の算式によります。
自己資本比率=自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率=時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率=有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ=キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値に期末発行済株式数(自己株式除く)を乗じて算出しております。
※ キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
b.契約債務
2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別要支払額(百万円) | |||||
契約債務 | 合計 | 1年以内 | 1年超3年以内 | 3年超5年以内 | 5年超 |
短期借入金 | ― | ― | ― | ― | ― |
長期借入金 | ― | ― | ― | ― | ― |
リース債務 | ― | ― | ― | ― | ― |
上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
c.財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。
なお、当連結会計年度末において、取引銀行3行と5,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高-百万円、借入未実行残高5,000百万円)。
(3) 経営者の問題認識と今後の方針
[経営者の問題意識]
当社グループの経営者は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。当社グループを取り巻く外部環境は、企業収益、雇用環境の改善が続き、緩やかな回復基調の動きが見られたものの、消費税増税の影響、米中の貿易摩擦による世界経済の減退懸念などに加え、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大等により、先行きは極めて不透明な状況で推移しております。
このような経営環境の中、将来に亘って持続的な成長を果たすために、新規のお客様の獲得に加え、既存のお客様の定着に向けた諸施策を、全社一丸となって取り組んでいく所存です。
[財務戦略の基本的な考え方]
次代を切り拓くアートネイチャーの礎を築くために、既存領域及び新領域の事業にバランスよく配分するとともに、安定的な経営を目指して、成長投資(含む設備投資)、手元資金、株主還元に振り向けることを財務戦略の基本的な考え方としています。
[成長投資]
事業 | 基本的な方針 |
オーダーメード かつら事業 | メンズ部門では、業界トップ企業として地位を確固たるものとすべく安定的な成長を目指して投資を実践してまいります。レディース部門では、ウィッグの新規ユーザーの裾野が広がり、今後も需要が拡大していく市場と考えており、事業ポートフォリオに関する基本方針に従い経営資源を重点的に投下してまいります。 |
女性向け既製品事業 | 女性向け営業体制の一本化によるレディース部門との連携の強化、お客様一人ひとりに合った提案の徹底や、本社機能の強化と人財育成を徹底すべく事業ポートフォリオに関する基本方針に従い投資を実践してまいります。 |
通信販売事業 | 新商品の投入により商品ラインアップを増やし、商品を拡充すると共に、当社商品を取り扱うECサイトを増やす等、販路を拡大するために投資を重点的に実践してまいります。 |
海外事業 | 中国、シンガポール、タイ、マレーシアにおける当社ブランドの浸透と、地域に根差した販売施策によって潜在需要の掘り起こしのために投資を実践してまいります。 |
生産部門関連 | 確立された開発フローに沿って新製品の開発を計画的に進めるとともに、海外生産子会社での一層の生産性向上と、さらなる原価低減に取り組み、生産から販売までの一貫体制の充実を図るべく投資を実践してまいります。 |
管理部門関連 | 各部門の戦略を実現していくため、お客様のニーズに的確に対応できるカウンセラー、スタイリストや販売スタッフの育成に向けた研修の充実と、マネジメント層の育成など人財教育のために投資を実践してまいります。また、設備については、安定的な設備の更新に努めることを基本方針として投資を実践してまいります。 |
[資金保有方針]
当社では、前受金残高を手元資金で担保するとともに、月商の約2.5ヶ月分とあわせて「岩盤資金」を維持することを基本方針としております。残りの現預金については、「戦略資金」と位置づけ、M&A等の積極的な事業投資に活用いたします。
さらに、今後増加予定のフリーキャッシュフローのうち、配当原資を差し引いた金額を、追加の「戦略資金」として位置づけます。
[株主還元]
当社では、安定配当の維持に努めることを基本方針としております。