有価証券報告書-第120期(2023/04/01-2024/03/31)
(2) 戦略
①サステナビリティに関する戦略
サステナビリティの観点からグループ全体で重点的に取り組むべき4つのテーマである「Environment」・「Diversity & Inclusion」・「Innovation」・「Resilience」について外部環境の変化を予測し、リスク・機会を特定いたしました。
[気候変動・自然資本への対応]
・TCFD提言に基づく情報開示
当社は、TCFDの提言内容に則り、2020年5月にフレームワーク(気候変動のリスク・機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った開示を行いました。開示内容の拡充を図るため、2023年5月には、これまでのパリ協定が求める水準である産業革命前からの気温上昇が2℃以下を含めた2つのシナリオ分析に加え、移行リスク(低炭素経済へ移行する過程で生じるリスク)を評価するCRREM(Carbon Risk Real Estate Monitor)を取り入れ、気候変動による当社グループ主要事業への将来的な影響分析を開始しました。今後も内容の深化を進めるとともに、気候変動に関するガバナンスや事業戦略の強化を目指します。
・CRREMを活用したリスク分析
CRREMの概要 :欧州の研究機関等が開発した商業用不動産の移行リスクを評価・分析するツールです。パリ協定が求める2℃、1.5℃目標に整合する2050年までの温室効果ガス排出量のパスウェイ(炭素削減の経路)と自社物件の排出経路を比較することで、物件の座礁資産化の時期や座礁割合、又は将来の排出にかかるコスト等を算定し、対応策やその効果を検討することができます。なお、座礁資産化とは、自社ポートフォリオの脱炭素経路が2℃、1.5℃のパスウェイを超過することによって、移行リスクのある物件であると評価されることを示します。
CRREMを活用した当社の移行リスク分析:将来の気候変動が当社事業へもたらす影響、特に保有する物件の移行リスクについて、CRREMの手法を活用し、定量的な評価を行いました。
[分析対象範囲]
当社の所有する物件のうち、2022年のGRESB(※)報告対象物件から、2021年度末時点で所有していたオフィス、商業、物流施設など合計84物件を対象に分析しました。
[ケースの設定]
ケース 1 :これまでの当社脱炭素の取り組みに加え、省エネ施策の強化(空調・LED等)や、生グリーン電力の導入といった取り組みを考慮したケース
ケース 2 :ケース1に非化石証書付き電力契約による再エネ導入も加え、2025年度までにすべての物件で再エネ由来電力への切り替えを想定したケース
[ケース分析結果]
設定した2つのケースと2℃、1.5℃目標の各パスウェイを比較したところ、以下の結果が得られました。
ケース 1 :省エネ施策強化や生グリーン電力の導入のほか、系統電力の排出係数の低下が寄与するものの、2037年頃には1.5℃パスウェイを上回る排出水準になる見込みです。そのため、本取り組みだけでは不十分である可能性があります。
ケース 2 :再エネ由来電力への切り替えに伴い、2025年度以降、電力由来の排出がなくなる一方、地域冷暖房、ガス由来のエネルギーの排出が一部残る見込みです。その結果、2047年頃に1.5°Cパスウェイを超過する可能性があります。
[ケース分析を踏まえた戦略・取り組み(機会内容含む)]
本分析においては、2021年度末時点の物件を対象に、2050年までの間、物件の入れ替え等がない想定としていますが、実際には省エネ性能に優れた物件への建て替え、新規取得等により、温室効果ガス排出原単位の改善も見込まれます。当社が掲げる2025年度の再エネ導入率100%の達成に向け、これまで推進してきた非化石証書付き電力利用を一層進めるとともに、コーポレートPPAの導入等を検討します。また、今後当社が開発する新築建物においては原則ZEB水準の環境性能を目指すことにより、省エネ性能の優れたビルの比率を向上させ、温室効果ガス排出原単位の改善を図ります。
(※) GRESBは、欧州の年金基金のグループを中心に創設された不動産会社・不動産運用機関の環境・社会等への配慮の姿勢を測るベンチマークです。
TCFD提言に基づく情報開示に関する詳細情報は、以下よりご覧ください。
https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/environment/tcfd/
②人的資本に関する戦略
当社グループの求める人財像である5つの要素を高めながら、「長期経営計画2030」の達成に向けて、超長期的視点と時代を先取りするDNAを活かして協業による強みの掛け算を生み出していく役割及び高い専門性によって価値創出していく役割を発揮できる人財を育成していくことを、人財育成の方針として掲げております。
当社グループでは、社員は企業にとっての重要な経営資源であるとの認識のもと、「人材」ではなく「人財」という表現を用いております。
■ 5つの要素を高めていくこと
当社グループでは、求める人財像を下記5つの要素を備えた人物であると定義しております。
当社従業員は、ビジネスの状況や一人ひとりのキャリア志向に応じて多様な役割を担いますが、5つの要素は全従業員に普遍的に求めるものとしております。そのため、採用・育成に当たっては、この5つの要素を重視しております。
なお、5つの要素は当社グループ全従業員に対して求めるものであり、グループ各社の人財育成方針のベース・基盤としてあるものです。
■ 長期経営計画2030の達成のために人財に求める2つの役割
(ア)超長期的視点と時代を先取りするDNAを活かし、協業による強みの掛け算を生み出していくこと
当社グループのビジネスモデルの特徴は、まちづくりという長期的な事業において、社内外の膨大なネットワークとの協業によって新しい価値を生み出していくことです。
当社グループの強みである超長期的視点と時代を先取りするDNAを活かしながら、社内外のネットワークを活用することで「新しい視点からの課題の発見」や「協業による強みの掛け算」を生み出すために、慣例にとらわれずチャレンジ精神を持って行動する役割が求められます。
当社ではその役割をサポートする施策を整備しております。
(イ)高い専門性によって価値創出していくこと
「長期経営計画2030」の達成に向けては、国内の大型開発の着実な推進に加え、海外事業の強化やノンアセットビジネスの拡大とサービス・コンテンツ領域への進出を推進し、各領域における高い専門性を持った人財が新しい価値創出に向けて事業をドライブしていくことが必要だと考えております。このことを踏まえ、各領域の専門人財の採用強化に加え、社員一人ひとりが必要な専門性を獲得・深化できる施策を整備しております。
①サステナビリティに関する戦略
サステナビリティの観点からグループ全体で重点的に取り組むべき4つのテーマである「Environment」・「Diversity & Inclusion」・「Innovation」・「Resilience」について外部環境の変化を予測し、リスク・機会を特定いたしました。
| 4つのテーマ | 機会 | リスク | 対応する主な取り組み |
| Environment | ・ 環境負荷が小さい不動産の取得・賃借ニーズの増加 ・ 既存ストックの有効活用による、解体・建て替えスパンの長期化に伴う廃棄物削減 | ・ 環境負荷が小さい不動産取得・賃借ニーズが増加する中、対応が遅れる場合の空室率増加、成約率や販売価格の低下 ・ 環境規制の強化による新規不動産開発、改修工事基準の厳格化に伴う対策費用の増加 | ・ SBTiの「ネットゼロ新基準(The Net-Zero Standard)」に沿った、目標を設定し、目標達成に向けた取り組みを実施 ・ RE100に加盟をし、2025年度までにグループ全体でRE100達成を目指した取り組みを実施 |
| 4つのテーマ | 機会 | リスク | 対応する主な取り組み |
| Diversity & Inclusion | ・ 海外の方のニーズに対応した施設・サービスの需要増加 ・ 外国人労働者受け入れによる労働力不足の解消 ・ テレワークの加速やフリーランスの増加など多様な生活スタイルや就業・消費スタイルに対応した施設・サービス需要の増加 ・ 人口動態の変化に伴う新たなニーズに対応した施設・サービスの需要増加 ・ バリアフリー等ユニバーサルデザインに対応した施設・サービスへのニーズの増加 | ・ サプライチェーンマネジメントをはじめとしたカントリーリスク・コンプライアンスリスクの増加 ・ ダイバーシティへの対応が不足している施設・サービスの需要低下 ・ 人口動態の変化(労働人口の減少等)に伴う施設・サービスの需要低下 ・ バリアフリー等ユニバーサルデザインに対応した施設・サービスへのニーズの増加する中、対応が遅れる場合の利用者の減少及び空室率増加 | ・ 多様な生活スタイルや就業スタイルに対応した施設の開発やサービスの提供 ・ サプライヤー行動規範を策定し、サプライヤーの遵守状況を確認するため、ヒアリングシート調査を実施 |
| Innovation | ・ 技術革新、普及に伴う環境対策・投資費用の低減 ・ ITやロボットを活用した、施設運営の効率化・利便性向上 ・ スマートコミュニティ、ハウス、オフィスの開発機会、ニーズの増加 | ・ IT化・デジタル革新への対応が遅れることによる、施設・サービスの需要低下 ・ スマートコミュニティ、ハウス、オフィスの開発機会、ニーズの増加が高まる中、対応が遅れることによる機会損失 ・ eコマース等のオンライン売買の進展に伴う、実店舗・サービスに対するニーズの減少 | ・ インキュベーションオフィスを運営 ・ 先端技術・テクノロジー・ロボットの活用 ・ スタートアップ企業やベンチャーキャピタル等への出資による新規ビジネスの創出 |
| Resilience | ・ 気候変動に伴う災害(都市水害など)への対応力が高い不動産の取得・賃借ニーズの増加 ・ 地震等の災害への対応力が高い不動産の取得・賃借ニーズの増加 | ・ 気候変動に伴う災害(都市水害等)の激甚化・増加による資産価値減少、維持・対策費用の増加 ・ 地震等の災害発生による資産価値の減少、維持・対策費用の増加 ・ 老朽化に伴う改修費用、災害対策コストの増加 | ・ 防災・減災に向けた体制構築 ・ ハード・ソフト両面における防災まちづくりを重視 |
[気候変動・自然資本への対応]
・TCFD提言に基づく情報開示
当社は、TCFDの提言内容に則り、2020年5月にフレームワーク(気候変動のリスク・機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った開示を行いました。開示内容の拡充を図るため、2023年5月には、これまでのパリ協定が求める水準である産業革命前からの気温上昇が2℃以下を含めた2つのシナリオ分析に加え、移行リスク(低炭素経済へ移行する過程で生じるリスク)を評価するCRREM(Carbon Risk Real Estate Monitor)を取り入れ、気候変動による当社グループ主要事業への将来的な影響分析を開始しました。今後も内容の深化を進めるとともに、気候変動に関するガバナンスや事業戦略の強化を目指します。
・CRREMを活用したリスク分析
CRREMの概要 :欧州の研究機関等が開発した商業用不動産の移行リスクを評価・分析するツールです。パリ協定が求める2℃、1.5℃目標に整合する2050年までの温室効果ガス排出量のパスウェイ(炭素削減の経路)と自社物件の排出経路を比較することで、物件の座礁資産化の時期や座礁割合、又は将来の排出にかかるコスト等を算定し、対応策やその効果を検討することができます。なお、座礁資産化とは、自社ポートフォリオの脱炭素経路が2℃、1.5℃のパスウェイを超過することによって、移行リスクのある物件であると評価されることを示します。
CRREMを活用した当社の移行リスク分析:将来の気候変動が当社事業へもたらす影響、特に保有する物件の移行リスクについて、CRREMの手法を活用し、定量的な評価を行いました。
[分析対象範囲]
当社の所有する物件のうち、2022年のGRESB(※)報告対象物件から、2021年度末時点で所有していたオフィス、商業、物流施設など合計84物件を対象に分析しました。
[ケースの設定]
ケース 1 :これまでの当社脱炭素の取り組みに加え、省エネ施策の強化(空調・LED等)や、生グリーン電力の導入といった取り組みを考慮したケース
ケース 2 :ケース1に非化石証書付き電力契約による再エネ導入も加え、2025年度までにすべての物件で再エネ由来電力への切り替えを想定したケース
[ケース分析結果]
設定した2つのケースと2℃、1.5℃目標の各パスウェイを比較したところ、以下の結果が得られました。
ケース 1 :省エネ施策強化や生グリーン電力の導入のほか、系統電力の排出係数の低下が寄与するものの、2037年頃には1.5℃パスウェイを上回る排出水準になる見込みです。そのため、本取り組みだけでは不十分である可能性があります。
ケース 2 :再エネ由来電力への切り替えに伴い、2025年度以降、電力由来の排出がなくなる一方、地域冷暖房、ガス由来のエネルギーの排出が一部残る見込みです。その結果、2047年頃に1.5°Cパスウェイを超過する可能性があります。
[ケース分析を踏まえた戦略・取り組み(機会内容含む)]
本分析においては、2021年度末時点の物件を対象に、2050年までの間、物件の入れ替え等がない想定としていますが、実際には省エネ性能に優れた物件への建て替え、新規取得等により、温室効果ガス排出原単位の改善も見込まれます。当社が掲げる2025年度の再エネ導入率100%の達成に向け、これまで推進してきた非化石証書付き電力利用を一層進めるとともに、コーポレートPPAの導入等を検討します。また、今後当社が開発する新築建物においては原則ZEB水準の環境性能を目指すことにより、省エネ性能の優れたビルの比率を向上させ、温室効果ガス排出原単位の改善を図ります。
(※) GRESBは、欧州の年金基金のグループを中心に創設された不動産会社・不動産運用機関の環境・社会等への配慮の姿勢を測るベンチマークです。
TCFD提言に基づく情報開示に関する詳細情報は、以下よりご覧ください。https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/environment/tcfd/
②人的資本に関する戦略
当社グループの求める人財像である5つの要素を高めながら、「長期経営計画2030」の達成に向けて、超長期的視点と時代を先取りするDNAを活かして協業による強みの掛け算を生み出していく役割及び高い専門性によって価値創出していく役割を発揮できる人財を育成していくことを、人財育成の方針として掲げております。
当社グループでは、社員は企業にとっての重要な経営資源であるとの認識のもと、「人材」ではなく「人財」という表現を用いております。
■ 5つの要素を高めていくこと
当社グループでは、求める人財像を下記5つの要素を備えた人物であると定義しております。
当社従業員は、ビジネスの状況や一人ひとりのキャリア志向に応じて多様な役割を担いますが、5つの要素は全従業員に普遍的に求めるものとしております。そのため、採用・育成に当たっては、この5つの要素を重視しております。
なお、5つの要素は当社グループ全従業員に対して求めるものであり、グループ各社の人財育成方針のベース・基盤としてあるものです。
| 5つの要素 | 定義 | 求める力 |
| 「志」ある人 | 成し遂げたい姿や状態を描き、それを実現していく強い意志と行動力を備えた人 | ビジョン構築・浸透力、覚悟・胆力 |
| 「現場力・仕事力」のある人 | 自身の担当領域や不動産全般の「プロ」として知識・スキルを研鑽し、業務を推進できる力を持つ人 | 目利き力、顧客志向、仕事推進力、生産性、リスク対応力、知識・スキル |
| 「誠実・公正」である人 | 高い倫理観を持ち、誠実かつ公正に行動し、周囲と良好な関係を築く姿勢を持つ人 | オープンマインド、倫理観 |
| 「組織」で戦える人 | 組織としての競争力を高めるために人財育成やマネジメントを行う力のある人 | 育成力、チームワーク、マネジメント力 |
| 「変革」を起こす人 | 前例や慣例にとらわれず、失敗を恐れずにチャレンジ精神を持って行動する姿勢を持つ人 | チャレンジ志向・イノベーション |
■ 長期経営計画2030の達成のために人財に求める2つの役割
(ア)超長期的視点と時代を先取りするDNAを活かし、協業による強みの掛け算を生み出していくこと
当社グループのビジネスモデルの特徴は、まちづくりという長期的な事業において、社内外の膨大なネットワークとの協業によって新しい価値を生み出していくことです。
当社グループの強みである超長期的視点と時代を先取りするDNAを活かしながら、社内外のネットワークを活用することで「新しい視点からの課題の発見」や「協業による強みの掛け算」を生み出すために、慣例にとらわれずチャレンジ精神を持って行動する役割が求められます。
当社ではその役割をサポートする施策を整備しております。
(イ)高い専門性によって価値創出していくこと
「長期経営計画2030」の達成に向けては、国内の大型開発の着実な推進に加え、海外事業の強化やノンアセットビジネスの拡大とサービス・コンテンツ領域への進出を推進し、各領域における高い専門性を持った人財が新しい価値創出に向けて事業をドライブしていくことが必要だと考えております。このことを踏まえ、各領域の専門人財の採用強化に加え、社員一人ひとりが必要な専門性を獲得・深化できる施策を整備しております。