有価証券報告書-第36期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/28 11:11
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117項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断、予測したものであります。
1.重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
当社グループの財政状態や経営成績において大きな影響があり、かつ重要な経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針は以下のとおりです。
(1)投資損失引当金
営業投資有価証券について、四半期毎に社内基準に従って個別投資先企業の評価に関する検討を行っております。投資先会社の実情を勘案して投資の損失に備える必要があると判断された場合、将来の損失見積額を計上しております。
(2)繰延税金資産
繰延税金資産の計上については、様々な予測及び仮定のもとで算定される将来の課税所得に基づいて計上しておりますが、経営環境の変化等によってこれらの予測及び仮定が実際と異なる可能性があります。将来の課税所得の見積額が減少するような場合、繰延税金資産が取崩しされることになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度においては税務上繰越欠損金が生じる見込みであることから、税効果会計については保守的に見積もり、繰延税金資産を計上しておりません。
2.経営成績の分析
(1)営業収益の内訳
当連結会計年度の営業収益は4,681百万円(前連結会計年度比1.9%増)となりました。
営業収益の構成においては、投資業務による収益が4,383百万円と構成比の93.6%を占め、投資事業組合等管理業務による収益が278百万円、構成比6.0%、その他の収益が20百万円、構成比0.4%となっております。前連結会計年度と比較して、営業収益全体は大きく変動しませんでしたが、投資事業組合等管理業務の収益については主に成功報酬が減少したため、構成比が前連結会計年度に比べ5.9ポイント下落しております。他方で投資業務の収益については、このうち組合持分利益等がメガソーラープロジェクトの売却などにより増加したため、構成比が前連結会計年度に比べ6.5ポイント上昇しております。
投資事業組合等管理業務においては、ファンド運用残高の減少に伴い前連結会計年度に比べ管理運営報酬等が減少し、また、ファンドで生じた売却益が減少したため成功報酬も減少しました。その結果投資事業組合等運営報酬の合計は278百万円(前連結会計年度比49.3%減)と前連結会計年度に比べ減少しました。
投資業務については、このうち株式等の売却については、国内では、満期を迎えたファンドから投資していた企業の株式売却や、新規上場を果たした企業の株式売却が進捗しました。一方、海外においては、前連結会計年度に比べ大型の売却案件が減少しました。その結果、営業投資有価証券売却高は前連結会計年度から減少し、3,184百万円(前連結会計年度比8.7%減)となりました。
また、組合持分利益等は5件、17.7MWのメガソーラープロジェクトを売却したことによる利益、及び売電中のプロジェクトからの売電収入、並びに他社の運営するファンドの持分利益が計上されたため、前連結会計年度から増加し、1,153百万円(前連結会計年度比158.8%増)となりました。その結果、これらに利息・配当収入の寄与も加えた投資業務による営業収益は4,383百万円(前連結会計年度比9.5%増)となりました。
その他の営業収益においては、子会社におけるコンサルティング収入が減少したことなどにより20百万円(前連結会計年度比56.6%減)と減少致しました。
(2)営業原価、販売費及び一般管理費及び営業損益
営業原価については、当連結会計年度は2,645百万円(前連結会計年度比14.6%減)となりました。
このうち営業投資有価証券売却原価は、ファンド満期に伴う売却では一部売却損の生じた銘柄もあったため、前連結会計年度と比較して増加し2,126百万円(前連結会計年度比4.9%増)となっております。
一方、営業投資有価証券評価損及び投資損失引当金繰入額については、営業投資資産への入れ替えが進んでいるため、両者の合計額は前連結会計年度から減少しております。その内訳を見ると、営業投資有価証券評価損は、他社の運営するファンドに対する計上額等があったため72百万円(前連結会計年度比430.4%増)と前連結会計年度に比べ増加致しました。他方、投資損失引当金繰入額は営業投資資産への入れ替えが進んでいるため、前連結会計年度から減少し279百万円(前連結会計年度比70.6%減)となりました。
組合持分利益等については、建設中のメガソーラープロジェクトから発生したコストが増加したことなどから前連結会計年度に比べ増加し160百万円(前連結会計年度比62.9%増)となりました。
その他営業原価においては、融資残高の減少に伴い営業支払利息が前連結会計年度から減少し、6百万円(前連結会計年度比14.0%減)となりました。
販売費及び一般管理費の合計額は、前連結会計年度に比べ減少し1,297百万円(前連結会計年度比20.0%減)となりました。前連結会計年度においては、当社が出資するファンドから当該ファンドを運営する会社向けに支払った支払成功報酬379百万円が、組合持分経費に計上されていました。当連結会計年度ではこのような支払成功報酬が少なかったため、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ減少しました。
これらの結果、営業利益は黒字に転換し739百万円(前連結会計年度 営業損失 123百万円)となりました。
(3)営業外損益及び経常損益
営業外収益については、前連結会計年度から減少し164百万円(前連結会計年度比81.9%減)となりました。投資有価証券に該当するファンドにおいて投資先企業の売却額が減少したため、当該ファンドなどからの受取配当金が減少しました。
営業外費用については、前連結会計年度から減少し362百万円(前連結会計年度比19.1%減)となりました。借入金の残高減少に伴い、支払利息が減少しました。
これらの結果、経常利益は540百万円(前連結会計年度比61.2%増)となりました。
(4)特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益
特別利益については、前連結会計年度においては、投資有価証券売却益61百万円、投資有価証券に該当するファンドからの償還益84百万円、及び、関係会社に該当するファンド等の清算益110百万円等を特別利益に計上し、合計で259百万円となりました。当連結会計年度においては、メガソーラープロジェクトを売却したことに伴う固定資産売却益394百万円、及びその他15百万円等を特別利益に計上し、合計で410百万円(前連結会計年度比58.4%増)となりました。
特別損失については、前連結会計年度においては、関係会社の売却により見込まれる損失に対して、関係会社整理損失引当金繰入額128百万円を計上したことなどから、合計で128百万円となりました。当連結会計年度においては、メガソーラープロジェクトを売却したことに伴うリース解約損181百万円、及びメガソーラー発電所建設プロジェクトの中止に伴う長期前払費用に対する減損損失130百万円、並びに投資有価証券である上場株式の時価が下落したことによる評価損42百万円、その他特別損失35百万円を計上し、合計で389百万円(前連結会計年度比203.7%増)となりました。
その結果、税金等調整前当期純利益は562百万円(前連結会計年度比20.5%増)となりました。
法人税等合計については、子会社における計上額等17百万円(前連結会計年度△2百万円)を計上致しました。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度ともに税務上繰越欠損金が生じる見込みであることから税効果会計については保守的に見積もっており、繰延税金資産を計上しておりません。
また非支配株主に帰属する当期純損益については、主に連結子会社に該当するファンドの損益のうち、当社グループ以外のファンド出資者に帰属する部分が計上されています。当連結会計年度においては、当社グループ以外のファンド出資者の存在する連結子会社に該当するファンドにおける損失額が前連結会計年度よりも減少したため、19百万円の損失(前連結会計年度 238百万円の損失)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は564百万円(前連結会計年度比20.2%減)となりました。
3.財政状態の分析
(1)資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、借入金の返済や投資実行に伴い現金及び預金が減少したことや、売却の進捗に伴う営業投資有価証券の減少等により、前連結会計年度末から減少し25,945百万円(前連結会計年度末27,196百万円)となりました。
負債総額は借入金の返済等に伴い前連結会計年度末から減少し19,094百万円(前連結会計年度末20,599百万円)となりました。
なお、当連結会計年度末の借入金とリース債務の残高は、合計で18,334百万円(前連結会計年度末19,656百万円)となりました。このうち、当社単体の金融機関からの借入額が14,128百万円(前連結会計年度末16,910百万円)、再生可能エネルギー投資事業のプロジェクトファイナンス等である特別目的会社の借入金やリース債務の残高が4,205百万円(前連結会計年度末2,746百万円)です。
当社単体の借入金については、当連結会計年度に2,781百万円の返済を実施し、着実にその残高を圧縮しています。加えて、平成29年4月末には1,453百万円の借入金を追加で返済し、その残高はさらに減少して12,675百万円となっています。
自己資本については、前連結会計年度末から増加し5,293百万円(前連結会計年度末4,563百万円)となりました。繰延ヘッジ損益を計上したことや、為替や株価が変動したため、その他の包括利益累計額合計は前連結会計年度に比べ減少しました。一方で、行使価額修正条項付新株予約権が行使され資本金や資本剰余金が増加したほか、親会社株主に帰属する当期純利益を計上しました。その結果、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末から上昇し、20.4%(前連結会計年度末16.8%)となりました。
非支配株主持分には、主にファンドの出資者の持分が計上されています。当連結会計年度においては、子会社に該当するファンドが清算したことや分配を実施したこと等から、非支配株主持分は前連結会計年度末から減少し、1,529百万円(前連結会計年度末2,004百万円)となりました。
その結果、純資産全体では、前連結会計年度末から増加し6,851百万円(前連結会計年度末6,597百万円)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
「第2事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(3)営業資産
当連結会計年度は、主として国内で積極的に投資を行ったことなどから、前連結会計年度に比べ投資実行額が増加しました。他方、営業投資有価証券の売却が進捗したことなどにより、営業投資有価証券は14,413百万円(前連結会計年度末18,076百万円)と前連結会計年度に比べ減少致しました。その結果、当連結会計年度末における営業投資有価証券残高の資産構成比は55.6%となり、前連結会計年度末から10.9ポイント低下しました。
なお、投資資産については、四半期ごとに社内基準に従って個別投資先企業の評価に関する検討を実施し、資産評価の適正性を精査しております。当連結会計年度末の投資損失引当金残高は、引当済資産の売却が進捗したことや資産の入替が進捗したことから、2,415百万円(前連結会計年度末4,063百万円)に減少致しました。その結果、当連結会計年度末における引当率(営業投資有価証券の期末残高に対する投資損失引当金残高の割合)は16.8%となり、前連結会計年度末から5.7ポイント低下しました。
前連結会計年度
( 自 平成27年4月1日
至 平成28年3月31日)
当連結会計年度
( 自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
期末残高金額(百万円)資産構成比
(%)
金額(百万円)資産構成比
(%)
営業投資有価証券残高(a)18,07666.514,41355.6
投資損失引当金残高(b)△4,063-△2,415-

引当率(%)引当率(%)
営業投資有価証券残高に対する引当率(b)/(a)-22.5-16.8

4.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況については、「第2事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループ及び管理運営するファンドにおける投資活動の状況は、「第2事業の状況 2営業の状況(2)投資業務の状況 1)投資実績」に記載のとおりであります。
当社の資金調達の状況については、借入金の状況については、上記「3.財政状態の分析 (1)資産、負債及び純資産の状況」に記載のとおりであります。また、ファンドに対する拠出資金を調達するため、平成27年12月に、バークレイズ・バンク・ピーエルシーを割当先として行使価額修正条項付新株予約権16,877個を発行致しました。その後、当連結会計年度中に新株予約権残数の10,360個全てが行使され、合計で312百万円を調達しております。
当社のファンド状況については、「第2事業の状況 2営業の状況(3)投資事業組合等管理運営業務の状況」に記載のとおりであります。