有価証券報告書-第14期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 15:48
【資料】
PDFをみる
【項目】
208項目

対処すべき課題


文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループでは、グループとしてどのような使命を持ち、どのような姿をめざすのかを明確にし、お客さま・社会の期待に一丸となって応えていくための共通の指針として、以下の経営ビジョンを制定しております。当社グループ役職員は、「信頼・信用」、「プロフェッショナリズムとチームワーク」、「成長と挑戦」の3つの価値観を共有し、「世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループ」をめざしてまいります。
[経営ビジョン]
私たちの使命
いかなる時代にあっても決して揺らぐことなく、常に世界から信頼される存在であること。
時代の潮流をとらえ、真摯にお客さまと向き合い、その期待を超えるクオリティで応え続けること。
長期的な視点で、お客さまと末永い関係を築き、共に持続的な成長を実現すること。
そして、日本と世界の健全な発展を支える責任を胸に、社会の確かな礎となること。
それが、私たちの使命です。

中長期的にめざす姿
世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループ
1. お客さまの期待を超えるクオリティを、グループ全員の力で
2. お客さま・社会を支え続ける、揺るぎない存在に
3. 世界に選ばれる、アジアを代表する金融グループへ

共有すべき価値観
1. 「信頼・信用」 2. 「プロフェッショナリズムとチームワーク」 3. 「成長と挑戦」

国内における人口減少や超低金利状態の長期化、さらにはデジタル化の急速な進展など、経営環境が大きく変化する中、当社グループは、2017年5月に持続的成長に向けた改革の方向性を「MUFG再創造イニシアティブ」として公表し、それらを具体化した戦略を含む新中期経営計画を2018年度よりスタートさせました。
中期経営計画では、「MUFGのコアコンピテンスを発揮でき、かつ成長性の高い事業領域、あるいはそれを支える機能に係る重点施策」として「11の構造改革の柱」を立て、これら戦略を当社グループの各事業会社、事業本部、コーポレートセンターが一体で推進してまいります。
(2) 経営環境
当連結会計年度の金融経済環境でありますが、世界経済は、先進国を中心とした堅調な雇用情勢を支えに全体としては底堅さを維持しつつも、年度後半にかけては、生産や貿易に関する経済活動の鈍化が目立つなか、米中貿易摩擦等の政策要因による不透明感も高まり、景気の減速感が強まる展開となりました。米国では、良好な雇用情勢等を背景に景気は底堅く推移しましたが、米中摩擦や与野党の対立に伴う政府機関閉鎖等の撹乱要因が多く生じました。中国では、過剰債務削減等の構造調整圧力が強まるなか、米国の関税引上げによる輸出の下押しも加わったことで、景気の減速が鮮明となりました。ASEAN(東南アジア諸国連合)やNIEs(新興工業経済地域)等その他のアジア地域や欧州でも、中国の景気減速が輸出や生産の重石となり、とりわけ欧州では、英国のEU離脱問題をはじめとする政治面での不透明感も加わりました。こうしたなか、我が国経済も外需の減速に夏場の記録的な猛暑や相次ぐ自然災害も加わり、年度後半にかけて景気は踊り場的な色彩を強めましたが、企業と家計の底堅い所得が投資や消費を支える構図は維持されました。
金融情勢に目を転じますと、年度前半にはドル円相場が緩やかな円安基調を辿り、株価も堅調に推移しましたが、世界経済の先行き不透明感の高まり等を受け、年末にかけて円高、株安方向への大幅な調整が生じました。金利についても、海外では米国で年末まで3回の利上げが実施され、ユーロ圏でも資産購入プログラムが終了する等各国で大規模金融緩和の出口戦略が段階的に進められましたが、年明け以降は、景気減速を受けて出口戦略の見直しが入り、金利への下押し圧力が強まりました。我が国でも、日銀が7月に「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を決定し、長期金利の変動幅がやや拡大しましたが、強力な金融緩和を続ける政策の大枠が維持されるなか、金利は総じて低位で推移しました。
(3) 対処すべき課題
中期経営計画では、「シンプル・スピーディー・トランスペアレント*なグループ一体型の経営」の実現を通じて、全てのステークホルダーに最善の価値を提供することをめざします。グループ経営のあり方を、従来の「グループ協働」や「グループ起点」から、「グループ一体型の経営」へとさらに進化させ、各社が担う機能をより強化し、商品・サービスの機能強化とソリューション提供能力の向上に取り組んでまいります。
この3年間は、特にその前半において変革に必要な経営資源を集中的に投入してまいります。未来志向の変革を通じて新たなステージへの足場をしっかりと固め、中期経営計画最終年度の3年目には確かな成果への手応えを掴み、そして次期中期経営計画が完了する6年後に向けて皆さまのご期待に応える新たなMUFGの成長モデルの確立をめざします。
* Transparent/事業会社間・営業拠点と本部・役職等の壁を意識せずオープンに話ができ、グループの向かう方向やその理由を分かりやすく共有できる組織を表したキーワード
MUFGグループのめざす姿 ~「再創造」の先にめざす経営の姿~
シンプル・スピーディー・トランスペアレントなグループ一体型の経営を通じ、全てのステークホルダーに最善の価値を提供するとともに、課題解決型ビジネスの展開により、持続的な成長を実現し、より良い社会の実現に貢献する
(1) お客さま・社会のニーズや課題と向き合い最適なソリューションを提供
(2) 事業・グループのあり方を再構築し、MUFGならではの持続可能な成長モデルを構築
(3) 社員一人ひとりにプロフェッショナルとしての成長を実感できる場を提供
(4) 上記の結果として、株主の期待に応え、信頼関係を強化

中期経営計画の2年目となる2019年度は、経営環境の変化に機動的に対応しつつ、「11の構造改革の柱」を中心とするグループの重点戦略を着実に実行するとともに、戦略実行の過程で生じる課題に対し適切に対処することで、実践力・実行力を高め、変革をスピードアップいたします。一方、当社グループのグローバルな業務展開の進展に対応し、各種リスク管理態勢を強化していくことも重要です。我が国では今年FATF第4次対日相互審査を控えている事も踏まえ、金融犯罪対策への取り組み強化、さらには各国規制への対応にも着実に取り組むとともに、行動規範の一層の浸透・実践を図ることで、MUFGグループ全体のコンプライアンス管理の更なる高度化を図ってまいります。
(グループ重点戦略)
「11の構造改革の柱」を中心とするグループの重点戦略を当社グループの各事業会社、事業本部、コーポレートセンターが一体で推進し、営業純益で2,500億円程度の効果発現をめざします。
[11の構造改革の柱]

*1 Business Process Re-engineeringの略称。既存の業務内容や業務フロー等を全面的に見直す業務の抜本的改革のこと。
*2 Relationship Manager(取引先担当者)とProduct Office(商品やサービスの企画・開発・提供を担う部署)との相互連携により高度なサービスを提供していくこと。
*3 Corporate and Investment Bankingの略称。預金や貸出等の通常の法人向け銀行業務(コーポレートバンキング)と企業の直接調達支援やM&A等の投資銀行業務(インベストメントバンキング)を一体的に捉え、高度な金融サービスを提供していくこと。
当社グループは、引き続き国内に軸足をしっかりと置きつつ、海外の成長を取り込みながら、事業モデルの変革を着実に進め、お客さま・株主・社員をはじめとする全てのステークホルダーの皆さまの期待に応えてまいります。
(4) 目標とする経営指標
本中期経営計画では、中期経営計画の最終年度である2020年度の財務目標の水準とともに、中長期的にめざす財務目標の水準を以下の通り設定しております。