有価証券報告書-第139期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/23 13:48
【資料】
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【項目】
162項目

有報資料

(1)経営方針
当行は、1932年5月の創業以来、基本姿勢である「地域社会の発展に貢献する」ならびに「健全経営に徹する」の2つを経営理念として堅持し続けております。
また、2011年3月に発生した東日本大震災の影響により取り巻く経営環境が大きく変化したことから、2013年4月の中期経営計画策定と同時に今後10年間の長期ビジョンとして「地域の牽引役として圧倒的な存在感を示すとともに、トップクオリティバンクとしての地位を確立する」を新たに設定しております。これにより、当行が黒子役から地域の主体的牽引役に変革して圧倒的な存在感を示すとともに接遇力等のソフト面を充実・強化することでクオリティーNo.1の地位を確立することを目指しております。

(2)中期経営計画
① 中期経営計画の概要
地域との共存共栄の実現を目指していくうえで、これを具現化するため進めているのが中期経営計画「いわぎんフロンティアプラン~To the Next~」(2019年4月~2023年3月)です。「To the Next」には、地域の課題解決に向けたさまざまな取組みを進めることにより、地域と当行の次の時代「To the Next」を切り拓いていくといった思いを込めています。
現中期経営計画のテーマは、「地域の未来を共に創るCSVの実践」です。CSVは「Creating Shared Value」の略で、「共通価値の創造」を意味します。これを岩手銀行版CSVとして言い換えたものが、「お客さまとの関係性強化に努め、地域の課題に正面から向き合い、その解決に取組んでいくことで、お互いの社会的価値と経済的価値を高めていく」ということであり、現中期経営計画ではこのテーマを具現化することによって、当行の目指すべき姿である主要な営業基盤である地域との共存共栄を目指していくこととしています。
現中期経営計画の基本方針は4つです。1つ目は「地域やお客さまの成長を実現するための質の高い付加価値の提供」です。従来型のファイナンス面の機能に加えて、事業領域の創出やデジタルトランスフォーメーションなどの専門性・利便性の高いサービスにより、地域やお客さまに対して質の高い付加価値を提供することを目指すものです。2つ目は「BPRの推進とリソース配分の最適化による業務効率性の向上」です。デジタル技術の活用などにより自らの生産性を高め、ヒトや時間などの経営資源を対お客さまビジネスにシフトするとともに、コスト削減も図ることを目指すものです。3つ目は「環境の変化に柔軟に対応できる市場運用・リスク管理・収益管理態勢の構築」です。銀行業務の中で、業務の取捨選択やリスクテイクの範囲、目標とする収益などを明確にして、リスク管理や収益管理を高度化させ、最終的にはリスクに対する収益の増加を目指すものです。4つ目は「一人ひとりが知恵と行動により主体的に課題解決に取り組む組織風土の醸成」です。これは、課題解決に主体的に取り組む人材を育成するとともに、職員が能力を最大限に発揮できる環境を整備することを目指すものです。
現中期経営計画では、この4つの基本方針のもと各種施策に取組むことによって、テーマである「地域の未来を共に創るCSVの実践」の実現を目指しています。

② 中期経営計画の進捗状況
2019年4月にスタートさせた現中期経営計画の前半2年間の進捗としましては、「経営体質強化プロジェクト」にもとづき、営業店および本部業務のBPRを進め、営業体制を見直ししたほか、お客さまに有用な提案を可能とするための店舗再編も前倒しで行ってまいりました。地域経済を下支えする新たな事業領域を創出するため、コンサルティング専業会社である「いわぎんコンサルティング株式会社」と地域商社である「manordaいわて株式会社」の2社を2020年4月に当行100%出資のもと設立しました。また、デジタルトランスフォーメーションの推進が、当行だけでなく地域にとっても重要課題のひとつとの認識から、デジタル分野を優先的に経営資源を投入し取組みを強化する分野と位置づけています。この取組みをさらに加速させるため、2021年2月、専担部署となる「DX Lab」を新設しました。 そのうえで後半2年間につきましては、今後も予想されるさまざまな環境の変化に対応しつつ、前半2年間でのBPRや事業領域の創出といった施策の効果を本格的な成果や収益に結び付けていく期間と位置づけています。
主要計数目標の進捗状況としましては、計画2年目の2021年3月期は「自己資本比率」「OHR」「事業承継・M&A支援先数」につきましては目標を達成しましたが、「連結当期純利益」につきましては、与信費用の増加を収益でカバーできず、目標未達となりました。
指標算出方法2020年度
目標
2020年度
実績
2022年度
(中計最終年度)
目標
連結当期純利益財務諸表上の数値30億円28億円50億円
OHR経費(除く臨時処理分)÷コア業務粗利益84.1%77.3%70%台
連結自己資本比率自己資本の額÷リスクアセット等の額11%後半11.8%10%以上
事業承継・M&A支援先数M&Aまたは事業承継の支援を行っている先数1,200先1,218先2,400先
※計画期間累計

(3)経営環境
現在の地域金融機関を取り巻く経営環境は、低金利の長期化から預金と貸出を主体とした従来型のビジネスモデルは先細りしていることに加え、異業種の銀行業務参入など競争環境もさらに厳しくなっています。
当行が主要な営業基盤とする岩手県におきましては、急速に進む人口減少や若者の県外移転などに歯止めがかからず、後継者不在を主な理由とした廃業・解散が増加し、事業所数が減少するなど地域の活力が徐々に失われている状況です。一方で、岩手県はモノづくり産業が盛んな地域であり、自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積が進んでいます。海外にも通用する「食」や「工芸品」が数多くあり、2つの世界遺産のほか、海や山などの観光資源に恵まれています。また、豊かな自然を拠り所とした再生可能エネルギーのポテンシャルも全国トップクラスです。
このように当行が立脚する地域はさまざまな課題を抱えていますが、強みや可能性も多く存在します。当行は地域が抱える課題に対してその解決を支援しつつ、強みや可能性を引き出す取組みにより、さらなる成長発展を促すことで、地域と当行との共存共栄を実現していきたいと考えています。
(4)対処すべき課題
当行では現中期経営計画の時間軸として、前半2年間を事業領域拡大・デジタル分野強化に向けた基盤整備や当行グループの将来を支える収益基盤を構築するための期間とし、後半の2年間については前半2年間で確立した事業基盤と新たな事業領域への取組みを確実に成果に結びつける期間と位置付けており、その時間軸を踏まえて次の分野の取組みを特に強化しています。
① CSVのさらなる具現化
2021年4月から現中期経営計画の後半戦がスタートしていますが、テーマである「地域の未来を共に創るCSVの実践」につきましては、役職員一人ひとりがさらに理解を深め、地域の課題を自分事として捉え、さまざまな課題の解決に対して主体的に行動することを大事にしています。具体的には、当行では、お取引先の現状および課題を認識・分析し、事業の内容や成長可能性を適切に把握したうえで企業価値向上への支援を行う事業性理解を課題解決の取組みの基本としています。そのうえで、貸出等の資金調達の支援を行うほか、いわぎんコンサルティング株式会社を中心とした事業承継・M&A、経営改善の取組みを強化し、地域の雇用の場の確保や技術力・ブランドの維持といった課題の解決を支援します。あわせて、地域の持続的な成長発展のためには、起業・創業や新事業開拓といった新たなビジネスの芽を育てる取組みが大事であることから、ベンチャーキャピタルであるいわぎん事業創造キャピタル株式会社を通じて、地域のためにイノベーションに挑戦する企業や起業家を応援するほか、新たな事業につながるビジネスマッチングの支援もさらに強化します。加えて、地域の豊かな観光資源や質の高い食産品など潜在的なものをさらに顕在化させ、域外からの消費やヒトを呼び込む地方創生の取組みを、地域商社であるmanordaいわて株式会社と連携し、積極的に展開してまいります。
個人のお客さまに対しましては、人生100年時代を見据え、幅広い年齢層のお客さまに対して、さまざまなライフプランやライフイベントなどに応じた商品やサービスを、お客さまにとって最適な方法により、ご提供していくという考え方です。デジタルトランスフォーメーションに関する取組みにつきましては、デジタルを活用した銀行ビジネスの変革に取組むとともに、当行だけではなく、地域社会のデジタル化やデジタルを活用したお取引先の生産性の向上やビジネスの高度化など、地域にとって最適なデジタル化を牽引してまいります。


② 強固な経営基盤の確立
当行では、経営体質強化プロジェクトを2017年10月にスタートさせ、第1フェーズとして本部および営業店BPRと店舗再編、第2フェーズとして融資ストラクチャー改革および新事業領域の創出、第3フェーズとしてコスト構造改革を展開してきました。本プロジェクトの取組みにより、業務プロセスや組織、営業体制の見直しのほか、経費の削減も前倒しで進捗していますが、現中期経営計画の収益目標達成には、さらなるコスト構造の見直しが必要であることから、今後はさらに一歩踏み込んだ施策を展開し、収益基盤の強化を図ってまいります。
また、店舗再編につきましても計画期間を前倒しで進めていますが、来店不要なサービスや融資以外の相談業務などお客さまが求めるサービスやニーズも変化しております。このように変化し、多様化するお客さまのニーズを的確に把握するとともに、地域の金融インフラを支える地域金融機関としての役割や責任にも十分配慮し、お客さまにとって最適な店舗戦略を検討してまいります。

③ 職員一人ひとりが活躍できる環境の整備
当行では、「多様な行員が互いを尊重し、一人ひとりが安心して成長と活躍ができる職場」を目指して、ダイバーシティ&インクルージョンの取組みを推進しています。
人材の活用に関しましては、当行の将来を担う若手行員の育成と定着化や女性行員の活躍が極めて重要な課題と捉え、若手行員の早期戦力化や女性行員のスキルアップに向けた研修施策を導入しています。また、若手行員を中心に、ベンチャーキャピタルやコンサルティング専業子会社、地域商社などグループ会社へ出向させることで専門的知識の習得と活躍の場を支援しています。
また、多様な働き方への対応として「フレックスタイム制度」などにより、生産性の向上や労働時間の削減、育児・介護・通院など「仕事と生活の調和」をより一層促進しているほか、女性の管理職登用やキャリアアップへの取組みなどポジティブ・アクションについても継続的に取組んでいます。
④ 新型コロナウイルス感染拡大の影響への対応
新型コロナウイルスの影響はまだ予断を許さないことから、地域金融機関としての責務である金融インフラの維持、また安定的かつ円滑な資金供給につきましては引き続きしっかりと対応していく考えです。
そのうえで、現在は、アフターコロナも見据え、お取引先に対する本業支援を強化しています。新型コロナウイルスはお取引先の経営環境や求められる営業スタイルを一瞬にして、大きく変化させました。これまで対面で行ってきた営業や販売が非対面の方法に転換を余儀なくされ、感染対策とも相まって、ペーパーレスやキャッシュレスをはじめとしたデジタル化対応など、ニューノーマルに対する課題が山積しています。この流れは新型コロナウイルスが収束に向かっても戻ることはないと予想されますので、当行もスピード感をもってお取引先の抱えるさまざまな課題の解決につながる本業支援にグループの総力を結集して取組んでまいります。


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