有価証券報告書-第76期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度の日本経済は、雇用・所得環境の改善が続き、個人消費は天候不順の影響を一時的に受けましたが、概ね緩やかな回復基調を維持し、企業の生産活動も海外経済の緩やかな回復を背景とした輸出の伸びから増加基調となり、良好な雇用環境と内外経済の回復を背景に需要超過幅が拡大するなど経済の好循環がみられました。
日本の株式市場は、北朝鮮を巡る地政学リスクの高まりや円高ドル安の進行などから、日経平均株価が昨年4月17日に昨年来安値1万8,224円まで下落しましたが、その後、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を契機とした円安ドル高を背景とする国内企業の業績改善期待などから約1年半ぶりに2万円台を回復しました。8月に入ると米国政治の混乱や米朝対立の緊迫化に起因する国内外投資家による売買の手控えにより、日経平均株価は調整し9月8日には1万9,239円を付けました。その後、為替が円安ドル高になったことや衆議院解散・総選挙の自民党健闘に伴う政策期待の盛り上がりにより日経平均株価は反発に転じ、国内企業の好業績に加えて、海外投資家の資金の流入や良好な米国内景気・企業業績を背景にした米主要株価指数の過去最高値更新も追い風となり、10月には日経平均株価は16連騰と過去最長の連続上昇を記録し、昨年末終値は2万2,764円と1980年代のバブル崩壊後では最長となる6年連続の上昇を記録しました。年明け直後も、米主要株価指数の過去最高値更新や、1月の日銀金融政策決定会合で金融政策の現状維持が決定したことなどが好感され、日経平均株価は1月23日に2万4,129円とおよそ26年ぶりに2万4,000円台を回復しましたが、円高ドル安の進行、米インフレ懸念による米長期金利の急上昇に伴う世界的なリスク資産圧縮の流れが影響し、2月6日の日経平均株価は1,000円を超える急落となりました。
その後、米朝首脳会談の可能性が浮上し地政学リスクが和らぎましたが、米政権が鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限を発動するなど米中貿易摩擦への懸念が強まったことで3月26日には2万347円とおよそ5カ月ぶりの安値を付け、当連結会計年度末終値は2万1,454円となりました。
外国為替市場では、4月以降年末にかけては、リスク回避と日米金利差の綱引きからドル円相場は1ドル=108円から114円台の値幅での動きとなり昨年末は1ドル=112円台半ばとなりましたが、年明け以降は、米政府高官によるドル安容認の発言をきっかけとして円高ドル安の流れが強まり、3月26日には1ドル=104.63円を付け、当連結会計年度末は1ドル=106円台前半となりました。
また、日本の新興市場では、好需給を背景として、成長が期待される中小型株が上昇傾向を辿り、日経ジャスダック平均株価は1月29日に4,317円と過去最高値を付け、東証マザーズ指数は1月24日に1,367とおよそ11年5カ月ぶりの高値を付けましたが、その後はリスク回避の売りが嵩み、当連結会計年度末終値は日経ジャスダック平均株価が3,983円、東証マザーズ指数は1,206で当連結会計年度末を迎えました。
当連結会計年度における東証一部市場の一日平均売買代金は前連結会計年度比16.3%増の2兆9,570億円、ジャスダック市場の一日平均売買代金は同84.4%増の871億円、マザーズ市場の一日平均売買代金は同7.8%減の1,110億円となりました。
当社は、このような環境下、株式につきましては、低金利環境の下で安定性と配当に注目した資産株のご提案に加え、当社グループの強みであるリサーチ力を活かした中小型成長企業への投資のご提案をするなど、お客様のニーズにお応えする施策を引き続き実行して参りました。なお、株式委託売買代金は2兆6,375億円(前連結会計年度比21.5%増)となりました。
投資信託につきましては、いちよしファンドラップ「ドリーム・コレクション(愛称:ドリコレ)」のサービスがお客様の保守的な資産の中長期運用商品として順調に契約を伸ばしており、当連結会計年度末の残高は870億円超となりました。
また、いちよし経済研究所のリサーチ力、いちよしアセットマネジメントの運用力といちよし証券の販売力という当社グループの総合力の発揮により、一昨年6月に募集を開始した投資信託「いちよし中小型成長株ファンド(愛称:あすなろ)」は順調に残高を伸ばし、当連結会計年度末の当社の預り残高は820億円超となりました。そして、昨年11月に募集を開始した投資信託「いちよしジャパン・ベンチャー・ファンド」におきましても、当連結会計年度末の当社の預り残高が260億円超となるなど、顧客ニーズに即した提案が投資信託の預り資産拡大につながりました。
さらに、当社グループの総合力が、海外機関投資家からの株式等の受注拡大や地域金融機関向けの私募投資信託(プロ私募)の預り残高拡大につながりました。
グループのいちよしアセットマネジメントにおきましても、運用資産残高が引き続き増加し、当連結会計年度末の残高は3,690億円(前連結会計年度末比106.0%増)となりました。
以上の結果、当社グループの純営業収益は250億69百万円(前連結会計年度比29.6%増)となりました。一方、販売費・一般管理費は179億28百万円(同9.7%増)となり、差し引き営業利益は71億41百万円(同138.5%増)となりました。
また、販売費・一般管理費に対する投資信託の信託報酬とファンドラップに係るフィー等の比率(コストカバー率)は37.2%と前連結会計年度比で5.5%上昇し収益基盤の安定性が増しました。なお、当第4四半期のコストカバー率は40.0%と初めて40%台に乗せました。
内訳につきましては以下のとおりであります。
① 受入手数料
受入手数料の合計は246億16百万円(前連結会計年度比30.5%増)となりました。
委託手数料:
株券の委託手数料は96億30百万円(前連結会計年度比41.4%増)となりました。
このうち、中小型株式(東証二部市場、ジャスダック、マザーズ)の委託手数料は24億74百万円(前連結会計年度比41.3%増)となり、株券委託手数料に占める中小型株式の割合は25.7%となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料:
発行市場では、主幹事4社を含む新規公開企業は30社(前連結会計年度は、新規公開企業31社)の幹事・引受シンジケート団に加入いたしました。また、既公開企業に係る市場変更及び公募・売出しは7社(同主幹事2社を含む9社)の幹事・引受シンジケート団に加入いたしました。
この結果、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料合計は5億70百万円(前連結会計年度比57.7%増)となりました。
当連結会計年度末における累計引受社数は、1,044社(うち主幹事50社)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料:
投資信託に係る手数料が67億4百万円(前連結会計年度比20.6%増)となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料の合計は67億77百万円(同20.1%増)となりました。
その他の受入手数料:
その他の受入手数料は、当社の受益証券残高に係る信託報酬が43億80百万円(前連結会計年度比4.9%増)、いちよしアセットマネジメントの運用に係る信託報酬が12億64百万円(同131.8%増)となり、これに当社のファンドラップに係るフィー等10億25百万円(同118.4%増)、アンバンドリング手数料、保険取扱手数料及び公開支援に伴う手数料等を加え、合計74億44百万円(同28.7%増)となりました。
② トレーディング損益
株券等のトレーディング損益は、47百万円(前連結会計年度比43.2%減)の利益となりました。債券・為替等のトレーディング損益は、外国債券の募集の減少により76百万円(同39.5%減)の利益となりました。その結果、トレーディング損益合計は1億23百万円(同41.0%減)の利益となりました。
③ 金融収支
金融収益は、信用取引貸付金の増加により3億10百万円(前連結会計年度比30.9%増)、金融費用は、92百万円(同39.4%増)となり、差し引き金融収支は2億18百万円(同27.6%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の純営業収益は250億69百万円(前連結会計年度比29.6%増)となりました。
④ 販売費・一般管理費
販売費・一般管理費は、人件費等の増加により179億28百万円(前連結会計年度比9.7%増)となりました。
⑤ 営業外損益及び特別損益
営業外収益が投資事業組合運用益54百万円、受取保険金及び配当金25百万円等で1億19百万円となり、差し引き88百万円(前連結会計年度比5.9%増)の利益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は72億29百万円(前連結会計年度比134.9%増)となりました。
特別損益は、特別利益が固定資産売却益58百万円、投資有価証券売却益26百万円等で91百万円、特別損失が固定資産の減損損失96百万円、金融商品取引責任準備金繰入れ30百万円等で1億47百万円となり、差し引き56百万円の損失となりました。
これらにより、税金等調整前当期純利益は71億73百万円(前連結会計年度比134.9%増)となりました。これに法人税、住民税及び事業税23億63百万円及び法人税等調整額△2億6百万円等を差し引きした結果、親会社株主に帰属する当期純利益は49億94百万円(同128.8%増)となりました。
なお、当連結会計年度末の預り資産は、株式、投資信託、ファンドラップ等の新規資金による買付や国内外マーケットの上昇が増加要因となりましたが、一方、株式、投資信託の利益確定等の売却や投資信託の償還が減少要因となり、1兆9,400億円(前連結会計年度末比11.0%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
① 資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べて50億49百万円(10.6%)増加し、525億82百万円となりました。これは、信用取引資産が101億42百万円及び募集等払込金が27億94百万円増加し、現金・預金が44億54百万円及び預託金が41億49百万円減少したこと等によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて84百万円(1.4%)減少し、60億89百万円となりました。これは、投資有価証券が1億38百万円及びソフトウエアが1億29百万円増加し、土地が2億19百万円及び建物が1億29百万円減少したこと等によるものです。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べて49億65百万円(9.2%)増加し、586億71百万円となりました。
② 負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べて13億80百万円(6.9%)増加し、214億62百万円となりました。これは、信用取引負債が25億41百万円、未払法人税等が17億87百万円及び受入保証金が6億57百万円増加し、預り金が45億93百万円減少したこと等によるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて11百万円(3.2%)増加し、3億55百万円となりました。これは、繰延税金負債が45百万円及びリース債務が3百万円増加し、長期借入金が39百万円減少したこと等によるものです。
特別法上の準備金は、金融商品取引責任準備金が30百万円増加し、2億11百万円となりました。
③ 純資産
前連結会計年度末に比べて35億42百万円(10.7%)増加し、366億41百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益49億94百万円及びその他有価証券評価差額金が1億88百万円増加し、配当金の支払い17億6百万円により減少したこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は61.9%となりました。また、当社の自己資本規制比率は、600.4%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益71億73百万円を計上、顧客分別信託金41億50百万円減少等により増加、信用取引資産及び信用取引負債76億1百万円増加、預り金及び受入保証金39億36百万円減少、募集等払込金27億94百万円増加等により減少し、△26億89百万円(前連結会計年度比70億46百万円の減少)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入、無形固定資産の取得による支出等により、△24百万円(同1億8百万円の減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い等により、△17億37百万円(同9億51百万円の増加)となりました。
以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末残高に比べ、44億52百万円減少し、129億74百万円となりました。
(4) トレーディング業務の概要
トレーディング商品:
最近2連結会計年度末におけるトレーディング商品残高は以下のとおりであります。
トレーディングに係るリスク管理体制:
当社グループにおけるトレーディングに係るリスク管理体制は、株価、金利、外国為替相場等の変動を適切に認識し、リスク管理規程及び市場リスク管理細則に準じて市場リスクの管理を行っております。
具体的には、主として顧客との取引から発生するトレーディング業務に係わる有価証券について、取引を行う部門毎及び商品毎に許容可能なリスク量(ポジション枠)をロスカット基準等と合わせて定めております。また、市場リスク相当額は標準的方式により算出され、状況を把握して確認を行っております。なお、内部統制委員会の下部組織であるリスク管理会議においては、運用環境や当社の財務状況等を勘案してポジション枠等の見直しや今後の対応等の協議を行っております。
市場リスクの管理は、日々、リスク管理室がモニタリングを行い、経営陣その他の関係者に対して報告を行っております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2018年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積もりを必要とします。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針等が連結財務諸表における重要な見積もりの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
① 繰延税金資産
当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、証券市場の変動の影響を大きく受ける市況産業であるため、業績変動の幅が大きく、長期にわたり安定的な課税所得の発生を予測することが困難であります。そのため、繰延税金資産については、将来の回収可能性を慎重に判断しております。
② 賞与引当金
当社グループの賞与引当金は、従業員に対する賞与の支払いに備えるため、所定の計算方法により算出した支払見込額を計上しております。この具体的な計算方法は、賞与の前支給対象期間の業績対比等の係数を基礎として算出しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績等について
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、純営業収益は前連結会計年度比29.6%増の250億69百万円、経常利益は同134.9%増の72億29百万円となりました。
当社グループは、「金融・証券界のブランド・ブティックハウス」の構築を目指し、2016年10月から2020年3月末を計画期間とした「中期経営計画」を策定しております。2020年3月末の数値目標の預り資産3兆5,000億円、ROE15%以上、主幹事会社70社に対して、当連結会計年度末は預り資産1兆9,400億円、ROE14.5%、主幹事会社50社となりました。
また、3つの数値目標のうち特に、預り資産を「お客様からの信頼」と「いちよしの基礎体力」のバロメーターと位置づけ、預り資産の拡大を最も重要な経営目標であり成長の源泉として持続的な成長の実現に努めています。
営業収益のうち主な科目別の経営成績の分析は、以下のとおりであります。
(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)
いちよしファンドラップ「ドリーム・コレクション(愛称:ドリコレ)」のサービスがお客様の保守的な資産の中長期運用商品として順調に契約を伸ばしており、当連結会計年度末の残高は870億円超となり、昨年11月に募集を開始した投資信託「いちよしジャパン・ベンチャー・ファンド」におきましても、当連結会計年度末の当社の預り残高が260億円超となるなど、顧客ニーズに即した提案が投資信託の預り資産拡大につながりました。
その結果、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料合計は、前連結会計年度比20.1%増の67億77百万円となりました。
(その他の受入手数料)
その他の受入手数料は、全体では前連結会計年度比28.7%増の74億44百万円となりました。主な内訳は、「受益証券残高に係る信託報酬」が同4.9%増の43億80百万円、「運用に係る信託報酬」が同131.8%増の12億64百万円、「ファンドラップに係るフィー等」が同118.4%増の10億25百万円です。
受益証券残高に係る信託報酬については、主に投資信託の残高増加が寄与しました。運用に係る信託報酬については、いちよしアセットマネジメントの高い運用成績が寄与しました。ファンドラップに係るフィー等については、いちよしファンドラップ「ドリーム・コレクション(愛称:ドリコレ)」の契約が順調に伸びたことが寄与しました。
② 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、主たる事業である金融商品取引業は、国内外の証券市場の変動に大きな影響を受ける可能性があり、当社グループの経営成績に重要な影響を与えます。
③ 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、(経営成績等の状況の概要)(3) キャッシュ・フローの状況に記載しており、充分な流動性を確保しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度の日本経済は、雇用・所得環境の改善が続き、個人消費は天候不順の影響を一時的に受けましたが、概ね緩やかな回復基調を維持し、企業の生産活動も海外経済の緩やかな回復を背景とした輸出の伸びから増加基調となり、良好な雇用環境と内外経済の回復を背景に需要超過幅が拡大するなど経済の好循環がみられました。
日本の株式市場は、北朝鮮を巡る地政学リスクの高まりや円高ドル安の進行などから、日経平均株価が昨年4月17日に昨年来安値1万8,224円まで下落しましたが、その後、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を契機とした円安ドル高を背景とする国内企業の業績改善期待などから約1年半ぶりに2万円台を回復しました。8月に入ると米国政治の混乱や米朝対立の緊迫化に起因する国内外投資家による売買の手控えにより、日経平均株価は調整し9月8日には1万9,239円を付けました。その後、為替が円安ドル高になったことや衆議院解散・総選挙の自民党健闘に伴う政策期待の盛り上がりにより日経平均株価は反発に転じ、国内企業の好業績に加えて、海外投資家の資金の流入や良好な米国内景気・企業業績を背景にした米主要株価指数の過去最高値更新も追い風となり、10月には日経平均株価は16連騰と過去最長の連続上昇を記録し、昨年末終値は2万2,764円と1980年代のバブル崩壊後では最長となる6年連続の上昇を記録しました。年明け直後も、米主要株価指数の過去最高値更新や、1月の日銀金融政策決定会合で金融政策の現状維持が決定したことなどが好感され、日経平均株価は1月23日に2万4,129円とおよそ26年ぶりに2万4,000円台を回復しましたが、円高ドル安の進行、米インフレ懸念による米長期金利の急上昇に伴う世界的なリスク資産圧縮の流れが影響し、2月6日の日経平均株価は1,000円を超える急落となりました。
その後、米朝首脳会談の可能性が浮上し地政学リスクが和らぎましたが、米政権が鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限を発動するなど米中貿易摩擦への懸念が強まったことで3月26日には2万347円とおよそ5カ月ぶりの安値を付け、当連結会計年度末終値は2万1,454円となりました。
外国為替市場では、4月以降年末にかけては、リスク回避と日米金利差の綱引きからドル円相場は1ドル=108円から114円台の値幅での動きとなり昨年末は1ドル=112円台半ばとなりましたが、年明け以降は、米政府高官によるドル安容認の発言をきっかけとして円高ドル安の流れが強まり、3月26日には1ドル=104.63円を付け、当連結会計年度末は1ドル=106円台前半となりました。
また、日本の新興市場では、好需給を背景として、成長が期待される中小型株が上昇傾向を辿り、日経ジャスダック平均株価は1月29日に4,317円と過去最高値を付け、東証マザーズ指数は1月24日に1,367とおよそ11年5カ月ぶりの高値を付けましたが、その後はリスク回避の売りが嵩み、当連結会計年度末終値は日経ジャスダック平均株価が3,983円、東証マザーズ指数は1,206で当連結会計年度末を迎えました。
当連結会計年度における東証一部市場の一日平均売買代金は前連結会計年度比16.3%増の2兆9,570億円、ジャスダック市場の一日平均売買代金は同84.4%増の871億円、マザーズ市場の一日平均売買代金は同7.8%減の1,110億円となりました。
当社は、このような環境下、株式につきましては、低金利環境の下で安定性と配当に注目した資産株のご提案に加え、当社グループの強みであるリサーチ力を活かした中小型成長企業への投資のご提案をするなど、お客様のニーズにお応えする施策を引き続き実行して参りました。なお、株式委託売買代金は2兆6,375億円(前連結会計年度比21.5%増)となりました。
投資信託につきましては、いちよしファンドラップ「ドリーム・コレクション(愛称:ドリコレ)」のサービスがお客様の保守的な資産の中長期運用商品として順調に契約を伸ばしており、当連結会計年度末の残高は870億円超となりました。
また、いちよし経済研究所のリサーチ力、いちよしアセットマネジメントの運用力といちよし証券の販売力という当社グループの総合力の発揮により、一昨年6月に募集を開始した投資信託「いちよし中小型成長株ファンド(愛称:あすなろ)」は順調に残高を伸ばし、当連結会計年度末の当社の預り残高は820億円超となりました。そして、昨年11月に募集を開始した投資信託「いちよしジャパン・ベンチャー・ファンド」におきましても、当連結会計年度末の当社の預り残高が260億円超となるなど、顧客ニーズに即した提案が投資信託の預り資産拡大につながりました。
さらに、当社グループの総合力が、海外機関投資家からの株式等の受注拡大や地域金融機関向けの私募投資信託(プロ私募)の預り残高拡大につながりました。
グループのいちよしアセットマネジメントにおきましても、運用資産残高が引き続き増加し、当連結会計年度末の残高は3,690億円(前連結会計年度末比106.0%増)となりました。
以上の結果、当社グループの純営業収益は250億69百万円(前連結会計年度比29.6%増)となりました。一方、販売費・一般管理費は179億28百万円(同9.7%増)となり、差し引き営業利益は71億41百万円(同138.5%増)となりました。
また、販売費・一般管理費に対する投資信託の信託報酬とファンドラップに係るフィー等の比率(コストカバー率)は37.2%と前連結会計年度比で5.5%上昇し収益基盤の安定性が増しました。なお、当第4四半期のコストカバー率は40.0%と初めて40%台に乗せました。
内訳につきましては以下のとおりであります。
① 受入手数料
受入手数料の合計は246億16百万円(前連結会計年度比30.5%増)となりました。
| 2017年3月期(百万円) | 2018年3月期(百万円) | |
| 受入手数料 | 18,857 | 24,616 |
| 委託手数料 | 7,070 | 9,823 |
| 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料 | 361 | 570 |
| 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料 | 5,642 | 6,777 |
| その他の受入手数料 | 5,782 | 7,444 |
委託手数料:
株券の委託手数料は96億30百万円(前連結会計年度比41.4%増)となりました。
このうち、中小型株式(東証二部市場、ジャスダック、マザーズ)の委託手数料は24億74百万円(前連結会計年度比41.3%増)となり、株券委託手数料に占める中小型株式の割合は25.7%となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料:
発行市場では、主幹事4社を含む新規公開企業は30社(前連結会計年度は、新規公開企業31社)の幹事・引受シンジケート団に加入いたしました。また、既公開企業に係る市場変更及び公募・売出しは7社(同主幹事2社を含む9社)の幹事・引受シンジケート団に加入いたしました。
この結果、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料合計は5億70百万円(前連結会計年度比57.7%増)となりました。
当連結会計年度末における累計引受社数は、1,044社(うち主幹事50社)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料:
投資信託に係る手数料が67億4百万円(前連結会計年度比20.6%増)となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料の合計は67億77百万円(同20.1%増)となりました。
その他の受入手数料:
その他の受入手数料は、当社の受益証券残高に係る信託報酬が43億80百万円(前連結会計年度比4.9%増)、いちよしアセットマネジメントの運用に係る信託報酬が12億64百万円(同131.8%増)となり、これに当社のファンドラップに係るフィー等10億25百万円(同118.4%増)、アンバンドリング手数料、保険取扱手数料及び公開支援に伴う手数料等を加え、合計74億44百万円(同28.7%増)となりました。
② トレーディング損益
| 2017年3月期(百万円) | 2018年3月期(百万円) | |
| トレーディング損益 | 209 | 123 |
| 株券等トレーディング損益 | 83 | 47 |
| 債券等・その他の トレーディング損益 | 126 | 76 |
| (債券等トレーディング損益) | 106 | 62 |
| (その他のトレーディング損益) | 19 | 13 |
株券等のトレーディング損益は、47百万円(前連結会計年度比43.2%減)の利益となりました。債券・為替等のトレーディング損益は、外国債券の募集の減少により76百万円(同39.5%減)の利益となりました。その結果、トレーディング損益合計は1億23百万円(同41.0%減)の利益となりました。
③ 金融収支
金融収益は、信用取引貸付金の増加により3億10百万円(前連結会計年度比30.9%増)、金融費用は、92百万円(同39.4%増)となり、差し引き金融収支は2億18百万円(同27.6%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の純営業収益は250億69百万円(前連結会計年度比29.6%増)となりました。
④ 販売費・一般管理費
販売費・一般管理費は、人件費等の増加により179億28百万円(前連結会計年度比9.7%増)となりました。
⑤ 営業外損益及び特別損益
営業外収益が投資事業組合運用益54百万円、受取保険金及び配当金25百万円等で1億19百万円となり、差し引き88百万円(前連結会計年度比5.9%増)の利益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は72億29百万円(前連結会計年度比134.9%増)となりました。
特別損益は、特別利益が固定資産売却益58百万円、投資有価証券売却益26百万円等で91百万円、特別損失が固定資産の減損損失96百万円、金融商品取引責任準備金繰入れ30百万円等で1億47百万円となり、差し引き56百万円の損失となりました。
これらにより、税金等調整前当期純利益は71億73百万円(前連結会計年度比134.9%増)となりました。これに法人税、住民税及び事業税23億63百万円及び法人税等調整額△2億6百万円等を差し引きした結果、親会社株主に帰属する当期純利益は49億94百万円(同128.8%増)となりました。
なお、当連結会計年度末の預り資産は、株式、投資信託、ファンドラップ等の新規資金による買付や国内外マーケットの上昇が増加要因となりましたが、一方、株式、投資信託の利益確定等の売却や投資信託の償還が減少要因となり、1兆9,400億円(前連結会計年度末比11.0%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
① 資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べて50億49百万円(10.6%)増加し、525億82百万円となりました。これは、信用取引資産が101億42百万円及び募集等払込金が27億94百万円増加し、現金・預金が44億54百万円及び預託金が41億49百万円減少したこと等によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて84百万円(1.4%)減少し、60億89百万円となりました。これは、投資有価証券が1億38百万円及びソフトウエアが1億29百万円増加し、土地が2億19百万円及び建物が1億29百万円減少したこと等によるものです。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べて49億65百万円(9.2%)増加し、586億71百万円となりました。
② 負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べて13億80百万円(6.9%)増加し、214億62百万円となりました。これは、信用取引負債が25億41百万円、未払法人税等が17億87百万円及び受入保証金が6億57百万円増加し、預り金が45億93百万円減少したこと等によるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて11百万円(3.2%)増加し、3億55百万円となりました。これは、繰延税金負債が45百万円及びリース債務が3百万円増加し、長期借入金が39百万円減少したこと等によるものです。
特別法上の準備金は、金融商品取引責任準備金が30百万円増加し、2億11百万円となりました。
③ 純資産
前連結会計年度末に比べて35億42百万円(10.7%)増加し、366億41百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益49億94百万円及びその他有価証券評価差額金が1億88百万円増加し、配当金の支払い17億6百万円により減少したこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は61.9%となりました。また、当社の自己資本規制比率は、600.4%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益71億73百万円を計上、顧客分別信託金41億50百万円減少等により増加、信用取引資産及び信用取引負債76億1百万円増加、預り金及び受入保証金39億36百万円減少、募集等払込金27億94百万円増加等により減少し、△26億89百万円(前連結会計年度比70億46百万円の減少)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入、無形固定資産の取得による支出等により、△24百万円(同1億8百万円の減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い等により、△17億37百万円(同9億51百万円の増加)となりました。
以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末残高に比べ、44億52百万円減少し、129億74百万円となりました。
(4) トレーディング業務の概要
トレーディング商品:
最近2連結会計年度末におけるトレーディング商品残高は以下のとおりであります。
| 2017年3月31日(百万円) | 2018年3月31日(百万円) | |
| 資産の部のトレーディング商品 | 317 | 189 |
| 商品有価証券等 | 317 | 189 |
| 株券 | 22 | 14 |
| 債券 | 294 | 175 |
| CP及びCD | ― | ― |
| 受益証券等 | ― | ― |
| その他 | ― | ― |
| デリバティブ取引 | ― | ― |
| オプション取引 | ― | ― |
| 為替予約取引 | ― | ― |
| その他 | ― | ― |
| 負債の部のトレーディング商品 | 0 | 0 |
| 商品有価証券等 | ― | ― |
| 株券 | ― | ― |
| 債券 | ― | ― |
| CP及びCD | ― | ― |
| 受益証券等 | ― | ― |
| その他 | ― | ― |
| デリバティブ取引 | 0 | 0 |
| オプション取引 | ― | ― |
| 為替予約取引 | 0 | 0 |
| その他 | ― | ― |
トレーディングに係るリスク管理体制:
当社グループにおけるトレーディングに係るリスク管理体制は、株価、金利、外国為替相場等の変動を適切に認識し、リスク管理規程及び市場リスク管理細則に準じて市場リスクの管理を行っております。
具体的には、主として顧客との取引から発生するトレーディング業務に係わる有価証券について、取引を行う部門毎及び商品毎に許容可能なリスク量(ポジション枠)をロスカット基準等と合わせて定めております。また、市場リスク相当額は標準的方式により算出され、状況を把握して確認を行っております。なお、内部統制委員会の下部組織であるリスク管理会議においては、運用環境や当社の財務状況等を勘案してポジション枠等の見直しや今後の対応等の協議を行っております。
市場リスクの管理は、日々、リスク管理室がモニタリングを行い、経営陣その他の関係者に対して報告を行っております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2018年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積もりを必要とします。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針等が連結財務諸表における重要な見積もりの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
① 繰延税金資産
当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、証券市場の変動の影響を大きく受ける市況産業であるため、業績変動の幅が大きく、長期にわたり安定的な課税所得の発生を予測することが困難であります。そのため、繰延税金資産については、将来の回収可能性を慎重に判断しております。
② 賞与引当金
当社グループの賞与引当金は、従業員に対する賞与の支払いに備えるため、所定の計算方法により算出した支払見込額を計上しております。この具体的な計算方法は、賞与の前支給対象期間の業績対比等の係数を基礎として算出しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績等について
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、純営業収益は前連結会計年度比29.6%増の250億69百万円、経常利益は同134.9%増の72億29百万円となりました。
当社グループは、「金融・証券界のブランド・ブティックハウス」の構築を目指し、2016年10月から2020年3月末を計画期間とした「中期経営計画」を策定しております。2020年3月末の数値目標の預り資産3兆5,000億円、ROE15%以上、主幹事会社70社に対して、当連結会計年度末は預り資産1兆9,400億円、ROE14.5%、主幹事会社50社となりました。
また、3つの数値目標のうち特に、預り資産を「お客様からの信頼」と「いちよしの基礎体力」のバロメーターと位置づけ、預り資産の拡大を最も重要な経営目標であり成長の源泉として持続的な成長の実現に努めています。
営業収益のうち主な科目別の経営成績の分析は、以下のとおりであります。
(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)
いちよしファンドラップ「ドリーム・コレクション(愛称:ドリコレ)」のサービスがお客様の保守的な資産の中長期運用商品として順調に契約を伸ばしており、当連結会計年度末の残高は870億円超となり、昨年11月に募集を開始した投資信託「いちよしジャパン・ベンチャー・ファンド」におきましても、当連結会計年度末の当社の預り残高が260億円超となるなど、顧客ニーズに即した提案が投資信託の預り資産拡大につながりました。
その結果、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料合計は、前連結会計年度比20.1%増の67億77百万円となりました。
(その他の受入手数料)
その他の受入手数料は、全体では前連結会計年度比28.7%増の74億44百万円となりました。主な内訳は、「受益証券残高に係る信託報酬」が同4.9%増の43億80百万円、「運用に係る信託報酬」が同131.8%増の12億64百万円、「ファンドラップに係るフィー等」が同118.4%増の10億25百万円です。
受益証券残高に係る信託報酬については、主に投資信託の残高増加が寄与しました。運用に係る信託報酬については、いちよしアセットマネジメントの高い運用成績が寄与しました。ファンドラップに係るフィー等については、いちよしファンドラップ「ドリーム・コレクション(愛称:ドリコレ)」の契約が順調に伸びたことが寄与しました。
② 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、主たる事業である金融商品取引業は、国内外の証券市場の変動に大きな影響を受ける可能性があり、当社グループの経営成績に重要な影響を与えます。
③ 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、(経営成績等の状況の概要)(3) キャッシュ・フローの状況に記載しており、充分な流動性を確保しております。